「悪いが、少しだけ動くぞ」
「にゃっ、あんっ。んっ、こんなにしたらっ。あっあっあっにゃ。……も、もうっ!」
抱いている女に違う女の面影を重ねるというのが、酷く失礼な行為であるのは知っている。
だが抱き合いながら限界を告げるキナの顔が、どうしてもあの中尉と重なるのだ。
「……すまん、出る」
まさか。
そう思ったが、唐突に込み上げた射精感は本物だったらしい。
まるで、10代の頃のようだ。
柔らかい体を掻き抱きながら、膣の最奥に肉棒の先を押しつける。
「あっ。え、えっ? ……ん゛━━━━ッ!」
キナの若い張りのある肢体が痙攣したのは、肉棒が跳ねて精液を吐き出した後。
つまり、俺の方が先に絶頂に達した。
キナはその膣の行き止まりを精液で叩かれるのが引き金になって、ようやく達したという訳だ。
「にゃ、にゃぁ……」
「大丈夫か?」
「ま、まだ出てるっ。は、あぁっ……」
たしかに、呆れるほどの量。
そして早さだ。
昨日セックスをしていないからなのだろうが、それにしたって。
「でもまあ、おかげでキナが外を歩くのは楽になったな」
返事はない。
キスをしてから、キナの体を横たえた。
「ゃ、ぁっ」
もっとキスを、という意味なのか。
体を離すなという事か。
どちらにしてもかわいらしい小さな声に苦笑を浮かべながら、ゆっくりと肉棒を引き抜く。
ゴポッ
そんな感じで大量の精液が、俺の形に広げられた膣口から溢れ出した。
「……っは。我ながら笑えるぜ。さすがに、この量はねえだろう」
それに早々に肉棒を抜いたのも、あのままだと抜かずの2発目と腰を振り出してしまいそうだったからだ。
考えてみればこの世界に来て射精していない日などなかったので、まあ今回は仕方ないだろう。
タバコに火を点ける。
他の女の面影を重ねてその膣奥に射精した罪悪感からか、キナにどう声をかけていいかわからず、ただ動き出すのを待った。
「……ううっ、えっと。あ、あれっ?」
「気がついたか」
「黒髪の王子様、じゃなくって。カ、カズヤさん」
「おう」
肌を合わせたのにさん付けとは他人行儀なと思わないでもないが、王子様なんて呼ばれるよりはずっといい。
朝に酒場カウンターで水を詰めてもらった水筒を渡すと、キナは丁寧に礼を言ってからそれを口に運んだ。
そうしながら俺の体やシーツに魔法を使ったらしく、淫液が乾いて少しむず痒かった股間や、精液で酷く汚れていたシーツが一瞬でキレイになる。
「も、もう10時すぎ。ごめんなさい。キナ、寝ちゃってたんですね」
「へえ。キナは時間がわかるのか。まあ気にしなくていい。それより、着替えて荷物を取ってきな。今夜の宿に移動する」
「あ、はい。でもその、お金が……」
「もうカラダで払ってるさ。準備ができたら来てくれ」
「はい。すみません、何から何までお世話になります」
「だからいいんだっての」
5分ほどで準備を終えたキナとギルドを出る。
(今ギルドを出た。どっちに向かえばいい?)
(南門だ。ギルドの交差点を左折)
(あいよ)
行先が南門だと告げると「ならこっちです」と言いながらキナが先を歩き出したのだが、どうしても目が向かうのはミニスカートが揺れるたびにチラリと覗く尻たぶではない。
キナが背負った日本刀だ。
「いただろうとは思ってたが、実際にソイツから伝えられた武器なんかを目にすると妙な気分だな。こんな世界で苦労したのか、たっぷりと愉しんだのか。俺よりだいぶ先に来たご同輩は、ここで何を考えて、生きて、死んでったんだろうなあ……」
「何か言いました?」
「いいや」
大通りには石造りの店舗だけでなく、様々な露店も並んでいる。
客を呼び込む威勢のいい声を聞いているとそういった露店は安さがウリで、それが食い物を扱っているとなると、注文をすればすぐに持ち帰れる手軽さも自慢のようだ。
「キナは、やっぱ魚が好きか?」
「えと、そうですね。でも、お肉やお野菜も好きですよ」
「この辺りはまだ海が近いからか、魚料理の露店も多い。焼き魚と揚げ物くらいは買っておくか。酒とツマミは相棒が買って、もう部屋で飲んでるが」
「じゃあ、そのくらいはキナが」
「だからいいっての」
ドッペルゲンガーの指示で足を向けた今日の宿は、ニムと泊まった高級ホテルほどではないが、駆け出しの冒険者が入るには少々勇気のいる程度には格が高いらしい。
ツマミの折り詰めとバスケットを持つキナが足を緩めたので、俺が先に立ってそのドアを潜った。
「いらっしゃいませ。もしかして、ホリノウチ様でいらっしゃいますか?」
「ああ」
「すぐにお部屋にご案内いたします」
「頼むよ」
案内された部屋ではソファーで胡坐を掻いて、補給要請で出したらしいカップを掲げるドッペルゲンガーに出迎えられる。
その対面のソファーに座るなり、キナはくすっと笑った。
「挨拶の必要はないようですね」
「そういうこった」
「もしかしてキナの鑑定スキルは、顔を見ただけで?」
「そうですね。遠目から見ただけでも任意で発動が可能です。暗殺者が対象を観察したり、仕留めるタイミングを見誤らないようにあるスキルのようなので」
「へえ」
「んじゃオリジナル、まずはパーティー結成だ。乾杯はそれからにしようぜ」
「わざわざパーティーを組むのか? 125ccで急げば、そう時間をかけずにキナを目的地に送り届けられるのに」
「アホか。目的地に着いたって、金がなくっちゃこの子猫ちゃんは宿にも泊まれねえだろうが」
「あー。なるほど」
ステータス画面を出す。
その上部には、パーティーというタブがあるのだ。
それを選択して、キナと書かれた文字をタップ。
パーティーを結成しますか?
という文字をまた押すと、すぐに『申請をしました』と文字が表示される。
ついでに補給要請画面に切り替え、たいした着替えも入っていなそうな革のリュックサックしか持っていないキナに何か必要な物がないか、飲みながら探してみる事にした。
「あ、来ました。参加していいんですよね?」
「もちろんだ」
持ち上げたジョッキをキナのとだけ軽く触れ合わせ、揺れているエールを呷る。
まだ昼前だというのにドッペルゲンガーは蒸留酒を飲んでいるようだが、俺とキナの前に置かれたのはエールのジョッキだ。
「こりゃ提案なんだがよ、オリジナル」
「言ってみろ」
ドッペルゲンガーが蒸留酒を舐める。
「子猫ちゃんは金がねえだけじゃなく、冒険者等級も7級でレベルもまだまだ低い。この大陸はとんでもなく広いし、街と街がかなり離れてっから、あと街2つ分も進めばもう豪雪地帯からは出る計算だ。そっからは、冒険者として金と経験値と貢献度を稼ぎながら南へ向かうのはどうよ?」
「手紙を届けるのに期限はねえし、元からレベル上げついでに雪を避けるつもりだった。俺は別にいいが」
「そんじゃ、子猫ちゃんはどうだい?」
「パーティーメンバーとしてカズヤさんは申し分ないですし、キナも雪さえなくなれば急ぐ理由はありません」
「でもよ、キナ。俺達と行動するんなら、どうしたってMPの回復がよ」
「そ、それは気にしないでください。カズヤさんとその、……そういう事をするのは大歓迎ですし」
「コイツ、とんでもねえ変態だぞ?」
ドッペルゲンガーが大声で笑い出す。
立ち上がってぶん殴ってやろうかと思ったが、その手間をドッペルゲンガーのためにかけるのも嫌だ。
なので黙って途中で買った魚の揚げ物をつまんで口に放り込んだのだが、どうやらキナも笑っているらしい。
「んだよ、2人して笑いやがって」
「す、すみません。でも、可笑しくって」
「何がだよ?」
「鑑定と同じようなスキルがある子猫ちゃんは、部屋に入った瞬間からオレがオリジナルと同じ人格だって理解してんだよ。それがコイツは変態だー、とか。自分で自分を変態呼ばわりすっからだ。しかも、わざわざ顰めっ面までしてよ」
「そんくれえ認めたくねえ事実なんだよ、ほっとけ……」
ドッペルゲンガーがまだニヤニヤしたまま、明日からの予定を話し始める。
武器なんかはいつも通り、日付が変わった深夜に準備。
後装式単発銃のライフルと拳銃を2丁ずつ。弾薬と古臭い手榴弾を4つ。それにドッペルゲンガーに中級片手剣だ。
本人は剣より槍を好むらしいが、それを背負いながら進むのは少しばかりキツイ。
荷物を持って街を出たら、キナの土魔法で小屋を建てて姿を隠し、MPを回復しつつオフロードバイクを2台召喚。
片方は改造でバックパックを積む荷台を取り付け、もう片方にキナを乗せる。
道中は狩りより、目的地を目指すのを優先。
オフロードバイクなら2つ目の街へ昼過ぎには到着するので、街に入る前に夕暮れまで狩りをする。
それだけでなく、翌日もその街で狩り。
「んで次の街じゃ、それに休日を挟む。だから、そこには3泊だ。それを繰り返す」
「まあ、妥当か。普通の冒険者は、3日を働いたら1日は体を休めるらしいし」
「そんで魔女の街ってのに到着した時、レベル50になってりゃよし。なってなかったら、そこで子猫ちゃんのレベルを50にまで上げる」
「なんで50なんだ?」
「またスキルが増えるからに決まってるだろうがよ。南に行けば行くほど、学校すらなくて女達が好き勝手やってる街が多くなるらしい。中にゃ、奴隷なんてのが存在する街も多いんだぞ。子猫ちゃんにはそれまでに、その後もオレ達と行動と共にするかどうかを決めてもらえばいい」
「もし望んだら、ずっとパーティーを?」