さて、あの男子の精神はっと……あったあった。
一面真っ白の空間をふわふわと浮かぶ少女。
クスッと笑みを浮かばせ、“kumioda mithio”と表示されている壁に手をやる。
すると、手が波紋を出しながらズブズブと壁に入って行く。
やっぱり。あれは寝てるね。
組尾田道雄。そいつは識曰く、うざい男子の名前。
そして、今私が入っているのはその男子の精神。
けれど、今こうして簡単に入っているが、実はこの精神に私達が入るためには、少しばかり条件がある。
一つは私達の本体、
もう一つは殺す相手が寝ている、もしくは相手の精神を抉じ開けるくらいの強さを持っていること。
識は、これら全て出来るが、抉じ開けると、大概の人が悲鳴を上げて、失神する。
それではバレるので、寝ている間に入る事にしている。
しかもご丁寧に寝ている時間を調べてね。
ようやく自分の体があの男の精神に全て入り、辺りを見回す。
すると、斜め右に白い空間にカラフルな、と言うより動画のように動く空間があった。
……今、休み時間よね……レム睡眠って……まぁ、浅い眠りだろうけど……
それは、俗に言う夢なのだ。
その夢の風景を見ると、道雄は遊園地で何人かの人と遊んでいた。
……にっ……いい事思いついたわ。
獲物を見据えたような、恐ろしい猛獣の顔をしながら、ティリアは笑った。
~道雄視点~
うん。夢だな。
意識が少しだけはっきりした俺は、この場所がなんなのかはわかった。
『しっかしな~…。夢で遊園地って、俺どんだけ遊びてぇんだか。』
喋ってんのか、思っているのかはわからないが、頭に響く自分の声を聞きながら、適当に歩く。
しかし、その束の間、ジェットコースターに乗っていた。
『……え。』
しかも、セーフティーバーも何も付けずに。
『ひっ……や、……高い所は嫌だぁぁぁ!!!』
そのまま、直角に急降下していき。
ガコン!
『へ?』
レールから外れ、空中に放り出された。
~識視点~
「うわあぁぁぁぁ!!!」
夢から唐突に覚め、椅子から勢いよく落ちたようだ。
あれは確か二組だったが、こちらの教室まで丸聞こえだ。
その声により、私の教室の生徒までざわついた。
しかし、あいつが叫んだのはチャイムと同時刻。
先生がざわつきを静め、あの男のもとに。しかし、
「おいおい。ミッチー。怖い夢見たからってそんなに叫ぶなよ!はぁ?ジェットコースターに乗ってたらレール外れて空中に放り出されたぁ?……っぷ。お疲れ~。ミッチー。」
二組の男子だろう。他の先生にしっかり聞こえるように大声で言った。
むろん、それは私にも聞こえた。
……これは……面白い…
でしょ?あいつ、呑気に夢なんか見てるからね。悪夢を見せてやったわ。
自慢げに話すティリアにナイスと思いながら、あのうざい男子の哀れな声を聞き、少し楽しかった。
なるほど。悪夢にすれば、こっちでもあいつの無様な姿が拝める……これはいい…
しばらくして、今回の騒動が収まり、授業が再開された。