相変わらず人が多いな
そう感じた俺は空いてる席に腰を下ろすと食事を取りに行った。
大本営に行ってた件で何人かの艦娘には声を掛けられ、無事に提督に任命された旨を伝えると喜んでいた。
一通り食事を摂り、食器を下げると一番目立つ場所に向かった。
鳳「あー皆、食事しながらでいいから聞いてくれ。皆も知ってる通り、俺は今日、長門と大本営に向かった。大元帥とも会い、無事に提督に任命された。今までは提督(仮)として皆と接してきたが、これからは提督として頑張っていく。相変わらずわからない事も多いが、これからもよろしく頼む。」
そう話すと、一瞬の間を置き、食堂は大歓声に包まれた。
金剛「テートク~、ちゃんとテートクになれたんデスね~♪」
電「安心したのです」
天龍「やっぱ提督(仮)じゃなく提督じゃないとな」
近くに寄ってきた艦娘達に激励の言葉を掛けられた俺は照れながらも期待に応えるべく、気合を入れた。
どうしてこうなった?
予定では司令室に戻り、大淀や長門とこれからの打ち合わせをする筈だった。
しかしどういうことか、今の俺は食堂で艦娘に囲まれ、手に持ったグラスに酒を注がれていた。
それもそのはず、一通りの演説を終えるとそのまま俺の就任祝いの宴会と化していた。
急遽宴会となった為、間宮さんや鳳翔さんら給仕を担当する者は大忙しで料理を作っていた。食事を終えた後、という事もあり、簡単なつまみやケーキ等が並べられていた。
長門曰く、「今日くらいは羽目を外してもいいだろう。」の一言で呑んべぇ達は尚更盛り上がり、俗に言う(提督LOVE勢)に囲まれた俺は注がれ続ける酒を飲み干していた。
鳳「明日から正式に仕事だから、余り酔いは残したくないんだが…」
そう呟くも、周りのどんちゃん騒ぎの音に掻き消されたので、諦めて酒を飲むのであった。
お祭り騒ぎの宴会も一段落し、俺は酔い醒ましを兼ねてベランダで休憩をしていた。
長門「鳳殿、明日からは正式に提督として仕事が始まるな。」
鳳「あぁ。こんな俺でも役に立てるってのがわかったし、これからは精一杯頑張っていくよ。」
長門「それはなによりだ。ところで…」
鳳「?」
長門「大本営で言っていた、記憶を無くしたというのは、どういうことなんだ?今までは特に何も感じなかったんだが…」
鳳「…」
長門「話したくないなら話さなくていい。しかし、私を始め、ここの艦娘は鳳殿を信頼している。いつか、話せる時が来たら話してくれないか?」
鳳「…今なら酒のせいにして話せるぞ。」
長門「…聞かせてくれないか。」
鳳「元々俺はどこから来たのかわからない。今まで、どこで何をしていたのかも。気がついたらどこか薄暗い森の様な所を走っていたんだ。暫くして、とある町人に拾われて、一晩過ごしてからここに辿り着いたんだ。」
長門「…」
鳳「そこからは聞いての通りだ。妖精を見かけ、電に会い、避難の為にこの鎮守府に入った。後は知ってるだろ?」
長門「あぁ。あの時は私達も緊急だったとはいえ、見ず知らずの鳳殿を巻き込んだ事は、今でも正しかったのかわからない。ただ…」
鳳「ただ?」
長門「結果はどうあれ、私達は鳳殿に出会い、今ここに居る。それだけは確かだ。私は、あの時の選択は後悔していない。」
鳳「言ってくれるな。俺も、今の自分の立場や行動には後悔していないぞ。」
長門「頼もしいな。これからもよろしく頼む。」
鳳「こちらこそ。」
夜の心地よい風が吹く中、お互いに固い握手を交わし、俺は室内に戻ると艦娘達の相手をし、司令室で眠りについた。