…ここはどこだ?
確か俺は宴会が終わった後、司令室に戻って眠りについた筈だが…
いつの間にか俺は何も無い空間にいた。
とりあえず歩いてみたが、どこにたどり着くわけでもなく、何も無い空間が永遠に続いていた。
鳳「なんなんだよここは…」
暫く歩くと、何も無い筈の空間が歪みだした。そして…
???「キタナ…」
鳳「誰だ?」
???「オレハオマエダ、オオトリマサムネ」
鳳「意味がわからん。誰だっていいが、ここは何処なんだ。俺は部屋で寝ていた筈だぞ。」
???「ココハオマエノユメノナカダ。」
鳳「そうか。どこだっていい。とにかく、俺をこの場所から出して貰おうか。」
???「マァマテ。スコシハナシヲシヨウジャナイカ。」
鳳「…」
???「キオクヲウシナッテルンダッテナ。ブザマダナ。」
鳳「…だったらなんだ?」
???「オレハオマエノカコヲシッテイル。オマエハ…」
鳳「…」
???「………ダ。」
鳳「…なんだと?そんな訳ないだろ。」
???「ウソヲツイテドウスル。オレハオマエノキオクヲトリモドステツダイヲシテヤッテルンダゾ。」
鳳「…仮に俺の過去がそうだったとして、俺のやるべき事は変わらない。俺は今の与えられた役割を果たし、あの鎮守府の艦娘を守る。それが俺の役目だ。」
???「…マァイイ。イズレスベテヲオモイダストキガクル。ソノトキマデ、セイゼイタノシムコトダナ。」
そう言って、俺を語る何かは消えていった。そして…
鳳「…ッはぁ…はぁ…」
何とも気分の悪い夢だ。さっきのやつはなんだったんだ。俺を語る何かは俺の過去を知っていると言っていた。そして…
鳳「…俺は、ヤツの言う通りなのか?」
俺の過去がなんだろうと、俺は俺の役割を果たす。ただそれだけだ。そう心に決めると、寝付けそうにないので気分転換を兼ねてシャワーを浴びる事にした。
シャワーを浴びながら、俺は夢の中の出来事を整理しようとした。名も知れぬあいつは俺の過去を知っている。あいつの言い方から察するに、俺は過去に何かしていた、若しくはしようとしていた様だった。
(なんなんだあいつは。考える程に訳がわからなくなる…。)
今はこれ以上考えても無駄だ。そう判断した俺は冷たい水で眠気を吹き飛ばした。
シャワーを浴び終え、時計を見ると0600だった。そろそろ、長門が起こしに来る頃だ。いつもは俺が起こされているので、なんだか妙な気分だった。
長門「鳳殿、そろそろ起きて…いたのか。珍しいな。」
少し驚いた様子をみせながら、司令室に入ってきた長門は俺に話しかけた。
鳳「今日はたまたま目が覚めただけだ。特に意味は無いよ。」
長門「なるほどな。何かあったのかと少し心配したぞ。」
鳳「何かあった、のか…」
長門「ん?何か言ったか?」
鳳「気のせいだ。ところで、今日から正式に提督にとしての仕事が始まるな。」
長門「あぁ、そうだな。気を引き締めて仕事に望んでくれ。」
長門に軽く激励の言葉を掛けられ、一層気を引き締めた俺はしっかりした足取りで食堂へ向かうのであった。