ビスマルク「あのヲ級…もしかして!」
長門「なんなんだ?」
ビスマルク「見てよ!」
なんだ、と思い長門がビスマルクの指す方向を見ると、なんとヲ級の深海棲艦特有の艤装や肌の色白さが取れていき、見る見る内に姿が変わっていった。
ヲ級だと思われていたその生物は白かった髪が金髪のツインテールになり、白黒の服装は何かの制服の様になり、ヲ級特有の頭上のモノは白を基調とした黒いつばの付いた物に変わっていた。
ビスマルク「…グラーフ?」
ビスマルクがポツリと呟いた名前を聞き、長門は理解が追いついてない様子で答えた。
長門「グラーフ…だと?ちょっと待て。さっきまでヲ級だったのにビスマルクの知っている人物に変わったのか?つまり私達が今まで深海棲艦だと思っていたあのヲ級は…艦娘だったとでも言うのか?」
ビスマルク「説明は後よ!とにかく今はグラーフを保護しましょ!」
かなり慌ただしい雰囲気を出しながらも、ビスマルクの発言通り、長門を中心とした艦隊はグラーフと呼ばれた謎の艦娘を保護した。
鳳「…艦娘を保護した、か。」
深海棲艦の一団を殲滅し、帰還した艦娘の報告を聞いた俺は長門に質問をした。
長門「駆逐隊を中心とした艦隊を組んで鎮守府に先に帰還させた。深海棲艦なら容赦はしなかったが艦娘なら話は別だ。ビスマルクの説得もあり、補給と入渠を第1に考え、先に帰還させたんだ。事故報告になってしまって申し訳ない。」
鳳「いや、それならそれでいいんだ。現場の判断は現場に任せてるし、緊急を要する場合は事後報告で構わない。」
長門「済まないな。以後、気をつける。」
鳳「それはそうと、そのグラーフとかいう艦娘の容態は?」
長門「明石からの報告によると、かなり衰弱している様だが命に別状はない、らしい。」
鳳「そうか、よかった…。」
長門「フッ。よかった、か…。」
鳳「どうした?」
長門「いや、提督は本当に変わった人だな、と思ってな。」
鳳「どういう所が、だ?」
長門「人それぞれ考え方は違うとはいえ、私達艦娘は人ではなく兵器だ。戦うことを運命とし、日々深海棲艦との戦いに備えている。兵器である私達の事をここまで心配する人は私は聞いたことがないのでな。」
鳳「…。」
長門「だからこそ、私達はそんな変わった考えを持つ提督に惹かれているのだろうな。」
鳳「…前に言ったかも知れないが俺はお前達艦娘は兵器ではなく1人の人間として考えている。確かに考え方によっては兵器として考える事も出来る。だが、少なくとも個々の性格は様々だ。感情だってある。感情があるから、というだけではないが少なくとも俺は艦娘を(兵器)ではなく1人の(人間)だと思っている。」
長門「…なるほどな。」
鳳「だからこそ、(人助け)をしたお前達を責めるつもりは毛頭ないし、むしろ人助けをしてくれて感謝したいくらいだよ。」
長門「そんなことは…。」
鳳「これぞ、提督冥利に尽きる、とでも言うのかな?」
長門「…。」
鳳「…。」
長門、鳳「…ッフハハハハハ!」
鳳「いや、柄にもない事を言うと照れるものだな。」
長門「そんなことは無いぞ。それに…。」
鳳「それに?」
長門「提督には笑顔が一番似合う。私は提督の笑顔が大好きだそ。」
鳳「…。」
長門「…も、勿論わ、私は艦娘を代表してだな…。」
長門の言葉を聞いた俺はおもむろに立ち上がり、そっと長門を抱き締めた。
長門「って、提督!?///」
鳳「ありがとう…長門。俺は今まで、どこの誰か分からない俺が凄く怖かった。こんな俺が何の役に立つのか、凄く悩んでたんだ。だけど、こんな俺を信じて付いてきてくれてる皆が居てこそ、俺はやっていけてるんだと思う。」
長門「そ、そんなことは…。」
鳳「…誰かが側に居てくれるのはありがたいものだな。」
長門「て、提督、そ、そろそろ…。」
鳳「…嫌か?」
長門「い、嫌ではないが…///」
鳳「…このままもう少し頼む。」
長門「わ、わかった…///」
鳳「…で、話を戻すがグラーフは今は何処にいるんだ?」
長門「グラーフなら医務室に居るはずだ。明石が看病しているから、もうそろそろ面会は可能な筈だか…。」
鳳「なるほどな…。」
長門「?」
鳳「よし、見舞い兼事情聴取だな。いくら艦娘でも直ぐには動けないだろう。こちらから会いに行こう。」
長門「それはそうだな。」
鳳「いこうか、長門。」
長門「あ、あぁ…。」
どこか返事のぎこちない長門を連れて、俺はグラーフが居るという医務室に向かった。
鳳「入っていいか?」
ビスマルク「いいわよ。」
声の主はビスマルクだったが、この様子だと面会は可能だろう。そう判断した俺はゆっくりと医務室の扉を開いた。