グラーフの件から数日後、大本営から1通の手紙が届いた。
金剛「ヘーイテイトクゥ〜、お手紙がきたヨ〜」
鳳「あ、ありがとう。なになに…ケッコンカッコカリ?」
金剛「お、ケッコンですか〜?テートクもそろそろケッコンの時期なのかもしれないネ〜」
鳳「ケッコン、か…。ケッコンしなければいけないのか?」
金剛「ゼッタイって訳ではないと思うけど、ケッコンすると艦娘の燃費が向上したりと、メリットはたくさんあるネ。」
鳳「なるほどな。さて、誰とケッコンするべきか…。」
金剛「勿論、私とデース!」
鳳「お、おう…」
金剛「私はテートクの事が大好きデース!」
鳳「ありがとうな。金剛。」
金剛「勿論、テートクは私とケッコンしてバーニングラブを受け取ってもらえますよネ〜♪」
鳳「んー、どうだろうなぁ。」
金剛「なんでデスか〜!」
鳳「今はなんとも言えない、としか…。」
金剛「テートクは意地悪デース!」
ちょっぴり拗ねた金剛を見送りながら、俺は再び書類に目を通した。
青葉「どうも提督!聞きましたよ〜!」
鳳「何がだ?」
青葉「とぼけないで下さいよ〜。ケッコンの事ですよ!」
鳳「もう広まってるのか?」
青葉「えぇ。もう殆どの艦娘の耳に入ってますね。提督が誰とケッコンするのか、皆予想してますよ。」
鳳「そんなに大事でもないだろうに。」
青葉「何を言ってるんですか!艦娘にとって提督とのケッコンは一大イベントとも言える事なんですよ!」
鳳「…金剛も似たようなことを言ってたな。」
青葉「だからこそ、これはスクープですよ!」
鳳「気持ちはわかるが、余り無茶な聞き方はしないでくれよ?」
青葉「わかりました!」
鳳「…で、それはそうと前から頼んでた件はどうだった?」
青葉「あ、その件なら…これですね。」
鳳「…ありがとう。」
青葉からの報告書を受け取って、部屋を出るのを見送ってから皆が言ってた件を考えてた。
鳳(ケッコン、か…。俺は誰とケッコンしたいんだ?今まで何も気にしてなかったが、落ち着いて考えると結構気恥しい感じだな。)
結局、その日は何も答えを出せず、日々の業務をこなしつつ数日が過ぎた。
長門「失礼する。」
長門の声で作業を止めた俺は長門に向き合った。
長門「遠征に出してた艦隊が帰投したぞ。これが報告書だ。」
本日何度目かの報告書に目を通しながら、俺はふと呟いた。
鳳「そういえば…」
長門「なんだ?」
鳳「既に聞いてるかもしれないが、ケッコンカッコカリの書類が届いたんだ。」
長門「そうなのか。」
鳳「誰とケッコンするかは決めてないんだが、一応秘書艦の長門には直接報告したかったんだ。」
長門「何故だ?」
鳳「俺がここに来てから随分経った。最初の時からずっと、側には秘書艦である長門が居たんだ。…どう言えば良いのかわからないが、どうしても長門には報告したかったんだ。」
長門「そ、それは…」
鳳「良くも悪くも一番身近に居たんだ。直接報告するのが筋だと思ったんだ。」
長門「なるほど。」
鳳「…まぁ、とりあえずこの話はここまでにしよう。とりあえず今は仕事を終わらせよう。」
長門「…そうだな。」
なんとも言えない微妙な雰囲気が流れつつあったので、場の空気を変えるためにも話を変えた。
鳳「ふぅ…。」
一日の仕事が終わり、夕食を食べた俺は気分転換を兼ねて海辺の砂浜に来ていた。
ここ最近は色々と業務が重なったり大本営からの作戦をこなしたりとバタバタした日々が続いていた。それらが落ち着いたと思ったら今度はケッコンの話が来た。
鳳(ケッコン、か。こんな俺がケッコンなんかしていいのだろうか。皆は俺の事を好んでいる様だし、一部の艦娘に至ってはあからさまに好意を寄せてきている。好意を持たれるのは有難いが、俺が側に居て欲しいと思うのは…)
長門「提督、ここに居たのか。」
海を眺めながら物思いにふけていたら、不意に長門に声を掛けられた。
鳳「どうしたんだ?」
長門「特に用事がある訳ではないんだがな。少し提督の顔を見たくなった。」
鳳「そうか。」
長門は俺の隣に座り、暫くの沈黙が流れた。
長門「そういえば。」
鳳「なんだ?」
長門「提督は誰とケッコンするのか決めたのか?」
鳳「皆、その事に関心があるんだな。」
長門「そりゃ、ケッコンというのは艦娘にとって戦闘の次に至上命題とも言えるんだ。関心を持つのは当然と言える。」
鳳「そうだな…。ケッコン、と言えばいいのかわからないが、側に居て欲しいと思う艦娘は居るな。」
長門「ほう。」
鳳「…知りたいのか?」
長門「勿論だ。」
鳳「…だ。」
長門「なんだって?」
鳳「長門、お前だよ。」
長門「なっ!?//」
鳳「本当はもう少し違う場面の時に言いたかったんだかな…。」
長門「…確かに今聞くものではないのかもしれないが…」
鳳「仕事の時やプライベートの時も含め、一番側に居たのは長門だった。何度も顔を合わせる内にこの人はどういう考えを持っているのだろうか。この人はどういう表情をしてくれるのだろう、そう考えることが多くなった。」
長門「…」
鳳「提督として、ではなく一人の男としてこの人の側に居たい、この人を幸せにしたい、そう思ったんだ。」
長門「…嬉しいことを言ってくれるな。」
鳳「…まぁな。」
長門「…私も貴方の事を考えることがあった。初めて会った時、この人は私達の事をよく考えてくれている。私達艦娘を兵器としてでなく、一人の人間として扱ってくれていた。初めは興味を持ち、尊敬し、そこから好意を持つようになり、果ては愛情に至った。」
鳳「…長門。」
長門「なんだ?」
鳳「俺とケッコンしてくれ。俺の側にいて欲しい。」
長門「…私で良ければ、貴方の側に居させて欲しい。」
暫くの沈黙の後、軽い口付けをして2人で司令室に戻った。