数週間前
鳳「明石。」
明石「はい?」
鳳「艦娘の艤装って人間は装備できないのか?」
明石「そうですね…。過去にそういった実験をした事はあるそうですが、1度も装備出来たことはないそうですね。艤装に艦艇だった頃の魂が宿っているから、とか妖精との意思疎通の関係で、とか言われてますが。」
鳳「そうか…なぁ、俺も装備してみていいか?」
明石「提督がですか?別に構いませんが多分無理だと思いますよ?艤装は個人専用と言ってもいい程なので、例えば私が戦艦の艤装を装備するのは出来ませんし逆に戦艦が駆逐艦のやつを装備する事も出来ません。」
鳳「そうか…。とりあえず試すだけ試させてくれ。」
明石「わかりました。」
明石「とりあえず艤装を持ってきました。」
鳳「これは…金剛と電の艤装か?他は…天龍型や翔鶴型の艤装だな。」
明石「えぇ。念の為に何種類か用意しました。」
鳳「そういえば、どうやって艤装の装備をするんだ?装備する所を見たことないんだよな。」
明石「港の艦娘専用のドックに向かうと自然と装備されます。慣れてくると自分の意思で艤装を出現させて装備する事もできますが…。」
鳳「なるほどな。とりあえずこのドックに入って装備してみるか。」
明石「ご健闘を。」
鳳「案外暗いんだな。…このスペースに入れば装備出来るんだよな…。」
ドックの中にあった丸いスペースの所に入ると、何処からともなく機械音が聞こえてきた。軽い振動と共に壁の中から艤装が出現し、自分の体に装備されていった。
鳳「…出来たぞ、明石。」
明石「嘘でしょ!?今まで一般の人が装備できた記録はないんですよ?」
鳳「そうは言われてもな…。前に明石が言ってた、俺は普通の人間じやないって件が関係してるんじゃないか?」
明石「そうだとしても…それなら、こっちの艤装はどうですか?」
そうしてファッションショー並に用意されていた艤装を装備していった。
驚く事に全ての艦娘の艤装を装備する事ができた。戦艦クラス、それも大和型の艤装に関しては多少の重量を感じたものの、その程度の問題で装備する事が出来たことに明石は驚いていた。
鳳「…という訳だ。」
一通りの作業を終え、執務室に戻ると待っていた長門に報告した。
長門「そうか…。まさか提督が装備出来たとは。体に異常はないのか?」
鳳「特に問題は無いな。ただ装備できたってだけだから、実際に扱える様にするのは少し時間がかかるだろうが、な。」
長門「わかった。しかし、くれぐれも無理はしないでくれ。提督の身に何かあったら私達は気が気でないんでな。」
鳳「あぁ。皆の為にも無理はしないさ。…もっとも、長門の為にもな。」
長門「…言われると恥ずかしいな//」
-----------------------
鳳「とりあえずこの場を切り抜けるぞ!暫くしたら長門達も帰還する!」
明石「はい!」
鳳(さて、どうしたものか。敵は駆逐艦と潜水艦、ある程度の軽巡か。姫級や鬼級が居ないのが救いだな。ビスマルクの艤装を選んで正解だな。)
明石はあくまで工作艦。戦闘が得意ではない事を考えると実質的な戦力は自分だけと考え、敵の殲滅よりも長門達と合流する為にも一点突破をする事にした。
鳳「くらえ!」
38cm連装砲改を敵軽巡に向けて砲撃した。とてつもない轟音と共に飛翔した砲弾は着弾し、敵は沈んでいった。
鳳「あくまで目的は合流だ。殲滅しようと思うなよ!」
明石「はい!そうします!」
次々に飛来する砲撃や魚雷を避けては砲撃し、潜水艦に対してはこちらから魚雷を発射していった。
鳳「そろそろ時間だな…。俺が砲撃するから全速力で突破するぞ!」
明石の返事が聞こえたのを確認し、正面の深海棲艦に砲撃をした。全力の砲撃を受け、敵の集団に穴が空いた所に向けて全速力で突破していった。
暫くしてから後ろの方で爆発音が聞こえた。どうやら無事に爆発した様で、辺りの深海棲艦を巻き込んで船は沈んでいった。あの爆発で深海棲艦が沈んでいったのかは不明だが、多少の時間稼ぎにはなっただろう。
そして暫くの時が経ち、無事に長門達と合流する事ができた。
当然、提督が艤装を装備している事は皆が驚いていた。秘書艦である長門には話していたので大した反応はなかったが、それでも周りの艦娘達はどこか納得がいかない様子であった。
さらに数時間後
各々疲労困憊であったものの、無事に横須賀第1鎮守府に帰還した。ただの1人も欠ける事はなく、何事も無かった事を素直に喜んだ。
鳳「…以上だ。報告書等の作業は明日にしたい。今は皆を労おう。」
大淀「はい。間宮さんや鳳翔さんを中心に料理を作っています。直に用意されるので、もうしばらくお待ちください。」
鳳「了解だ。」
大淀「…まぁ固い話はここまでです。おかえりなさい、提督。」
鳳「あぁ、ただいま。」
流石は間宮と鳳翔。これだけの料理を用意出来たのは驚いた。ありとあらゆる料理が、空母や戦艦勢を含め、全艦娘が満腹まで食える量が用意されていた。
大破した艦娘はいないものの、疲労度は計り知れないものがあり、傷こそないものの皆、少し疲れた表情をしていた。そこにきてのこの料理である。かぶりつくな、というのが無理な話だった。
一航戦を中心とした空母勢はそれこそ規格外の大きさをした山盛りの料理を(取り合いになりつつも)食べ進め、戦艦勢は空母勢に張り合える量を食べていた。重巡、軽巡は駆逐艦や潜水艦の相手をしつつも自分の食事を進めていた。
鳳「こんな光景がいつまでもつづくといいんだがな…。」
長門「そうだな。平和を取り戻し、暁の水平線に勝利を刻む、それこそが使命だからな。」
鳳「…なぁ、今だけはその使命よりも無事に生還できた事を喜んでほしいんだ。使命を忘れろ、とは言わないが偶にはリラックスして欲しい。」
長門「…すまない。少し気が張っていて様だ。」
鳳「まぁ酒も入れば多少は仕方がない。今は今を楽しもう。」
いい感じに祝賀会が終了し、二次会をする者、眠りにつく者、談笑をする者と様々であった。
どうも飲み足りない気分だったので、長門に執務室で飲まないか、と声を掛けたところ了承を得たので飲み直す事にした。
執務室で飲み直す旨を鳳翔に伝え、多少のつまめる物を用意してもらった。
鳳「まぁ色々あったが、まずは無事に帰還できた事に…乾杯。」
長門「乾杯。」
お互いにウイスキーのロックを煽り、机に置くと話し出した。
鳳「それにしても、無事に帰還できてよかった。艦娘達が無事に帰還できた事が何よりも嬉しい。」
長門「それはそうだ。皆、提督の事を好いているんだ。家族と言っても良いだろう。」
鳳「家族、か。確かに皆、大事な家族だな。」
長門「…提督。」
長門が何か話したと思うと、不意に席を立ち上がって隣に座った。
気を抜けば肩と肩が触れ合いそうになるほどの距離。
長門「…皆の前では言えなかったが、今回の作戦、とても嫌な予感がしていたんだ。加賀からの敵の抵抗が少なかった、という報告を受けた時は肝を冷やしたが、杞憂に終わった事にホッとした。…無事に貴方の元に帰ってこれた良かったよ。」
鳳「長門…。」
長門「ところで、何か忘れてないか?」
鳳「?」
長門「無事に帰ってきたんだぞ…。」
鳳「…あぁ。…続きをしようか。」
作戦が終わり、薄暗い執務室。皆は寝静まり、邪魔をする者は誰もいない。
待っていたかの様にどちらからともなく濃厚なキスをした。
to be continued