加賀「嫌です。」
提督の言葉を聞き、加賀は即答した。赤城も言うまでもない、といったところか。
鳳「このまま全員で逃げた所で追いつかれるのは目に見えているだろ?だったら誰かが残って奴等を足止めしないと…」
加賀「だとしても、です。」
鳳と加賀が話している横で赤城は長門達と連絡を取っている。敵の援軍が至近距離にまで迫っている事、此方は余り持ちそうにない事を伝えると急いで向かうと言っていたらしい。
赤城「戦闘音や光を確認。直に辿り着くのでそれまで持ちこたえて欲しい、との事です。」
鳳「なら決まりだ。撤退しつつ長門達と合流するぞ。今のうちに高速修復材を使っておいてくれ。加賀、これなら文句はないか?」
加賀「…えぇ。」
鳳の持っていた高速修復材と多少の資源を分け与える形で全員が簡易的な補給をすませた。ボーキサイトの量に不安が残るものの、贅沢も言ってられないので、一先ずはこれで良いだろう。
鳳「さて、問題はあいつ等だな。どうやって足止めしようか。」
戦うことには問題はない。しかし、敵艦隊が目前に迫っているので危機は去っていない。
赤城「敵の目の前に攻撃を仕掛け、目くらましをした隙に離脱するのはどうでしょうか?」
鳳「それが一番早いな。だが問題は俺の速力だな…。」
一航戦の速力は高速。それに対して大和型の速力は低速。生憎、この艤装は補強増設をしていないので速度は変更できない。
鳳「…要はあいつ等の注意を逸らしたら良いんだよな。敵の砲撃に合わせて弾薬と燃料を一部放棄し、放棄した場所に上手く着弾させれば轟沈した様に見せかけれないか?一時的な偽装なら問題ないはずだ。」
加賀「問題はどれ位の時間、注意を引けるかですが…。」
赤城「ここで議論している時間はありません。やるだけやってみましょう。」
鳳「決まりだな。万が一に備え、一航戦の2人は燃料を多めに残しておいてくれ。俺は弾薬を殆ど放棄する。」
考えがまとまり、行動を開始。
連合艦隊クラスの敵に砲撃距離まで接近されれば3隻しかいない此方が圧倒的に不利なのは明白である。一航戦の2人はアウトレンジからの攻撃に専念。大和型装備の鳳は持ち前の有り余る火力と超長距離射撃で敵の接近を許さず、敵との距離を保った。
今回の目的はあくまで敵の目を欺く為の時間稼ぎ。艦載機を発艦され、追尾されようものなら全てが無駄になる為、艦載機の打ち漏らしが無い様に細心の注意を払った。
鳳「加賀と赤城、そろそろだ!」
声を掛け、鳳はその場に弾薬を放棄し、離脱の準備を完了させる。一航戦の2人は艦載機を通して敵の艦載機が残ってない事を確認した上で此方に帰還させた。
敵の深海棲艦達は此方の攻撃が止んだ事で好機と見たのだろう。砲撃距離まで一気に接近し、凄まじい砲撃を浴びせる。
鳳「今だ!」
掛け声と共に鳳達は全速力で戦闘海域から離脱。と同時に先程まで居た場所に着弾。凄まじい爆発と水飛沫が辺り一帯を地獄絵図に変えた。
鳳「何とかなったな。」
赤城「えぇ。一時どうなる事かと。」
加賀「今の所、深海棲艦達は此方の生存に気づいてない様です。」
鳳「このまま撤退し、長門達と合流…するまでもないな。迎えが来たぞ。」
遠くの方から此方に向かって来ている艦隊が確認できたと同時に赤城に通信が入り、此方の姿を視認したとの事だった。
鳳「ふぅ…。ここまで来たらもう一安心だな。」
加賀「えぇ。そうですね。」
赤城「しかし、まだあの深海棲艦が残っているのでは…?」
鳳「その件は後で考えよう。とりあえず合流だ。」
そうこう話している内に無事に長門達と合流する事が出来た。長門は此方の3人、特に鳳の無事が確認出来た事に喜んでいる様だ。一航戦の2人は翔鶴と瑞鶴、グラーフで深海棲艦の一団に関して会話をしていた。
ビスマルク「無事でよかったわ。admiralに何かあったら長門が哀しむ所だったわね。」
長門「私は提督だけを心配していた訳ではないが…。」
陸奥「あらあら、提督が危険って知らせを受けて一番慌てていたのは何処の誰だったかしら?」
長門「む、陸奥!それは…だな…。」
鳳「まぁ、危ない所だったのは間違いないが、こうして無事に戻ってこれたんだ。…後は深海棲艦の一団をどうするかだが…。」
プリンツ「Admiralさん。なんか深海棲艦達は帰っちゃったみたいだよ?」
鳳「どういう事だ?」
プリンツの話を要約すると、合流した時点で空母勢が索敵されないギリギリの距離まで艦載機を飛ばして確認したが、暫く爆発箇所をグルグル回った後、帰還していったとの事。
鳳「そうか。向こうが襲ってこないなら此方も追撃する必要はない。と言うよりはその余力が俺達には残っていない。…鎮守府に帰ろうか。」
無事に横須賀第1鎮守府に帰還し、補給と入渠を指示した後は自分も風呂に入ったが、極度の疲労からか食事も取らずに執務室のベットに横になり、眠りについた。