掲示が済んだ俺は鎮守府を散策した。
ドックや工蔽など、見ていない設備はたくさんあった。全部を1度に見ても直ぐには覚えれないだろう。そう判断していたので、あくまでも散歩感覚で巡っていた。
何人かの艦娘と出会っては会話をし、徐々に艦娘や鎮守府への理解を深めていった。
そんなこんなで夜になり、俺は食事を取るべく食堂へ向かった。
鳳「やっぱり夜だから人数が多いな…」
既に大半の席は埋まりつつあった。どこに座ろうか、と考えていると声を掛けられた。
電「あ、提督。よかったら一緒に食べませんか?」
鳳「いいのかい?他の艦娘と食べる約束とかは大丈夫?」
電「はい、大丈夫なのです。いつも駆逐隊の皆と食べてるんですが、丁度提督さんも来たので誘ってみたのです。」
相変わらず気配りが出来る電に甘えることにした俺は、取り敢えず自分の食事を確保することにした。
鳳「今日は…カレーにしようか。間宮さん、カレーの大盛りを下さい。」
間宮「はい、わかりました。すぐにお作りしますね」
ある程度の準備は済んでいたらしく、すぐに用意された食事を持って電の隣に座った。
鳳「電に響、暁に雷か、失礼するよ」
電「やっと来たのです。待ってたのです。」
響「やぁ」
雷「来た来た〜」
暁「来たのね。待ってたわ。」
それぞれが俺に軽く挨拶をして、食事を始めた。
流石は間宮さん、食事は相変わらず美味い。この人数の食事を短時間に数種類ずつ用意し、しかも味は完璧。今まで食べたどの食事よりも美味く感じた。
鳳「美味いな。」
響「それはそうだよ。なんたって間宮さんが作ってるんだもん。」
間宮さんのカレーに舌鼓を打ちながら、俺は明日の予定を頭の中で立てた。
明日はほぼ全員がオフの日。この食堂に掲示してるので、ほぼ全員の目に止まっていると見て間違いないだろう。丁度、ある程度の人数は揃っているから、再度告知するとしよう。
鳳「ちょっと席を離れるよ」
雷「わかったわ」
同席者にそう断りを入れると、鳳は食堂の一番前に向かい、こう話した。
鳳「皆、食事しながらでいいから聞いて欲しい。既にここの食事に掲示しているから理解しているかと思うが、明日、親睦を深める意味でレクリエーションをしようと思う。強制参加ではないが、予定のないものは明日の1800に鎮守府の正門に集まってほしい。予定としては、近くのカラオケに行こうと思っている。参加したい者は、10分前迄に集合して欲しい。もし聞いてない者の為に、今、この場にいない者にも伝えておいて欲しい。では、食事を続けてくれ。」
そう宣言して俺は席に戻った。
席に戻ると、ザワザワと話し声が聞こえてきた。恐らく、明日の件について話し合っているのだろう。仮に参加者が少なくても、それはそれでいい、と思っていた。
食事を終えると俺は司令室に戻り、ふぅ、とため息をついた。
長門「どうした。疲れたのか?」
鳳「いや、そうじゃないよ。何かこう、一息入れたくなったんだ。」
長門「それなら、今から飲みに行くか?丁度鳳翔の所に行こうかと思っていたんだ。かなりの呑んべぇがいるから、無理にとは言わないが…」
酒、か…。そういえば久しく飲んでいなかった。あまり強い方とは言えないが、偶には飲むのも悪くない。そう判断した俺は長門についていくことにした。
しばらく歩くと、とある居酒屋についた。
鳳「ここが鳳翔の居酒屋、か。なかなかこじんまりとした所なんだな。」
長門「確かに大きいとはいえないが、ここの料理は絶品だ。艦娘達の憩いの場として重宝しているよ。」
そう呟くと長門は店に入った。
後に続いて店に入ると、厨房で割烹着姿の艦娘が客の相手をしていたが、こちらに気づいたのか声を掛けた。
鳳翔「あら、長門さん。いらっしゃい。そちらは…鳳提督でした?」
鳳「鳳、と呼び捨てで構わないですよ。長門に付き添う形でお邪魔しました。」
確かに小さいなりに繁盛しているらしく、数人の艦娘が飲んでいた。どこに座ろうか考えていたが、長門が席についたので俺は隣に座った。
鳳「ここでは何を飲むんだ?」
長門「特に決まったものは無い。焼酎や日本酒、ビールや洋酒も嗜む。まぁ、いつも最初はビールを飲むんだ。」
鳳「なら、俺もビールにするよ。鳳翔さん、ビール2つお願いします。」
鳳翔「はーい。すぐにお持ちしますねー。」
間もなくビールが届き、俺はジョッキを手に取った。すると、誰かに声を掛けられた。
「あら、長門じゃない。提督さんを連れて飲みに来たの?」
長門「あぁ、ビスマルク。貴様も飲みに来ていたのか。」
ビスマルク「えぇ。あっちで皆と飲んでいるわ。良かったら相席しない?」
長門「そうさせてもらおう。鳳殿もいいか?」
鳳「構わない。他の艦娘との交流にもなるしな。」
こうして俺はビスマルク達のグループと合流した。
席に着くと俺は持ってきたビールを口にした。いつ以来の酒か、五臓六腑に染み渡る感じがした。
長門は既に飲んでいた千歳、隼鷹、那智、陸奥、プリンツ、アイオワ達と談笑していた。
日本勢は焼酎かビール、プリンツはワイン、アイオワはウイスキーを飲んでいた。既に何杯か空けているらしく、それなりに盛り上がっていた。
何度かビールに口を付けた俺はつまみを頼もうとメニューに目を通した。
那智「何か頼むのか?」
鳳「あぁ。流石に空きっ腹で飲むと悪酔いするしな。」
那智「確かにな。どんどん飲んでくれよ。」
こうして俺はポテト、唐揚げ、枝豆と皆とつまめそうな物と自分のビールを注文した。
注文した物が届くと皆でつまみながら雑談をした。
アイオワ「Hi!Admiral。貴方、なかなか飲むのね〜」
鳳「まだ2杯目なんだが…。」
那智「そうだぞアイオワ。私達の夜はこれからなんだ。」
隼鷹「提督〜、もっと飲んでよぉ〜。」
鳳「だから2杯目だと…」
千歳「ねぇ提督。提督って何歳なの?」
陸奥「あら、私も気になるわね」
プリンツ「そういえば提督の事ってあまり知らないからこの際だし色々聞いちゃお♪」
鳳(そういえば俺が記憶を失っているのは伝えてなかったな。名前だけは覚えていたが…。)
こうして返答に困りながらも俺は当たり障りのない返答をして、艦娘達との酒の席を楽しんだ。