相変わらず朝は辛い。長門に起こされなければ寝坊していただろう。
長門「鳳殿、朝だ。起きてくれ。」
鳳「…起きたくないんだが」
長門「駄々を捏ねないでくれ。今日は大本営に行かないといけないんだろ?」
鳳「…起きるよ。」
こうして目覚めた俺は部屋でシャワーを浴び、支給された司令服を着た。
鳳「やはりこの服を着ると緊張するな。いずれ慣れるとはいえ、暫くはぎこちなく感じるな。」
長門「そんなものだ。緊張する気持ちはわかる。」
そろそろ朝食の時間なので、長門と一緒に食堂へ向かった。
電「おはようございます。司令室、とても似合ってるのです。」
鳳「よしてくれ。照れるだろ。」
長門「鳳殿も照れるのだな。」
鳳「…前もこんな感じの会話をした気がするぞ。」
長門「気のせいだ。ところで今日は何を食べるんだ?」
鳳「和食でいいと思う。長門は?」
長門「奇遇だな。私も朝食の気分だったんだ。」
こうして俺と長門は和食を選び、適当に空いてる席に座った。
鳳「そういえば、何時に大本営に向かうんだ?」
長門「1300に大本営に到着する予定だ。ここからだと約2時間といったところか。」
鳳「なら、4時間後に出発だな。それまでにしておく事はあるのか?」
長門「特にないな。念のために鳳殿がこの鎮守府に来た時から今までの記録等は私が持っていくしな。」
鳳「なるほど。どうせ行くなら、何かしら手土産を買って帰るのも悪くないな。」
長門「賛成だ。甘い物とかどうだろうか?」
鳳「ありだな。まぁ、他の物を買って受け取られないよりはマシだからな。」
長門と今日の予定を確認し合い、朝食を食べ終えた俺は司令室に戻った。
鳳「ふぅ。時間まで何をしようか。仕事に関しては大淀がこなしてくれてるし、かといって何もしないのも悪いな。」
結局、特に決まらなかった俺は鎮守府を歩き回り、艦娘達と会話をしたり駆逐艦達の相手をした。
長門「鳳殿、そろそろ出発しよう。」
時間になったので長門が呼びに来た。特に準備をする必要のなかった俺は最低限の身だしなみを整えていた。
鳳「あぁ。そろそろだと思っていたよ。では行こうか。」
鎮守府を出る前に大淀に大本営に向かう旨を伝え、長門と一緒に鎮守府を出た。
列車を乗り継いだり歩いていると、遠くにかなり大規模な建物が見えた。
鳳「あれが大本営か。」
長門「そうだ。大元帥を筆頭に全司令部の総括等を行っている。」
鳳「なるほどなぁ。ところで、早速大元帥と会うのか?」
長門「そうだな。大元帥殿直々の呼び出しだからな。」
鳳「じゃ、中に入るか。」
こうして俺は大元帥と会う為に大本営の中に入っていった。
長門が担当者と話してるのを横で聞きながら、周りを見渡した。流石大本営といったところか。立派な装飾がされてあり、警備も万全に思えた。
長門「鳳殿。そろそろ時間だ。大元帥の待つ部屋に行こう。」
案内された部屋の前まで来ると、オーラの様なものを感じた。
鳳「なんか…凄いとしか言えないな。」
長門「それはそうだ。いきなり大元帥と会うなど、珍しい事だからな。」
鳳「まぁ文句を言っても仕方ないな。」
覚悟を決めた俺はドアをノックし、部屋に入った。
鳳「横須賀鎮守府の提督(仮)の鳳政宗と申します」
長門「同じく横須賀鎮守府に所属する鳳提督(仮)の秘書艦、長門です」
敬礼をしながら挨拶をすると、大元帥は返事をした。
清家「よく来てくれた。私が横須賀第壱鎮守府の提督兼大本営の大元帥である清家だ。よろしく頼むよ。」
鳳「いえ、こちらこそ、よろしくお願い致します。」
清家「まぁ固い挨拶はそこまでにして、座ってくれたまえ。」
鳳「はい。」
清家「ところで鳳君、君はどうしてあの鎮守府に辿り着いたのだね?報告書は見ているが、やはり本人の口から直接聞きたいのだよ。」
鳳「…元々自分はどこから来たのかわかりません。気がついたらあの街にいて、とある町人に拾われ、何気なしに街を歩いていたらあの鎮守府に辿り着きました。そこで妖精が見えたので後を追いかけると電と出会いました。そこからは報告書の通りかと。」
清家「なるほど。確かに報告書通りだな。しかし君はどこから来たのだろうか。記憶喪失、というやつかね?」
鳳「…失礼ながら、その通りです。名前だけは覚えていましたが、自分が過去に何をしていたのか、どうしてあの街に辿り着いたのかは不明です。」
清家「…。秘書艦である長門殿はどう思うのだ?」
長門「どう思うも何も、私は私の意思に従っただけです。鳳提督(仮)の過去については今初めて知りましたが、この数日の鳳提督(仮)を見て、この人になら私達の全てを預けてもいいも感じました。」
清家「そこまで信用しているのか。鳳君にはカリスマの様なものでもあるのかもしれないな。」
鳳「恐縮です。」
清家「君達の話を聞いて、私も鳳君にならあの鎮守府を任せてもいいと感じたよ。これからも、よろしく頼むよ。」
鳳「はい、了解致しました。この鳳政宗、この命に変えても横須賀鎮守府の艦娘を守ってみせます。」
清家「結構。それでこそ鳳君だ。では特例であるが、現時刻をもって鳳政宗君を横須賀第1鎮守府の提督に任命する。」
鳳「はっ!」
こうして俺は大元帥に提督に任命され、正式に提督となった。今までは仮であったが、長門や電と出会った時の約束を守る為にも、精一杯努力しよう、そう心に誓うのであった。