※この作品はR-18です。

うちはの火影   作:SHV(元MHV)

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これにて連続投稿終了。
そして原作本編開始前も終了。

活動報告にて、オビトと戦っていた自来也及びカエデの部分を公開しました。

挟む場所がなかったので削除しましたが、もったいないので一応。


うちはマダラ ③ ★

「おおぉぉぉらああぁぁぁっ!!」

 

サイゾウは《完成体須佐能乎》の顕現させた籠手《金剛鎚拳》を振るう。

 

マダラもまた、二刀のチャクラ刀を振るい、互いにぶつかり合った。

 

「…体術はまあまあだな。では忍術はさて、どれほどのものか。試させてもらうぞ!」

 

言うなり、マダラは距離を取って自身と須佐能乎合わせて四本の腕を使って印を組む。

 

「《天碍震星》!」

 

術が発動するなり、結界の上空に巨大な隕石が現れる。それは単純ながら圧倒的な質量による攻撃。

 

これだけの質量を持つ攻撃にはサイゾウの《闇満羽》でも意味がない。

 

「舐めるな!《火遁・豪火滅失》っ!」

 

サイゾウが印を組むと同時に黒い須佐能乎が胸の前で両手を拡げた構えを取る。

 

そして吐き出された豪炎はそのまま須佐能乎の両掌間に展開された仙術チャクラに受け止められ、圧力をかけるようにして凝縮されていく。

 

やがて黙々と落下を続ける《天碍震星》の隕石がサイゾウの頭上にまで迫ったとき、小型の太陽と化した炎が胸元から熱線砲となって放たれた。

 

「《仙法須佐能乎・豪火焔失》!」

 

マダラが用意していた“二つ”の隕石をまとめて消し飛ばしたサイゾウだったが、上空に意識を飛ばしたことで隙だらけとなってしまう。

 

「隙だらけだぞ!」

 

「こなくそぉ!」

 

マダラは次に《八坂ノ勾玉》を使用しサイゾウへ向かって投げつける。サイゾウはそれをどうにか《金剛鎚拳》で殴り落とすが、飛んでくる《八坂ノ勾玉》はひとつではない。

 

打ち落とせなかった《八坂ノ勾玉》が次々と黒い須佐能乎に着弾し、その全身がひびわれていく。

 

「マダラめ、随分とはしゃぎおるぞ!」

 

柱間は己の親友が自分以外ではじめて心底嬉しそうに戦う姿を見ていた。ちなみに結界維持に余裕があるのは柱間ぐらいで、穢土転生の扉間以外は必死にこらえている。

 

思えば自分以上にマダラは孤独だったと、柱間は生前を振り返った。

 

戦いに次ぐ戦いの人生。思えば自分もマダラも青春は戦場であった。

 

夢を見失い…弟を失い…マダラが必要以上に強さに拘るのも“強さ(それ)”しかすがるものがなかったからなのかもしれないと、柱間は思った。

 

「さすがに強いな…!」

 

「当たり前だろう、俺は強者(うちは)そのものだ…!」

 

サイゾウは仙術チャクラの量から考えて《完成体須佐能乎》を後どれだけ維持していられるか冷静に計算する。

 

(あと3分が限界ってところか…!だったら、残りのチャクラを全乗せして、30秒で全部出しきってやる…!)

 

「いくぞマダラァ!!これが俺の“全力”だ!!」

 

「来い!お前の強さを俺に見せつけてみろ!」

 

サイゾウは自身の内側にあるチャクラの源…精神エネルギーと身体エネルギーを意識する。

 

「調息…調心…」

 

呟きながら、サイゾウは須佐能乎を維持したまま自らの身を外に投げ出す。

 

「ほう、なにをするつもりだ」

 

サイゾウを見てマダラはいぶかしむが、その顔はまるで童子のように笑んでいる。

 

「八門遁甲…第七・驚門……開!」

 

「来ないのならば、こちらから行くぞ…!」

 

サイゾウが小さく呟くのと、焦れたマダラが須佐能乎を突っ込ませたのは同時だった。

 

「なに…!?」

 

自身の須佐能乎にその体を蹴りあげさせ、サイゾウは舞い上がった。鬼の体のサイゾウは、全身から吹き出す“青い”チャクラに包まれている。

 

そして予想外の速度に対応を遅らせたマダラの隙を逃すことなく、懐に入り込んだサイゾウは“左拳”を構える。

 

「《衝撃の犀獣》!」

 

まるで太い一本の角が超重量と共に衝突したがごとく、咄嗟に構えただけのマダラの須佐能乎の右腕を跳ね上げ、ばらばらに破壊していく。

 

「俺の《完成体須佐能乎》を壊した上に、ここまで衝撃が届くだと…!?」

 

《完成体須佐能乎》の右腕を貫いた衝撃はマダラをしても即座に回復できるものではなく、チャクラ体の腕を失ったことで大きくたたらを踏んで隙ができる。

 

「ではこれならどうする…!《神羅天征》!!」

 

だがその状態でもマダラは即座に印を組み、須佐能乎を通して正面に威力を集中して斥力波を放つ。

 

地面を抉りながら不可視の衝撃波が迫るなか、サイゾウは空中で“右拳”を構える。

 

「《撃滅の豹獣》!!」

 

6発分の威力が込められたサイゾウの拳は連続して爆発音を響かせながらマダラの放った《神羅天征》を打ち破っていく。

 

「斥力波を素手で打ちのめすか!はっはっは、そうだサイゾウ…!俺を越えてみろ!俺の“夢”を否定するならば…!“生き”損ないの俺程度、わけもなく越えてみせろ…!!」

 

マダラは須佐能乎の片腕に残った剣を構え、迫るサイゾウを待ち構える。

 

自身の仙術チャクラをこめた青い須佐能乎のチャクラ刀は、激しい輝きと共にその大きさを増していく。

 

「大地ごと真っ二つにしてくれる!」

 

「今だ!須佐能乎ぉぉぉ!」

 

サイゾウの叫びと共に、それまで待機していた黒い須佐能乎が両の拳を前面に突き出すと、なんと黒い須佐能乎は籠手ごと両腕を発射してきた。

 

「なんとぉおぉ!」

 

マダラはサイゾウに向けるはずだったチャクラ刀で飛来した巨腕を迎え撃つが、その間にサイゾウは青い須佐能乎を駆け登り、マダラの目の前までやってくる。

 

「《抹殺の獅子獣》!!」

 

満を持して放たれた両の拳の一撃は、巨大な衝突音と爆発光によって視認することができなくなる。

 

四赤陽陣のなかで無ければ国がひとつ滅んでしまうのではないかというほどの大爆発。

 

やがて舞い上がった土ぼこりが晴れ、そこには勝者が鎮座していた。

 

うちはマダラの、青い《完成体須佐能乎》が。

 

「サイゾウっっ!?」

 

綱手は心にふりかかる絶望に追い付かれぬよう、消滅しかかっていた四赤陽陣の一部を素手で砕いて走り出す。

 

しかし綱手が爆発跡のクレーターに近づくより前に、マダラが須佐能乎を解きその姿を現した。その腕には、両腕を原型が無くすほどにぐしゃぐしゃにしたサイゾウが抱えられている。

 

「サイゾウを離せっ…!!!!」

 

怒りによって《白豪の印》を解放した綱手から吹き上がるチャクラが、大地を砕き風を起こして荒れ狂う。

 

しかし、サイゾウを見るマダラはおだやかに微笑んでいた。

 

「…ぎりぎり及第点といったところだな。要修行だ」

 

素直にその場にサイゾウを下ろしたマダラは、なにを思ったか己の練った仙術チャクラをサイゾウへ分け与えはじめる。

 

「…楽しませてもらった礼だ。目を覚ましたらサイゾウに伝えておけ。俺もオビトも、まだ諦めんとな…」

 

「マダラ!」

 

するとその場に柱間が到着する。しかしその様子が戦うときのものではないと気づいた柱間は、倒れるサイゾウを見て不思議そうな顔をする。

 

「…お前が戦った相手を殺さないとは、珍しいこともあるものぞ」

 

「…ジャリを相手に殺し合いなどせん。やはり俺の相手は、お前でなくてはな柱間。…だが、此度は存外に思うこともあった。…そうさな、10年やろう。その間に精々、この世の“なにもかも”を凌駕する力をつけるといい。俺はそれまで、浄土と穢土の狭間で待つとするさ」

 

言うなり、マダラは逆口寄せを発動されたのか忽然と何処かへ消え去る。

 

「待てマダラ!綱よ、サイゾウとやらは無事ぞ!?」

 

逃げたマダラへ声をかける柱間だったが、そのマダラと五分の戦いを見せたサイゾウを心配し綱手へと声をかける。

 

「…ふう、ひとまずは大丈夫です。どうやら枯渇した仙術チャクラをマダラが回復してくれたようで、ゆっくりとではありますが回復しています」

 

「…そうか、では念の為、オレの仙術チャクラも与えておこう」

 

柱間は非常に困難なはずの仙術チャクラをあっさり練ると、手をかざしてサイゾウへと流し込んでいく。

 

「兄者、どうやらひとまず分身らはこやつの弟、シスイとかいったか。取り戻すことに成功したようだ。…ただし、片目を奪われておる」

 

「最強幻術をひとつ奪われたか…これより二人の兄弟が歩む道は、過酷ぞ…」

 

柱間はマダラの言葉を思い起こし、彼の目的である《無限月読》について考える。

 

だがすぐに自分が考えてもしょうがないことに気づいた。こういったややこしい考えは扉間に投げるに限るからだ。

 

「…兄者、今なにかまた面倒ごとをワシに投げようと考えなかったか」

 

「き、気のせいぞ扉間…!」

 

勘のニブらぬ弟に柱間が冷や汗を垂らしながら、体に満ちた仙術チャクラによってみるみる傷を癒していくサイゾウを見る。

 

「初代様!サイゾウは無事ですか!」

 

「ヒルゼン、無理をするな!」

 

遅れてやってきたヒルゼンとダンゾウだったが、やはり相当な負担となったのかヒルゼンはダンゾウに肩を貸されている。

 

「ヒルゼン、ダンゾウ、ようやった!里を守れたのはお主らの功績ぞ!」

 

柱間は到着した二人の肩を叩きねぎらう。ヒルゼンとダンゾウの二人はそれを受けて少し苦しそうにするも、喜ぶ気配が漂っている。

 

「ありがとうございます。ですが、やはりよる年波には勝てませぬ。…それにわたしはここで死ぬつもりでしたが、生き残ってしまいました…」

 

「ならば残る余生を静かに過ごすがよい。なあに、お前が守り育んだ青い芽は、この俺に勝る大樹の器ぞ!はっはっは!」

 

柱間は笑うが、問題は山積みであった。

 

巨大なチャクラのぶつかり合いによって滅茶苦茶に破壊された大地。

 

さらには木の葉を監視する者ならば気づいたであろう禍々しいうちはマダラのチャクラ。

 

その上、当のマダラはすでに逃走している。

 

きっかけは意図的なものだったとはいえ、下手を打てば戦争になりかねないだけの事件が起きているのだ。

 

実は割りと事態は逼迫していたりする。

 

「逃げたマダラの対処はどうなさいますか」

 

ひとまずダンゾウは問題をひとつずつ対処しようとする。

 

「それもそうよな。扉間、たしか穢土転生で蘇っていられるのは…」

 

「ぴったり四十九日だ。それを過ぎればどれだけチャクラを消耗しても魂を口寄せすることは叶わなくなる。ヤツがなにか企むとしても期間が短すぎるが、あらかじめ仕込んであるのならば別だ。…兄者はどう思う?」

 

「ふむ…俺の考えでは、マダラはさきほど言った通り本当に10年待つだろう。ヤツはそういう男ぞ」

 

「…馬鹿な兄者の考えではあるし、いささか情に寄りすぎているとも思うが、まあワシも同じ考えだ。ではひとまず皆で里へ戻るとするぞ」

 

扉間は一同に声をかけるが、弟に馬鹿と言われた柱間はへこんでうつむいていた。

 

「ええい、いちいち落ち込むな兄者!面倒だわ!」

 

まるで子供のように騒がしい歴代火影一向はわいわいがやがやとさせながら、扉間の飛雷身で里へと移動するのであった。

 

__________________________________

 

「久…な…よ、まさかお前…な形で再…とはな…」

 

誰かが話す声がサイゾウの耳に届く。

 

聞いたことのない声であるはずなのに、サイゾウはその声にひどく懐かしさを覚えた。

 

(これは俺の“心”じゃない…誰かの気持ちが…チャクラを通して伝わってくる…)

 

目を開けてその姿を収めたかったが、まるで溶けた鉛が全身にへばりついているかのように体が重く動けそうにない。

 

「…んこそ、い…守ってい…だね」

 

もうひとつの声はすぐ近くから聞こえてきていた。

 

二人の会話は弾むが、何を話しているのか聞こえない。

 

サイゾウはどうにかチャクラを練ろうと試みるが、まるでなにかに邪魔されているようにうまくいかない。

 

「…そろそろ目覚めるか。ではまたな、…よ」

 

「ええ、いずれまた…」

 

ふたりの気配が淡く溶けるようにして消えていく。

 

サイゾウは気合いで無理矢理チャクラを回しはじめ、その体を起き上がらせようとする。

 

__________________________________

 

「待てっ!…ぐあっ!?」

 

「ぬおっ!」

 

勢いよく起き上がったサイゾウは自分を見ていた誰かとぶつかり、目の前に火花が散るような錯覚を覚える。

 

「わ、わしの鼻が…!サイゾウ!起きたなら先に言わぬかのう!」

 

鼻血を出しながら涙目でサイゾウに抗議するのは自来也である。

 

マダラとの一件が解決した後、意識不明となっていたサイゾウを診るために里でもっとも仙術チャクラに詳しい人物として大蛇丸に呼び出されていた。

 

鼻にティッシュを詰める姿からはそんな威厳をまるで感じないが。

 

「まったく、世話のかかるエロ弟子だのう。それにしてもお主の言うとおり、ナルトを狙って仮面の男が現れたぞ。わしとカエデ姫で撃退してやったがのう」

 

「なんだと!?カエデとナルトは無事なのか!」

 

「無事に決まっとるからわしがここにおるんだろうがのう。というか、ほれ。お前の足元で二人とも寝ておるだろうに」

 

「カエデ…ナルト…」

 

木の葉病院のベッドで寝ていたサイゾウは、ベッドの下に布団を敷き眠っているカエデとナルトを見下ろす。ちなみに部屋全体が畳敷きになっており、カエデの扱いがかなり丁重なこともうかがえた。

 

「また心配をかけたみたいだな…」

 

「そう思うんだったらさっさと本調子に戻ってみせい。それとのう、お前の仙術チャクラ妙な具合に変化しておったぞ」

 

「妙な具合?」

 

鼻血が止まったのか、鼻からティッシュをすぽん、と抜いて屑入れに投げる自来也。

 

「うむ、柱間様にも見てもらったが、どうにもお主に分け与えられたマダラと柱間様の仙術チャクラが融合し、お主に定着しておる。今までのように大蛇丸の仙術チャクラを呪印経由で受けることはできないだろうが、恐らく自前で仙術チャクラを練れるようになっておるはずだのう」

 

サイゾウは言われてさっそく胸に二つ刻んであった呪印を確認するが、たしかに消えてなくなっていた。

 

そして少し集中すれば、これまでまるで感知できなかった自然エネルギーをすぐに感知することができ、あまつさえ呪印がないにも関わらず鬼の姿へ即座に変身することまでできた。

 

「…恐ろしい早さだのう。にしても呪印がなくともその姿に変わることができるのか、ちと大蛇丸の改造受けすぎではないか…っ!?サイゾウ、その眼は!」

 

サイゾウをしげしげと眺めながらナルトの上掛けの位置を直していた自来也だったが、サイゾウの顔を見て余裕を無くした。

 

「もしや、輪廻眼に開眼しましたか…」

 

「その通りだ…サイゾウ、いったいどういうことか教えてくれるかのう。わしだけ話についていけなくて寂しいぞ」

 

自来也は己がかつて弟子とした長門を思い出していた。友のために人を殺したことを悔やんだ優しい少年を。

 

彼が死んだことは自来也にとって痛恨事だった。その後弟子にとった四代目火影波風ミナトも死んだことからもはや弟子はとるまいとまで考えていたが、目の前の男はスケベ専門とはいえ己の弟子である。

 

(まさかエロ弟子が“予言の子”だとでもいうのかのう。それはなんかイヤだのう)

 

少々げんなりとしていた自来也だったが、その思考は新たに病室に入ってきた大蛇丸によって止められる。

 

「あたしが説明してあげるわよ、自来也」

 

「げ、大蛇丸。お主の説明はくどくてわし苦手なんだがのう…」

 

「あら、だったら今度アカデミーの教室を借りて人体解剖学を半日講義してあげようかしら?」

 

「むうう、微妙に役立ちそうな知識を持ち出すのがムカつくのう…!」

 

蛙と蛇という、本来なら互いを嫌いあうような性質を持つ二人だったが、これでいて悪友じみた親友として意外と仲がよく、綱手を入れた彼らが『伝説の三忍』として里の内外で知られている証左でもあった。

 

__________________________________

 

カエデとナルトの護衛をやってきたヒアシとヒザシに任せ、サイゾウは木の葉の上層部を含めた者らが集まるアカデミーの一室にやってきていた。

 

「おお!目を覚ましたかサイゾウ!」

 

真っ先に声をかけてきたのは千手柱間であった。席から立ち上がり、両腕を広げるようにしてサイゾウを歓迎する。

 

「…よかった」

 

ひとり静かに安堵するのは綱手である。彼女は穢土転生とはいえ初代火影と二代目火影が現れたことと、現状で数少ない生き残りの千手一族の代表として間に入る役割を担わされていた。

 

「ではこれより報告会を開始する。まずはワシから先に報告しておこう。里の結界だが、時空間忍術にも対応できるようにワシの手で改造を加えた。少々維持するのにチャクラを消耗するが、里全体から分割して集めたチャクラを保管しておく要石の結界にも手を加えておいた。自来也とやらの報告にもあった“物質をすり抜ける能力”を持った『マダラもどき』も、これで手順を踏まえねば里へ入ることは叶わん」

 

さらっととんでもないことを口にした扉間であったが、これはミナトが途中まで進めていたことでもあり、彼の準備があったからこそ、これだけの早さで改造が済んだとも言える。

 

「オレからは特にないぞ。あまり口出しするつもりはないが、サルが引退した次の火影にはそこのサイゾウを推薦しておこうぞ」

 

特にないと言っておきながら、この場でもっとも発言力のある人間からの発言にダンゾウは頬をひきつらせる。

 

「たった今初代様からあったように、わしは今日をもって火影を引退する。後任には、わしもサイゾウを推薦しよう」

 

「ヒルゼン、お前の意思はよくわかった。だがサイゾウは“うちは一族”だ。九尾事件の犯人を誘き出すためとはいえ、一度他里にまで九尾事件の犯人であると通達までしている。果たして大名が納得するかどうか…」

 

扉間の視線に恐縮しながらも、至極真っ当な反論を述べたのは水戸門ホムラであった。しかしサイゾウはその言葉を受け、どこかイヤそうな顔つきで頬杖をついている。

 

「それに関しては問題あるまい。なにせ、火の国の現大名こそ、サイゾウの父親じゃからな」

 

「なに?」

 

ヒルゼンの言葉に驚いたのは扉間だった。火の国とはいわば出資者の立場に近い。

 

それゆえに縁故を結ぶことはこれまで憚られ、政治的に介入されるリスクを抑える為にもある一定の距離を置かれていた。

 

「そのことは初耳だね、ヒルゼン」

 

ヒルゼンの発した言葉の真偽を確かめるため、小春がホムラの後につづくように問いただした。

 

「当たり前じゃろう。このことを知っておるのは、独力で真相にたどり着いたミナトと大蛇丸のみよ。わしとてサイゾウの母親である『うちはコオネ』より聞き及んでいなければ知らんかったわ。ちなみに表向きの父親だった『うちはダイテツ』はシスイの父親じゃ」

 

「…俺の個人資産、異様に多いでしょう。あれ、半分は博打で稼いだ金ですけど、もう半分は名義を隠して振り込んでくる俺の父親からのものですよ」

 

サイゾウはヒルゼンの言葉を補足するように自身の資産状況を伝える。

 

サイゾウは父親の顔と声程度しか知らないし、それでいいと考えている。

 

ただひとつ、母の墓前に現れた彼から伝えられた

 

「…まろはコオネを愛していた。そのことだけは信じてほしいでおじゃる」

 

という言葉だけは一応信頼することにしていた。

 

「であれば、あとはサイゾウが火影になるのに必要なのは信任投票だけね」

 

なぜかもっとも得意気に胸を張っている大蛇丸は、残る最後の条件を口にして一同の顔をうかがう。

 

「…ワシからも一応推薦しておこう。歴代三人の火影より推薦を貰うなぞ前代未聞だがな」

 

「はっはっは!よいではないか扉間!次代を継ぐ者が“うちは”であるのもまた一興よ!なにより、里でマダラとまともにやりあえそうなのはサイゾウぐらいぞ!」

 

かんらかんらと大笑する柱間と、対照的に諸外国への影響を考える扉間。

 

このまま彼らふたりが共に木の葉の里を支えてくれたならば、どれだけよいことだろう。それがヒルゼンのみならず、この場に集まった木の葉上層部の面々が考えていることでもあった。

 

「ヒルゼン、ダンゾウ、ホムラ、小春。お前たちには重ね重ね苦労をかけるが、どうかそこの若造を導いてやってくれ。ワシからの最後の頼みだ」

 

これまで常に渋面を作っていた扉間が、笑顔を浮かべてかつての弟子たちに告げる。すでに老人となった一同だったが、その目には涙を浮かべていた。

 

「オレからも頼むぞ。戦乱に明け暮れた我らが見た理想、それが叶う日を信じて繋げた“火の意思”が、お主らにも宿っていることをオレは知っているでな」

 

笑顔を向けられたサイゾウはどこか恥ずかしそうにしながら、背筋を伸ばして柱間を見据える。

 

「あなたとマダラが紡いだ“夢”、決してないがしろにはしません。…叶えて見せますよ、そして、次の世代にも必ず繋げてみせます」

 

強い意思をこめた拳を、サイゾウと柱間はぶつけ合わせる。

 

その場に集まった者たちで、もはやサイゾウを火影として認めない者はいなかった。

 

「10年という期限を設けたマダラだが、もしヤツが現れたなら今一度ワシらを呼ぶといい。露払いを手伝ってやろう。ではな、サイゾウ」

 

“とやら”ではなく、はじめてただサイゾウと言われたことを、サイゾウは単純に嬉しく思った。

 

「そのときが来ないことを祈っています。ですが、頼るときは遠慮しませんので覚悟しておいてください」

 

「ぬけぬけと…」

 

「はっはっは!そのときは任せるぞ、サイゾウ!」

 

最後までマイペースに過ごした初代火影と二代目火影は、穢土転生を解印した大蛇丸によって穢土と浄土の狭間へと戻っていった。

 

__________________________________

 

それより一ヶ月後。

 

信任投票を終えたサイゾウは『うちはの火影』として五代目火影に就任した。

 

新たなる火の意思。そして10年という期限を設けられたマダラとの決着。

 

物語は、繋がっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




補足★説明

・《仙法須佐能乎・豪火焔失》
須佐能乎の掌で螺旋丸のように圧縮した炎を熱線砲として発射するサイゾウの切り札。
尾獣玉を飲み込んで吐き出す虚狗砲を参考に開発した。
元ネタはマジンカイザーのファイヤーブラスター。

・《金剛鎚拳》
マダラの完成体須佐能乎とも打ち合える籠手。遠隔発射可能だが、腕ごと発射するためタイミングを選ぶ。
まんまロケットパンチ。

・衝撃の犀獣、撃滅の豹獣、抹殺の獅子獣
名前の元ネタはまんまスクライド。技の作用もそれぞれ元ネタがあったりします。
衝撃は『こわしや我門』、撃滅は『トリコ』、抹殺は『BLEACH』。それぞれ何が元ネタかは考えてみてください(´・ω・`)
…こわしや我門とかわかるひといるんだろうか。

・サイゾウの夢の中のふたり
いったいダレ筒木なんだ(´・ω・`)

・オビトさくっと撃退
チャンスとばかりに襲撃しましたが、自来也に牽制されたところをカエデにチャクラのみで八卦六四掌くらって逃げました。以前紹介のオリ技『柔歩纏獅勁』本来の使い方です。
活動報告にて削除したこちらのシーンを公開しました。

・マダラを口寄せした人物
オビトです。チャクラをうまく練れないので、こういった形での援護になりました。

・サイゾウの父親
おじゃるさんです。原作よりも少しまとも。

・うちはコオネ
見た目に関しては原作で姿のみ出たうちはヒカクをイメージ。ポニーテールの美人さん。父に命を救われてからは、ダンゾウから冷遇を受けたこともあり、次第に飲んだくれになるように。ある日お忍びで飲み屋に来ていた“情けない顔”をした男と酒のことで意気投合し、気づいたら朝チュンしてサイゾウを孕んでいた。当人いわく「顔に似合わずスゴかった」とのこと。本編ではすでに死亡。奇しくも父親のカガミと同じく写輪眼を守るために自爆して死んだ。

・うちはダイテツ
シスイの父親。なのでサイゾウはシスイとは種違いの兄弟となる。
謹厳実直を絵に描いたような男で、無口。
巨根。
コオネに心底惚れ込んでおり、彼女が死んだ際には断食して死にかけた。
万華鏡写輪眼に開眼するも、大戦末期に戦死している。

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