※この作品はR-18です。

うちはの火影   作:SHV(元MHV)

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活動報告で気ままに色々書いてます。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=150810&uid=35351
ナルスト的合体奥義集です。サイゾウと組み合わせてほしいキャラクターがあれば、上記までください。いい刺激になりますので。
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さて、意外とみなさんから予想のなかった今回の話。

原作突入を前にして、次辺りが最後の前日譚になりそうです。言うなれば一部終了でしょうか。

さて、すでに輪廻眼に開眼しているサイゾウですが、ここで一度その能力をおさらいしてみましょう。
【地獄道】
嘘をついた相手の魂を抜き取り、ペイン六道の蘇生・回復を行う。
【畜生道】
別名を口寄せ輪廻眼。契約を無視して口寄せを行える。
【餓鬼道】
チャクラの回路を逆回転させ、相手のチャクラを吸収するだけでなく忍術の無効化が可能。
【修羅道】
一番反則の輪廻眼。どこからともなくSFのごとき武器やカラクリを口寄せできる。
恐らく弥彦の肉体を異常な頑強さに改造したのもこの能力。
【人間道】
相手の魂を引きずり出し、記憶から何から欲しい情報を思うがままに知ることができる、拷問いらずの凄い能力。でもちょっと地獄道と被る。
【天道】
輪廻眼の能力のメインにして、作中でもかなり厄介な技として扱われた引力・斥力を操る能力。恐らく長門が外道魔像を口寄せせず、万全な状態でこの能力を扱われていたら木の葉は壊滅していた。それくらいヤバイ。

そして最後に、生命を操る能力
【外道】
輪廻眼においても禁忌とされる生命の操作を司り、その能力の真価は死者を蘇生することができる能力《外道・輪廻天生》にある。


…それではお楽しみください。


闇を照らす者~汝の名は炎なり~ ★

激動の一夜が明けて、時刻は昼過ぎ。

 

冷暗所に並べられた複数の棺を前に、サイゾウは立っていた。

 

「死者はこれで全部だな」

 

「間違いないよ兄さん。でも本気なのかい?万が一があったら…」

 

目の前に並ぶ都合四人の死者。それらを前にして、サイゾウは驚くほど冷静に自らの弟にして暗部の隊長である『うちはシスイ』に問いかけた。

 

片方の眼に眼帯をつけた痛々しい姿のシスイではあったが、残った方の目は兄のものであり永遠の万華鏡写輪眼である。

 

兄もまた、弟の眼と父の眼を移植して永遠の万華鏡写輪眼へと至っている。

 

そして眼帯に隠された眼は、兄と大蛇丸が産み出した切り札。輪廻眼の力こそ満足に扱えないものの、条件付きなら切り札を使うことでシスイは木の葉でも指折りの強者になりえる。

 

…しかしその彼をしても、昨晩の変事は目の前の四人以外に犠牲者を出させないのが精一杯だった。

 

その死者こそサスケの両親であり、イタチの恋人であり…犯人であるうちはオビトの親友『はたけカカシ』だった。

 

彼が殺され、眼を奪われたことが今回兄に覚悟を決めさせた一因と言ってもいい。

 

「ああ、俺は今でも“あの時”この眼があれば…そう思っている。ならばこそ、ここでこの力を使うことになんの躊躇いもないさ。保険は打たせてもらうけどな?」

 

真剣に答えながらも、どこか茶目っ気を見せる兄にシスイは苦笑する。

 

こうして笑ってはいるが、きっと兄の決意は変わらない。

 

であるならば、シスイはそれをサポートするだけであった。

 

「サイゾウ様」

 

冷暗所の扉を開けて入ってきたのはカエデ。その腕にはサイゾウとカエデの娘である『日向タカノ』が抱えられている。

 

「おとうしゃま~!」

 

父の姿を認めると、タカノは嬉しそうに抱きついた。

 

サイゾウは愛おしげに娘を撫で、頬にキスすると、再びタカノをカエデに預ける。

 

「父さん!」

 

それに遅れる形で、息急ききって現れたのはナルトだった。彼の背後には、無理矢理連れてこられたのだろう。事態を理解していないサスケもいた。

 

猫を思わせるようなひげ模様の入った顔に焦りを浮かべて、ナルトは父を真っ直ぐ見つめていた。

 

「えっと…おれ、なんて言えばいいかわかんないけど、父さんに死んでほしくないってばよ!けど、サスケの父ちゃんと母ちゃんは絶対生き返らせてほしいってばよ!!」

 

ナルトの言葉にカエデは悲しげに顔を伏せ、シスイは顔を歪める。タカノは意味がわかっていない様子だ。

 

サスケはナルトの言葉に困惑し、戸惑った表情でサイゾウを見上げる。

 

「ナルト、勘違いするな。たしかに、今回俺がやろうとしていることは“俺が死ぬかもしれない”ことだ。だがな、俺は出来ることがあるなら後悔したくない。…それと、今回頑張るのは俺だけじゃない。今動ける“木の葉の者”すべてだ」

 

サイゾウの言葉にナルトが振り向くと、そこにはゾロゾロと無数の人が集まり始めていた。

 

その数は優に千を越え、二千にも届きそうな数である。

 

───今回、サイゾウが命を賭して為そうとしていること。

 

それは神話に語られた伝説の再現。輪廻眼の持つ瞳力のなかでも禁忌の技。

 

《外道・輪廻天生の術》である。

 

確かにこの術は死者を生き返らせることができる。しかしそれには莫大なチャクラを必要とし、また死後あまりにも時間が経ってしまえばチャクラで補える限界を越え、発動した術者は必ず死ぬ。

 

それを知っていて尚、サイゾウは今回の事件で犠牲となった者達を蘇生させることを決定した。

 

「サイゾウ、主だった者はほとんど集めたぞ。場所はここでいいのか」

 

「ああ、移動する時間が勿体ない」

 

サイゾウに声を掛けたのは綱手。彼女はサイゾウの決意が揺るがないことを悟ると、即座に木の葉全体へと声をかけに走った。

 

ひとりのチャクラで足りないならば、足りるだけのチャクラを持ってくればいい。

 

そう考えた彼女は、里のなかにいるチャクラをコントロールできる者をなりふり構わず集めてきたのだ。

 

「上忍の皆さんはチャクラを橋渡しする際の変圧器となっていただきます!無理に質を調整する必要はありません!ありったけのチャクラを流してください!」

 

ずらりと並んだ人々に向かって、シズネが声をかけている。

 

今回の転生忍術にあたって、集められたのは1897人。これは今現在忍を退いた者も含めた人数であり、この中に入れなかったものは暗部やチャクラ量の少ない老人や子供であった。それでも、サイゾウの提案に誰もが乗った。

 

かつて誰もが諦めてきた奇跡を、ひとりの男が為そうとしている。

 

もしもそれが自分達の協力で叶うなら。

 

ひとつの願いに引き寄せられて無数の者が集まっていく。

 

それは正しく“火の意思”そのものでもあった。

 

「サイゾウくん…正直あたしはまだ反対です。わずかにでも貴方が死ぬ可能性があるなら、こんなこと止めるべきです」

 

悲痛な表情で、泣き腫らした目を隠そうともしないのはノノウだった。彼女の手には、一粒の丸薬が乗っている。

 

「…秋道一族の丸薬を参考に作った養命薬です。飲めば一時的にチャクラ量を補ってくれます。副作用ですごく太っちゃいますから、ダイエットしましょうね」

 

冗談で気を紛らわせようとするノノウは、腰に下げた水筒から水を含むと、丸薬を口に含んでサイゾウに口移しで流し込む。

 

「…ダメですからね。絶対に、帰ってきてくださいよ」

 

感情を留めることが難しくなったノノウがゆっくりと離れていく。サイゾウは無言で笑顔を浮かべてその姿を見送る。

 

「サイゾウ、準備はよいか」

 

一族を率いて現れたのは、三代目火影猿飛ヒルゼン。しかし、かつての彼を知る者が見ればその姿に驚くだろう。

 

なぜならば、その姿はかつて伝説の三忍を弟子とした頃を思わせるほどに若返っていたのだから。

 

数年前。ヒルゼンは病で死の淵にあった。

 

サイゾウはもはや尋常な手段で治療が間に合わないことを察すると、ヒルゼンにある提案をした。

 

『その体をそっくり諦めるつもりはないか』と。

 

最初、サイゾウは治活再生を応用してヒルゼンを健康体へと導くつもりだった。

 

しかし血液検査で投薬のひとつにヒルゼンが耐えられないことが判明すると、急遽別の手段が必要になった。

 

そこで考え付いたのが、大蛇丸の《不屍転生》である。

 

あの術は仙術チャクラを基点に自分の存在を固定し、実体を失うことと引き換えに半不死の肉体を手にいれることができるものである。

 

サイゾウはこれを応用し、捕らえた白ゼツの体を改造。

 

培養したヒルゼンの細胞を彼の仙術チャクラごと移植し、真新しいヒルゼンの肉体そのものを造り出したのである。

 

結果として移植術は上手くいった。仮死状態にしたヒルゼンを外道の棒でコントロールし、一時的な不屍転生状態に移行。そのまま中身を新しい肉体へと移し、同化させたのだ。

 

拒絶反応が心配されたが、肉体を造る段階でテンゾウに協力してもらったこともあり、柱間細胞への適合は上手くいった。

 

完全に動けるようになるまでには一ヶ月の時間を要したが、無事ヒルゼンは若返るという思わぬ特典まで手にいれて現役復帰を果たしたのである。

 

ちなみにガン細胞は新しい肉体と同化した時点で消滅した。口から次々とヒルゼンが生えてくるようなことはできないが、完全に適合した柱間細胞がガン細胞を駆逐してしまったのだ。

 

とはいえ、副作用がなかったわけではない。忍としての性質変化や形態変化。さらに言うのであればチャクラコントロールすら新しい体になったことで難しくなったヒルゼンは、つい最近まで自分を鍛え直すために“水簾洞”で修行していた。

 

ダンゾウは親友が無事生還したことに喜び、修行の際は率先して付き添ったほどであった。…また余談ではあるが、近々大蛇丸と相談して自らも若返りを試みようとしている。

 

「わしが連れてきた猿飛一族をはじめ、うちは一族、日向一族、秋道一族、奈良一族、山中一族、油女一族、犬塚一族、志村一族、さらには残り少ない千手一族までもが此度の“奇跡”に名を上げてくれたぞ」

 

かつては己も火の意思を背負って立ったヒルゼンは、サイゾウが死ぬかもしれない今回の試みに最初反対していた。それはひとえにサイゾウを心配してのことであったが、それでも今回これだけの人間が集まってくれたことこそサイゾウへの信頼の証だと感じ、今では全力でサイゾウをサポートするつもりであった。

 

また、協力を申し出たのは木の葉のみではない。

 

音隠れの里。大蛇丸が非公式に里長を勤めるここからも、時間の関係で間に合うことができた数人が参加していた。

 

「サイゾウ!死んだら承知しないんだからね!」

 

威勢よく気炎をあげるのは林檎雨由利。彼女は事態を知るなり、雷遁チャクラによる肉体活性で木の葉まで走って駆けつけた。

 

「仮にも私の旦那なのだ。不甲斐なく死ぬようなことがあれば殺してやる」

 

言っていることが滅茶苦茶なのはパクラだ。見ればノノウに負けず劣らず目の周りが赤い。彼女もまた、サイゾウが死ぬかもしれないことに心の整理が追い付いていないからだろう。

 

ちなみに彼女は大蛇丸が“こんなこともあろうかと”用意しておいた飛雷神の陣で木の葉へやってきていた。

 

この《飛雷神の陣》。造るのに一千両かかる上に使い捨てである。また一人しか飛ばすことができず、場所も木の葉に固定であった。

 

本来であれば大蛇丸が来るはずだったのだが、日々の激務で消耗した状態では役に立てまいと、里内でテンゾウに続いて図抜けたチャクラの持ち主であるパクラを送ることにしたのだ。

 

彼は今、弟子の無事を祈って静かに窓の外を眺めている。

 

「………よし!みんな聞いてくれ!」

 

サイゾウのよく通る声は隅々まで響き渡り、各々が話し合っていた忍や元忍らが一斉に彼を見る。

 

「今回の転生忍術を行うに当たって、これだけの人間が集まってくれたことにまずは礼を言わせてくれ。ありがとう!…かつてミナトが死んだときにこの力があれば、そう思ったことは何度もある。…それだけじゃない。死ぬべきではなかった人間。終わるはずじゃなかった忍の命が消えていくのを見るたびに俺は思った。“俺に死んだ人間を生き返らせる”力があればと。そして、今の俺にはその力がある!だが俺だけではダメなんだ…!どうかみんな!俺に力を貸してほしい!」

 

懇願するように、すがるように願うサイゾウ。

 

そのサイゾウの願いに応えたのは、万雷の歓声だった。

 

サイゾウは自身を叩く大音量そのものに力を貰い、決意も新たに振り返る。

 

そんなサイゾウに合わせるようにして、無数の上忍が動いた。

 

「猿飛一族は俺を基点にしろ!チャクラの流れはできるだけ均一にするんだ!」

 

猿飛一族に指示を出すのは三代目火影猿飛ヒルゼンの息子『猿飛アスマ』。

 

サイゾウから『ムッツリのアスマ』という不名誉なあだ名をつけられ、今では公認となった恋人の紅にベタ惚れの彼は元サイゾウの部下であり、かつての上司が抱いた覚悟をよく理解していた。

 

「八門遁甲第七“驚門”…開!」

 

渡すチャクラを少しでも多く。そう考える者は多かったが、なかでも一番無茶をしてのけたのはガイだった。

 

最近になってようやく開くことができた第七驚門。それに伴う身体エネルギーの増幅と、半ば視界化されるほどに濃密なチャクラは上忍十数人分と言っていいほどの量を誇る。

 

上司であり、師匠でもあるサイゾウ。そんな彼の必死の願いに応えるためならば、八門遁甲の激痛などガイにとってなんということはなかった。

 

「ヒルゼンさん!予定通り木遁で受けたチャクラは僕がカエデさんに送ります!」

 

「任せろ。綱よ、尋常ではないチャクラが流れてくるぞ。心せよ!」

 

中継点を次々と伝い、流れてくる莫大なチャクラ。

 

それらを受け止める最終変圧器としての役割を担うのは音の守り刀十傑集がひとりテンゾウ。

 

首根っこを掴まれ雨由利に連れてこられたときは何事かと思ったが、自身の居場所を作ってくれたサイゾウへの恩義を返そうと奮起している。

 

またテンゾウと同じく木遁を扱うに至ったヒルゼンは加えて仙人モードへと移行し、テンゾウが受ける三倍のチャクラを受け止めて綱手へと注ぎ込む。

 

「百豪の術!」

 

「転生眼!」

 

綱手は溜め込んだチャクラを解放する百豪の術を。

 

カエデはサイゾウと交(まぐ)わったことで開眼した転生眼の力を。

 

それぞれ解放して、すさまじいまでのチャクラの奔流を調整しサイゾウへと流し込んでいく。

 

サイゾウはそれら激流の如きチャクラを背中で受け止め、輪廻眼へと眼を変化させて叫ぶ。

 

「かあああああああああぁぁぁぁっっ!!!!!」

 

サイゾウを見守るナルトは、無理矢理連れてきたサスケの手を握り父を見守る。

 

反対の腕に抱いた妹は激しく光輝く父や母の姿に喜んでいる。

 

「《外道・輪廻天生の術》!!!」

 

サイゾウから溢れたチャクラが、後光のように死者を照らす。

 

はたけカカシ。

 

うちはフガク。

 

うちはミコト。

 

うちはイズミ。

 

しかし桁外れのチャクラにも関わらず、死者の蘇生はなかなか成功しようとしない。

 

サイゾウは自身の体がバラバラになりそうなチャクラの衝撃を押さえつけながら、あまりの反動に意識を失いそうになる。

 

「ぐぅ…!!」

 

「サイゾウ!」

 

「サイゾウ様!」

 

直接触れていることで今サイゾウがどれだけの負担と戦っているかわかっている綱手とカエデは涙を流しながらも、チャクラを流し込むことをやめない。

 

すでにふたりともに指先の毛細血管は破裂し、爪もすべて剥がれ落ちてしまっている。

 

しかしそんな体の痛みなど、今まさに目の前で死にかけている愛する者を失う恐怖以上に勝るはずもない。

 

「父さん!」

 

そのとき、サイゾウの声にひとりの声が届いた。

 

本来、これだけ集中している状況でよそ見をすることは自殺行為である。

 

しかしサイゾウはふと見た先で自分を見つめる息子の姿を見た。

 

それは“信じる”という心そのもの。

 

絶対の自信をもって自分を信じぬく瞳が、サイゾウを力強く見守っていた。

 

「ふっ…ぜえやあああああああっ!」

 

息子が見守る前で、無様な姿は見せられない。

 

覚悟を決めたサイゾウがまとめてチャクラを叩きつけると、異変が起きはじめた。

 

心臓を抉られた、カカシの肉体が復元されていく。

 

首を切り裂かれたミコトの傷が塞がっていく。

 

フガクの切り落とされた首が繋がっていく。

 

血の大半を失っていたイズミの顔に、血の気が戻ってくる。

 

やがて激しいチャクラの明滅が収まると、待機していたノノウが横になった四人を急いで診ていく。

 

「…成功です!全員、生き返ってます!」

 

綱手に匹敵する医療忍者の言葉に、その場はさきほどを倍する歓声に包まれた。

 

「…父さん…母さん…生きているのか…」

 

奇跡を目の当たりにし、呆然と見つめるサスケ。

 

間違いなく死んだはずの両親が生きている。

 

そのことが実感として沸き上がると、熱いものが溢れて止まらなくなる。

 

「へへっ、よかったってばよ!サスケ!」

 

サスケは不安だった。人が生き返るなどという戯れ言に。

 

『お前になにがわかるんだよ!!』

 

そう言って突き放そうとしたナルトが、決して諦めずにここへ連れてきてくれたことに感謝しかない。

 

“ありがとう”。

 

そう一言礼を言おうとして、サスケは不意に違和感に気づいた。

 

もっとも成功を喜ぶべきひとが、なんの反応もしていない。

 

「サイゾウ!!!」

 

「サイゾウ様!!!!」

 

最初に悲鳴をあげたのはカエデと綱手の二人だった。

 

すぐに異変を察知したヒルゼンが側に近寄り、その場で木遁による簡易ベッドを作り出す。

 

「ふざけんなサイゾウ!死なないってお前言ったじゃないか!!」

 

動揺を隠そうともせず、雨由利は急いで近づいてくる。

 

「鼓動が異常に弱っている…!くそ、絶対に死なせないぞ!サイゾウ!!」

 

綱手はサイゾウの心臓の音が弱くなっていくのを聞き、チャクラメスで胸元を切り裂き直接心臓をマッサージする。

 

「ダメですよサイゾウ様…!死んじゃ…ダメです…!」

 

カエデは転生眼の力を使い果たしていたが、それでもなけなしのチャクラをサイゾウへと送り彼の命を維持し続ける。

 

動揺は広がり続ける。

 

ヒルゼンは今の状況が非常に危ういことに今さらながら気づいた。

 

ここでサイゾウが死ねば、木の葉は終わる。そう考えてしまうほどに、みなの心に絶望が広がっていくのが感じ取れた。

 

「おとうしゃん、おきて~」

 

誰もが彼女の動きに無防備だった。

 

さっきまでのサスケに匹敵するほどに動揺したナルトは、タカノを抱いたままサイゾウに近づいていた。

 

だからタカノの手が、サイゾウの心臓の点穴のうえを撫でたことに気づけなかった。

 

「鼓動が戻ってきた…!ノノウ、シズネ、手伝ってくれ!」

 

事態の慌ただしさは変わらなかったが、それでもさっきまでと違い今度は希望があった。

 

動揺する群衆は、ヒルゼンが治めていた。

 

サイゾウを慕う女達が、彼の元へ集っている。

 

太陽のように笑う幼子が、そんな彼らを優しく見守っていた。

 

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四人の人間を生き返らせた転生事件より、約二年が過ぎていた。

 

暫定的に復帰した三代目火影猿飛ヒルゼンによって、今日も里は平和を謳歌している。

 

「…サイゾウは、まだ目覚めぬか」

 

ヒルゼンは今日結ばれる雲隠れとの和平条約締結の為に、忙しく動き回っていた。

 

そんな彼の前に現れたシスイを前に、すでに日課となった言葉を呟く。

 

「ええ、肉体的には健康そのものですが、いまだに…」

 

シスイもまた、毎日兄の元を訪れていた。

 

兄はいまだ眠ったままだった。

 

不思議なことに消耗したチャクラはすでに回復し、それどころかゆっくりとしたものではあったが自然エネルギーを吸収し続けていた。

 

この影響でサイゾウには点滴さえ必要とされていない。

 

毎日多くの人間が訪れ彼に話しかけていくものの、これといった動きはみられなかった。

 

「そうか。…シスイよ、苦労をかけるが、これもいずれ五代目が戻ってくるために必要なことだ。それと、これはわしの勘に過ぎないが、今回の和平条約。キナ臭いものを感じる…」

 

「三代目様もですか…実は義姉さんも同じことを漏らしていました」

 

「そうか…シスイ、雲の忍頭の監視、怠るなよ」

 

「はい。では俺はこれで」

 

そう言って、シスイはその二つ名に恥じない早さで姿を消す。

 

ヒルゼンは雲の忍頭がなにを狙っているのかいくつか推測するが、そのどれもを予め見張ることはできないゆえに、忸怩たる思いを抱えていた。

 

「早く帰ってこい…サイゾウ…」

 

その言葉は誰もいない執務室で、静かに響き渡っていった。

 

 

 

 

 

 

 




カカシの死亡シーンは犠牲になったのだ…長すぎる小説を圧縮する犠牲。メインパートの犠牲にな…
気が向いたら活動報告にあげます(´・ω・`)


というわけで主人公意識不明の重体に陥るの巻きでした。
意外でしたでしょうか?自分的には穢土転生のときばりに言われるかと思っていたのでちょっとびっくり(´・ω・`)
でもまあ、死者蘇生ってほんと物語の盛り上がりを無視しますからねえ。一応簡単に使えないようになっているとはいえ。

またドラゴンボールCのときもそうでしたが、最強主人公にとってもっとも厄介な敵とは自分自身だと私は思っています。
今回はそんなサイゾウが起こした行動の起こした結末ということですね。なんだかんだ皆サイゾウの我が儘に甘いのです。
その場にいることができませんでしたが、もし大蛇丸がいたら戦ってでも止めてました。

他にも前話に続いて色々伏線をちりばめときました(特に娘)ので、次回以降もどうぞお楽しみくださいませ~

ちなみに普通一歳児はあんな流暢に喋れません(笑)



補足★説明

一応誤解を招くといけないので、ひとつだけ補足をば。

《輪廻天生》って使ったら死ぬんじゃねーの?という疑問をお持ちになるかもしれません。
ですが原作にて「少人数を死んでからさして時間をおかずに生き返らせる分にはおk」と服の下がエロい紙お姉さんが言ってましたので。
もちろんサイゾウのことですから、小動物相手に実験などはやってます。
今回は準備に時間がかかりすぎたことと、死体の破損が激しすぎたことからチャクラが足りませんでした。
危うく死ぬところでしたね、サイゾウ。
彼がどうして生き残れたのかは、まあ気が向いたら描写します( ̄▽ ̄)(まさに外道)
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