今回はオリキャラ同士になりますが、うちはサイゾウと日向カエデの馴れ初めとなります。
そして時系列は九尾事件当日。ちょっと最近外伝を見て知った新事実が衝撃だったのでプロットから練り直しになりました(白眼)
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千手柱間の死因について考察
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=144050&uid=35351
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上記の内容を考察中です。もし自分なりの考えがある方がいましたらご一報くださいませ。
薄暗い閨(ねや)にて、男女が睦事に励む音が静かに響き渡る。
ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ
しっとりとした水気のある音には、肉同士が触れあう音色も含まれていて、それがまた一層淫靡さを増すのだ。
ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ
繰り返し一定のリズムで鳴らされる淫なる音には、さらに吐息も含まれる。どこか堪えるように。どこか弾むように。
ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ
やがてリズムに狂いが出始める。それは性急さゆえにではない。供に昂り、高めあい、上り詰めていっている証。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ
水気のある音が、一気に激しく打ち付ける音色に変わる。限界までもう間もない。吐息はすでに音として判別ができるほどに、すなわち声として漏れるほどに大きなモノとなって響く。
「…んっ…ふっ、はあ、はあ、はあ…」
互いが重なったまま、音が止む。供に達した二人は、未だ繋がったままゆっくりと快楽の軛から抜けていく。
「どうか、なさいましたか、旦那様…」
たっぷりと汗を吸わせた肌襦袢から、しとどに濡れた体を晒す女の名は“うちはカエデ”。
かつて日向にあって『籠女』と呼ばれた御子である。
「どうした、うまく達っせなかったか」
「いいえ、旦那様との睦事は、いつも気をやりすぎてしまいますので…そんなことは…」
「ならば、どうしたというのだ」
まるで幼子にするように頬や額に接吻を繰り返しながら問う男は、名を“うちはサイゾウ”という。
二人は夫婦であり、互いが互いを思いあい、支えあう理想の男女である。…男の女癖の悪さを除いて。
「…わたくしの気のせいでしたら申し訳ないのですが、今日の旦那様は、どこかに心の一部を置いてこられたような、そんな様子を感じるのです」
カエデの言葉に、しばし押し黙るサイゾウ。どれだけ誤魔化したつもりでも、やはり彼女には隠し事はできぬ、とサイゾウは口許に笑みを浮かべる。
「…なに、今日は予定通りならミナトのヤツが父親になる日よ。なればこそ、今後はあまりヤツと仕合えなくなるな、と妙な寂寥(せきりょう)さを感じておったのだ」
「そうでございましたか…旦那様?」
サイゾウの胸に手をあて、睦事の火照りを冷ましていたカエデであったが、再び覆い被さったサイゾウを不思議そうに見上げる。
「この寂寥さは俺の身勝手よ。なればこそ、お前にそれを背負わせようとは思わぬ。だがお前の俺を思う献身、ありがたく思う。ゆえにカエデよ、今夜は寝かせぬぞ…!」
「ああ、旦那様、サイゾウ様。お慕い申し上げます。どこまでも、好きなだけ、カエデの体を味わってくださいませ…!!」
うるんだ瞳で見上げられ、サイゾウは再び屹立した逸物を掴みながらカエデと重なろうとするがーーー静かな夜に不穏な気配が広がった。
「…カエデ、すまぬが閨は後だ」
「はい、お手伝い致します」
刹那の間にその目が戦いを生業とする者へと変わっていったのを見て、カエデは笑む。
ずっとこの方を見ていたいと。見守って、傷ついたこの方を自分が抱き止めてあげたいと。
それは『籠女』と呼ばれ敷地から一歩も出ることを許されなかった少女の、いまだ絶えぬ恋慕の炎。
かつて自分を“籠”から解き放ってくれた、最愛の者へのたゆまぬ思慕の気持ちだった。
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サイゾウは霧隠れとの国境に程近い半島の先、“菩提岬”と呼ばれる場所近くのあばら屋で体を休めていた。
そこは本来であれば最近世間を騒がせている盗賊達のアジトであり、サイゾウは大胆にもカエデを伴って任務に出向いていた。
うちはカエデ。元の名を、日向カエデ。
彼女の名を知る忍は少ない。それは彼女が名もない下忍だからというわけではない。
彼女の持つある特異な能力が、長い日向の歴史においても特別だったからである。
カエデは宗家にて生まれた。長い日向の家にあっても特に突出した才能から、将来は彼女を当主にと望む声も一族では少なくなかった。
しかし彼女が十歳になったとき、彼女はある能力に目覚める。
“千里眼”の力。元より白眼は自らの周囲数百メートルを見渡すことが可能である。
だが、彼女の白眼が見渡すことができる範囲は数キロを軽く越え、火の国全域の様子を伺うことさえ可能とした。
当然、第三次忍界大戦においてその能力は大いに利用された。当時のカエデはいまだ十二才と幼かったものの、里の為に、一族の為にと、瞳力を駆使して仲間を助け続けた。
しかしそれは結果的に他里から優先的に狙われる結果となり、彼女を庇い幾人もの忍が命を落とした。
やがて彼女は日向の里奥深くにまるで封印されるかのように隠され、生きているか死んでいるかさえも定かではないほどにその存在は秘匿された。
結界で隔たれ、窓さえも無い室内。
日向の一族から選りすぐりの者が彼女の世話をすることで何不自由ない生活を送るも、彼女は部屋にいる間は結界のせいで外の様子を伺うことさえできない。
そう、あまりに強すぎる彼女の力を恐れた木の葉の上層部は、許可なく彼女に“見ること”を封じた。
ゆえに“籠女”。
しかし、そんな彼女にもひとつ癒しがあった。
強力な結界に阻まれ周囲の様子をうかがうことはできなかったものの、強いチャクラであればそれがどこにいるのか、なにをしているのかを“色”として何となく察知することができたのだ。
もちろんそのことを彼女以外に知るものはいない。
これ以上警戒されれば、最悪眼を奪われて殺されてしまうやもしれない。
かつて天才と呼ばれた少女は、眼に見えぬ人の悪意に怯えていた。
覗き見、と彼女が呼ぶその行為において、もっとも面白かったのは“赤い炎の色”を持った男。
いつも様々な色と重なりあったり、他の色に追いかけられたり、彼を見ていて飽きることはなかった。
そして彼は強かった。
“黄色い”大きな安心する色と、時には戦い、時には楽しそうな輝きを見せる。
戦場においても彼は無敵だった。
どれだけ劣勢にあっても、彼が現れるだけで戦場は熱気に包まれる。
そして彼が戦うのは、決まって強い相手だった。
一度などは尾獣らしき気配に単身立ち向かい、それを撃退してしまったのだから恐れ入る。
自分が今もなお鍛え続けていても、彼のように振る舞えたかはわからない。
カエデは気づいていなかったが、それは一種の恋だった。
自分にはない“色”を持った彼への、届かぬ恋慕の情。
夜には彼を“覗き”ながら自分を慰めることも覚えた。はじめての体験にずいぶん驚いたのを覚えている。
そしてそれと同時に、彼の気配が変化を見せた。
どうしてなのか、自分が覗いているとき、彼はそのことに気づいているようだった。
カエデは嬉しかった。
理由などどうでもいい、彼にもっと自分を見てほしい。自分の元へ来てほしい。
そして、この狭い“籠”から出してほしい。
そして忍界大戦の終結より一年と経たない頃、深夜に彼女は起こされた。
広いのに四方を囲む闇が狭さを感じさせる寝室において、ほほを何者かにつつかれて。
寝ぼけて起きた彼女はそれを夢だと思った。
目の前で、夢にまで見た“赤い炎の色”をした男が自分の顔を眺めていることに。
思わずカエデは抱きつき、自分の何もかもをさらけ出した。
こんな籠にはいたくないと。
助けてほしいと。
貴方を慕っていると。
サイゾウは一言「まかせろ」と言うと、物理的にも強固な壁をあっさりと砕き壊した。
後から聞けば様々な技を重ね掛けした結果らしいが、そのせいで日向どころか木の葉中が大騒ぎになった。
当然である。
日向の姫であるカエデの名は、他国の影や上層部であれば知らぬ者はいないほどの超重要人物。
そんな人物の寝室に夜這いし、あまつさえ姫を拐おうとする不審人物。
日向の者がサイゾウに立ち向かい、暗部が駆けつけ、木の葉警務部隊が駆けつけ、三代目火影ヒルゼン、四代目火影の候補である波風ミナトが駆けつけた。
ミナトが駆けつけた頃、現場は混乱の坩堝にあった。
全能力を惜しみ無く発揮したサイゾウの周囲には、死屍累々といった体で暗部や警務部隊の者達が倒れていた。
おまけにサイゾウのやらかしたことにブチキレた本気のヒルゼンを相手に一歩も引かず打ち合っているときた。
ミナトはそれを見て正直帰りたくなったが、次代の火影として期待される身としては、そういうわけにもいかない。
しかたなく飛雷神の術を展開したものの、それさえも散々戦ってきたサイゾウを相手には決定打にならない。
とうとう日向の当主が出てきた時、サイゾウはあっさりと戦闘を止めた。
「どうだ、これでもカエデを貰うには足りぬか」と。
ぬけぬけと言いのけるサイゾウに、ヒルゼンが思わず拳骨を落とし、ミナトは顔を覆ってため息をついた。
サイゾウの言い分は単純だ。
兼ねてから、日向の姫であるカエデに懸想していたと言い張るサイゾウは、彼女を解き放つ方法を探していたと語る。
そして、たどり着いた結論が“自分の実力が姫を守れるだけのモノだと見せしめること”。
これを考えて以降、サイゾウは修行を重ね、尾獣すら単独で撃退するほどの実力者となった。
戦争が終結したこともあって、正面から日向に「カエデをくれ」と申し出に行ったが、一ヶ月近く通っても姿を見ることも叶わない。
業を煮やしたサイゾウは、深夜の襲撃を決行し、その際に現れるであろう実力者をことごとく打ち倒してみせればさすがに日向も認めるだろうと。
この言い分にミナトは笑ったものの、笑うしかなかったとも言える。
うちは一族であるという理由から今一歩自分に及ばないものの、実力だけを言うならば彼が火影になっても何らおかしくないのだ。
それを、彼は捨てた。彼自身、火影になる夢を持っていたはずである。そのことをミナトは誰よりも知っていた。
自分が戦場を縦横無尽に駆け抜けるとき、別の場所では敵をとどめ、味方の損耗を最小限に減らしていたサイゾウ。
彼の人望は高い。特に、うちは一族においては圧倒的な人気を誇る。
だがこんなことをしでかせば、当然火影になることなど出来ないであろう。
サイゾウとて馬鹿ではない。恐らく、カエデを手にいれようと言葉以上に様々な手段に及んだはずだ。
表面的に見れば女好きが無茶をしただけに過ぎないが、ミナトはサイゾウがすべてわかった上で動いていることを理解してしまっていた。
「…サイゾウ、きみは」
「みなまで言うな、ミナト。俺はわかっていてやっている」
余計なことを言わないよう、サイゾウはミナトを黙らせる。次の火影になるであろう男が、ここで自分を庇うようなことを言うべきではないと、サイゾウの目は語っていた。
それからはしばらく大騒ぎが続いた。
あわや第四次忍界大戦かとも思われたが、サイゾウによって倒された全員が実際には大した怪我ではないこともあり、戦力に翳りがあるどころか、それだけの相手をしてなお余裕のあるサイゾウがいることを他里は警戒した。
サイゾウは一時期犯罪者として収監されかけたが、火影候補の話が白紙になったこと、ヒルゼンをはじめとした里の上忍が一様に彼を庇ったこと。
なにより事件の責任をとって引退した日向当主に代わって就任したカエデの兄日向ヒアシがカエデとサイゾウの婚姻を正式に認めたことが大きかった。
もちろん無罪というわけにはいかず、サイゾウは上忍としての立場を一時的に取り上げられ、謹慎の身となった。
こうして暗部とうちは警務部隊、日向一族という木の葉三大戦力といっても過言ではない者達に囲まれながらサイゾウとカエデは結ばれた。
カエデの白眼によってあっさり捕捉され薙ぎ倒された、盗賊に扮した霧隠れの上忍を見て、サイゾウはあの日の選択は正しかったと思う。
十年近くに渡って自分に届けられた思慕の情。女好きを公言するサイゾウにとって、自分にあそこまで惚れてくれた女の願いを無下にすることなどできはしない。
「帰るぞ、カエデ」
優しく呼び掛ける夫の声に、カエデは答える。
このひとについていこう。たとえ何があっても、このひとと一緒ならなんとかなる。
そう思うカエデの心にもはや闇はなかった。
籠の中の少女は、炎と一緒に舞うのだ。
そんな、何もかもが希望に向かうと思った矢先だった。
木の葉に九尾が出現し、四代目火影波風ミナトが死んだとサイゾウが知ったのは。
物語は、動き始める。
短いですが、これにて第二話とさせていただきます。
今後もお付き合いくださいますようお願いします。