※この作品はR-18です。

うちはの火影   作:SHV(元MHV)

20 / 44
夢のなかで「え?同じ値段でステーキを?」がエンドレス再生された作者です(´・ω・`)タスケテ…

今回は番外編。
感想でも「いつの間に死んだの」とつっこみを受けてたダラ先がかわいそうでしたので、さらっと彼が死ぬまでの流れを書きます。

ご覧あれ~


【番外異伝】『はたけカカシの受難』★

月夜に悲鳴が響き渡った。

 

「う…うああああああああああああああああ………!!!!!!」

 

それは哀惜の慟哭だった。

 

箍が外れ、止めどなく無数の感情が沸き上がってくる。

 

(リン…!

 

リン、どうして…!?

 

死…いや、おれがコロシ…!?

 

!どうしてオマエガそこにいるんだ…!

 

なぜ?

 

…オビトとの約束が!

 

俺は最低のクズダ…!

 

?ダレカ?

 

誰か“リン”を助けテくれ!!!)

 

思考は一瞬だったが、目の前でリンが倒れていくのは永遠に思えた。

 

大切なヒト。守るべきヒト。

 

守ると…約束したヒト。

 

カカシは泣きながらリンに近づき抱きしめるが、彼女から生命の気配は失われてしまっている。

 

「リン…!リン、どうして…こんな!?」

 

どれだけ呼び掛けても、彼女からの答えはない。

 

“左眼”がうずくが、それも気にならない。

 

どんな痛みも、目の前の絶望より浅い。

 

遠退いていく意識のなかで、昏(くら)い底無しの闇が自分を蝕んでいくのだけが理解(わか)った。

 

__________________________________

 

戦争が終わった。

 

しかし、カカシには何も残っていなかった。

 

友も、家族も、そして愛するヒトも。

 

かつて胸に去来した“絶望”という名の穴は今だ塞がる気配を見せない。

 

いや、というより───塞がらないモノ───なのだろう。

 

彼を心配して、同期の連中が何人も声をかけてくれた。

 

ライバルであるマイト・ガイは幾度となく勝負を挑むことで、カカシから痛みを忘れさせようとしてくれた。

 

彼の上司である四代目火影波風ミナトは、せめて自分の目が届く範囲に置いておこうと彼を火影直属の暗部へと推薦・入隊させた。

 

そうして数ヵ月が過ぎた頃、木の葉で事件が起きた。

 

九尾の襲来である。

 

自分よりも遥かに強い人間。そう信じて疑わないカカシの師である波風ミナトは、その日あっさりと命を落とした。

 

一粒種の息子『ナルト』を残して。

 

この件は、カカシに忍としての自信を失わせるには十分すぎる出来事だった。

 

“誰も守れない、だらしない最低のクズ”

 

それが最終的にカカシが自分自身へ下した評価であった。

 

それからも日々を無為に過ごした。それでいて才能に溢れたカカシの体は、日々の任務をこなすだけで最低限の練度は保たれていた。…ライバルに置いていかれていることに気づきもせず。

 

───だからだろうか。新たに五代目火影となったサイゾウから、長期任務として修行を課せられたのは。

 

__________________________________

 

サイゾウが火影に就任して半年が過ぎた頃、カカシは火影の執務室に呼び出され、五代目火影であるサイゾウから直々に任務を言い渡されていた。

 

だが当のカカシは、今言われた任務の内容が意外すぎて頭に入ってこなかった。

 

理解できなかったと言い換えてもいい。

 

「どういうことです?なんで今さら俺が修行なんかを…」

 

厭世的なモノの見方をするようになったカカシは、目の前で腕を組みながら自分を見つめる偉丈夫を前にしてもどこか気だるげな態度を改めようとはしない。

 

“死にたがり”。

 

それが最近のカカシに付けられたあだ名である。

 

危険な任務に率先して挑み、常に限界ギリギリまで自分を追い詰める。

 

時にはわざとなのか、厄介な相手を自分だけで対応し、仲間が援護へ向かう前に倒してしまう。

 

どれだけ傷ついても顔色ひとつ変えないのが不気味で、最近では同僚の暗部からも避けられている。

 

そんな現状を打破しようと今回サイゾウは“任務にかこつけた修行”を依頼することにした。

 

酷なことを言うようだが、カカシは木の葉においても上位者に位置する実力者である。例え日々の修行をサボっていても悠然とその位置に居座ることができるほどに。

 

そんな彼がただ腐っていくのを、サイゾウも、そしてガイも見ていられなかったのだ。

 

だが実際問題どうすればいいかが問題だった。そこで修行馬鹿と無茶振り馬鹿はどんどんダメな方向へ考え続け、結論に至った。

 

「「ひとまず悩むとか出来ないくらい修行漬けにして他のことを考えられなくしてしまおう」」

 

ちなみに…サイゾウから課せられる修行を知る人間として、他に元部下のアスマと紅がいる。

 

今回もガイから修行参加を誘われたが、アスマは急用を思いだしたと言い残して逃走。

 

紅は最近体調が優れないとのことで普通に断った。この辺アスマが同じ理由を言おうものなら「鍛えてれば治る」とか言われて連行されるものの、女は得であるとカカシは密かに思った。

 

とはいえ何も考えなくて済むならそれもいいだろうと、かつてアスマや紅からそれとなくサイゾウの課す修行の“過酷さ”を聞いていたにも関わらず、カカシは首肯することで任務を受けることを示す。

 

「まあ…よくわかりませんが、任務だと言うなら受けますよ。一応確認しておきますけど、難易度はどれくらいなんです?」

 

その言葉を待っていたと言わんばかりにサイゾウはニヤリと口許を歪める。

 

「もちろんSランクだ。ひとまずは忍者としての基礎からやってもらうぞ」

 

なにげなく告げたサイゾウの言葉だが、そのことにカカシは違和感を覚えた。

 

「忍者としての基礎ですか?任務だというなら構いませんが、どうしてまた?」

 

「…お前、自分が緩い坂を下ってる自覚ないだろ?今のお前とガイがやりあったら、間違いなくガイが勝つぞ」

 

その言葉は、不思議と納得するような形でカカシの腑に落ちた。

 

思えばここ数ヵ月、ガイから組手を挑まれていない。じゃんけんだとか、大食い勝負だとか、どこかくだらない勝負ばかりだった。

 

(…そうか、いつの間にかガイのヤツ…)

 

ショック、ではなかった。

 

むしろ、こんなカラッポな自分を目標にこれまで頑張ってきてくれたライバルに、申し訳ない気持ちすらあった。

 

そんなカカシの様子を見て、サイゾウは内心でため息をこぼしつつも、事態は思ったより切羽詰まっていることを悟る。

 

(…こんな調子じゃ、オビトのことを話すわけにもいかんな。だがいつまでも落ち込んでいてもらっちゃ困る。最悪、カカシの写輪眼を取り上げる意見すら出ているんだ。せめて自力で万華鏡の力を扱えるくらいにはなってもらわないとな)

 

九尾を操り、木の葉を襲った“うちはマダラ”らしき男の正体が、かつての親友の教え子であり、自分に背筋を伸ばすきっかけをくれた少年であることは、苦い後悔としてサイゾウの胸のなかに今も燻っている。

 

火影としての立場になった以上、有無を言わさずカカシから“眼”を取り上げてしまうべきだろう。

 

だがそれは、言うなれば里という全体を優先するあまり個を犠牲にする行為。

 

そういったモノの見方が、後に禍根を残すであろうことをサイゾウはよく知っている。

 

ゆえに、例え悠長であっても本人の意思で苦難を乗り越えてもらわねばならないのだ。

 

「よし、ひとまず任務の開始は明日の早朝六時からとする。安心しろ、午前中は俺が見ていてやるし、午後からはガイがお前を鍛える。眠る時間は無理矢理にでもとらせるから、遅刻はするなよ」

 

「はあ、わかりました」

 

ぼうっとした気配のままカカシは返事すると、部屋を退室していった。

 

サイゾウは執務机から翌日のカカシの修行メニューを取り出して確認する。

 

⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜

 

『~これで君も☆伝説☆になれる!サイゾウ式デンジャラス育成術~』

 

①朝は太陽と共に起きよう!夏場の睡眠不足は睡魔払拭のツボで無理矢理覚ませ!

 

②筋肉はチャクラ以上に君の友達だ!全身に重りを乗せて生活しよう!ひとまず体重の三分の一からだ!

 

③チャクラが足りない?それは食事が足りてないからだ!身体エネルギーの元になる高カロリー食を残さず食べよう!

 

④肉体は限界を越えてこそ進化する!身体機能を半分以下にした状態で崖登りの行だ!

 

…などなど。

 

⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜

 

といった風に、狂気の沙汰にしか思えない内容が書かれていることをカカシはまだ知らない。

 

ちなみに食事を作るのはサイゾウである。栄養バランス“だけ”は完璧だ。この出来にはカエデさえもにっこりと笑うだけであったりする。

 

…余談だが、この食事を取って夢の世界へ旅立ったアスマはご先祖の猿飛サスケに出会ったという証言を述べている。

 

__________________________________

 

 

岩山の上で、ひとりの忍がぶっ倒れていた。

 

はたけカカシ。木の葉の上忍であり、つい最近同期の友人が言っていたことが嘘じゃないことを知った男である。

 

普段は完璧に顔を隠すマスクも、少しでも酸素を取り入れるためになりふり構わず下げられている。

 

息も絶え絶えといった様子だが、ひとまず喋ることくらいはできそうであった。

 

「ねえ…ガイ、…俺、殺されるのかな…」

 

やっとの思いで絞り出した言葉は、

 

『今日から俺がお前の師匠だ!骨の髄から鍛え直してくれるわ!!』

 

と叫んで自分を生き地獄へと叩き落とした男へ向けたものだった。

 

「はっはっは!何を言うんだカカシ、先生がそのつもりならそんなところで寝かさず、その辺の岩山にめり込ませてるさ!かくいう俺も、何度めりこまされたことか!」

 

自慢げに語るガイだが、かつてを思い出したのかその額には汗が浮かんでいた。というかお前は殺されかけたのか、とカカシはつっこみたかった。その余力もないのだが。

 

そうしてかれこれ修行をはじめて一週間が経過したカカシであったが、初日から幻術で身体機能を半分以下にされるとは思ってもいなかった。

 

全身の自由がいまいち効かない状況。しかしサイゾウは容赦せず、カカシの体重をあらかじめ調べて作っておいた重さ約25キロの重りを手早く着せていく。抵抗する間もなかったこの技術はこれまで無数の女体から服を脱がしてきた末に身に付けた珠玉の早業であった。

 

そしてカカシの一日は、崖登りにはじまり崖下りに終わる。

 

早朝からガイに無理矢理叩き起こされる(ちなみに寝坊すると、どこからともなくやってきたサイゾウの一撃を喰らう)と、そのまま満足に着替えもできずに修行の場所まで連れていかれ、崖登りの行を開始。もちろん重りは外させてはくれない。

 

崖登りの行とは、片腕のみで岩山を上っていく修行である。全身の体重を支えるのは当然であるし、バランスを崩せばあっという間に落ちてしまうことになる危険な修行である。

 

さすがのカカシもこれには困難を極め、幾度となく崖から落ちた。

 

内臓に負担がかかるような負傷を何度も繰り返したが、どんなに重傷を負っても一時間程度であっという間に治療された。

 

なぜか看護婦の服装をしたカエデ、綱手、ノノウらによって。

 

…ときどき誰かがいなくなり、木陰から嬌声が響いていたのはご愛嬌である。

 

崖登りの行を終えると、次に行うのは組手だった。

 

サイゾウの言うとおり、鍛えることをやめてしまったカカシをガイは大きく突き放していた。

 

写輪眼を使おうにも、スタミナが足りず満足に発動できない日が続いた。

 

しかし一ヶ月もした頃、ようやく写輪眼を発動したカカシを待っていたのは八門遁甲を扱うガイの姿だった。

 

第一の門ですでに写輪眼状態のカカシでさえ動きについていけなかった。それだけ疾(はや)い。

 

サイゾウの下で素の肉体を極限まで鍛え上げ、さらにはチャクラによる肉体活性という基礎中の基礎を半ば極めたガイ。

 

このため本来八門遁甲を使わずとも、カカシの目にも止まらぬ速度で動くことさえできた。

 

それでも八門遁甲を使ったのは、ライバルである親友への礼儀であり、“今”の自分はこれだけのことができるぞというアピールでもあった。

 

そして…それより前に行われるサイゾウとの組手はもっと酷かった。

 

カカシは初日、サイゾウとの組手で人間がひたすら放たれる打撃で一分以上宙に浮いたままでいられることを知った。人はそれを現実逃避とも言うが。

 

ともあれ、午前中でボコボコにされたカカシは昼休憩として治療と食事をし、午後からはかつてのライバルから死なない程度にボコボコにされる。

 

こうしてそんな生活も三ヶ月が過ぎた頃、変化が起きはじめた。

 

まず、崖登りの行が階段を上るような気楽さで出来るようになった。これをアスマから指摘されるまで気づかなかったカカシは順調に常識がおかしくなっていた。

 

次に、サイゾウの“空中コンボ”から自力で脱出できるようになった。浮かされていても、諦めなければ道は開けるのである。

 

最後に、ガイと組手がどうにかできるようになってきた。…これには、他でもないガイが一番喜んでいたが。

 

ちなみに今現在ガイと体術で互角に組手ができる相手はサイゾウとカエデのみである。これだけで、ガイがどれだけとんでもない領域にいるのか理解できよう。

 

そうして一年が過ぎ、二年が過ぎ、三年が過ぎた頃。

 

青年と呼ばれる頃から、次第に大人へと変わっていったカカシ達。

 

気がつけば、ミナトの忘れ形見であるナルトも自力で走り回れるほどに大きくなっていた。

 

__________________________________

 

 

その日、カカシは酔いざましに夜道をひとり歩いていた。

 

酒を飲むのがはじめてだったわけではないが、祝い酒というのははじめてだった。

 

カカシがサイゾウによって修行漬けになって間もなくして、紅の妊娠が発覚した。

 

そのときは大騒ぎだった。主にアスマが。

 

だが生まれてしまえば子供というのは可愛いもので、何をとち狂ったか“娘に誇れる父親になりたい”とアスマが修行に参加してきたときは驚いたものだ。

 

…ふと気づけば、修行の毎日でろくに墓参りすることもできていなかったとカカシは思った。

 

酒の席で“妙に引きずるよりは忘れるくらいでいた方が、オビトやリンも気楽だろう”と、ガイに諭され納得した自分がいることに驚いたのを覚えている。

 

大人になってから久しぶりにライバルや仲間と飲んだ酒はうまく、一時的にでもカカシから嫌な思い出を忘れさせてくれていた。

 

───だからだろうか。

 

目の前に現れたその男が、かつて自分を励まし立ち上がらせてくれた“親友”と同一人物だということに一瞬気がつかなかった。

 

「…久しぶりだな、カカシ」

 

顔の半分に、どこか無理矢理形成したかのようなひきつった痕を残すその男は、間違いなくカカシの親友。

 

『うちはオビト』だった。

 

カカシははじめ、酔いが回りすぎたかと思った。しかしチャクラを回して無理矢理酔いを覚ましても、目の前の幻影は消えない。

 

近づいてきて、男がカカシの肩に手を置いてようやく、カカシはそれが現実だと確信した。

 

「オビト…なのか…」

 

呆然自失の体で語りかけるカカシには、一片の警戒心すらなかった。

 

ただ目の前の、泡沫の夢のごとく現れた親友に謝らなければならないことがあった。

 

「…すまない…!オビト、俺はリンを…!」

 

涙ぐむカカシの姿に、オビトは優しく語りかける。

 

「いいんだ。仕方ないさ、あのときお前も俺も間に合わなかった」

 

“かつてのように”自分を励ましてくれる親友の姿に、カカシは今見ているのが本当に夢じゃないだろうかと何度も疑う。

 

それほどに、失ったはずの相手が帰ってきてくれたことは甘美な酔夢だったと言える。

 

「…だからもう一度やり直そう。こんな地獄じゃなく…“夢の世界”でお前も、リンも、みんな一緒に…」

 

カカシがその言葉の意味を問い返す時間はなかった。

 

あっさりと侵入したオビトの貫手は、わずかな躊躇いすらなくカカシの心臓を握りつぶした。

 

カカシの胸中に灼熱が広がり、痛みよりも驚愕が広がる。

 

───どうして───

 

───なぜ───

 

急速に脱力していくカカシの脳裏には、ちんけな言葉しか浮かんでこない。

 

そして先程のオビトの言葉を思い出しながら、あの場にオビトがいたならば、彼がこうするのも無理はないと悟る。

 

…自分は目の前で想い人(リン)をコロシタのだから。

 

薄れていく意識のなか、カカシはオビトの手が自分の左眼に伸びていくのがわかった。

 

__________________________________

 

目が覚めたとき、状況が理解できなかった。

 

ガイと酒を飲んだことは覚えている。だが、見渡せばどうやら場所は病院。

 

カカシは酔って転びでもしたのかと判断するが、その割りには世界が“狭い”。

 

そこでカカシははじめて、自分の左眼が失われていることに気づいた。

 

「オビト…」

 

思わず漏れたその言葉を引き金にしたように、カカシの脳裏にかつての“悪夢”とオビトの姿が重なったままフラッシュバックする。

 

「う、うああああああっっ…!!!!」

 

暴れはじめるカカシ。その悲鳴を聞き付けたのか、見舞いの品を持ったエビスとゲンマが扉を開けて入るなり、カカシを取り押さえる。

 

「落ち着いてくださいカカシ君!」

 

「ちっ、錯乱してやがる…!無理もねえか…!」

 

状況を知る二人はどうにかカカシを取り押さえようと踏ん張るが、サイゾウに鍛え上げられた肉体はチャクラ活性せずとも二人がかり程度で抑えられるものではない。

 

しかしそこへ、新たな闖入者が現れるなり万華鏡写輪眼でカカシを無理矢理眠りにつかせる。

 

「《月読(つくよみ)》!」

 

カカシを無理矢理眠らせたのは、同じく病院に入院していた『うちはフガク』だった。

 

奪われたはずの眼は大蛇丸が用意した複製品を付けている。不安はあったが、すでにフガクのチャクラと適合し万華鏡の力も問題なく扱うことができていた。

 

「フガクさん、ありがとうございます」

 

「フガクさんか、助かったぜ」

 

エビスとゲンマの二人がそれぞれ頭を下げると、フガクは片手を上げてそれを制する。

 

「いや、状況的に仕方あるまい。ひとまず俺の万華鏡で眠らせたが、いつまで持つかわからん。なにせ、“死に”上がりなのでな」

 

ダンディな顔にニヒルな笑顔を浮かべるフガクだったが、目の前の上忍ふたりには通用しなかったようだ。

 

微妙な空気をまといつつ、それを変えようとフガクが咳払いをした辺りで、悲鳴を聞き付けた看護婦が医者と共に現れた。

 

「…それでは俺はこれで失礼する。なにかあれば近くの部屋にいるから、呼んでくれ」

 

そう言ってフガクは去っていく。

 

「…カカシ君、大丈夫なのでしょうか」

 

「…さあな、今度ばかりはダメかもしれねえな」

 

医者の指示で病室を出たエビスとゲンマの二人は、誰に語りかけるでもなく静かに会話を繰り返す。

 

うちはオビト。

 

その名前は、共にアカデミーを通った二人にとっても、印象深い意味合いを持つ。

 

まっすぐで、どじで、いつもカカシを勝手にライバル視していた少年。

 

最後までまっすぐに、仲間の為に行動して…死んだはずだった。

 

そんな彼が、九尾事件を起こし、今回またイタチを操り事件を起こした。

 

非常な現実が、ふたりの上忍を疲れさせる。

 

あの明るい笑顔を浮かべた少年が凶人と化すなどと、誰が想像できようか。

 

それに加えて、五代目火影うちはサイゾウが意識不明に陥ったということ。

 

あの奇跡に参加したふたりは、目の前でサイゾウが倒れるまで、自分達が必要以上に多くのものを背負わせてしまったことを気がつけないでいた。

 

「俺たちが、支えなくちゃな。せめて、あの人が起きるまではよ」

 

「…ええ、もちろんですよ」

 

だからこそ、今度は間違えない。

 

微々たる力でも、集めれば人の命を救うだけの奇跡を産み出せたのだ。

 

ならば今度は、その力を里を守るために使うだけのこと。

 

暗雲に包まれた木の葉だが、若木は揺るぎなく立っている。

 

今は眠る大樹が起きる日を待ちわびながら…

 

 




最初は、執務室でカカシ相手に修行の話している辺りで机の下で誰かにフェラでもさせようかなとか考えていたのですが、さすがに不謹慎な気がしてやめました。
でもネタ的にはエロいので、誰かにやらせたい(´・ω・`)

今回補足はなし。リンが死んだ状況がちょっと違う、とかそういう細かいことはあんま気にしないで読んでもらえればなにより。
あ、サイゾウ式酔いざましとか、さらっと流した紅の妊娠とか、その辺は次回以降の番外異伝でやりたいので。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定