ということで、遅ればせながら更新(´・ω・`)
あ、今回のヒロインはサクラちゃんより美人で有名なハクです。彼は男です。ええ、彼です。美人ですけど。
ちんちん付いた男の娘です(´・ω・`)
ちんちん吸ったり舐めたりしてるので趣味じゃないひとは閲覧注意。
まあ、吸ったり舐めたりはしょっちゅうなんですけどね(笑)
うちは事変が起きる一年前。
音隠れの里に点在する練兵場のひとつに、ふたりの男の姿があった。
ひとりは肩から浅黒い肌をさらけ出し、顔の下半分を覆う覆面を付けた鬼気迫る気配を醸し出す男。
男は黒を主体とした忍服(しのびふく)に身を包み、音隠れの額当てを斜めにつけ、自分の身の丈ほどある巨大な刀を脇構えにしている。その全身は、視認できるほどに高密度なチャクラを纏っていた。
対峙する男は対照的に涼しげな表情で佇んでいる。巨大な刀を手にした男とほとんど変わらない身長ながら、圧倒的筋量を備えるせいか一回り以上大きく見える。
巨躯を思わせる男は相手が武器を持っているにも関わらず両腕を組み、その全身を黒いチャクラの鎧で纏うに任せていた。
「シッ!!」
脇構えにしていた浅黒い男─桃地再不斬─が先に動く。瞬身の術を応用して真横に発射された彼の体は、いつの間に構えを変えたのか巨大な刀─断刀・“鬼”斬り包丁─を前にして突っ込んでいく。
如何に対峙する黒いチャクラの鎧─須佐能乎─に身を包んだ男─うちはサイゾウ─をしても、まともに受ければ刺し貫かれる…かもしれない。
しかし視認することすら困難な速度のそれを、サイゾウは自らの持つ瞳力《写輪眼》で見切る。しかし動きが見切られていることに気づいてながらも、再不斬は突進を止めない。否、止められない。
高密度な赤黒いチャクラを刀身に纏わせながら、突き出し迫る再不斬。
サイゾウは再不斬の一撃を紙一重で受け流そうとし───その瞬間再不斬の顔が笑みに歪んだ。
「解ッ!!」
再不斬の気合いの声と共に、断刀がその姿を変える。四方八方に爆発するかのような勢いで、刀身を棘状に変化させたのだ。
「おおっ!!」
思わず感嘆の声を漏らしながら、サイゾウは瞬間的に須佐能乎へ込めるチャクラを増幅させ対処する。
“ガリガリ”と須佐能乎が削られる音を楽しみながら、サイゾウは次なる手を打つためにいつのまにか刀から手を離していた再不斬を見つめる。
「《水遁・霧隠れの術》!」
高密度の霧がサイゾウの周囲を覆い、数秒で視界が塞がれる。それと同時に断刀は棘状となった刀身を元に戻していき、霧の中に消えていく。
サイゾウは須佐能乎のみを動かすと、断刀が消えた方向へ向けて須佐能乎の右腕から《金剛鎚拳》を発射し霧を散らす。命中したかと思われた一撃だったが、向かった先にあったのは再不斬のチャクラを宿した《霧分身》だけだった。
他にも次々と現れる《霧分身》らしき気配を捉えながら、サイゾウは一分の油断もなく《万華鏡写輪眼》で周囲を警戒する。
いつの間にか、組んだ両腕は解かれていた。
「…上かっ!!」
「遅え!」
大上段から迫り来る再不斬の斬撃を、サイゾウは両腕を硬化することで受け止める。
急激に増した体重と斬撃の威力から地面へ足がめり込む。
サイゾウは腕に食い込む断刀の感触を味わいながら、不意に刀身が常より薄いことに、そして上の再不斬が《水遁影分身》だということに気づく。
「後ろだとっ!?」
気づかれると同時に水遁影分身の再不斬がほどけていく。それに合わせるように、後ろから“もうひとつの断刀”を持った再不斬がサイゾウへと迫っていた。
その上ほどけた水遁影分身はサイゾウを《水遁・水牢の術》で捕らえようとする。
「《闇満羽》!」
サイゾウはそれを万華鏡写輪眼の瞳術によって構成を破壊し防ぐが、その動きが致命的な隙となって本体の再不斬へ更なる踏み込みを許す。
「とったぞっ!」
「《八極掌・轟天》っ!!!!」
袈裟懸けに斬り伏せようとした再不斬であったが、サイゾウが全身のチャクラ穴から放出した《回天》の応用技《轟天》による衝撃波に吹き飛ばされてしまった。
「ぐっ…!くそ、これだけやってもダメか…!」
体勢を大きく崩した再不斬が前を見れば、そこには分けた断刀のひとつをこちらへ向けたサイゾウの姿があった。
「いや、かなりいい線いってたぜ。俺に万華鏡を使わせるなんざ、最近じゃ“三忍”くらいなもんだ」
サイゾウは刀の切っ先を下げ、立ち上がった再不斬へ向けてそれを放り投げる。
「…ふん、伝説の三忍と同格か。なら少しは、お前に預かった『守り刀』の役目も果たせそうだな」
放り投げられた断刀・鬼斬りは“とぷん”という水音を発してひとつの刀へと戻った。
「『音の守り刀十傑集』か。自分で設立しておいたなんだが、元七人衆が多いな」
「…雨由利の姉(あね)さんが生きてた上に、おまえの前でデレッデレだった衝撃は忘れられねえよ」
苦笑いと共に返す再不斬。彼自身もまた『音の守り刀十傑集』のひとりである。
ちなみに再不斬が見たのはJKスタイルでミニスカートを翻す『林檎雨由利**(なぜか読めなくなっている)歳』の姿である。それはそれは周囲が温かく見守るほどにノリノリだったそうな。
「お前こそ、最近じゃ男の娘のハクとしょっちゅうデートしてるそうじゃねえか。…で、どうだった?」
「…なんか色々おかしい気がするが、つっこまないでおいてやる。だが“どうだった”ってのはどういう意味だコラ?」
吹き上がるチャクラが鬼の顔を形成するが、サイゾウはニヤニヤしたゲスい表情を止めない。
「まったまたぁ~あんだけの美人に真っ正面から好意を向けられて“何もなかった”とは言わせねえぞ?ん?ちんちんが付いててもありゃもはや“そういう”美少女。付加価値ってもんだぜ…っどわおっ!?」
抜き打ちで放たれた斬撃を、上半身を真後ろに折り曲げて回避するサイゾウ。
「下卑た想像してんじゃねーぞ…!アイツは、アイツはな…!!」
「…俺なんか好きになるべきじゃねえってか?あのな再不斬、誰かを好きになるのに前提なんざ必要ねえぞ」
複雑な表情を浮かべる再不斬をサイゾウはブリッジしたまま諭す。
「ま、俺みたいに好きになったらその場で口説けとまでは言わねえけどな。向こうの気持ちも考えてやれや。…んじゃ、俺はムラムラきたから雪花に男の格好させて押し倒してくるぜ♪」
「待てやコラァッ!」
捨て台詞を言いながらブリッジのまま高速移動するサイゾウへ、思わずあらぬことを想像した再不斬は怒鳴る。
だがすぐに虚しくなったのか、その場に座り込んでしまった。
「…まったく、俺のどこがいいんだか」
「全部ですよ」
「ぬおぁ!」
不意に背後から囁かれた声に再不斬は驚くが、条件反射で繰り出すはずの斬撃はその人物へは向けられない。
「…ハク、脅かすな。ブッた斬るところだっただろうが…」
「フフ、再不斬さんはそんなことしませんよ♪」
ニコニコと膝を抱えてしゃがむハクの視線に耐えきれず、再不斬は一度向けた視線を逸らす。
「…何を笑ってやがる」
「再不斬さん見てるからです」
ハクの即答に再不斬はいよいよ何も言えなくなる。
向けられている好意には、再不斬とてとうの昔に気がついている。というより、本人から言われたそれが冗談ではないと知って困っている。
再不斬の脳裏に、かつて自分が好意を寄せた少女の姿が浮かぶ。
『霧隠れの鬼人』百地再不斬。
その二つ名と共に、自分がかつて為したことが有名になったのはいつからだったろうかと、再不斬は考える。
かつて霧隠れは、“血霧の里”と呼ばれるほどに陰鬱な里として知られていた。
三代目水影から続く恐怖政治。二代目水影の急死に伴う混乱期の間を縫うようにして始まったそれは、いつからか里の誰もが“慣習”として受け入れるようになっていた。
かつて再不斬は二度、この悪しき慣習を断ち切らんとしたことがあった。
一度目は鬼として同胞を斬った日。そして二度目は里そのものを転覆させようとした日。
再不斬がそこまでの行動を起こしたのは、それぞれに理由がある。
二度目は水影が四代目となっても何も変わらなかったからだ。
再不斬はそのことに、誰よりも絶望した。ゆえにクーデターを起こし、音隠れへと逃げ延びる形になったのだが、それはまたの機会に語ろう。
すべての始まりは一度目。三代目の頃、再不斬はある事件を起こした。
悪しき因習を破壊する為に。後に続く者達が、これ以上犠牲にならない為に。
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かつて少年だった頃再不斬の名は、三太夫(さんだゆう)と言った。
その頃各地の里に生まれることの多かった十年に一人と評される逸材。それが彼だった。
それだけがこのときの彼の全てだった。
血霧の里と呼ばれる霧隠れだが、霧隠れのアカデミーに通う者達は、卒業試験を受けるまでその内容を知らない。
───だがその試験を受けた者がどうなるか。
───優しかったはずの先輩がなぜ豹変してしまうのか。
後輩である者は皆(みな)、薄々気づいていた。
そして三太夫は優秀だったことから教員らの会議を盗聴し、そのことを逸早く知ってしまった一人だった。
成績順に選ばれた百名を対象に、三年に一度行われる卒業試験。それが意味するモノを。
『逃げようシロ!こんな里にいるべきじゃない…!ここにいれば、俺たちはどっちみち死ぬことになる…!!』
幼い再不斬、三太夫少年は同期の少女シロを連れて里を抜けることを考えていた。
こんな里に拘る必要はないと。手土産に里の内情を持ち出し、木の葉隠れの里へ亡命する。それが三太夫少年の計画だった。
『ごめん三太夫…それはできない。だって、私たちが逃げたら後の子達はどうなるの?…きっと、これまでと同じ。何も知らないで傷ついて、何も知らないで死んでいく。私はそんなの嫌だよ』
きっぱりと告げる少女に再不斬は何度も説得を試みた。それを耳にする忍もいたが、三太夫少年が才能豊かだったこと。どうせ逃げられないことから、あえて見逃されていた。
『そんなこと言ったって、どうするんだよ!?卒業試験の日を迎えれば、皆で殺しあうことになるっ!薬で頭をおかしくされて、気がつけば人殺しだ!俺は…!俺はみんなを傷つけたくなんかないっ!』
『…自分が殺されるかも、ってことは、考えないんだ?』
『…っ!そ、それは…!』
シロの言い分に三太夫は二の句を告げられず、黙ってしまう。
『三太夫は優しいね。…ねえ、頼みたいことがあるの』
『え…?』
『今度の卒業試験…きっと、私たちは殺し合うことになるんだと思う。逃げようと思ってもきっとダメ。三太夫、あなたは気づいてないかもしれないけど、暗部の人間が私たちを監視しているわ』
衝撃の事実に三太夫は答えることができない。まさか、とは思う。けれど、三太夫には想像がついてしまった。彼女が、シロが何を自分に頼もうとしているか。
『…それでも私たちが処分されていないのは、きっと彼らも諦めているから。逃げることもできないなら、せめて希望だけでも見せようって。笑っちゃうよね。…だから三太夫。“あなたが私を殺して”。“私達全員”を』
『…ダメだっ!そんな、そんなのできるはずがないっ…!』
『お願い、もうそれしかないの。霧隠れの上層部も、卒業試験で一人を残して全員死んでしまうなんてことになれば、卒業試験を考え直さざるを得なくなる。そうすればきっと他の人も動く。必要なのは“きっかけ”なの。“こんなことに意味はない”って知らしめる“きっかけ”が必要なのよ!』
三太夫はシロの真剣な目を逸らさずに見つめ、震えながら黙考する。
(どうすればいい。どうすればシロを助けられるっ…!考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ…!!!!)
必死に頭を回転させる三太夫。だが彼の頭はそれ以外に選択肢がないことをわかってしまった。理解してしまった。自分がその気になればそれができることも…。
『俺じゃなきゃ…ダメなんだな…』
『うん…私は死ぬならあなたに殺してほしい…』
『わかっ…たッッ…!!』
三太夫は悔しさのあまり唇を噛み切る。ただ無力な自分が許せなくて。非力な自分が情けなくて。
それから数週間後。
霧隠れの卒業試験はつつがなく行われた。
彼らを監視する暗部は、最後まで微動だにしなかった。
それは一人の少年へのせめてもの敬意。
少年は最初叫び、吠え、狂ったように殺し回った。
少年は最後黙し、佇み、理智を極めたかの様に見下ろしていた。
狂気の殺し合いが終演に至る頃。少年はひとつの境地に達していた。
“無音殺人”。
風遁で音を消し。水遁の霧で姿を消し。ばらまいた血の臭いで体臭を消し。
最後には己の体から発するチャクラまでも消した彼の姿は“その場にあってその場にない存在”と化した。
そうして百の同胞から奪った命は、彼のチャクラに鬼を宿した。
そうしたなかで想い人たる少女もまた、彼の手にかかって死んだ。
そしてその日から、彼は自身の名前を変えた。
“百(桃)”の“血(地)”を啜った鬼としての名を背負い。
“再”び大切な人を“不斬(きらぬ)”誓いを立てて。
彼は自らを“桃地”の“再不斬”と名乗った。
…それが、霧隠れの鬼人と呼ばれた、哀しく強い男の誕生だった。
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ハクは再不斬に付き添いどこまでも着いてくる。
最初は再不斬もそれをよしとはしなかった。瞬身の術を使い全力で逃げたこともある。
だがそれが通じたのも最初のうちだけ。
数ヵ月もした頃には、なに食わぬ顔で再不斬の瞬身に食らいつく白がいて驚愕した。
最近では気がつけば側にいるほどだ。再不斬はそれが不快でないことに何より困惑していた。
やがてふたりは滝壺近くの岩の上までやってくる。高さにして木の葉にある“終末の谷”に匹敵するだろうか。
刀を岩に突き刺し、眼下の大瀑布を見やる再不斬。ハクは、その隣で静かにたたずんでいる。
───再不斬とハクが出会ったのは数年前。森で山菜取りをしていたハクを彼が助けたことが原因だ。
ハクを襲ったのは巨大な熊だった。だが幼いとはいえ、忍としての修行をはじめたハクを普通の動物が追い詰めたわけではない。
それは時々現れる突然変異でチャクラを操る動物。
通称“赤毛”と呼ばれる右目の抉れた人食い熊だった。チャクラの身体活性によって驚異的な怪力と俊敏性を誇る“赤毛”を前に、ハクは死を覚悟した。
───そこに現れたのが再不斬だった。
断刀・首斬り包丁をへし折るほどの怪力を持つ赤毛を前に防戦一方の再不斬だったが、折れた刀身を赤毛の口に捩じ込み貼り付けた起爆札を爆破。さらには口内に自身と赤毛の血を媒介とした《水遁・水龍弾》を叩き込んでようやく倒すことができたのだった。
再生能力を越える破損を受けた断刀・首斬り包丁はバラバラに砕け散り、二度と振るえぬだろうと再不斬は思ったが、そこへサイゾウが待ったをかけた。
無数の血と肉にまみれたバラバラの刀から発せられるチャクラを感知したサイゾウはそれらを全て回収し、音の里唯一の刀鍛冶『巌鉄(ガンテツ)』に依頼。
すったもんだの後、赤毛のチャクラが籠ったチャクラ刀『断刀・鬼斬り包丁』として甦ったのだ。
冒頭でのサイゾウとの戦いはこれを使いこなせるようになったかどうかの確認である。
「どうかしましたか、再不斬さん?」
暖かく微笑みながらこちらを覗きこむハクに、再不斬は言葉を詰まらせる。
無防備に近づくハクの顏(かんばせ)を見つめる。
上等な女よりもよほど整った顔。鼻孔をくすぐる甘い芳香(かおり)。僅かに紅がさした頬。
(…いつからこんな風になっちまったんだ)
再不斬は己の半生を振り替える。
血と臓物を掻き分け進んできたかのような人生だった。
同胞を斬り、想い人を斬り、そして誰よりも敵を斬り刻んできた。
血の臭いが体に染み付いたのはいつからだっただろうか。
臓腑の臭いを嗅いでもなにも感じなくなったのはいつからだっただろうか。
哀れに助けをこう敵の首を、無慈悲に斬り飛ばせるようになったのはいつからだっただろうか。
鬼と呼ばれた。鬼人と呼ばれた。血霧の里最悪の男とまで言われた。
それで、よかった。
一本の“首斬り包丁”としての人生。
糞にまみれた屑(くず)の人生。
気がつけば終わっている人生。
それで、よかった“はず”だった。
だが再不斬の今見る景色は違う。
ハクがいる。ただそれだけで景色が輝いて見える。
目の前の幼ささえ残る少年の性別などまるで気にならないほどに惹かれている自分がいることを、再不斬は気づいている。
常に彼を庇える位置に立てるよう、近くにいるときは無意識に歩幅を合わせている自分に気づいている。
だからこそ再不斬は怖いのだ。己の名にこめた誓い。それに足り得る相手を見つけてしまったことに。
だからこそ、どんなに想っていても再不斬は突き放し続ける。───そのとき自分を見ないことを知っているハクが、どんな表情で再不斬を見つめているか知らないまま。
「…ハクよ。お前が俺を慕ってくれていることは知っている。だからこそ何度でも言う。俺のことは忘れろ。俺は“鬼人”だ。鬼と呼ばれ、多くを斬って生きてきた修羅だ。俺なんかよりもいい相手なんぞいくらでもいるんだ。“諦めろ”、俺はお前を愛せない」
再不斬は殺気すらこめてハクを威圧する。“諦めろ”という言葉が、どちらへ向けられたかわからないままに。
しかし再不斬の渾身の説得にも関わらず、ハクは涼しい顔でそれを受け流す。
「イヤです、諦めません。…ねえ再不斬さん。僕、あなたのことが好きです。愛してます」
「…知るかよ」
真正面から向けられる“好意”の感情。再不斬は胸を引き裂かれるような気持ちになりながら、うつむく。
(…どうすればこいつは諦めてくれる)
再不斬は勘違いをしていた。
彼は自分がハクを殺してしまうかもしれないことを恐れている。
いずれ自らの手でハクを斬り殺す日が来るかもしれないことを恐れている。
幾度人を斬っても忘れることのできない、“あの日”の感触が訪れるかもしれないことを恐れている。
「…でも、再不斬さんがどうしてもダメだっていうなら、仕方ないですね。さようなら、再不斬さん」
そのときハクが取った行動は、再不斬をしても予想だにできないものだった。
トン、という軽い音と共にハクが大瀑布へと飛んだのだ。
「………っっ!!!!」
再不斬は先ほどまでうつむいていた己に呪詛を送った。
なにをしていた、この間抜け!と。
滅茶苦茶なチャクラコントロールでその場に転びそうになりながら、再不斬は己の断刀の存在すら忘れて落下する水を蹴りながらハクへと追い付くために加速する。
不規則な飛沫をあげながら、ようやく追い付いた再不斬はハクを抱き止める。
お互いに無言。だが滝壺に落下するまでの間…ふたりは静かに抱き締めあった。
__________________________________
「っこの!大馬鹿野郎がっ!!!俺なんかにフラれたくらいで…!こんな“人でなし”にフラれたくらいで死ぬんじゃねえ!」
全身ずぶ濡れになりながら、抱き止めていたハクを下ろした再不斬は全身を震わせながら怒鳴る。
あまりの怒気に近くの林から小動物達が逃げ惑い、さすがのハクも気まずい顔でうつむく。
「………だって」
「だってじゃねえ…!くそっ、こっちが死ぬかと思ったぞ!?」
「大丈夫ですか、再不斬さん?」
本気で心配してくるハクに再不斬はなんと言っていいかわからなくなり、頭を乱暴にかきむしる。
ハクとしては再不斬に嫌われること以上の恐怖など無いのだ。恐るべきは思春期の片想い(?)である。
だからこそハクは次に再不斬から告げられた言葉に固まった。
「脱げ」
「へ?」
「いいから、脱げって言ってるんだよ」
その言葉にハクは目の前の再不斬を急激に意識して全身が熱くなる。濡れて冷えた体がむず痒くなるほどに。
「いや、あの、ちょっと待ちましょう再不斬さん。僕もそれなりに覚悟はありますからせめて初体験はベッドの上で…」
「四の五の言ってるんじゃねえ」
「ひゃ…!」
再不斬は自分が着ている忍装束を乱雑に脱ぎ捨てると、ハクの服を手際よく脱がしていく。
ハクは顔を赤くしたまま動けない。
再不斬はいつの間にか自身の覆面がとれていることに気づくが、どうしてかハクが相手だと顔を隠さなくてもいい気がしていた。
「…どうしても俺じゃなきゃ、ダメか」
蚊の鳴くような小さな問いかけ。その間も再不斬の手は止まらずハクを脱がしていくが、ハクは彼がようやく絞り出したすがるような声を聞き逃さず、固くなっていた体から力を抜いて再不斬の顔を見つめる。
「…はい、どうしても再不斬さんじゃなきゃダメです」
再不斬の目を見て告げたハクは、そのまま体を伸ばして再不斬のむき出しになった唇へと己の唇を合わせる。
不器用で、幼い口づけ。再不斬に言えるのは、一言だけだった。
「手加減は…努力しよう…」
__________________________________
「ふぅ…はっ、はっ、はっ…!!」
お互いに一糸纏わぬ姿となり、再不斬とハクは水車小屋で体を重ねあう。
皮肉にも落ちた滝壺の近くにあった水車小屋にはタオルとベッド、そして暖炉があり、濡れたふたりが暖めあうには最適だった。ちなみに家は竹製である。
「再不斬…さん…!」
「ハク…!」
不器用なふたりは貪るように互いを求めあう。
まだ再不斬は幼いハクの中に挿入していなかった。
興奮しすぎた己の怒張がハクを傷つけやしないかと、これまで密かに夢想していたハクの体を前にしたこともあって入念すぎる愛撫を先に与えていた。
ハクは息も絶え絶えな状態で、己の全身に与えられる再不斬の体温と刺激に歓喜していた。
再不斬の舌がへそから横腹をはいまわり、時おり白磁の肌に噛み痕を残しながら上へと進む。
ほんのりと桜色の小さな蕾はすでに鬼の唾液で“ぬらぬら”と濡れ光っており、精一杯の存在感を出すつもりなのか固く勃っている。
しかし再不斬が弱所であるそこへ触れたのは最初だけで、すでに二時間近くの間ハクは全身へ落とされるキスと口戯で三回射精させられていた。
「ああぅ…再不斬ひゃん…も、無理です…んにゃあっ!?」
すでにハクは限界を越え、甘い痺れに抵抗できなくなっていた。そこへ容赦なく再不斬がハクの小さな“屹立”を咥える。
「う゛っ、あ゛ぁ゛っ!!だめ、だめええっ!!」
熱い舌が己の“屹立”を這い回る感触に耐えられず、ハクはあっさりと達してしまう。
再不斬は白濁をすべて飲み干すと、いよいよと言わんばかりにハクの尻を割り開く。
菊の花にも似たその“すぼまり”へと、興奮冷めやらぬ再不斬はなんの躊躇いもなく舌を伸ばし、ねぶる。
「あ゛あ、はぁ、いぅ、あっ、はぁ、ああ…」
舌が前後左右に、縦横無尽に動く。
舌と交代で射し込まれた指が、少し進んだ先にある“コリコリ”とした急所の裏側を責め立てる。
何度目かの射精に、ハクは腰を震わせる。
「あ…ダメ…再不斬さん…」
限界を迎えたハクはとうとう失禁するが、それさえも再不斬は飲み込んでいく。まるで“お前のなにもかもが俺のものだ”と宣言するかのように。
「ハク…」
「あ…」
耐えて迸った先走りによりすでにドロドロになった己の逸物をあてがい、再不斬はハクへ口づけを落とす。
体を支配する熱はまるで冷めようとしない。それどころか、お互いの身も心も灼熱へと追いやっていく。
「はっ…はっ…はっ…ぁ…!」
ゆっくりと。だが確実に埋まっていく再不斬の逸物。
許容量を越えたその大きさにハクは息を詰まらせるが、再不斬が無理矢理口づけすることで呼吸を引き出し、その息を整えていく。
ゆえに注挿は、時間をかけて行われた。
それでも30分も経つと、この日の為に“後ろの穴”で自慰してきたハクは今の状況を再認識して“ぽろぽろ”と涙を流す。
「嬉しいのか…ハク…」
再不斬の問いかけに、もはや喋ることも叶わず静かにうなずくだけのハク。
再不斬もまた、全身を震わせる歓喜に身を委ねながら、ずくりと疼く心の傷が癒されていくのを感じる。
ずにゅ、くちゅ、くちゅ。
重なりあう逢瀬は終わりを知らないかのように続けられる。
再不斬は“なぜか置いてあった”ローションを結合部に垂らし、そのヒヤリとした感触に体を震わせるハクに愛しさを感じながら注挿を激しくしていく。
くちゃ、ぱんっ、ぱんっ。
肉と肉が打ち合う音。尻と腿の肉が重なり、音が小屋に響く。
何度目のキスだろうか。もはや頭蓋までとろけたかのような感覚に支配されたハクも再不斬も、お互いを求めることしか考えることはできない。
だがすべてのことがそうであるように、逢瀬にも終わりは来る。
「もうっ…ダメだっ…ハクっ!!」
「あぅ、ああっ…!再不…斬…さん……っっ!!」
互いが互いの名を呼びあいながら、同時に絶頂する。
ハクは流し込まれる再不斬の白濁を腹の奥で感じとりながら、あとどれだけまぐわっていられるのかを艶然と微笑みながら考えた。
__________________________________
「…あー、なんていうか、無事か?」
「…聞くな」
サイゾウが思わずそう聞きたくなるほど、再不斬はやつれていた。
反面艶を増して通りすぎる人々が男女問わず振り向くような変貌を遂げたハクは、今は母親に連れていかれている。
雪花は「お説教します!」と息巻いていたが、あれで耳年間な雪花のことだ。詳細を聞いて今度の閨では同じことを求めてくるに違いないとサイゾウは期待に股間を膨らませていた。
「ああ、そうか。うんうん、なるほどな。…で、どうだった?」
「…色々礼はあるが、動けるようになったらひとまずブッた斬ってやる…!」
ゲスいスケベ顔のサイゾウだが、無論のこと再不斬とハクが体を重ねた水車小屋はサイゾウが用意したものである。
異様に用意がよかった水車小屋だが、これは二人がよく一緒にいる場所が滝壺であったことからその近くに全く同じものを十件ほど用意してあっただけである。
そんなサイゾウの先読みに再不斬は礼を言えばいいのか怒ればいいのか複雑な心境に陥るが、不意に母親と一緒に帰ってきたハクを見て柔らかく微笑む。
音隠れの里には、数多くの忍が集う。
居場所を失った者。
大切な人を失った者。
誰もが再び希望を抱けるわけではない。
だが、この里を守る“刀”のひとつは揺るぎない心を得た男。
かつて鬼と呼ばれながら、人としての己を取り戻した男。
彼が守るのは、氷の鏡に写る魔性の少年。それはすなわち、彼が暮らす場所すべて。
であるならば、この里で暮らすことになんの不安があろうか。
鬼の目は、常に彼が住む場所を写しているのだから。
なぜか再不斬の刀が元の名前【人斬り包丁】になっていたので訂正。恥ずかしい(*/□\*)
お楽しみいただけましたでしょうか。
活動報告でも書いたんですが、自分再不斬さんが好きすぎてこれでも相当圧縮してます。
過去編とか、白との出会いとか。
あと、作中で白の表記をこの話ではカタカナにしてあります。理由は読んでても書いてても紛らわしいため( ̄▽ ̄;)
ちなみに過去編で出てきた彼女は設定だけ無駄にあります(笑)
いやもうね、後書きだから書かせていただきますけど再不斬さんだけでぶっちゃけ10話くらい書けるんですよ。それくらい好きなんですよ彼。
おまけにヒロインが男の娘とかなにこいつって感じですし(´・ω・`)ウラヤマシス
とはいえそんなことになった日には盛り上がりはするでしょうけど、脱線甚だしいのでどうにか10000文字に圧縮。大体当初予定の6分の1ですがそれでもこんな文章量に…
ということで他の十傑集は本編描写でさらっと紹介になるかもしれない。
JKの雨由利姉さんのお話が見たかったら感想で教えてください。本編はさらに遠退きますけど書きます(笑)
補足★説明
・『断刀・鬼斬り包丁』
再不斬が元々用いていた断刀・首斬り包丁が、赤毛との戦いで砕け再び打ち直したもの。
材料に柱間の用いたチャクラ刀が用いられている。
“血”そのものの性質を持ち、さながら某漫画の血闘術のごとく変幻自在の性質を持つ。
再び打ち直される際に再不斬の血も混ざっているため、彼自身の血を加えることで刀身をさらに巨大にしたり、逆に輸血したりすることも可能。
ちなみに自在に変形させられるのは再不斬のみ。その際にはそれなりにチャクラを用いる。
・《霧分身の術》
単品ではバレバレなので使いどころが限られる忍術。霧隠れの術と併用することで真価を発揮する。原作がどうなのかは知らないが、チャクラを混ぜた霧である霧隠れの術は一種のチャフやジャミングに似た性質を持ち、チャクラなどから感知して動きを探られることを防ぐ特質を持つ。ここに霧分身を追加することで、不可視の霧のなかで相手をさらに錯乱させることが可能となる。対応策として火遁などで霧を晴らされてしまうと同時に分身も解けてしまうのが弱点。とはいえ少ないチャクラで万華鏡でも誤魔化せる優れもの。