※この作品はR-18です。

うちはの火影   作:SHV(元MHV)

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幾つかパターンを考えてましたが、そのまま原作突入にしました。

アカデミー卒業とか鈴取りとかはカット。特に鈴取りなんぞやった日には強化され過ぎて練兵場が崩壊しちゃうので(´・ω・`)




波の国での任務① ★

音を崩しかけた不協和音より数年。

 

ここは木の葉隠れの里における火影の執務室。

 

そこに、白い仮面をつけ最近上忍として復帰したナナシに引き連れられて、三人の少年少女がやって来ていた。

 

「父さん、今度こそちゃんとした任務くれってばよ!」

 

「おいナルト! こういった場では火影様と呼べって言われてるだろ!」

 

「あ! わ、悪いってばよ。えっと……火影父さん!」

 

サイゾウが話しかける前からマイペースに自分の欲求を訴えかけるナルトだったが、これをサスケが諫めた。

 

だがナルトの要求も無理はない。木の葉でも初期の下忍にはまともな任務など割り振られないとはいえ、たぐいまれな実力を持つ彼らが家出の猫探しやら、どぶさらいなどと言った雑務を半年以上行っているのだ。フラストレーションも溜まるといったものだろう。

 

さらに厳しい修行を日々自らに課しているナルトからすれば、自分へ任務を割り振る父親にもっと自分を認めて欲しいといういじらしい願いの表れでもある。

 

なお、目の前で行われたナルトとサスケの寸劇にサイゾウは無表情を貫いているが、これはナルトが可愛くてニヤつくのを我慢している為である。

 

(火影父さん……ブフッ!)

 

(火影父さん……ククッ!)

 

また同じく無表情だが、横では護衛として控えるサイゾウの弟であるシスイと、同じく護衛のサソリが内心で吹いていた。よく見ればシスイは口元をひくつかせているし、サソリも顔を背けていた。

 

ちなみに今日のタカノの護衛はノノウと自来也のふたりである。また彼女には基本的に距離をおいて日向とうちは、さらには里から選りすぐられた者による護衛小隊が3チーム付いている。両親ともに権力使いまくりであった。

 

「んんっ! ナルト、任務はきちんと実績に応じて割り振るのが当然だ。だが、戦闘力で言えば並の上忍を上回るお前らになんでこんな雑務ばかりをやらせてきたのかにも意味がある。サクラ、君はわかるか?」

 

「へっ! わた、わたしですか!?」

 

ワタワタと慌て、両手を忙しく動かし始めた少女。名前を春野サクラという。

 

名前の通り桜色の髪をした可憐な少女だ。

 

忍者アカデミー設立以来の秀才と呼ばれ、既に知識量だけなら上忍に匹敵するだけの頭脳を有した天才少女だ。

 

それだけに、彼女の将来性を見込んだ情報処理担当の上忍達からはそれとなく注目を浴びていた。

 

しかし本人の目指すモノがハッキリする前に選択肢を狭めるのはよくないとして、スカウトなどの行為は火影であるサイゾウから止められている。なにかと優遇はされているが。

 

「……わたしが、いるからでしょうか」

 

どこか気落ちした雰囲気で問い返すサクラ。その自信無さげな様子にサイゾウは己の良心がわずかにチクリと痛むのを覚える。

 

彼女を含めた下忍第七班の構成は、うずまきナルト、うちはサスケ、そして春野サクラの三名である。これに彼らの監督者をも兼ねるナナシが加わって任務を受ける。

 

成績はともあれ、規格外の二人に天才とはいえ何故方向性の違う彼女を加えたのか。

 

それは偏(ひとえ)に、彼らふたりに“後ろ”を意識させる為だ。

 

サスケとナルト。彼らは変則的な人柱力の力の使い手である。

 

九尾直々に認められたふたりは既にチャクラを衣として扱うこともでき、さらにはこれまでネックだった二人が物理的に繋がっていないとチャクラリンクが切れてしまう問題もこの数年で解決していた。

 

そう、彼らは齢13歳という年齢にして、正面からなら既に影に準じる実力を有しているのだ。

 

勿論経験値はまだまだ足りないし、搦め手を使われれば手も足も出ない可能性はある。

 

だがその程度ならば監督者を兼ねるナナシが十分にカバーできるし、何より生半可な手段では抑えきれないだけの潜在能力(ポテンシャル)がある。

 

話を戻そう。そんな彼らに、如何に優秀とはいえ下忍の枠を越えないサクラをつけたのはなぜか。

 

それが先ほど述べた“後ろ”だ。ナルトとサスケのふたりは強い。だが強くなった彼らに、今だからこそ誰かを守る大切さを教えたい。

 

サイゾウはそう考え、彼女を小隊の仲間として迎え入れさせた。

 

また、サクラが後ろにいるという事実は、彼らふたりの無茶な特攻を止めさせる効果もあった。今となってはサイゾウの思惑以上に彼女は役立っている。

 

「残念、外れだ。そもそも難易度で言えば、お前達下忍にはBランクの任務でさえ任せるわけにはいかない。そもそもナルト、サスケ。お前達が仮に高難易度の依頼を任され、達成したとしよう。そうなったとき、そもそもどう報告すればいいのかわかるのか? ましてや報告書が書けませんでは話にならんぞ」

 

「うぐ……!」

 

「……ある程度の報告書なら書けますが、それだけではないということですか?」

 

ナルトは痛いところを突かれたとばかりに顔をしかめ、サスケは単なる書類上の報告に収まらないという意味を見抜いて逆にサイゾウへ質問する。

 

「そうだ。本来、Bランク以上の任務というのは中忍以上の忍が請け負う代物だ。それに伴う危険はもちろんだが、最低限必要なものが求められる」

 

「そうか……! 中忍以上ということは、ある程度自分の判断も加えて、より正確な情報や加味すべき内容を簡潔にまとめる必要があるんだわ!」

 

「正解だ、サクラ。そう、高難易度の任務を達成する為に必要とされるのは“判断力”と“洞察力”。この二点を考慮できない者を向かわせたところで、例え目標を達成できても意味がない場合があるからだ。そして高難易度の任務を任せられるのは同時に信頼の証。わかるか? お前達にはま(・)だ(・)それが足りないんだよ」

 

「「……!」」

 

父親から、誰よりも尊敬する人間から告げられた“信頼できない”という言葉に二の句を告げられなくなるナルトとサスケ。

 

だが当然サイゾウがそれだけで話を切り上げるはずもない。今度は笑みさえ浮かべて全員に語りかける。

 

「だがそ(・)れ(・)はお前達の話。担当上忍であるお前が代表して任務を受けるならば話は違う。そうだな、カカシ」

 

「……あの、五代目までそっちで呼ばれるとホントこの名前にした意味があるのかなーって最近思うんですけど……」

 

ナナシは汗すら浮かべて問いかけるがサイゾウはまるで気にしていない。ちなみに彼をナナシと呼ぶのは暗部の元同僚のみである。

 

「まあ気にするな。で、どうする? 丁度今波の国への護衛任務があるが、受けるか?」

 

「……はあ。まあこれだけお膳立てされて受けないってのも無いでしょうし。いいですよ、俺が責任を持って引率しましょう」

 

「応、任せたぞ」

 

短いやり取りではあるが、ナナシに任されたのは何も任務だけではない。

 

うちはサスケは将来を有望視されるうちは一族の天才にして、初の外部から人柱力の力を制御した逸材である。

 

うずまきナルトは四代目の忘れ形見であり、九尾の人柱力であり、五代目の義理の息子でありと、正直なぜ軟禁されていないのかが不思議なほどの立場な存在である。

 

そしてオマケではあるが、春野サクラ。この少女が持つ稀有な才能はサイゾウ自身も買っている。優秀な処理能力を持つ忍としての将来性もさることながら、幻術への適正、さらには医療忍術にも応用できるほどのチャクラコントロールを持つのだ。

 

それら全てを引っくるめてサイゾウが“任せた”と言葉にしたのは、この子供達三人を絶対に守り抜けという意味でもある。

 

ナナシは人知れずかかるプレッシャーにため息をつきたくなりながら、久しぶりに酒が飲みたくなっていた。

 

__________________________________

 

 

「やあ諸君、お待たせ」

 

時刻は集合予定時刻より三十分後。元はたけカカシことナナシは平然とした様子で依頼人と共に待つ三人の少年少女の元へと現れた。

 

「カカシ先生ってば遅いってばよー!」

 

「まあいつものことだけどな」

 

「……あはは、あたし達予定時刻からの三十分間で勉強するクセついちゃったね」

 

例のごとく遅刻してきたナナシ。カカシとしか呼んでもらえないのはもはや様式美である。

 

「ふんっ! 高い金を払って忍を雇ったというのに、超遅刻してくるとはどういう了見じゃ!」

 

「いや、それは、はい、どうもすいません」

 

ナナシも謝るが、どこか気の抜けたような仕草は依頼人である老人タズナを余計に怒らせてしまう。

 

なんとかサクラが取りなし出発する一行だったが、出だしから失敗するような展開にナルトは不満を抱いていた。

 

一行が向かう波の国とは、大名こそいるものの隠れ里もない小国である。霧隠れと木の葉隠れの間に存在するこの国は、早くから木の葉へと立場を寄せることで戦争による被害を最小限にしてきた経緯があった。

 

だが時代の流れか、近年弱体化した霧隠れの隙をついてか、海運業をきっかけにひとりの男がこの国を実質支配し始めた。

 

その男こそガトー。彼の取った手段は単純。波の国の交通網をすべて自分が牛耳ったのだ。

 

当然反発はあったが、彼は海運会社ガトーカンパニー会長にして、五大国でも有数の実業家である。

 

そして、裏の顔として『闇の世界の帝王』という二つ名まで持つ男だ。

 

事実、彼のアンダーグラウンドへの影響力は大きく、無数にあるカジノ経営に始まり、抜け忍や浪人ら、果てはギャングまで使っての暴力行為によって数知れない無実の人間が命を奪われてきていた。

 

(……どう考えても普通の護衛任務じゃなさそうだよなぁ、サイゾウ先生も人が悪いよ)

 

内心で師匠に向かって文句を言うカカシだったが、それも無理のないことだろう。

 

なにせこの任務に関しての書類を受けとる際、シスイから密かに暗部三個小隊を護衛と調査に割くとまで言われたのだから。

 

絶対に何かある。それはナナシの中で確信へと変わっていた。

 

だが結局、しばらくは何事もなかった。何度か宿を利用し、サクラやナルトに至ってはちょっとした旅行のつもりなのかお土産なども買っていた。

 

護衛任務とはいえ、向かう先の波の国は木の葉の傘下。本来であれば警戒するべき霧隠れも今となっては木の葉より下の立場にある。

 

道中の盗賊などは全員が警戒していたが、特別な緊張感などあろうはずもない。ナナシはそんな油断しきっている部下達をあえて放置していたが、サスケだけは一人冷静に違和感を感じ取っていた。

 

そんな風にして街道を進む一行。しかし、不意に水溜まりを発見したサスケが全員の歩みを止める。

 

「待て」

 

手を出し、チャクラを練りつつ写輪眼を発動して周囲一帯を監視するサスケ。ナルトは即座に意識を切り替え、体内のチャクラを練りつつ九尾である九喇嘛に相談する。

 

「九喇嘛、なにか感じるかってばよ」

 

(“……ああ、気配を隠すのが下手くそな連中がざっと20人ばかり潜んでいるぞ”)

 

「わかった。行くぞサスケ」

 

「ああ、行くぞナルト。20人程度なら俺たちだけで十分だ。カカシ先生、そ(・)い(・)つ(・)ら(・)は任せます」

 

ふたりは瞬時にチャクラの衣を纏うと、驚くべき早さでそれぞれが別方向へ突っ込んでいく。

 

「やれやれ、勝手に行動しちゃダメでしょうに。後でお説教だな」

 

言いつつカカシは水溜まりから不意に現れた二人組の忍を、視線を向けることすらなく倒してのける。

 

「ど、どういうことじゃ……!?」

 

これに慌てたのはタズナである。彼が今回護衛の任務を依頼したことになんら思惑なく、ただ義理の息子から安全に帰ってこれるように渡された支度金があったからに過ぎない。

 

だがこれでは、まるで自分を狙って賊が襲ってきたようではないか。そうタズナは考える。

 

「……その様子では、なにかを隠しているというわけではなさそうですね。サクラ、彼の護衛を頼む。タズナさん、彼女から絶対に離れないでくださいね。《口寄せの術》!」

 

ナナシは己が頼る八匹の忍犬を口寄せする。

 

鍛えられた犬は人間よりも感覚に優れ、爪や牙は道具が使えずとも十分な武器となる。ナナシが彼らを口寄せしたのはひとまず警戒網を敷き、現在こちらへ急接近しつつある巨大なチャクラへ自分一人が集中して対処する為だ。

 

ばきばきと木々をへし折りながら接近する気配の正体。

 

だがそのチャクラを完全に感知した時、ナナシは思わず驚愕の声をあげた。

 

「馬鹿な! 尾獣だと!?」

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」

 

現れたのは三尾の尾獣磯撫(いそぶ)。ナナシことカカシにとっても実に因縁深き相手であった。

 

__________________________________

 

 

響く咆哮。それは離れているとはいえ合流したナルトとサスケにもしっかりと聞こえていた。

 

「サスケ、向こうがヤバいってばよ!」

 

「ああ! だがこいつらを倒さなきゃ戻るのも難しいぞ!」

 

赤黒いチャクラの衣を纏った二人は敵の半数を瞬く間に倒したが、続けて現れたひとりの忍に存外に苦戦していた。

 

緑青(ろくしょう)アオイ。

 

雷を迸らせるチャクラのエネルギー刀を振るう抜け忍であり、横一文字に刻まれた額当ては木の葉隠れのモノであった。

 

対峙するナルトとサスケのふたり。目の前の男の実力は、かつて組手を行った本(・)気(・)で(・)は(・)な(・)い(・)鬼灯満月をふたりにイメージさせた。

 

「くくく、まさか人柱力が里の外に出向くとはな。お前達自分にいくらの懸賞金がかかってるか知らないのか? 精々手土産に儲けさせてもらうぜ!」

 

剣化した雷を振るい二人に迫るアオイ。

 

その手に持つのはかつて二代目火影千手扉間の用いた『雷神の剣』。彼はこれを盗んだ罪で指名手配されている賞金首である。

 

「へっ、俺達を土産にするなんて10年は早いってばよ!!」

 

「そういうことだ!」

 

チャクラとは扱う者の意思ひとつで如何様にも形を変える力を持つ。この作用を“形態変化”という。

 

ナルトとサスケはお互いの掌を向かい合わせ、チャクラを送り込み乱回転させていく。

 

次々と送り込まれ乱回転するチャクラは圧縮され、二人の意志が合わさることでその場に留められていく。

 

すると赤い光が球状となって彼ら二人の間に形成された。

 

ふたりが発動したのは形態変化の究極とも言える技。かつて四代目火影が得意とした必殺の一撃。その名も──

 

「「螺旋丸っ!!」」

 

赤いチャクラの球体を携え突進するふたり。

 

九尾チャクラによって高まった身体能力は爆発的な推進力を生み、一瞬で距離を詰める。

 

さらにはサスケの写輪眼で相手の動きを見切ることで、カウンター対策も行っている。

 

「螺旋丸だと! 馬鹿なっ!?」

 

緑青アオイは元木の葉の忍であり、ふたりが発動した忍術を知っている。

 

四代目火影が得意としたチャクラの形態変化を極めた忍術。まともに当たれば即死確定の技。

 

接近するそれを見ながらアオイは必死に頭を回転させる。

 

油断して近づきすぎていたせいで回避は不可能。相手に写輪眼がいる以上、生半可なカウンターは逆効果。

 

眼前に迫る破壊の渦。アオイは咄嗟に雷神の剣へ大量のチャクラを注ぎ込み、炸裂させた。

 

迸る雷光。轟く雷鳴。周囲で様子を見ていたアオイの部下達はその光景に思わず目を瞑る。

 

「がっ……! くそぉっ、俺の、俺の腕がっ!」

 

閃光が晴れたとき、そこにはナルトとサスケが倒れていた。アオイは、炭化し手首から先を失った右腕を抱えてその場にうずくまっている。

 

アオイが取った手段は、右腕を犠牲にした雷神の剣の暴走。

 

過剰なチャクラを流し込まれた雷神の剣は雷そのものと化し、螺旋丸のエネルギーさえも散らしてその場で炸裂したのだ。

 

これによって螺旋丸による致命傷は防ぐことが出来たものの、アオイは右腕と雷神の剣を失った。

 

「ぐぅ……! おい! 何をボサっとしてやがる! さっさとこのクソガキどもを回収しろ!! 尾獣がこっちに来る前にずらかるぞ!」

 

口角泡を飛ばす勢いで怒鳴り散らすアオイ。恐らく痛み止め(モルヒネ)の類いであろう簡易注射器を、残った左腕でどうにか自分に注射する。

 

その間部下が行動するのを待っていたアオイだったが、不意に誰も動いていないことに気づく。

 

気づけば、いつの間にか控えていたはずの部下達が全員倒れていた。

 

「な、なにが起きた!?」

 

「残念、もう少し頑張れると思ったんだけどね。ナルト君、サスケ君」

 

そこに現れたのは五代目火影うちはサイゾウの弟。うちはシスイだった。

 

自ら暗部三個小隊を率いてナルトとサスケの護衛及び波の国の調査を行っていたシスイは、部下を先行させてふたりの戦いを見守っていたのだ。

 

「……ま、まだ負けてないってばよ!」

 

「……そうだ、この程度でくたばってられるか!」

 

シスイの言葉に奮起したのか、二人は震えながらもどうにか立ち上がる。

 

だがどう見ても虚勢そのものの姿に、アオイはチャンスが巡ってきたかと考える。

 

「……ふむ、そうだね。じゃあこうしよう。もし君達が彼を倒せなかったら俺は彼を見逃す。どうだい、緑青アオイ。悪い条件じゃないだろう?」

 

笑顔で詰問するシスイ。アオイは冷や汗を浮かべながら、彼の提案を受け入れざるを得ない状況を理解する。

 

「……くく、いいだろう。だがいいのか? 片腕がない程度で俺がそのガキどもに負けるとでも?」

 

虚勢混じりに笑うアオイ。さらに何らかの薬品を取り出すと、おもむろにそれを炭化した腕へと注射する。

 

「がああ……!! く、ぐうっ、はあ、はあ、はあ……そして、これでガキどもの優位も消えた……!!!」

 

(柱間細胞……! ガトーカンパニー……これは一筋縄ではいかなそうだな)

 

警戒するシスイ。ふたりを成長させる為とはいえ、柱間細胞まで使うような相手にあまり好き勝手やらせるわけにはいかないと考えたシスイは自分が動くべきかと考える。

 

だが、それより早くナルトとサスケが動いた。

 

「だあっ!」

 

深く沈みこむようにアオイの足を取りに行ったナルト。

 

だがそれはあっさりと避けられ、続いて迫っていたサスケの手裏剣も難なくアオイは躱していく。

 

「まだだ!」

 

しかし躱された手裏剣はサスケがあらかじめ投げておいた手裏剣に当たり、まるで跳ねるようにして再びアオイを狙う。

 

「ちっ!」

 

避けるアオイだったが、今度は後ろから影分身のナルトが次々と襲いかかる。

 

九尾チャクラを纏っていない影分身一人一人の実力は彼にとって大したものではなかったが、その間にサスケとナルトは術の準備ができていた。

 

「《火遁・豪火球の術》!!」

 

「《風遁・追い風の術》!」

 

挟み撃ちの形でサスケの火遁をナルトの風遁が増強、逃げ場をなくしたアオイは全身を焼かれる。

 

「ぬおおおおぉぉ……!!」

 

それでも柱間細胞の回復力が続いているのか、火傷によって爛れた皮膚が瞬く間に再生していくアオイ。しかし再生という治療以上のチャクラ運用に彼のチャクラはあっという間に枯渇しかける。

 

「くそっ、チャクラの消耗が激しすぎる……! ガトーめ、半端なモノ寄越しやがって……!」

 

思わず文句を口走り膝をつくアオイ。その姿は隙だらけ過ぎた。

 

「「螺旋丸!!」」

 

「しまっ……ぐはあっ!」

 

再び螺旋丸を作り出したナルトとサスケによって、アオイは今度こそ回復不能なダメージを負って倒される。

 

「よっしゃあ!」

 

「今度は決まったな」

 

螺旋丸の驚異的な効果のひとつとして、生身で受ければ防御も受け流すことも不可能だという点にある。

 

強靭な肉体や驚異的な回復力があるならばその限りではないが、使用するチャクラ量に比例して指数関数的に威力が増加し、ましてや単純なチャクラの形態変化に過ぎないため優位な性質変化も存在しない。

 

四代目火影の用いたこの牙は、今ふたりの少年に受け継がれていた。

 

(あれが四代目の螺旋丸。俺も使うことはできるけど、実戦で使うには少し経験がいるかな。兄さんが驚異的だと言った意味がわかるよ)

 

緑青アオイは螺旋丸によって抉られた肉体をすでに回復させていたが、その消耗は激しく、また回復したにも関わらずダメージが抜けきれないのか気を失ったままだった。

 

「ご苦労様、ふたりとも。丁(てい)、戊(ぼ)、この男の連行を頼む」

 

シスイが声をかけると、音もなく瞬身で仮面をつけた暗部が現れ緑青アオイを連れていく。

 

シスイはそれを見届けると、ナナシことカカシが戦う尾獣の元へと向かうべく瞬身の術を発動した。

 

__________________________________

 

 

「■■■■■■■■■■!!!」

 

「くっ、《増幅口寄せ》でもダメか!」

 

どこか虚ろな目で暴れる三尾の尾獣相手に、ナナシは手をこまねいていた。

 

口寄せで呼び出した魔狼は序盤こそダメージを受けた分だけ増えるという特性を活かして立ち回っていたが、それも三尾の攻撃による珊瑚礁で身動きを取れなくされることで対策されてしまった。

 

「こんなとき写輪眼ならどうにか出来たのかも、って考えるのは贅沢かな。《神羅天征》!!」

 

ひとまず三尾を斥力で吹き飛ばし距離を取るナナシ。

 

「さてと……サクラ、動けるか」

 

「むむむ、無理ですぅ……」

 

半ベソになりながらヘタりこんでしまったサクラを後ろに庇いながらナナシは冷や汗を垂らす。

 

自分だけなら輪廻眼の力でどうにでもなるが、さすがにサクラとタズナの二人を庇いながらではどうにもならない。

 

ちなみにパックン達忍犬はすでに送り返している。巨大な三尾相手では無駄に殺されるだけだ。

 

しかしそこへ瞬身によって駆けつけたシスイが現れた。

 

「俺の出番ですかね、ナナシさん」

 

「……」

 

「どうしました? なにか問題でも?」

 

「いや、久しぶりにその名前で呼んでもらったからちょっと戸惑って」

 

「もう戻したらいいんじゃないですか? 全然浸透しませんし」

 

二人は会話しながらも三尾から目を反らさず隙を窺う。

 

「無難に《別天神》でいきましょう。カカシさんは援護お願いします」

 

「わかった。でも名前はちょっと切り替え早すぎない?」

 

「行きますよ!」

 

シスイは瞬身の術を発動し、一瞬にして三尾の頭上を占領する。

 

「来い……《須佐能乎》!!」

 

発動したシスイの須佐能乎が三尾へと落下し、その巨体を抑え込む。

 

なぜ片眼にしか写輪眼をもたないシスイが須佐能乎を使えるのか。それは須佐能乎の特異性にある。

 

須佐能乎とは《万華鏡写輪眼》に開眼した者だけが辿り着ける一種神の領域だ。

 

チャクラで構成された体は生半可なダメージでは破壊できず、自らの術を拡大展開することさえ可能な強みもある。

 

さて、ではその須佐能乎はど(・)こ(・)か(・)ら(・)来(・)て(・)い(・)る(・)の(・)か(・)。その答えは“脳”である。

 

うちはの写輪眼が開眼する際に作用するのは脳である。これはかつて二代目火影千手扉間が、戦乱の世で無法を働いたうちは一族で実験を行ったことからも判明している。

 

サイゾウは弟であるシスイが写輪眼を奪われて以来、彼の身を守る方法に腐心した。最も手っ取り早い方法は本人が強くなることであるが、それでも限度はある。

 

そこでサイゾウが考えたのがクローン培養した写輪眼の移植だ。

 

これは生来の写輪眼には及ばないものの、本人のチャクラに適合すれば十分に実用に叶う。

 

その際に判明したのが、須佐能乎が写輪眼無しでも発動できるということ。

 

ついでだからと両目を取っ替え引っ替えされたのはシスイにとって未だトラウマである。

 

とはいえそのときの経験から瞳力も上がり、必然的に須佐能乎の扱いにも慣れたのだからシスイも転んでもタダでは起きない根性の持ち主である。

 

「じゃあ抑えますよ……《万象天引》!!」

 

ナナシが地面に掌を叩きつけると、三尾の全身が急激に引っ張られて地面にめり込んでいく。

 

「よし! 《別天神》!!」

 

その隙をついてシスイが別天神をかけると、三尾は即座に沈静化し、眠るように気を失ってしまった。

 

「ふう……なんとかなったな。それにしてもとんだ大物が捕れたけど、これどうする?」

 

「尾獣が出た時点で兄さんに連絡を向かわせてます。あの人のことだから多分すぐに「ナルト無事かー!!」ほらね」

 

三尾を観察していたシスイとナナシは突如として現れたサイゾウに呆れる。どうやら《飛雷神の術》で駆けつけたらしい。

 

「うん? 俺は尾獣が出たと聞いたからてっきり“暁”の連中が出たのかと考えたんだが」

 

三尾を足蹴にしながら悠々と語るサイゾウ。心なしか意識がないはずの三尾がプルプルしているのはサイゾウに怯えているからだろうか。

 

「いや、恐らくだけど同じ尾獣である九尾の気配に釣られたんじゃないかな。たしか三尾って“暁”に捕まらなかったんでしょ?」

 

「なるほど、そういうことか。……ふむ、状況から察するにタズナ殿を狙った連中と三尾が偶然かち合ったと見るべきか。まあ簡単に結論は出せんが、この件に関しては他の暗部に調査させよう。では俺は帰るぞ。ああ、こいつは俺が持ち帰るから安心しろ。ナルト達によろしくな。サクラも頑張れよ」

 

「わかりました。五代目もお気をつけて」

 

「あ、ありがとうございます」

 

しばし準備に時間をかけつつも《飛雷神の術》で去っていったサイゾウを見送り、サクラは自分の里の最高権力者のフットワークの軽さに驚愕しつつナルトとサスケを待った。

 

「あれ? 今父さん来てなかったかってばよ」

 

「尾獣が消えている……サクラ、何があったんだ」

 

シスイに遅れることしばらくして、やってきたナルトとサスケ。これは彼らが遅いのではない。シスイが速すぎるのだ。

 

「えっと、三尾の尾獣が出たんだけどカカシ先生とシスイさんが倒してくれたの。そしたら連絡を受けてたらしい五代目様がやってきて持って帰ったわ」

 

自分で言っていてとんでもないことを口にしている自覚があるサクラだったが、事実なのでしょうがない。

 

「じゃ、俺は任務に戻るよ。ナルトくんもサスケもサクラちゃんも、カカシさんの言うことちゃんと聞くんだよ。それじゃ」

 

言って瞬身で立ち去るシスイ。

 

怒濤の展開に思考が追い付かなかったサクラだが、一件落着したかと思うと途端に力が抜けて座り込んでしまった。

 

その様子を心配したタズナが彼女に話しかける。

 

「大丈夫か、お嬢ちゃん」

 

「うん、怖かったけどみんな無事でよかった……」

 

「サクラ、悪いが少し休んだら出発するぞ。どうも色々キナ臭いからな」

 

「え、わたし臭いんですか……?」

 

「なに? いや今の言葉はそういう意味じゃなくてだな……」

 

自分の発言に涙ぐむ年頃の女の子の扱いなどどうすればよいのか。ナナシは本気で頭を抱えたくなった。

 

こんなことならなんであの種馬はまだ残っていてくれなかったのかなどと余計なことを考えつつ、ナナシは色々な意味で前途多難なこの小隊初の高難度任務がどうなるかに思考を割くのであった。

 

 

 

 




エロまで進まないR18でスマヌ(´・ω・`)

まあその分グロい展開多目にしておきますので。え、そうじゃない?

とりあえずサクラ可愛いよサクラ。個人的にはムチッとしてきた二部も好きですが、サクラは特に一部の方が好み。
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