※この作品はR-18です。

うちはの火影   作:SHV(元MHV)

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遅くなって本当に申し訳ない(´・ω・`)

うん、二年ぶりくらいにゲームをしたら思いの外楽しかったんです。

やってたのは世界樹です。すまぬ。

後はプライベートが忙しかったですたい。

とまあ言い訳はこれくらいにして、本編をどうぞ。詰め込みました。




波の国での任務② ★

まさかの三尾の尾獣襲撃、さらにはガトーの手配らしき抜け忍による襲撃を受けた一行であったが、辛くもこれらを撃退しすでに波の国へと入っていた。

 

「タズナさん、道中ご苦労様でした。我々はここで先行している他里の忍と合流する手筈になっています。何か心配がありましたら家まで送りますが……」

 

「いや、超充分じゃよ。ここまで送ってくれて助かった、あんたらがいなければワシは超死んでたからな。サクラちゃん、ナルトくん、サスケくん。三人も本当にありがとう」

 

「へへっ、気にするなってばよ」

 

「そうだ、正式な依頼を俺たちは果たしただけだ」

 

「そうですよ。気にしないでください」

 

そう言って、依頼を受けた当初の目的を達成した一行はタズナと別れてナナシの後をついていく。ちなみに別れ際タズナの家を聞いた一行は、機会があれば家に寄ってくれるよう声をかけられていたので、後程行くつもりでいた。

 

「カカシ先生、他里との合同任務だなんて初耳だってばよ。どういうことだってばよ」

 

歩きながら当然の疑問を口にするナルト。そのことは不意打ちで聞かされたサスケやサクラも思っていたことだった。

 

「……お前達には説明していなかったが、実は俺は任務を二つ受けている。ひとつはタズナさんの護衛。そしてもうひとつは、ここ波の国で起きている違法な取引の調査だ」

 

まじめな顔で三人に語りかけるナナシ。

 

「違法な取引……? あ……!」

 

サスケはナナシの言葉を訝しむように首を傾げるが、不意に思い付いたのか声をあげる。

 

「気づいたか。そうだ、今回お前たちが撃退した元木の葉の抜け忍緑青アオイは、本来なら持ち得ないはずの柱間細胞を使った超再生薬を持っていた。あれは音隠れで作られている極秘の試薬だ。本来あんな抜け忍が持っているはずがない代物なんだ」

 

「……やつは“ガトー”と口にしていた。もしかして、そいつがその違法な取引をしている張本人なのか」

 

「ああ、とはいえただ者じゃない。奴は海運王の名でも知られる世界でも有数の大富豪だ。そしてこれまでに合法非合法を問わず、やつが実質傘下に置いてきた小国や企業は両の指では足りないほどにある。今回そのターゲットに波の国が選ばれていることを知って、数年前から複数の隠れ里の忍が波の国で動いている。ま、もっともこれから会うのは潜伏している忍ではなく、俺たちと同じように派遣された人間だがな」

 

「ん~、難しくてよくわからないってばよ……あ!」

 

「ちょっと、どうしたのよナルト」

 

「そんなヤバい奴が狙ってるならタズナのおっちゃんそのまま帰したらダメだってばよ!!」

 

サスケとサクラはナルトのその言葉に一瞬戸惑い、次いで嫌な予感を感じたのか併せてナナシの顔を見上げる。

 

「そんな顔しなさんな。勿論、あのままタズナさんを素直に帰してるわけないだろ。ガトーの狙いがわからない以上、身柄を狙われた彼には護衛兼監視としてシスイがついてる。腕利きの暗部もセットでな。おいそれと手は出せんよ」

 

言いながらも歩き続ける一行は、やがて一見の茶屋で止まる。

 

「いらっしゃいませー!」

 

威勢のいい挨拶をかけてくる店員の少女に向かって、ナナシは何気なく話しかける。

 

「やあどうも。花(・)鳥(・)風(・)月(・)の(・)間(・)で待たせてる二人の所まで案内してくれるかな」

 

ナナシの言葉に少女はほんの一瞬動きを止めると、ニコリとナナシを見つめてから案内し出す。

 

その隙のない所作に、サスケは写輪眼で動きを学習しつつ今の一連の流れを反芻していた。

 

(……この女、ただ者じゃねえ。今カカシが合言葉らしきことを言った瞬間この場にいる全員を殺傷圏内に収めやがった。今も歩きながら、俺達が少しでも不振な動きを見せたらすぐに対処できるように歩いてやがる……!!)

 

目の前にいる自分と大して年齢が変わらないように見える少女を相手に、サスケは戦慄する。

 

だが、そんな彼の動揺も少女に扮したくのいち──卯月朝顔には微笑ましいものだった。

 

「フフ、あんまり緊張しなくていいですよ。私も木の葉の忍ですから」

 

奥の間の手前で、少女は変化の術を解くと、そこから妙齢の美女が現れた。

 

「卯月さんも人が悪い。俺とナルトにだけ殺気を飛ばさなくたってよかったでしょうに」

 

「あら、放っておくとサイゾウ様にせっつかれるまでボケッとしているあなたに言われたくないわね」

 

どうやら卯月朝顔は先ほどのやり取りの最中にナナシとナルトのみに絞って殺気を送っていたらしい。サスケはそのことにまるで気づけなかったが、侮られたという怒りよりも素直にけた違いの実力を持つ目の前の女への敬意が勝った。

 

「……凄いですね。俺には警戒しているように見えても、殺気までは感じとることができなかった」

 

「わたしが漏らした態度の変化を見切ることができただけでも大したものよ、サスケ君。でもナルト君はさすがね。全部わかった上でまるで無防備なんだもん。お姉さん毒気を抜かれちゃったわ」

 

夕顔が呆れながらも降参のポーズを見せたのは、大人しく後ろをついてきていたナルトだった。

 

「ん? でも俺にはサスケみたいに動きを見切るのは無理だし、それに父さん曰く“悪意がなくても人を傷つけられる奴はいる”って話だからそんなに大したことないってばよ」

 

稚気から向けたとは思えないほどに特濃の殺気をぶつけても何ら反応をよこさなかったナルトへ降参する朝顔。

 

ナルトは九尾を通じて人の悪意を感じ取れる。殺気を感じても、そこに悪意がないのを理解しているがゆえの無防備であるのだ。

 

「さ、雑談はお仕舞い。あちらさんも準備が出来たようだし、行きましょうか」

 

朝顔に促され、奥の部屋へと入っていく一行。

 

そこには二人の忍が待機していた。

 

「……おう、来たか」

 

なぜだかどこかゲッソリしているのは音隠れの守り刀十傑集筆頭桃地再不斬。

 

「ようこそいらっしゃいました、木の葉の皆さん。私は白(はく)、こちらは十傑集筆頭の再不斬さんです。あ、今お茶を入れますね」

 

とてとてと目の前を通りすぎる美(・)少(・)女(・)に目を奪われるサスケ。そのツヤツヤとした様子にナルトとナナシは「あっ」と口にしてお互いに目を合わせ沈黙する。

 

その様子にサクラは不思議な表情を浮かべていたが、答えがわかるでもなく首を傾げていた。

 

やがて白によってお茶が運ばれ、全員が席につく。卯月朝顔は再び変化して店子の仕事をするべく戻っていった。

 

「早速だが情報の擦り合わせといこう。そちらでも確認できたみたいだが、音隠れで開発した秘薬……通称“仙丹”の類(・)似(・)品(・)が最近出回っている。法外な値段だがな。こちらでも手にいれたが、作用そのものは同じでも大分粗悪品だ」

 

言いつつ、再不斬は予め用意しておいた粗悪品の方の仙丹を机に置く。

 

「こいつを服用すれば、手足が無くなるような重傷でもたちまち回復する。だが本来の仙丹と違い、チャクラを無尽蔵に吸い上げてしまう副作用がある。音隠れ(ウチ)で開発した仙丹はむしろチャクラが回復するからな」

 

「それがあるからこそ、音隠れは一気に新たな五大国として名を上げましたからね。まあ、霜隠れ、湯隠れ、滝隠れと、中規模な里の難民らを含めてまとめて吸収してくれたんです。木の葉としても願ったり叶ったりでしたが」

 

「それに関しちゃ俺は大して役に立ってねえ。主なところは大崎だし、存外にパクラと雨由利の姉御が頑張ったからな」

 

黒ゼツの乱とも称される五大国を揺るがす一大事件の後、五大国の関係には明確な変化があった。

 

まず、実質的に軍事力として崩壊した霧隠れは木の葉隠れに半ば吸収されるような形でその傘下となった。

 

これは水の国をも含むことであったが、幸いにも大名は現状を理解できる人間だった為混乱は最小限で済んだ。

 

音隠れは黒ゼツによって里を壊滅状態に追い込まれた霜隠れ、湯隠れ、滝隠れといった隣接する里を吸収。

 

これには急遽発生した難民を受け入れる、といった意味合いが強く、実際に各国で発生した混乱に伴って盗賊や野盗の類いが乱発し正規の忍びらはそれらの対処にも終われていた。

 

「ま、そのことはいい。問題は、粗悪品でもやつらにこ(・)れ(・)を作る技術力を持った連中と繋がりがあるってことだ。……そして、俺らはその技術力を持った連中に当てがある」

 

「……“暁”か」

 

“暁”。空前絶後のテロリストとして、そのメンバーの大半が生死を問わない指名手配と化している組織である。

 

元々は対話による平和を理念とした組織であった筈が、今となってはかつての理念とは程遠い組織として名を馳せているのは実に皮肉であった。

 

「そうだ。とはいえ、もはや“暁”としての実態は無いに等しいがな。便宜上そう呼ばれているだけだ」

 

「現時点で、ガトーカンパニーと“暁”を結ぶ証拠や情報は一切出てきてません。ですが、複数の資料を多角的に見たときに奇妙な共通項がありました」

 

そう言って話に割り込んできた白がひとつの資料を提示する。

 

それを読んで、ナナシは白が言っている共通項を理解した。

 

「そういうことか。ここ数年で“暁”が起こした事件とガトーカンパニーの運行ルート。確かにガトーカンパニーの商人も襲われているが、こうして全体を見れば確かにおかしい。なぜ一定の頻度でのみ襲撃が起きているんだ。ということは、これは襲撃に見せた物資の授受。取引の可能性があるな」

 

「ああ、音隠れ(うち)でもそう見てる。だから半年ほど前から調査を進めているんだが、一行に動きが掴めん。ことは波の国で起きているのは確かなんだが……そこで、少々力業で行くことにした」

 

「なるほど。それで再不斬さん、あなたが来たというわけだ」

 

「そういうことだ」

 

ニタリと笑みを浮かべる再不斬。それは見るものからすれば怖気を振るうほどの殺意を感じさせるが、この場合味方である彼の殺意は敵へと向けられる頼もしいものとなる。

 

「で、決行は?」

 

「今夜だ。ガトーカンパニーの地下倉庫を襲う。万が一にも逃げられないよう、少数精鋭でな」

 

「ガトー自身の身柄はどうします? 殺してしまってもよいのですか?」

 

「……正直あんな悪党殺した方が世のためだと思うんだがな。それに関しちゃ大崎にも音影殿にも止められた。殺さず捕まえろとさ。ま、その辺に関しちゃ木の葉(そっち)と音隠れ(こっち)で何やら企んでいるみたいだからな。あまり心配しなくていいだろう」

 

ガトーは世界でも有数の大富豪であり、その財が無闇に散逸すれば、ひいては“暁”を長じさせるきっかけにもなりかねない。

 

そんなことは木の葉も音の上層部もわかっていることであり、ゆえに慎重な対応が求められていた。

 

「さあて、これから面白くなるぞ」

 

白いわく“ゾクゾクする笑顔”を浮かべたままの再不斬は今宵へと想いを馳せる。久しぶりに全力で戦える予感を感じながら。

 

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「で、やっぱり俺らは待機だってばよ」

 

用意された宿の一室で、ナルトがうつ伏せになりながら不貞腐れていた。

 

「当たり前でしょ。いくらあんたが強いからって、搦め手にはまだまだ弱いって今日カカシ先生から言われたばかりじゃない」

 

「そういうことだ。ま、人柱力であるお前を狙ってくる可能性もある。反撃ならそのときにすればいい」

 

ナルトを抑えつつも、自身もまた襲撃要員に選ばれなかったことに不満を抱くサスケは写輪眼のまま待機していた。

 

「でもサスケくん、どうして写輪眼のままなの?」

 

「……勘だ。どうにも胸騒ぎがする。今回の件、恐らくだが普通には終わらない」

 

言いつつサスケはポーチから各種装備を出し、それらのメンテナンスを始める。

 

いつ何時戦闘になるか分からない状況においては、休めるときに不備がないよう万全のメンテナンスをしておく必要がある。

 

サスケは今がそのときだとは微塵も思っていなかったが、同時に目の前に武器がある状況に奇妙な安心感を覚えていた。

 

「……サスケ」

 

「ああ、俺も今気がついた。サクラ、暗部と連絡を取れ。それと俺たちから絶対に離れるな」

 

「え、どういう──きゃあっ!?」

 

サクラが最後まで聞くよりも早く、窓から無数の手裏剣が飛来し、それをナルトが展開した尾獣チャクラの衣が防いでいく。

 

「サスケェ!」

 

「《火遁・豪火球の術》!」

 

手裏剣を防ぎきったナルトの合図に従い、サスケが敵へと向かって火遁を発射する。

 

しかし、その攻撃は全(・)く(・)同(・)じ(・)威(・)力(・)の豪火球によって打ち消された。

 

「いい夜だな、サスケ」

 

「……兄さん!」

 

月夜を背負い、“暁”最強の男(うちはイタチ)が電柱の上に立っていた。

 

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「《神羅天征》! くそっ、まるでゾンビだな!」

 

夜。ナルト達の元にうちはイタチが襲撃をかけたタイミングより少し早く、ナナシ、白、再不斬の三人はガトーカンパニー所有の地下倉庫へ襲撃をかけていた。

 

ナナシは輪廻眼の斥力波によって、両腕が千切れながらも向かってくる浪人らしき男を木っ端微塵に吹き飛ばす。

 

「白! 千本では無理だ! 氷遁で動きを止めろ!」

 

双刀へと分裂させた鬼切り包丁を振るい、再不斬は背後で自身を援護する白へと声をかける。

 

「はい! 《氷華の術》!!

 

白の振るう氷遁の千本が白濁した浪人や盗賊崩れらしき男達へと刺さると、あっという間に全身を凍てつかせていく。

 

敵はナナシと再不斬によって既に二十人以上が倒されていたが、尽きることなく更なる地下の入り口から現れていた。

 

「こりゃ、大元を潰さないとダメってやつですかね」

 

「みたいだな。よし、ここをぶった斬るぞ」

 

「……ダメって言ってもやるんですよね」

 

「わかってんじゃねえか。白、合図したら結界だ!」

 

「わかりました、再不斬さん!」

 

一度三人は互いに背中合わせとなり、ナナシが敵を近づけないようにしている間に白と再不斬はチャクラを練る。

 

「変われ、鬼切り包丁! 《金剛角紅蓮怒(こんごうかくぐれんど)》!」

 

再不斬の声に従い、螺旋状の杭を思わせる形へと変形した鬼切り包丁は、一気に床へと叩きつけらるとその威力を存分に発揮して更なる地下へと一行を落としていった。

 

「《氷球壁の術》!」

 

白はそんな一行を包み込むように球状の結界を作り出すと、それに合わせてナナシが重力操作によって一行をゆっくりと下へと下ろしていく。

 

そこは、広大な地下空間だった。

 

「ここは……なんて広い空間なんだ」

 

「造船所……でしょうか。けど、それにしてはおかしい」

 

わずかな浮遊感と共に地下空間へと降り立つ一行。

 

あまりに広い場所であったことはさすがの再不斬も予想外だったらしく、時折上から降ってくるゾンビもどきをうっとおしそうに斬り払いながらも周囲を観察している。

 

「あれ、ここまで来られちゃったんだ。すごいね」

 

どこか舌っ足らずな口調で、病院服のような貫頭衣を纏ったひとりの幼子(おさなご)が話しかけてきた。

 

齢にして2、3歳だろうか。ひどく幼いにも関わらずしっかりした足取りでペタペタと歩いてくるその様子は可愛らしくもあるが、この場においては不気味でしかない。

 

更に言うのであれば、彼我(ひが)の距離はわずか十メートルほど。全員が最大級の警戒をしていたにも関わらず呆気なく接近を許してしまったのは、そのあまりにも無防備な所作にあった。

 

「子供……?」

 

「ただの子供なわけあるか。油断するなよ、白」

 

再不斬は敵であるならば例え赤ん坊であろうとも斬る覚悟が出来ている。それはナナシも同じだ。

 

だが白はその優しさからか、わずかに敵対するべきか戸惑ってしまう。

 

「じゃ、いただきます」

 

幼子の動きは全員が想定するよりも遥かに早かった。ナナシは写輪眼ほどではないとはいえ、輪廻眼によって僅かに見切った幼子の姿に驚愕した。

 

まるで粘土細工のようにぐねぐねと瞬時に体を変形させ、上半身を巨大な顎(あぎと)へと転じさせた幼子は今だ呆然と固まる白へと肉薄した。

 

白は自分が無惨に食い殺されるのを夢想したが──当然そうはならなかった。

 

「奮(ふん)っ!」

 

予め白の前へと移動していた再不斬が際どいタイミングで巨大な顎(あぎと)を受け止める。

 

が、受け止めた側からその長い不規則な牙が槍衾のように突き出され、再不斬を串刺しにせんと迫る。

 

「させないよ!」

 

それを今度は追い付いたナナシが《雷切》を応用した掌打で幼子だったモノを弾き飛ばす。

 

ナナシは今自分が叩いた奇妙な感触を訝しみ、思わず自分の掌を確かめる。

 

「なんだ、今の感触は……」

 

しかし相手は考える時間など与えてくれない。今度は全身を変形させ、毛がない犬のような姿に転じると先程よりも早い速度で三人を強襲する。

 

「《氷遁・魔鏡氷壁》!」

 

白がタイミングを合わせて発生させた氷の壁。それは相手の攻撃をそっくりそのまま反射する陰遁の性質をも持った白最強の攻性防御。

 

まるで肉を思いきり叩きつけたような音を立てて、幼子だった獣は潰れて動かなくなる。

 

「やった、のか……」

 

ナナシは思わずそれを見て呟くが、それも束の間。ぐずぐずの肉の塊だったソレは、時間をかけて元の姿へと戻っていく。

 

「白!」

 

「はい!」

 

「《雷遁・雷獣追牙の術》!」

 

咄嗟に雷遁を仕掛けるナナシに合わせて白の結界を再不斬が解除させる。

 

輪廻眼を受け入れるだけの素地があるナナシの雷遁はかつてとは比べ物にならない威力を持つ。

 

だが、確実に細胞を破壊しているであろう雷遁に包まれながらも、目の前のソレは徐々にだが再生していっていた。

 

「埒が開かねぇな。仕方ない、封印するぞ。《水遁・水牢の術》」

 

再不斬は再生しつつある肉の塊に近づきそのまま球状の水遁で閉じ込める。ナナシの雷遁に感電しないよう、札を使った遠隔操作での発動だ。

 

「では、念のため僕も追加で封印しておきますね。《氷遁・魔鏡封鎖》」

 

さらにそこへ白の発動した氷遁が鎖のように絡み付き、全体を凍らせる。最後にナナシが封印札を幾枚も貼り付け完全に閉じ込めることができた。

 

「……それにしても、コレなんだったんですかね」

 

ナナシは封印された中身を輪廻眼のチャクラを読み取る力で透かして見るが、内部は再生途中で封印されたからなのかまるで蛹(サナギ)の中身のようにぐちゃぐちゃになっていた。

 

とてもではないが同じ人間とは思えない存在。それが三人の共通認識だった。

 

「……さあな。変化とは違う肉体変異とでも言うのか? まあ、細かいことは俺らが考えることじゃない。さて、ひとまず書類を探すぞ。物的証拠だけでも十分だが、こんなことしでかす連中に関わってる時点でアウトだ。証拠や情報はいくらあっても足りないだろう。ああ、それと他にも何か潜んでいないとも限らない。全員で動くぞ」

 

ナナシはそんな再不斬の言葉を聞きながら──

 

(意外と世話好きって噂は本当らしいな)

 

──と考えていたが、緊張感のない思考とは裏腹に感覚は研ぎ澄まされている。

 

先程のような“意”の無い相手が現れても十分対処できるだろう。

 

三人は広大な地下空間を改めて調べ始めるのだった。

 

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「ナルトっ……! どうしよう、血が、血が止まらないっ……!!」

 

懸命に両手で押さえるも、まるで意味を為さないように腹部から溢れ出す血を、サクラは泣きながら止血していた。

 

うろ覚えの掌仙術を発動しようと試みるも、困惑した頭ではチャクラの集中など望むべくもない。だがこのままでは、間違いなく目の前で記を失っている少年──うちはサスケは死ぬだろう。

 

「ガアアアアアッ!!」

 

ナルトにはサクラの声が聞こえていた。だがそれ以上に激しい怒りに襲われていた。

 

目の前で為す術なく兄弟のように育った存在を傷つけられた自分自身への怒り。

 

それは、内側から九尾が押さえつけていなければ瞬く間に尾獣と化してしまうだろうほどの怒りだった。

 

(“おいナルト! しっかりしろ!! お前がぶちギレたままじゃ治すモノも治せん!!”)

 

実はサスケを治療する最も効果的な方法はあった。それは九尾チャクラを用いての再生治療。

 

元より人柱力で無いにも関わらず九尾のチャクラを扱えるのがサスケだ。すぐにチャクラを流し込めば、問題なく助けることができるだろう。

 

だがそれは、同時に目の前の存在を相手に無防備になることを意味する。

 

「……諦めろ。お前が“暁”に投降すればサスケの命を助ける機会をやろう」

 

イタチはナルトの纏う九尾の衣を《天照》で焼き、血の涙を流しながら問いかける。

 

それが自分にできる最大限の譲歩だとでも言わんばかりに。

 

サクラはそんな現状を見て、なにも出来ない自分が情けなくて仕方がなかった。

 

弱い自分。頭でっかちな自分。

 

かつて泣いていた自分を助けてくれた二人がこんなにも命がけで戦っているのに、自分は何一つ助けになっていない。

 

それでも、諦めてしまえば何もかもが終わりになる。

 

だからこそ、サクラはどこかで自分の思考を分けることを考え出していた。

 

それは、ある偉大な忍者が開発した忍術への第一歩。

 

“自らの思考を分ける”という常軌を逸した忍術への。

 

だが今はまだそこまで芽吹くことはない。ただきっかけを得ただけ。

 

しかしそれが、後に彼女をある忍の後継者へと育てていくきっかけとなるのだ。

 

「──ごめん! 待たせた!!」

 

そして、何も害意に立ち向かうのは子供達だけではない。

 

『瞬神』の名を持つ最速の忍。うちはシスイが、かつての友を止める為に現れていた。

 

シスイはただ現れたのではない。すでにナルトとイタチの間に入り、イタチの体を力(・)任(・)せ(・)に殴り飛ばしていた。

 

しかもそれだけではない。二人と交差した瞬間、ナルトには幻術で怒りを強制的に霧散させ冷静さを取り戻させている。

 

「……悪い! 助かったってばよ、シスイ兄ちゃん!」

 

ナルトは頭を振りつつ、半壊した宿の一角で泣きながらサスケの治療を続けるサクラの元へ駆けつける。

 

「ごめん、サクラちゃん。後でいっぱい殴ってくれ。……サスケ、痛むぞ」

 

ナルトはサスケの手を握ると、一気に練り上げたチャクラを流していく。

 

血を流し、内臓まで傷ついているのか蒼白だったサスケの顔がみるみる内に血の気を取り戻し──激痛に歪む。

 

「ぐあああああっ!?」

 

思わず、暴れそうになる体をサクラは軽い体重で懸命に押さえつける。

 

下手に傷口がこれ以上開けば取り返しにつかないことになる、と考えた彼女だったが、それは杞憂だった。

 

「どけサクラ……! ちょっとこいつぶっ飛ばさせろ!」

 

実はサスケの意識ははっきりしていた。

 

彼自身、重傷を負いながらも咄嗟に傷口の、特に内臓近辺をチャクラで覆っており、無駄に血を流さない為に動きこそ最小限にしていたものの致命傷だけは避けていたのである。

 

その為サスケが死んでしまうとはりきってナルトが流し込んだチャクラは過剰であり、本来自身のチャクラと同期するのに準備を必要とするサスケからすれば全身の経絡に焼きごてを突っ込まれたに等しい激痛が襲ったのである。

 

そしてそれは本来ナルトが冷静であればすぐに気づいたことであり、幻術で怒りが解かれても困惑していたナルトがそのことに気づいたのは正しくチャクラを流した直後であった。

 

「サ、サスケェ……無事でよかったってぶらっ!!」

 

若干頬を引くつかせながら、写輪眼全開のサスケから距離を取ろうとしたナルトだったが問答無用で接近したサスケに腹パンされた。まあ可愛いコミュニケーションである。常人ならしばらく飯が食えなくなる威力だが。

 

「おお、おかげで無くなった血の気までばっちり回復したぜ。……後で覚えてろ」

 

「……聞かなかったことにするってばよ。サ、サクラちゃん、心配かけてごめんってばよ」

 

“実はそんなに追い詰められてませんでした”などという事態についていけず、サクラは涙を拭うこともできずに呆然としていた。

 

そしてそんな和気藹々とした少年少女らの横では、静かな激闘が繰り広げられていた。

 

飛び交う手裏剣。交差する苦無。仕掛けられたワイヤー。

 

一挙手一投足全てが次の行動への仕込み。

 

超一流の忍者らによる戦いは、周囲へ一切の被害を出さずただ静かに続けられていた。

 

「洗脳されていてその腕前。流石だな、イタチ」

 

「……」

 

称賛するシスイだが、イタチは答えない。

 

無機質に目の前の元親友を見据えるだけである。

 

「でも、お互いまだ本気じゃない。そしてそうなるのは本意じゃない。どうだい、ここは一旦引くっていうのは。俺もお前を追わないことを『瞬神』の二つ名に誓おう」

 

「……いいだろう」

 

ついでに出来ることならと派遣されたイタチは、目的である九尾回収が事実上不可能であることを悟っていた。後はいつ引き上げるかであったが、目の前の相手が名をかけてまで誓ったことならば大丈夫だろうと、イ(・)タ(・)チ(・)を(・)操(・)る(・)専(・)属(・)の(・)黒(・)ゼ(・)ツ(・)は判断した。

 

そして撤退しようと幻術を発動しようとしたイタチを、周囲に散開していたイタチとシスイ二人のワイヤーが瞬時に束ねる。

 

「……」

 

イタチは須佐能乎を出して抵抗するも、それは同じくシスイの須佐能乎によって抑えられ無力と化す。

 

「イタチの向こうで操ってるお前。俺が必ず殺してやるから覚えておけ。それとな、親友を助けるためなら俺の二つ名に価値なんていらない! 今だ! イズミ!!」

 

「はいッッ!!!」

 

少女は、ただこの機会を待っていた。

 

ようやく目にした最愛の人と再開することを。

 

それは容易い道ではなかった。

 

己の命と引き換えに火影を死なせかけた、ただの少女。

 

そのことが彼女を追い詰め、一族からさえ居場所をなくした。

 

そんな彼女に、目的を与えたのがシスイだった。

 

イタチを取り戻すのに協力してほしいと。君の力が必要だと。

 

少女には特別才能があったわけではない。能力としても、うちは一族として及第点に至る程度の幻術があるだけだった。

 

体術も忍術も、忍としては下忍の枠を出ないものだった。

 

だが彼女は努力した。血反吐を吐き、何度も何度も傷つきながら。

 

“絶対にイタチを取り戻してみせる”。

 

その執念は意識を取り戻したうちはサイゾウをして認めさせ、彼女を火影直属の暗部に引き入れるまでとなった。

 

そして今日。

 

タズナを護衛する小隊に偶然いた彼女は、タズナを襲った影分身が己の最愛の人であることに気づき、その本体が近くにいることに即座に気づいた。

 

同じくそのことに気づいたシスイは無数の影分身に対処しながら、応援として現れた霧隠れの忍達と協力しつつ、イタチの居場所を探した。

 

場所はすぐにわかった。派手な戦いを繰り広げるナルトの尾獣チャクラが感じられたからである。

 

それでもすぐには駆けつけなかった。シスイは己の切り札である眼帯の下の眼。“魍魎眼”を発動するか否かをぎりぎりまで迷った。

 

それほどに、事態は切羽詰まっていた。

 

だがシスイは、そしてイズミは賭けに勝った。

 

ナルトを奪われることなく、イタチが撤退することなく、サスケもサクラも死ぬことなく、最高のタイミングで駆けつけることができた。

 

イタチに気づかれないため、この日の為に鍛え上げた隠形で必死に息を潜めた。

 

そして今こそ、彼女の開眼した万華鏡写輪眼は開かれる。

 

「《櫛梛拿(くしなだ)》ぁ!!」

 

瞬間、イタチは全身をびくりと震わせ硬直する。

 

するとイタチの全身至るところから、まるで呪詛のような禍々しいチャクラが漏れだし、雲散霧消とばかりに空気中へと消えていった。

 

万華鏡写輪眼《櫛梛拿》。その瞳術としての効果は、特別強いものではない。

 

攻撃力、という意味では間違いなく最弱に位置するだろう。

 

だがその真価は攻撃などにはない。

 

この瞳力は、あらゆる呪縛からの解放を可能とする。

 

呪印であろうが、別天神であろうが、封印術であろうが。

 

どんな強力な呪縛も、この瞳を前にしては為す術なく解かざるを得ない。

 

万華鏡写輪眼の瞳術は、それを持つ人間の望みに沿う形で発動する傾向がある。

 

彼女の願いは、恋人を縛る呪縛からの解放。

 

他に何を望むべきだというのか。ただそれだけが、彼女の願いなのだから。

 

……しかし、強力な瞳術にはリスクが付き物である。

 

彼女自身の能力を遥かに越えた瞳術は、彼女の片目から光を奪っていた。

 

「……イタチ」

 

「……イズミ」

 

しっかりと名前を呼び、泣き出してしまった恋人を優しく抱き締めるイタチ。

 

そんなふたりを優しく見守るシスイ。

 

月明かりは、解き放たれたふたりを優しく見下ろしていた。

 

 

 





ということで不穏な影ちらっ☆&イタチ解放。

イズミによるイタチ解放はイタチ洗脳の頃から考えていました。サスケが加具土命を開眼した下りなどから、万華鏡の瞳術は使い手の願望を反映するのでは? といった考察やどうせ活躍するならこういった役割でしょうといった部分から彼女の登場となりました。
地味にこれまで登場を伏せてましたのでぽっと出に見えるかもしれませんが、それは自分の実力不足です。

まあイタチにはいずれ味方に戻ってもらうつもりでしたので、ちょいと予定より早いですがこんなところです。

え? 味方側の戦力強化がヤバい? 

HAHAHA! 私は藤田和日朗先生をリスペクトしてます。

つまり味方側がすごいなら、敵はもっとヤバくすればいいんですよ。

……というか、予定通りだとイタチが来たところで焼け石に水なんだよな。文字通り。



ということでまあ更新は遅れましたがこれからも【うちはの火影】をよろしくお願いします!

ではでは(´・ω・`)
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