※この作品はR-18です。

うちはの火影   作:SHV(元MHV)

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エロなし回。

エロまで行こうかな、と思ったけど区切りがいいので投稿。

今さらだけど主人公のキャラボイスのイメージは稲田徹さん。

一言前書きとして付け加えるのであれば
「大蛇丸がデレた!(クララが立ったみたいな感じで)」



“痛み”の歴史 ★

夜。

 

雑多な木々が生い茂る文字通り“雑木林”の奥深く、二人の忍が対峙していた。

 

「久しぶりね、サイゾウ。あたしからの用件は伝わってるかしら?」

 

先に話しかけたのは、赤い雲が描かれた黒い外套を羽織った白塗りの男。

 

かつて各里の“影”をも上回る『伝説の三忍』と呼ばれながら、その残酷さと冷血さから火影に選ばれることのなかった男。

 

名を大蛇丸という。

 

「ええ、ご壮健でなによりですね“師匠”。はい、伝わっていますよ。用件は“暁”へ入れ、とのことでしたか」

 

「ええそうよ。里を“出た”あなたが行き着くには相応しい場所じゃなくて?」

 

大蛇丸の言葉にサイゾウはニヤリと笑う。

 

「…そうですね。九尾も手元にない今、俺はどこに行ってもお尋ね者。であるならば、噂に名高いS級賞金首の集まりだという暁に“入って”みるのも面白いかもしれません」

 

そう言ってしばらく、二人は見つめ合う。

 

「ふふ…」

 

「くく…」

 

やがてどちらからともなく笑い始め、間もなくして二人は大笑いしはじめる。

 

二人が交わしたのは符丁。互いに特定の言葉をやり取りすることで本人かどうかを確認するもの。

 

そして交わしたのは言葉だけではない。

 

言葉と同時に発せられた細いチャクラが、互いの持つ小さな竹管(ちくかん)を振るわせることでの二重確認。

 

これに用いるチャクラパターンは二人が共同開発したもので、仮に竹管のことや符丁の言葉がバレても早々判別できるものではないものとなっている。

 

二人が笑ったのは、この符丁を作ったときが互いに酔っぱらった時の冗談半分であり、真面目な顔で言葉を交わしたことで思わず笑いが漏れてしまったことによるものだった。

 

「くくっ、いや久しぶりに笑わせてもらいましたよ大蛇丸先生。…それで、暁と九尾事件の犯人が繋がっているとの話。詳細を教えていただけますか?」

 

「ふふ、まったくこっちの台詞よ。…それにはまずあの組織の目的を知ってもらう必要があるわ」

 

「目的、ですか」

 

「ええ。暁の目的…それは各地の尾獣を集め、使えば国ひとつ滅ぼすような、言うなれば億の人間を一度に葬る規模の爆弾を作ることよ。それを各国に分け与え、使うことの“恐怖”と“痛み”によって世界を平和にする…というのが暁のリーダー“ペイン”の言い分よ」

 

大蛇丸はすでに数年前から里を出る準備を進め、それに伴って自らが“風”を導くための場所として新たな里を作るべく動きを起こしていた。

 

とはいえそれは里を捨て“抜け忍”となることを意味する。そこで大蛇丸はヒルゼンに相談し、木の葉にとって対外的な問題に応する側面を自分と新しい里に持たせることで変則的な承認を得ようとしていた。

 

そうして里作りを進めるなかで、大蛇丸は各地の迫害された血継限界や、隠れ里を吸収することで準備を整えていた。そんな大蛇丸が三代目火影猿飛ヒルゼンから託された任務。それは、非合法組織でありながらトップクラスの忍で構成された暁への接触であった。

 

はじめは存在すら眉唾だった輪廻眼を見たことから思わず奪おうとした大蛇丸だったが、その及びもつかぬ能力を前に手出しを止め、表面上は暁に協力することにしていた。

 

そして、その眼を持つ者が“誰だった”のかを思い出していた。

 

「“恐怖”と“痛み”によって世界を平和にする、ですか。その言葉…大蛇丸先生は信じていらっしゃるので?」

 

いぶかしむようなサイゾウの視線を大蛇丸は鼻で笑う。

 

「まさか。そんなことでこの世界に平和がもたらされるなら、そもそも初代火影千手柱間が尾獣を分配した時点で平和になっているわ。でも現実は…」

 

ふと、大蛇丸の言葉が止む。その様子はどこか真剣味を増すが、サイゾウは構わず大蛇丸の言葉を続ける。

 

「…“痛み”が生む“恐怖”は心を蝕む。かつて『千手柱間』そして『うちはマダラ』という二大巨頭の及ぼしたおとぎ話じみた強さの反動は、ふたりが潰えた後の歴史において表に出ない暗闘という最悪の形で返ってきた」

 

「…そうね、確かに一時戦争という災厄はなくなったけど。それは大国での話。“平和”を維持するために木の葉が…いいえ、忍がどれだけの闇を生んできたかなんて、うんざりするほど見てきたわ」

 

「…忍の闇のはじまり。木の葉においては“根”という名を持つ、忍世界でも有数の暗部結成のきっかけだ」

 

「木の葉の生み出した効率のいい暗部組織は、隠れ里システムと同じくすぐに他里も真似し始めたわ。第一次忍界大戦後、20年もの間表面的な平和が続いた裏では、頻繁に暗殺や誘拐、脅迫といった行為が繰り広げられたわ。そして闇に根差した戦いはより深い闇を作り出し、人は際限なく残酷になっていった。そうやって恨み辛みが堆積して作られていったヘドロのような悪感情は、やがて誰にも止めることのできない動きへと変わっていくのよ。すなわち、戦争へね」

 

「『公平なる利権拡大』だなんてお題目を掲げてはいたが、そんなものは口実に過ぎない。それは木の葉が表面上“根”を組織解体しても同じだった。誰もが誰もを恨み、押さえつけられていた力を振るう機会を欲していた」

「そもそも、戦前二代目火影千手扉間が急襲されたことから狂いはじめていたのよ。雲隠れとの協定途中で起きたクーデターは他国における停戦協定にも影響したわ。そのことが結果として戦争を微妙な形で終わらせてしまうきっかけとなったとも考えられるわね」

 

「ええ、そのとき二代目火影は死ぬべきでした。その後は無理がたたって永くはなかったようですが…死ぬ間際まで里の為に働いたことが木の葉の里に、ひいては三代目に“甘え”を残した。さらに言うのであれば、後に続く者が扉間ほど優秀ではなかったというのも大きい。落差が激しすぎたんだ」

 

「そうね。更に言うなら初代火影をはじめ、二代目火影までもを排出した千手一族が一気に衰退していった影響も大きいわ。その後も結局、合理的だった二代目の政策は跡を継ぐものによって徐々に方向性を歪めていった」

 

「…木の葉上層部。上層部といえば響きは大したものだが、実態は自分一人での決断を避けた三代目火影猿飛ヒルゼンによる多数決の提案。その結果、一度は権力の座を諦めた志村ダンゾウが野心を抱くことに繋がり、二代目の弟子として合理的な考えを支持する水戸門ほむらとうたたね小春は徐々にダンゾウの意見を採用するようになった」

 

「導き手として優れ過ぎていた千手を失った木の葉は、やがて戦場に用いれるだけの人柱力を用意できなくなったわ。そのことで木の葉を“弱体化”したと考えた各里は、戦後周辺の小国を管理することすらままならなくなったのをきっかけに、徐々にその矛先を木の葉へと向け始めた。しかも質の悪いことに、その動きは大国ほど顕著だった。当事者だったあなたやあたしですら、今でもあの戦争がいつから始まったのかわからないもの。ただひとつ言えるのは、戦争としては最悪の形で広がっていったということよ」

 

「…第三次忍界大戦。皮肉にもあの戦争は、結果として誰ひとり得しなかった。消耗に次ぐ消耗。倒しても倒してもキリのない戦い。こちらが血を流せば相手にはより多くの血を流させようとするどす黒い感情の波。止まることのない出血のように、戦いは“如何に相手を苦しめる”かに変わっていった」

 

「これまでのツケを払うときが来ただけよ。結局どれだけ合理的な手段であっても、人の恨みは消えやしないわ。戦争だって最終的には、消耗の果てに息切れを起こした各国が大名からの連名による停戦要請に従う形で終わらせたのだもの。…そうね、あえて理由付けをするなら、後の四代目火影波風ミナトの驚異的な時空間忍術、尾獣と真正面から戦えるあなた、うちはサイゾウの存在。そういった、再び木の葉が必要以上の戦力を手に入れつつあることを他国が恐れたのも、終戦へと後押しする一因だったとわたしは思っているわ」

 

「だが、結局結ばれたのは“休戦条約”。…つくづく業が深いというべきか」

 

「…戦争はまだ終わっていないのよ。あのときの当事者すべての中でね…」

 

「…これが今なお続く“戦い”の流れだ。お前らはこれを聞いてどう思うんだ、おふたりさん」

 

サイゾウは赤く輝く瞳を上空に向ける。

 

そこには、天使のような羽を生やした女と、オレンジ色の髪をした顔にビスを付けた男が浮いていた。

 

「…ご丁寧な説明、痛み入る。だが“それ”がどうした!そんな、知ろうと思えば知ることができるようなことを、改めて俺たちに教えてなにになる。…うちはサイゾウ、お前の力は買っている。戦争を嫌っていることも知っている。貴様が九尾事件の犯人などと下手な噂を流したところで誰も信じてなどいない。目的は波風ミナトの敵討ちか?それもいいだろう。だが貴様が語る“痛み”の歴史を知っていてなお、暁の為に力を貸そうとは思わないのか?貴様がいれば世界平和への道もより近づく。犠牲を生み続けるこの世界に“消えぬ痛み”を刻み付け、すべての争いを終わらせるのだ…!」

 

なおもサイゾウを見下ろしながら言い募るペインの姿にサイゾウはイラつきを隠そうともせずに言い返す。

 

「…大言壮語に相応しいだけの力はあるみたいだがな、大体からして“世界に消えぬ痛み”をってのに致命的な穴があるんだよ。それはな、例え大きな里や国同士での戦いが起きなくなっても、次に犠牲になるのはより小規模な国や里だ!当事者同士の戦争が大国の代理戦争と化してみろ、そこにあるのは“あの時”と変わらない!地獄絵図だ!!」

 

「ならば…!それさえも起きぬほどの“痛み”を与えればいい!!必要とあらば…何度でも…!」

 

「…その果てにあるのは、自分以外誰もいない寂しい世界だ…それは“本当”にお前らが望む世界か…!?」

 

サイゾウの言葉に羽を生やした女、小南の顔が痛みをこらえるように歪む。その手は、まるで無くしたモノを抱き締めるように胸元を掴んでいる。

 

「…もはや他に方法などない。違うというならば、言葉ではなく力で俺たちを止めてみるんだな!」

 

「ペイン…」

 

横の小南がどこか心配そうに声をかけるが、ペインは泰然自若としたまま動かない。その様子にサイゾウは臍を噛む思いだったが、横に並んだ大蛇丸はすでに外套を脱ぎ捨て腰に太い縄を携えたいつものスタイルに戻っている。

 

「…やれやれ、折角とっさに合わせてあげたのに。ま、説得なんて通じる輩じゃないのはわかってたけどね。サイゾウ、これで暁への潜入忍務がパーよ。猿飛先生への言い訳を考えておきなさい」

 

「ここに来る時点でつけられてましたけどね」

 

「だまらっしゃい。…来るわよ!」

 

空を急降下して強襲するふたつの影。

 

ペインをサイゾウが、小南を大蛇丸が請け負う。

 

「サイゾウ!その男は輪廻眼の持ち主よ!」

 

「…!なるほど、仮にも大蛇丸先生が所属する組織のリーダーだけはあるということか。だったらまずは小手調べだ…!」

 

サイゾウは手足に炎を纏い、大きく飛び上がってペインへと向かっていく。

 

「《火遁・炎纏華(えんてんか)の術》!」

 

炎を帯びた拳が浮かぶペインへ迫る。並みの忍なら一撃で触れた場所を消し炭とする攻撃だが、ペインは至って冷静に対処する。

 

「《神羅天征》!!」

 

差し出した掌から生まれた不可視の力にサイゾウは為す術なく弾き飛ばされるが、空中で一回転して体勢を立て直すと難なく着地する。

 

「チャクラをそのまま放出する柔拳とは違うな…なんだったか、どこかで覚えがある感覚なんだが…まあ今はいいか」

 

サイゾウは纏う炎へさらにチャクラを込めると、勢いを増した炎を携えて再び飛び上がる。

 

「何度やっても同じことだ」

 

「そうかい、だったらこいつはどうだ!《朝孔雀》!」

 

すさまじい勢いで繰り出された炎拳の連打はまるで孔雀の尾羽が広がる様と同じくペインの眼前を埋め尽くす。しかしそれも再び放たれた《神羅天征》によってあっさりと散らされてしまう。

 

「無駄だというのが…ぐっ!?」

 

「咄嗟に飛んで《撃豹》のダメージを最小限にしたか。だがその技はまだ“響く”ぜ」

 

いつの間にか炎を消し、代わりに全身からほとばしるチャクラエネルギーを露にしたサイゾウ。散らされた炎から飛び出したサイゾウの攻撃をペインは防いだものの、その言葉通りペインは二度、三度と続く衝撃に抗いきれず飛ばされていく。

 

「ペイン…!」

 

「あらあら、よそ見している場合かしら」

 

「くっ、しまった…!」

 

全身を紙手裏剣によってズタズタにされたように見えた大蛇丸だったが、まるで蛇が脱皮するかのように体を脱ぎ捨てると、小南の全身を締め上げ、再び脱皮しその場から離れる。

 

「《口寄せ・三重羅生門の術》!」

 

ペインが殴り飛ばされるという事態に動揺した隙をつかれて、小南はあっという間に畳み掛けられた。

 

突如として地面から出現した巨大な“門”に囲まれたかと思えば、合流したサイゾウが門のひとつに飛び乗る。

 

「女相手に手酷い技は使いたくないんですがね…《火遁・豪火滅却》!」

 

そして逃げ場を無くした彼女の頭上から容赦せずに炎の山が迫ってくると、紙の分身である彼女は瞬く間に焼き尽くされ、後には紙の燃えカスが残った。

 

「…ふう、やっぱり分身か」

 

「ホッとしてるところ悪いけど、彼戻ってきたわよ」

 

大蛇丸の言う通り。これといったダメージを受けた様子すらなく、ペインは戻ってきていた。

 

「…分身とはいえ小南が負けたか。だがお互い、“様子見”はこんなものだろう。うちはサイゾウ、次に会うまでに貴様の考えが変わっていることを望む」

 

そう言い残して、ペインは逆口寄せによって姿をかき消した。

 

するとサイゾウは突如として印を組み、事前に仕込んでおいた“雑木林”を操りはじめる。

 

「《竹遁・千重の籠(ちくとん・ちえのかご)》!」

 

すると少し離れた場所で急激に成長した竹が何者かを閉じ込める。次々と固められていく竹はやがて籠状に変形し、蓋が閉まるとチャクラによって練られた封印紋が浮かび上がる。

 

「…とりあえずは、目的達成ってところかしらね?」

 

「ええ、あれが“本命”かはわかりませんが、ひとまず“釣り”は成功です」

 

サイゾウは腰に下げた巻物を開き、人を捕まえたにしては異様に小さな竹籠を口寄せ契約して逆口寄せする。

 

ボフン、と煙を上げて消えた竹籠を見送ると、サイゾウは改めて大蛇丸に向き直った。

 

「ありがとうございます、大蛇丸先生。暁のリーダーとの戦闘は想定外でしたが、これで木の葉に向かうことができます」

 

「…やれやれ、今回はお膳立てするのに骨が折れたわ。それにしても今回の件とは別に頼み事がある上に、暁への潜入忍務以上に重要って本当なの?他のメンバーの情報も手に入ったけど、あいつら相当に厄介よ」

 

大蛇丸は暗に今後暁が忍世界を混乱へ導くだろうことをサイゾウに問いかける。

 

「ええ、ひとつ前提をひっくり返してやろうと思いまして」

 

そのときのサイゾウの顔は実に禍々しく、また魅力的なものに大蛇丸には映った。

 

「…あら、いい顔するじゃない。勿体ぶってないで教えなさいよ」

 

「なに、俺と大蛇丸先生がいれば簡単ですよ。“うちはマダラ”を穢土転生させます」

 

「なんですって…?」

 

すべての前提をひっくり返すその提案に、さしもの大蛇丸も固まった。

 

物語は、変転する。

 

 




とりあえず現実の歴史に照らし合わせてNARUTO世界の歴史を考察した結果。
他にもこれが原因じゃね?という考察を元にストーリーの造形を練っております。
今回はドラゴンボールCのように貰った設定の後付けは難しいのであしからずです。

あとデレ蛇丸(でれちまる)になった理由はあるにはあります。個人的に必要なさそうならさぱっと描写カットですが。

オリジナル忍術紹⭐介
《火遁・炎纏華(えんてんか)の術》
サイゾウが「とりあえず殴っておこう」と思った際に発動するいわば十八番の術。
手足を火遁で覆い攻撃力を増すための術。
精緻な性質変化の技量が必要であり、下手をすると自分が焼かれてしまう。

《竹遁・千重の籠(ちくとん・ちえのかご)》
柱間細胞を完全に取り込んだことで木遁は竹遁へと変化した。この竹はチャクラを弾く性質を持つため、この性質を利用した封印術。文字通り千におよぶ層に別れており、内側からの解除は不可能。ただし鍵となるチャクラパターンさえ知っていれば、子供でも開けることができる。

あと大蛇丸とサイゾウのコンビネーションはナルスト参考にしてます。

どうでもいいけど、タイトルが語尾にキラッ☆したみたいで別の意味で痛々しい(笑)
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