「あの……」
言葉に詰まったクレアの声かけに、微動たりともしないアーリグリフの兵士3人。先程から湯船から颯爽とあがれば、床に頭をぴったりとつけたままである。
「そ、その、聞かなかったことにしますから……」
あまりの破廉恥な言葉の応酬に、羞恥にまみれたものの、男たちにこうまでされると二の句が告げない。彼らも悪気があったわけではないので責めるに責めづらいのもある。
「「「申し訳ありませんでした」」」
クレアは外見は可憐な美女だが、シーハーツの総司令官である。とんでもない無礼を働いた自覚はある。また、尚武の気風の強いシーハーツ、アーリグリフの軍人として、シーハーツ司令ともなれば個としての武力も並大抵ではないことは承知している。本気で怒らせれば三人がかりでも相手にならない。土下座をしている間にもがくがくと体が震える。
「あ、あの……本当に、聞かなかったことにしますから。責めたりはしませんから……」
ネルが聞けば甘いと言うだろう、というか、彼らを血祭りにあげかねないが、クレアとしては自分も悪いと言う気持ちもある。知らず知らずのうちに彼らの性欲を煽ってしまっていたのである。ほんの少し、演武の時の彼らの視線を思い起こす。確かにやたらと熱い視線を受けていた気はする。自分の術にみとれているものとどこかで思い込んでいたことが少し気恥ずかしい。
「クレア様……感謝します!!!」
頭を床に打ち付けそうな勢いで土下座する屈強な男たち。少し気がほぐれたようにみえて、クレアはほっとして苦笑する。
「そ、それでは、失礼します……」
そそくさとその場を去ろうとする彼らに、クレアは声をかける。
「ま、待ってください。このまま温泉に入らないと、風邪を引きますよ?」
今ので体は完全に冷えているはずである。温泉に浸かってからではないと、本当に風邪を引くだろう。しかしながら、彼らとしてはクレアがいる温泉に入るわけにはいかない。かといって、クレアに先に出てほしいともいえない。一介の兵である彼らの立場を考慮したクレアは、はっと気がついたようである。
「そ、そうですよね……なら、一緒に入ってください。こういえば、いいわけですね?」
クレアから誘った、ということなら問題にはならない。クレアが優しく微笑むと、彼らの心に染み入る。三人は目を合わせて、うなずく。
「そ、それじゃあ、お言葉に甘えて……」
そうはいったものの、恐る恐るにはなる。三人ともゆっくりと足から入り、湯につかる。温かくなってくると、余計に彼女の優しさがみにつまされる。しかしながら、一方であのクレアと同じ湯に入っているという思いも段々と膨らんでくる。お互い、流石に先程のあけすけな言葉が頭に残って会話を切り出せない一方、男としての性分は変えられず、クレアの入浴姿を目に焼き付けてしまう。乳白色の湯に隠れてはいるものの、ぷかりと乳房が浮かんでいるようにもみえ、鼻の舌を伸ばしてはごまかし、伸ばしてはごまかしをする。クレアは、それを見て軽く咳払いをする。
「その、他の方には内緒で……」
「も、勿論です。なあ?」
「え、ええ、そもそも信じてもらえないでしょうが、信じられたら逆に……」
クレアと混浴をともにした、なんて知られたら、同僚や上官が血の涙を流して剣を振り回してくるだろう。そういう意味でも少々青くなる。
「ま、まあ、折角なので、月見でも楽しみませんか?」
雰囲気を変えようとする彼女の努力に助けられて、徐々に男たちはクレアに身を寄せる。月より湯に浮かぶそれがみたい、とは彼らはいえなかったが、綺麗ですねぇ、などとごまかしつつ、何度も何度もちらちらとバストをみる。一瞬ちら、と乳白色のそれに桜色がのぞけば、3人の視線は集中する。手拭いで隠すようにするが、それが余計に色気を増してみえて、3人の腰が段々と引けてくる。