※この作品はR-18です。

ガンダムビルドファイターズ OB   作:庵パン

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庵パンです。
前々から予告していた18禁ダムがようやく開始です。
ビルドファイターズに付いてるOBは「オーバーブースト」だったり、
「オーバーボーイ」の略だったりします。
んで、この小説は前に一回ピクシブに投稿したものを18禁用に書き直したものです。
その時はこの前章、ありませんでした。


夢の中の戦争
物欲戦士 大地に立つ


ニワ・ヒデツグは地球連邦軍のモビルスーツパイロットであった。

パイロットになったのはジュニアハイスクールを卒業する前、一家で宇宙移民者となり、移民団を乗せた特務艦のサラミス級巡洋艦「富士及」が、一年戦争最終決戦の場、ア・バオア・クー宙域に迷い込んだのが切っ掛けである。

移民団を乗せた特務艦が戦闘宙域に迷い込むとか、移民局と地球連邦、お前ら呆けてんのか?

というところだが、とにかく連邦とジオンの決戦宙域に飛び込んでしまったのである。

移民局と連邦は呆けてはいたが、幸運なことにヒデツグ達宇宙移民者が脱出するために使われたランチの護衛に付いた地球連邦軍のモビルスーツ「ジム」のパイロット達は呆けてはいなかった。

それどころかジオンの宇宙要塞を突っ切って脱出用ランチを護り切ったのである。

その時ヒデツグは見た。見惚れてしまった。

ジムというモビルスーツの勇姿を。

ジムというモビルスーツの頼もしさを。

終戦後に持て囃されるのは専らガンダムという名の試作機のモビルスーツだが、ヒデツグが調べてみるとガンダムというモビルスーツはジムの20倍のコストが掛かる。

それじゃ活躍出来て当然じゃねェーか!と、ヒデツグは考える。

一方のジムは、パイロットの腕が良かったのもあろうが、ランチで避難する全ての移民者に重大な負傷者を出していない。

宇宙要塞を潜り抜ける時に、やたら揺れるので気分が悪くなった者はいたが、出血を伴うような怪我をした者は居なかったのだ。

ヒデツグは思う。

量産機を使って期待された以上の戦果を上げた彼等こそが、真のエースパイロットであると。

ハイスクール卒業後、連邦の士官学校に入ってヒデツグは気が付いた。

ジャック・ベアード少尉は部下が搭乗すべきバズーカ装備のジムに乗っていたことに。

指揮官が乗るべきツインサーベルタイプのジムに搭乗してたのは、アダム・スティングレイ曹長である。

軍務経験や技量からすると、アダム曹長が指揮官機でも十分納得出来るのだが、ジャック少尉は経験が浅いようだから間違えてバズーカ装備の機体に乗ってしまったのかも知れない。

聞く話しでは、ソロモンやらア・バオア・クーの戦いでは鉄人やらジムの神様に間違えて乗ってしまったヤツがいるとも聞く。

そのくらいの大ボケに較べれば、間違えて部下の機体に乗ったなど些細過ぎる間違いである。

士官学校を卒業後、地球出身者のヒデツグは連邦の一派であるティターンズに入隊した。

出身が極東のニホン地区で、尚且つモビルスーツの操縦技量では平均を大きく上回るヒデツグは士官学校在籍当時からスカウトを受けることがあったのだが、ティターンズに入るのには二の足を踏むものがあった。

御意見無用のジオン残党狩りには、当時からその強行な姿勢から批判が多かったのだ。

地球生まれ故にエリートという考え方に首を傾げるヒデツグだが、ティターンズというのは恥ずかし気も無く自分達をエリートだと口外する。

ヒデツグに、そんなイタい連中と連るむ気は無かった。ジムに乗れりゃあそれで良いのである。

それで良いのだが、ティターンズカラーというのは好みの色彩に近かった。

その上、ティターンズでは階級が通常の連邦より二階級上の扱いとも聞く。

ティターンズも連邦ではあるからジムに乗れる。その上、好みに近いカラーリングの機体に乗れる。

しかも二階級上の給料だ。

こりゃあ、入隊するのも吝かではない。

 

ティターンズに入隊し、中尉の階級になって暫く経ってから、ヒデツグは後悔した。

二階級上とは言っていたが、給料が増える訳では無い。二階級分上のデカイ態度が取れるという意味でしか無かった。

自我が妙な膨らみ方をしてないヒデツグには不必要な特典である。形のある物を寄越せよ、と言いたい。

しかもティターンズ入りする前から薄々気付いていたが、この組織……物凄い嫌われようである。

地球連邦自体が宇宙移民者から嫌われているが、ティターンズはアースノイドにすら害虫の如く嫌われている。

極めつけは30バンチ事件を始めとするスペースノイドへの弾圧である。

ジオンの残党狩り部隊でしかないティターンズであるのに、完全な逸脱行為だ。上部組織の地球連邦は見て見ぬフリを決め込んでいる。

救いようの無い先の見えた組織に見切りを付け、ヒデツグは軍を抜けることにした。

ちょっと多めの退職金を自発的に貰って。

 

*  *  *                         *  *  *

 

「ホントにまだやるんスか?中尉」

「それはそうだ。あと五百億は頂戴しないとならん。そうでなければ私もお前も安心して老後を迎えられんだろ」

老後にどんな豪遊する気だよこの人は、と考えるコヤス元少尉は、マダガスカルにあるジオン残党の拠点を一望する崖の縁まで来ていた。

絶好のビューポイントで、夢の様に見晴らしが良い。

残党と言うからもっとこ汚い拠点を想像してたが、鉱山跡を利用した基地は世界中を暗躍する秘密結社を想像するような立派な基地である。まるで夢のようだ。本当に夢っぽい。

「あー、ヤバいっすね。対物ライフルっすよ」

双眼鏡を通して見るコヤスが呟く。ヒデツグが見ると、その奥には単発のロケットランチャーを担いだ男までいる。

「ん、まぁ手早く倒せば問題ないだろ」

これが何十発もあったら危ないかも知れないが。

ヒデツグが作戦の開始を合図して、森に隠し潜んでいたモビルスーツに二人がそれぞれ乗り込む。

起動させて立ち上がったそれは、ニホンのムラサメ研究所から強奪したガンダムMk-II 試作0号機だった。これにコヤスが搭乗し、ヒデツグはデラーズ紛争の頃から使い続けてきたRGM-79を近代化改修したジムⅡを、紺碧に塗装した色だけカスタム機を使っている。

ちなみにヒデツグがティターンズを抜ける際の大目の退職金として頂いたジム・クゥエルと別のジムⅡは、別のジオン残党から強奪し、今は【大陸横断艇】と名付けたギャロップに格納されている。

機体を立たせると真っ先に対物ライフルを携行した兵士が驚き、撃って来た。

モビルスーツとは言え装甲に穴が空いたら敵わないし、万が一にでもメインカメラにでも当たったら事である。

ヘッドバルカンで動き始めた装甲車や戦車車両をなぞる様に撃破し、そのままモビルスーツに発砲してくる兵士をも撃ち抜いた。

と、言うか、さっきからヘッドバルカンが着弾する度に爆発する凶悪仕様だ。お陰で爆煙が立ち込めて撃破確認が出来ない。ちゃんと殺れてるのだろうか?

 

コヤスが操縦するガンダムMk-II0号機はペガサス級戦艦数隻分という触れ込みだが、異常に動きが悪い。

コヤスもティターンズからスカウトを受ける程には優秀なのだ。にも関わらず、この雑過ぎるマニューバは0号機の操縦性の悪さが知れる。

踊ってんのか? とも思える機動だが、中身のコヤスは相当焦っているだろう。

ガンダムというヤツはコストが掛かるだけで駄目だな。使えんな。ジムの優秀さが改めて明らかになる事柄である。

 

*  *  *                       *  *  *

 

対モビルスーツに使えるような敵の装備を一掃し終え、ようやく一息吐くことが出来る。

お目当ては先日近くの村で情報を得た残党軍のモビルスーツだったが、それらは遂に見る事が出来なかった。

おまけに今回の仕事はティターンズと同じルール無用の残虐ファイトなので好い気はしない。近隣の村落が凶賊のような鬼畜働きをする残党軍の討伐も依頼したから精神的に赦されるようなものだ。

実のところ、前に訪れた村で捕らえられたのはヒデツグとコヤスの方だった。連邦軍・ティターンズ・エゥーゴ・ジオン、勢力問わず多数の基地を襲撃し、モビルスーツを強奪して解体して売り払うヒデツグ達は連邦から指名手配にされ、凶状持ちとなっていたのである。

一応、ヒデツグやコヤスが基地だのを襲ってモビルスーツを強奪する時は、死人を出さないように心掛けている。御蔭で死者が出たという話は一度として聞いた事が無い。

にも関わらず、ヒデツグらは凶悪犯のような懸賞金が掛けられている。まぁ、農業型コロニーを買う為には端した金じゃ無理なので、各陣営に結構な額の被害額を与えているのだが。

取り敢えず、捕まったヒデツグ達は交渉した。

自分達の懸賞金を得ても、全てを凶賊共が奪いに来るぞと。

そしたら、ジオン残党軍の排除を引き換えに、あっさりと解放された。

だから此の地に拠点を置く残党軍には、モビルスーツを出して貰わなければ困るのである。

 

コヤスはというと、未だその辺で遊んでいた。

分け前はゼロだな……とは思ったが、意味の解らない挙動で敵を惑わしていたから少ないながらも分ける必要は出てくる。ムラサメ研究所から奪取した試作0号機はニュータイプか強化人間専用機ということだから、コヤスには扱いが難しいのかも知れない。

次からは絶対にジム系に乗せよう。ヒデツグは深くそう考えた。

「おいコヤス。何時までも遊んでんじゃない!」

ヒデツグが言うが、事前にミノフスキー粒子を念入りにたっぷり散布していたせいで通信が届かない。

次からは直接回線用のウィンチワイヤーでも取り付けなければならない。そう考えた時に、ジムⅡのパッシブソナーに試作0号機以外の二体の反応が出た。ジムより試作0号機に近付いてくる。

「おいコヤス! おい!」

接近してくる反応はスピードから見て両機ともMS-09、ドム系列。もう少し早く出て来て欲しかったが、よりにもよって一番嬉しくない時に出て来た。

サーマルセンサーには熱源が映る。公国軍MSが一年戦争中に開発し多様したジャイアントバズから発射された砲弾だ。

――回避!!――

言うが間に合わない。砲弾は0号機を直撃し、爆炎とそれに伴う爆発が起きる。

ヒデツグはジムⅡをジャンプさせて闇夜に紛れた。闇夜の迷彩的意味も含めて紺碧に塗装されたジムⅡが空中で構えるのはオートポンプ式のショットガン。MS-08TX、イフリートから鹵獲してマカオで非合法に改造した一品「燕返し」である。

迎え撃つMS-07C-5、グフ飛行試験型のフィンガーバルカンは自由落下する目標を捉えることが出来ない。燕返しから発射された散弾はグフと地面を叩き、機体の上半身を削いだ。

続けて接近しつてきたYMS-09D、ドム・トロピカルタイプから撃たれた砲弾を、ヘッドバルカンで撃ち落とすと、ビームサーベルを抜刀する。

ジオン残党のパイロットは、ほぼ全てがベテランのパイロットだ。反連邦や反ティターンの人間が加入することもあるが、多くは一年戦争やデラーズ紛争から戦い続けて来たいるから油断出来ない。

ドムもヒートサーベルを抜いてジムに切り込んできた。ジャイアントバズの砲弾はまだ残っているだろうに……操縦者は義理堅い者らしい。

だが、これは飽くまでも命を懸けた紛争である。伊達や酔狂で戦って生き残れるものでは無い。

ヒデツグのジムⅡはグリプス開発基地で新規に生産された「RGM-179」ではなく、一年戦争末に建造された「RGM-79」を近代化改修したもに過ぎない。

振り下ろされたヒートサーベルを切り上げるようにい(・)な(・)し(・)、後方に跳躍。敵も素早くジャイアントバズで追撃するが、燕返しとヘッドバルカンの同時使用の弾幕で弾頭ごとドムを撃破。

戦闘は終了。村からの依頼は全て完了した。

しかし、ヒデツグは取り返しの付かない戦闘結果に呻き、頭を抱えたのである




宇宙世紀やっちゃってますが、あくまでもビルドファイターズです。
章のタイトル的に外伝的なヤツです。
取り敢えず前章はギャグです。そもそもビルドファイターズがライトな雰囲気の作風なのですが。
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