※この作品はR-18です。

ガンダムビルドファイターズ OB   作:庵パン

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今回えらく長くなってしまいました。
でもエロが全然ないです。たまにはエロ無しで1万字越えなのです。
そして粗筋とタグを一部変更なのです。
飢狼と共に「こんなエロRPGやりたいなぁ」と思う妄想をひたすら書き込むのですよ。


2月中旬

この時期、バレンタインデーなる年に一度の愛の賛歌が存在する。アイダはテスト期間中なので、限られた時間を無駄にしないように、気を遣わないように言っておいたヒデツグである。

そのヒデツグだが、反って催促するようで非常に言い難かった。アイダは何かと義理堅いし、こういったイベントを大切にしたがる。言っておかなければ勉学に使う時間を奪ってしまう可能性があったのだ。

しかし、その甲斐あってバレンタインデーの贈り物などは無いように思われた。少し寂しい気もする平日の夜だが、夜になってガラケーにEメールが届いた。

見てみればアイダからの写真が添付されたメールだ。フルヌードのアイダがベッドに寝そべっていたり、下から写して秘所が露わになったところなど複数の写真が添付されている。

アイダは真面目に見えて、実は結構こういった行為をするのが平気な女である。否、恋人であるヒデツグにのみ見せている……はずである。幼子の頃に会った新生児が、まさかこれ程男好きのする肢体の恋人になるとは思わなかった。

他の男の影は感じられないから、多分、恐らく彼女が破廉恥な写真を見せるにはヒデツグのみだ。彼女に近い男と言えば父親と弟がいるが、もし仮に彼女交わりを赦された他の男がいたら、床の技でモノにするしかない。その自信は……まぁまぁある。

写真が添付されていたメールには、テスト後にデートのお誘いも付け加えられている。ヒデツグなんかガンプラが絡まない以外では常に暇なのだからレスポンスも早い。即座に返信を返したヒデツグである。

そう思っていたら、ミオからも同様のメールと写真が届いた。

「いつか3Pでも……」

二人とも色々忙しい身だから、予定を建てるのは難しいかも知れない。

そういえば…と、ヒデツグは思う。数年前にアイダが東京に来た時に一緒だった、アイダの母親……ヒデツグにとっては何時か義母になるであろう女性は、南米出身の肉感溢れる女性だった。デブという意味ではない。幼子に台湾で初めて会った頃はアイダの姉かとも思ったものである。

南米の女性はある程度の年齢に達すると随分と腹の肉が溢れた体型になってしまうだが、直近で見た時の彼女は随分スタイルが良いし若々しい。何と言ってもエロい。

アイダと結婚して彼女の両親と暮らすマ○オさん的な生活になったら、理性を抑えるのが大変かも知れない。世の女性方が美しいから御近付きなりたいと思ってしまうが、それを実行に移すとフェリーニと変わらない。

いや、ヒデツグは多分に下心も持っていてナニをしたいとまで思ってしまう辺り、フェリーニより凶悪だろう。

(男は紳士であれ)

某ジョースター卿はそんなことを言っていた気がする。ヒデツグは深呼吸してクールダウンを図った。

将来のことを考えても仕方ない。理想的と言える夢かも知れないが、今は将来の為に身体を休めるのが先決である。

「あ、すいません。ココア注文するんで電源貸して下さい」

ネカフェの個室から立ち上がり、ガラケーを持って宣言するように近くの店員に言う。

「え、電卓の充電ですか?」

「いやケータイですから」

昨今、ガラケーは絶滅危惧種となり果てて、目にしたことのない人が多いようでだ。

 

*  *  *                      *  *  *

 

後日のバトルドーム。

本日の試合は月に二度のランクマッチだ。

新宿バトルドームに所属するチームは、それぞれのチームメンバーが都合の良い日を示し合わせて直上や直下のチームと戦い、順位を決めるバトルを行う。

実際にメンバーが会って示し合わせる必要はなく、ランクボードの脇にある今月ランクバトル可能な日を赤丸で囲んでも良いし、文字で伝えても良い。そしてそのランクに沿った形でポイントを支給される。

このポイントは複合施設であるバトルドーム、或いは提携している店舗で現金同様に使え、ガンプラバトル以外に能がないヒデツグが生きて行ける理由でもある。

とはいえ、提携している箇所を新宿以外で見ることはなく、現代の人間が生きていくのに必要な部分はヒデツグの塒(ねぐら)であるネカフェの提供とガンプラと交換する程度しかない。

使わないポイントは現金と交換できるのだが、メンバーが多いとそれだけ一人あたりのポイントの額は少なくなってしまう。

しかし、メンバーは多い方がヒデツグには良いのだ。一度の試合に出撃できるガンプラは、その時のレギュレーションにもよるが通常なら最大で3体まで。

3体で勝ったとしても、仮に1体で3体の相手に勝ったとしても、支給されるポイントの量に変わりはない。

しかし大型バトルシステムを使ってのガンプラバトルとなると、最多で50体のガンプラと2隻の戦艦が入り乱れるマザーシップルールという特別ルールが敷かれることが多い。

それよりも大規模なマス・マザーシップルールというのもあるが、極めて例外的なルールであるから説明も後日に送る。

夏場に静岡で行われる世界選手権の後、日本各所のチームが集められて日本最強チーム決定戦が行われる。優勝賞金は日本円にして五千万。

また、ガンプラブームに乗っかって商売しようという企業が指定したガンプラを使えば、それだけ報奨金額は足される。

ここ数年この大会の優勝者はオブザーバーの外国チームだが。

ちなみに、去年のミリシャ漁業組合の戦績は、性能の差と数の差で大会に出ることなく夏を終えている。

数の差を埋めるにはファンネルなどオールレンジ攻撃が最適かと思うのだが、オールレンジ(手抜き)攻撃はヒデツグのポリシーに反する。

アレは指攣るし。

追加して言うと、ガンプラバトルの競技人口が増えたことにより、ヒデツグらミリシャ漁業組合が本拠地とする新宿バトルドームで行われるバトルは、バトルシステムが大型ということもあって常にマザーシップルールだ。

しかしマザーシップを墜とせばそれで勝利というルールだから、ヒデツグ達のミリシャ漁業組合チームは即座に相手艦を墜として勝利することが多い。

無論、相手方もマザーシップに守備用のガンプラを付けて守っているから、挟撃されることも少なくない。去年の夏はそれで敗退した。

去年の冬。組合に勝利したタナカさん率いるチームは埼玉に移籍してしまっている。組合が夏の大会に出場できたら確実に当たるであろう相手だ。他の県のチームも、強いかも知れないのだけれど……。

1月の幕張での感触では、他の県にそれほどの猛者がいるとも思えない。

まぁ早朝だったから今一確信が持てないのだけれど。

さりとて、本日のランク戦の相手は最近になって急浮上してきたチームだ。メンバーは独りで、初期のミリシャ漁業組合のようなチームである。

唯一のチームメンバーでありリーダーは、ヤマザキ・サキという名でZやZZ期のガンプラを多用し、見事なカスタマイズ化をしている。

名前は女っぽいが、これ以上ない程に男である。見た目はイケメンなジャギ様といったところか。そして以前ミオにガンプラ製作を教えていた男だ。

ミリシャ漁業組合の標語は、バトルは、「正々堂々」であるからヒデツグが独りで相手することになった。ジムの強さの真実を知らない者は「堂々とチートしてるんだろう」と批判するのだが、実際にヒデツグのファイターとしての素養は高いのである。

それでもバトル前に

「私がチートしてるって話し、不安ならそっちのガンプラを使うけど」

とヤマザキに申し出たが「いや、自分が使い慣れたヤツを使ってくれ」

と言われてしまった。

パチ組みガンプラで改造機に挑むのに一抹の不安を覚えたヒデツグの策でもあったか、あっさり頓挫した。

チートを否定するヒデツグを信じる希有な人物ならありがたい。

ヒデツグの策が見透かされただけかも知れないのだが。

 

照明が抑えられ、昼間にも関わらず暗い室内の中、バトルシステムが起動して台の両端に立たされた二体の人形の無機物に仮の命が吹き込まれた。その頭部に位置する部分に嵌め込まれた「メインカメラ」が煌めき、頚を上げる。

「ニワ・ヒデツグ。出陣するぞォォ!!」

気合いを込め過ぎて暴力的な程の出撃合図は気恥ずかしいが、これもガンプラバトルをする時の楽しみの一つである。

ちなみにコヤスは複合施設である同施設内のジムで運動している。RGMではなく、体を鍛える方のジムだ。

プラフスキー粒子の蒼い光で生成された月面が今回のステージである。

その上を滑走するヒデツグのガンプラ――ジムの神様ブラックは、長距離で煌めく光を見た。

「ぬぉっ?」

咄嗟に避けるブラック。最近作った新品でなかったら、レスポンスが遅れて大ダメージを受けていたか、撃墜されていただろう。相手は大口径のビームキャノンらしき武装を持っているようである。そして長距離から撃てるほどセンサー類を強化した機体らしい。

ブラックのバーニアを目標に、長距離から目測して撃った一撃ということもあり得るのだが。

そしてそれはヒデツグにとっても言えるのだ。ビーム射撃が来た方向に相手がいるのは確かである。無論、狙撃した地点に何時までも居るとも思えないが、大まかな目安にはなる。

ヒデツグは機体を月面上に着地させ、遮蔽物を利用しながら進むことにした。

相手がどこにいるかも解らないという緊張の中、ジムの神様ブラックが会敵したのはゼク・アイン(RMS-141)がベースの改造機だ。彼が今見ているゼクアインを第二種兵装という。ヤマザキという男は、本来は第三種兵装で売っているゼクアインを自分なりに改造調整したのである。

そんなヒデツグだが、どちらの機体もグリプス戦役頃のティターンズ機であるということは理解したし、それが第三種兵装を改造したものであることも理解できた。

両肩のマガジンドラムはオミットされ、代わりに追加ブースターにディスクレドーム、そしてファンネルラックが付いている。

ファンネルは厄介だし高機動で的を定められないのも面白くない。

「さて、どう来る!?」

実際のところ、ファンネル等のオールレンジ攻撃を搭載した相手は速射性と散弾性に特化した武装を持つジム神には御し易い。下手にガンプラを借りた方が苦戦したかも知れない。

だがしかし……。

「!!」

バーニアを吹かし、ゼクアインは旋回機動を取る。ブラックも足を止めず、相手の後ろを取るように旋回を始めた。

だが機体の性能の差は絶対的差である。更にはファンネルを飛ばして来るから、それに対応するブラックの燕返しの弾数は消費された。

肝心な撃破目標であるゼクアインを見失う筈はないが、どうしても注意力は拡散する。

そんな中で撃たれたビームスマートガンは、ブラックが回避した地点の岩を貫き、消滅させた。

「ええぇ……」

先程ビームキャノンかと思われた射撃は、手持ちのメイン兵装である武器だった。

しかもそれを連射してくる。ゼクアインのビームスマートガンは公式設定でも連射式だった。ヒデツグは心の中で呻く。

今は公式戦に沿ったルールのランクマッチである。ならば相手に無駄弾を撃たせて弾切れを狙う手がある。

燕返しも無駄弾は撃てないが。

機体の警告音に背後からファンネルが狙っていることに気付き、次々と燕返しで撃墜していくブラック。そして弾数の減りが激しいのもブラックであった。

「弾切れ!?」

計器には残弾数が2発ある。どうやら“弾詰まりまで再現されてしまう程に精巧に質の悪い散弾銃”を作ってしまったようだ。しかし今日に始まった話しではない。過去にあったことだから、シールド裏に両面テープで換装用弾倉を張り付けているのである。

ヒデツグという男。こういったチープな改造も手軽で好きだ。

月面の岩場に隠れると、燕返しに装着されている弾倉をイジェクトしてポンプアクション。すぐさま替えの弾倉を付けて敵影を追う。

しかしヒデツグは気が付いた。

「ヤベっ!!」

敵には岩ごと目標を噴く飛ばすビームスマートガンがある。ブラックがダッシュして飛び退いた瞬間、隠れていた岩場が吹き飛び、連射されるビームで破壊されて飛び散る岩を避ける後退した。

そこを狙い撃ちされるブラック。安全地帯からの脱出時を狙うのはセオリー通りだから、ヒデツグは難なくこの攻撃を避けた。返すように放たれる燕返し。

長距離で、尚且つ相手も回避運動を取っているからダメージは微々たるものだ。ダメージが無い可能性もある。中~近距離装備のジムクゥエルと、武器そのものもが比較的近距離向きである。クゥエルに元々付属しているマシンガンやビームライフルなら中距離以上に離れた目標も狙えるだろうが、マシンガンが有効な武器とも思えないしビームライフルは使用の度にエネルギーを消費するから敬遠した。もっとも現在はその武装はないから無い物強請りしても仕方ない。。

ブラックを狙い、飛んで来たファンネルは早々に決着を付けるべく頭部バルカンと燕返しのフルバーストで撃破。

宇宙(そら)に爆炎が広がり欠片が降り注ぐかにみえた。

だが爆炎の中から降り注うで来たのはゼクアイン。

ゼクアインが広がる炎を目眩ませにして、刺突攻撃で突貫してきたのだ。

「そういうトリック!?」

『もらったぁっ!』

ヒデツグが得意とする白兵戦であるが、ゼクアインの素早い動きに反応が遅れた。バックパックのビームサーベルを抜くことは叶わず、シールドで往(い)なすしかない。

だが、右手に持つビームサーベルをゼクアインをブラックの機体左側に往なしたのは不覚と言える。ゼクアインは左手のサーベルでブラックを斬り上げようとする。それを封じる為にヒデツグは機体をわざとぶつけ、頭部バルカンを浴びせかけながらバーニアを吹かす。

若干離れた地点に見えるのは小高い岩場。ここにゼクアインを叩き付けて多少でもダメージを与えようというのだ。ブラックもただでは済まないが、相手はファンネルが尽きたのかファンネルラックは空である。これなら性能差を埋めた勝負も出来る。そう考えたヒデツグだが、生き残ったファンネルが近くに接近しているのに気付いた。

モニターに映し出されたそれは、ビーム発射口らしきものも無い。

「ファンネルミサイルか」

実のところ、ヒデツグが所有するガンプラの中にもファンネルミサイル搭載機はある。かつて珍安師匠の下で修業した時に、唯一形になったブラックシリーズ(ヒデツグ曰く群青)のエース機だ。

以前に双葉町のジオニストが集うガンプラ喫茶で使用したところ、某ランバなラル大尉から「まさかこの機にファンネルとは……。黒くて丸い死神か!?」との称賛の言葉を頂戴した。丸い機体を黒く(群青に)染め上げたげた機体だが、武装に関しては何か文句を言われても問題ない。可愛いは正義なのである。強過ぎて戦いのスリルを味わえなから、公式の試合では使わないが。

それにGMじゃないし。

先程撃ち落としたファンネルの中にも大きな爆発を起こした一基があった。あの威力を喰らうと確実に負ける。

「面倒な……」

ブラックの頭部が180度近く回り、ヘッドバルカンによる迎撃を図る。

『えぇっ そんなに首回ンの!?」と、驚くヤマザキだが、後頭部の下側を削ればヘッドバルカンの有効範囲は飛躍的に増えるのである。ヒデツグという男、ビルドレベルは低いが、簡単に出来る工夫で勝負の為には色々と拘らない。

それでもヘッドバルカンで射撃できる角度は限られる。

いくら頭部を廻しても迎撃できないから、燕返しのオートポンプで細かい狙いを付けずに周囲の空間ごと一気に吹き飛ばした。

その瞬間に起こる大爆。

そして爆発から飛び散る複数の破片。爆風で相手にダメージを与えるのではなく、爆発によって生じた破片を敵機にぶつけてダメージを与える代物である。

「まさかここまでッ!?」

現実世界の戦闘機から格闘戦はほぼ無くなったが、空対空用のミサイルは爆風ではなく飛び散る破片で敵機へのダメージを与えるようにできていると聞いたことがある。だから、まさか相手が自分と同じことをしているとは思わなかったヒデツグである。

爆風で月面に叩き付けられたブラックとゼクアインであるが、拘束を解かれたゼクアインの左腕は間接部を決められていた状態で叩き付けられたので損壊し、スパークを起こしていた。

「流石は……やる……ッ」

機体損傷の警報が鳴り、赤色ランプが光るコンソールを見ながら、ヤマザキ・サキは残存する機体エネルギーを各部スラスター部から四肢に廻した。

『まだやれるぞ! ニワ・ヒデツグ!』

ファンネルの他、遠距離武器もブームサーベルも喪失したが、まだゼクアインには戦う手段が残っている。

「なんたる闘争心……。しょうがねぇなぁ」

武器無しでここまで闘い続ける相手というのは、ヒデツグが経験した中では少ない。

ブラックもバルカンごと頭部を失い、燕返しを喪失したがシールドとサーベルは健在だ。闘い続ければ勝つのであろうが、相手方が戦い続けられる根拠もないのに戦闘を望むことに一抹の不安を覚えた。

なにか「隠し玉」を持っているのではないか?

『いくぞォ!』

言うヤマザキのゼクアインが近距離から踏み込む。

この距離 スピード 速い!! ヒデツグが言葉を返す間もなくブラックはシールドを構えた。徒素による格闘は「突き」。

『この素早い突きを躱せるかァー!』

「ペズン神拳の継承者だと!?」

そんな暗殺拳が存在する筈もないが、そうとしか言えないような状況……というかノリである。

『喰らえ! ペズン千手殺――!』

ヤマザキもノリノリである。新宿バトルドームに降り立ち、ガンプラという手法で北斗を極めつつあるジャギ様が繰り出した業は瞬く間にブラックのシールドを穴だらけにした。

「くっそ!」

ぼこぼこにされたシールドの穴から見えるのは、両腕で高速の突きを繰り出すゼクアイン。しかし損傷した左腕の動きが若干遅いのを、ヒデツグは見た。

「そこか!」

機体を当てるようにして右腕でゼクアインの左肩下を拘束し、そのまま機体をゼクアインの下に滑り込ませる。

『なっ!?』

ジムクゥエルの肘の可動域はパチ組みでも広い。シールドを持つ左腕でゼクアインを左方から引きずり落とし、月面に叩き付けられた敵機にヒデツグは即座にビームサーベルを突きつけた。

『まだまだァ!!』

諦めが悪いのかジャギ様ことヤマザキの戦意が萎えないのか、ゼクアインは仰向けの姿勢のままでバーニアを吹かす。そして機体エネルギーを両腕両足に廻したまま、スラスター推進で無理やり起きた。

ジムの神様の波動砲と同じ原理で千手殺を使ったから、シールドを穴だらけにして機能を奪ったも同然である。だがゼクアインの両腕も損壊して大ダメージを受けている。

それに対してヒデツグのジムの神様ブラックは頭部が吹き飛んだ以外、目立った破損はない。

「よぉし、やろうか!」

ジャギ様のことだから未だに隠し玉を持っているかも知れない。一発逆転があるかも知れないが、久しぶりに遭遇する好敵手の登場にヒデツグの心は昂っていた。

「見せてやろうか! パチ組みの神髄を!」

ガンプラバトルには何の効果もないのだが、ヒデツグは下腹に気合を入れて構え直した。二次元覇王流の必殺技【ジムオンガン】を使うことも考えたが、命中する確率が低い上に命中してもバトルの面白みを味わえない。

即座に二機の機体が激突する。

シールドをパージしたブラックとゼクアイン。2機のガンプラが地球光を背景に、周囲が抉れる程の余波を生み出しながら、攻める為の攻撃・守る為の攻撃を繰り返す。

しかし、これまでに蓄積されたダメージはすぐに結果として現れた。

全身から火花を散らし、スパークしていたゼクアインの右膝間接部が爆発したと思うと、のめり込むようにブラックの前に擱座した。

この機会を見逃すヒデツグではない。ゼクアインの後ろから同機の頭部を右腕で締め上げ、ビームサーベルの刀身を頚部に近付ける。

「どうだ!」

ヤマザキは暫し言葉が出なかったようだが、暫くして

『参った』

短く、そんな言葉を言ったのである。

 

*  *  *                       *  *  *

 

「いやぁ、ガンプラで○斗神拳を再現するなんて、凄いね君は」

「UCの終盤にビスト神拳をしてたからな」

ヤマザキという男。見た感じは20代前半くらいだが「あんた」呼ばわりされた上にタメ口を利かれてしまった。

もう慣れてるけど。

「それよりあんた、巣組みを使ってアレかよ?」

「まぁ日々精進してガンプラへの愛があればね」

そんな答えのヒデツグにヤマザキというジャキ様は言い放った。

「ヤスリ掛けすりゃ今より強くなるぜ。俺のチームに来て強くならないか!?」

「それより君が組合いに来なよ」

普段は精々2人だけど、3人や4人の時もある。一応中規模はあるチームが1人チームに引っ越すよりも、1人しかいないチームのメンバー兼リーダーが大組織(とは言えないが)に入った方が簡単であるとヒデツグは言う。

「ジャキ様の腕とビルド能力なら確実にスタメンだしな」

ジャキ様と呼ばれても仕方ないと思ったのか、呼称には触れずに独り呻く。

「またミオに……うーむ、しかし変態みたいに思われるのは……」

「ナニソレ!?っていうか心の声が駄々漏れだよ!」

とはいえ、ジムをここまで昇華させるのは変態レベルの偉業である。欧米では変態が誉め言葉だと母に聞いたことがあるし。

「よし、じゃあモモカ・ミオのサインを……」

「あ~、それはこの前貰ったからなー」

ミオめ。想像以上に仕事が早い。考えていたら再び兄妹の近親種付けセックスがしたくなってきたヒデツグである。

実際には子供が出来ないように避妊しているが。

「じゃあ、表に出てないミオの水着写真は……」

「ホルターネックビキニお願いしますニワさん!」

「さん」付けで呼びやがった上に水着の種類まで指定して来やがった。

適当にチッパイ頃の幼女時代の写真をくれてやろうかと思ったが、今度ミオとのデートの時にでも撮らせてもらうしかない。

コヤスがジムから来て2人に合流したのは、そのすぐ後だった。

「なんスかこの久々に見る凄く滾る泥臭い格闘っ」

リプレイを見て、褒められているのか貶されているのか判断に困るコメントを貰ったものである。

 

*  *  *                       *  *  *

 

ヒデツグとミオとの関係性は話していないが、ミオ周辺の芸能界にコネがあると話したからジャギ様はミリシャ漁業組合のメンバーと行動を共にするようになった。但し、バトルでチームの一員として参加するにはジャギ様の【シュラの国】というチームを解散させてからでないと無理なので、今はまだただの友人である。

「そういや、やってるか? このあいだ配信されたばかりの『UC girl,s』。宇宙世紀の女キャラしか攻略対象が居ないって話の」

ヒデツグも以前に街の本屋を立ち読みした時、「宇宙世紀の女の子と恋愛するゲームがスマホとユニホに登場」という見出しが書いてあるのを見た。要はガンダムが題材のギャルゲームだが、ガラケー一本のヒデツグには何の関係もない。興味自体はあるのだけれど。

「あぁ、あったね。『御曹司が息してません!』って煽りがあって気になってたけど、どいゆうことなんだろ」

コヤスも存在は知っているようだ。サラリーマンとガンプラバトルでキャパシティが一杯のようだから、見送り組みらしい。

「それはな……」

もったいつけるジャギ様。こやつ、口調がタメ口に戻っている。

「ロラン・セアックが攻略対象の一人になっているんだよ!」

「な、なんだって~~~~!!!???」

「それは本当かジャギ林!?」

今日の何かを達成した気がしたが、それどころかではない。褐色・銀髪はヒデツグの好物だ。しかしロランは男である。ちょっとこれは萌えたら負けである。

「アイーダ・スルガンとか! 攻略できる!?」

「いや、そりゃ無理だな。今後のアップデート次第だけど」

まぁ、アップデートで出なくとも三次のアイダ・レイハンという恋人が居るのだ。贅沢は言えない。

「アイーダじゃなくてマリーダなら攻略対象に入ってるけどな」

「マリーダ・クルスかぁ……」

幸せにしてあげたい娘さんだが、ジム系の天敵であるからヒデツグは苦手である。

「じゃあソシエ・ハイムは?」

「基本、宇宙世紀だから未だ居ないですね。今後のアップデート次第ですが」

コヤスに対しては敬語である。このジャギ様、どうやらヒデツグを年下と思っているらしい。

「じゃー、シーマ様とか。シーマ様はちゃんと攻略対象だよなぁ?」

「えっ、 シーマ・ガラハウ? 宇宙世紀の女キャラは大体出るけどシーマは……あぁ、出てたな」

「よし、じゃあガラケーからスマホに乗り換えるッ」

「まさかシーマ様が決めてとは!? 中尉はシーマ様推しなスね」

しかし、ヒデツグの英雄携帯は家族割なので、一度は実家に帰らなければならないとヒデツグは二の足を踏む。また、基本使用料が3桁を越えることも非常にネックだ。

「ぇぇ~、よりにもよってシーマ・ガラハウが決め手になるとは……」

何やら不満そうなジャギ様に、ヒデツグは言う。

「おまっ、スターダストメモリーのヒロインはシーマ様だろうが」

「ニナ・パープルトンじゃなかったのか」

「柴豚はねぇよ」

ジャギ様という男、意外にもガンダム初心者なのかも知れない。ヒデツグも白T様信者でアナザーはネタ以外サッパリだが。

「俺はミオが居ればもう良いなぁ。リーダー、期待して良いんだな?」

「あまり卑猥なのは頼めないけど(&やらせないけど)ホルターネックでお願いしてみる」

「ふっ、フハハ。楽しみだな。将来いつか脱ぐかな」

「脱がねぇよ!?」

ましてや脱がさせねぇよ……というところである。ジャギ様には写真はやるが、ミオ本人には会わせてはいけないとヒデツグは心に決めた。

「取り敢えず、ガラケーから替えたらシーマ様とエロエロして連れ子と一緒に家族4人で……」

「このゲーム。18禁じゃないんだが」

「ってか中尉、シーマ様は連れ子なんて設定ないでしょ……」

「…………すまん。俺の思い過ごしでした」

今日は中々良い収穫があった。

新たなメンバーを得たヒデツグは、いつも寝泊りしているネカフェに行くため夜の闇に消えていった。




魔導の三部もこのくらい書けばあと2~3回で確実に終わるのでしょうが……。
編成力がないから時間が掛かってしまうのですよ。早く第4部行きたいところ。
クリボー本気モードをやったら4部でデレる……かなぁ……?

って、別の後書き書いてますが、ミリシャ漁業組合が華やいで来ました。
増えたの兄ちゃんだけどなッ。
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