1月の日数と曜日は一応計算しているのですが、続けると絶対に矛盾が出てくるのです!
んで、今回はお風呂回です。
全部で何回あるか分かりませんが、お風呂回なのです。
そしてビルドファイターズの続編情報が出てきましたね。
タイトルは……GMの…逆襲……とな?
2月初旬
ニワ・ヒデツグはネカフェ民である。
仕事はまだ無い。
就職先が見つからないまま大学を卒業し、必死になって書いた履歴書の総数の厚さは広辞苑ほどまでに及ぶ。
ようやく採用された物流会社ではガンプラバトルが推奨され、社内にはガノタで溢れていた。
趣味でガンプラバトルをする彼には理想的な職場に見えるが、実のところヒデツグは純粋なガノタでは無い。
ただの宇宙世紀を知るだけの男であり、ジムオタなだけである。
種? 揚げ? 知らんなァ……な彼は、某世界の神が説くように正直者であろうと志し、社交辞令を知らない男だった。
プラフスキー粒子の青い光の彼方に見える戦いの神、愛の神、そしてジムの神様に祈りを捧げる彼のパチ組みジムは、
ビルド能力は素組み程度の彼だが、入社5日目で社内のてっぺんを取ってしまったのである。
ガンプラバトルは見た限りで、外部からの乱入・或はレギュレーション違犯が無い限り反則は無い。
だがヒデツグのジムは見た目にも解る通りの、ただのパチ組み機である。
これが見た目にも解るような凄まじい改造をしているのなら納得出来るのだが、見て解るオリジナリティー要素は右肩のカボチャのお化けらしきエンブレムだけだ。
何かチートしているに違いない! ……と、思ってしまうのは、ヒデツグにとってはナンセンスな話だが、この件で彼はリストラ予備軍とも言える窓際に定位置を確保してしまったのである。
そしてその年の夏の終わり、静岡で行われた第七回世界ガンプラバトル選手権の最後にそれは起きた。
その塲にいた多くの者の証言によると、プラフスキー粒子の暴走事故と解るがハッキリとした事故検証は未だ解明されていない。
会場施設の一部が崩落し、当時のPPFE社長とその秘書の他、数名の選手権参加者が行方不明になったのである。
そしてその事故で世界中からプラフスキー粒子が失われてしまった。
結果としてガンプラやガンプラバトルで引っ張られてきた世界の景気は大いに反動を受けた。
早い話しが、世界的な景気の減速。ガンプラ関連株がに引っ張り続けていた分、反動も大きかったのだ。
その不景気の煽りを真っ先に受けたのが不正規で働く者やヒデツグなど、定職に就いてはいるが身分の不安定な者や、不正規で働く者などである。
リストラを予想していたヒデツグも、こういう日のために日付けを書いていない履歴書を何枚も書き溜めておいて、あらゆる企業に出した。
だが広辞苑ほど書いてようやく一社受かる程に仕事に縁がないヒデツグだ。
就職に有利な資格は車の運転免許くらいしか資格を持っていないのに、不景気絶不調の東京で採用通知が得られる筈もない。
外見的に年齢が若く見られるから、一人称を『俺』から立派な成人っぽく『私』にしてみたり、日頃の態度も酸いも甘いも噛み分けた大人らしく振る舞うように心掛けてきた。
だが「残念ながら」の一文が含まれる企業からの手紙が数百枚届いたところで、ヒデツグは住んでいた部屋を追い出された。
口座払いにしていた銀行口座の残額がなくなって、既に三ヶ月も経っていたのである。
真冬の東京に放り出されたヒデツグだが、最低限には防寒着は用意してある。だから、昼間の内はまだ楽だ。
だが、夜になると風が吹き込まない場所に行く必要がある。
そうしなければ、明日の朝にはヒデツグは冷たくなって二度と目を覚まさないだろう。
結果、ヒデツグは遂に風邪を引いた。中野のサンモールの片隅に臥す彼の脳裏に、幼き日……母と病室の窓から見た夕陽が思い出された。
不自由はあったが、何の心配することもなく明日を迎えることが出来た幸せな日々。
それが懐かしくて、愛おしくて、涙すら流れた。
「あの頃に……」
戻ることは出来ない。人含む全ての動物も神も、無機物ですら向かうのは一定、未来である。
* * * * * *
「あの頃からすれば、今なんてリア充だな」
あの日の夜、風邪と涙で鼻をすすっていたヒデツグが気になって見に来たホームレスのおじさんが、高熱を出しているヒデツグを見つけて救急車を呼んでくれた。
その時、ヒデツグは肺炎だった。
健康的とは言えない生活が数年続いて、幼少期から続けてきた水泳で得たスタミナが無くなってしまったが、ヒデツグには新たな特技が身についた。
いや、元々持って居る能力が死の淵を彷徨ったことで研鑽されたのだろう。
見えないものが見える……。いない筈の人間の声が聞こえる。ヒデツグ自身は、それを人の「残留思念」の声だと思っている。
早い話が幽霊だが、たまに生きてる人間の残留思念を見ることもあるのでこのような呼び方になっている。
ちなみに、先のおじさんもガンプラバトルの不景気の煽りを受けて職を失った者であった。景気が上向いた今も、時々会いに行ってその時の礼をすることがあるのだが、おじさんは相変わらず路上生活者を続けている。
生活環境にさえ気を付ければ客や上司に頭を下げなくても良いし、気楽さはあるのかも知れない。だがヒデツグは自身を顧みて、独りで生きていくことの寂しさを悟り、予感するたびに、その運命を回避しようと努力してきた。
* * * * * *
春は近いが、一年の中で最も寒さが厳しい頃。
ヒデツグがチーム【ミリシャ漁業組合】を置く新宿駅近くのガンプラバトル施設、『新宿バトルドーム』のバトルシステムの中で、ジムの神様カスタムBLACKが宙を跳ぶ。
先日の幕張の試合で、自壊寸前まで二次元覇王流を使ったジムの神様6号機の損傷は、両腕パーツは疎か胴体部にまで及んでいたのである。
一応、起動するのだがこのまま使い続けていると、肝心な試合で何もしない内に負ける可能性もある。なので、何時かプラモ製作技術を磨き上げた時のことを思い、再び愛機達と会いまみえることを祈り、駅のコインロッカーというガンプラ墓場に葬送したのである。
BLACKは正直言うと、ジムの神様より可動範囲が広い。ジムの後に発売されたジムクゥエル(RGM-79Q)をパチ組みして使っているだけなのだが、玩具屋はガンブラブームに胡坐を掻かずに研鑽してくれているので、ヒデツグの感謝は一入である。
久しぶりに性能の良い機体を使うので(今まで酷かっただけだが)、最初の一瞬は性能を持て余しそうだったが、ヒデツグは全勝して今日の試合を終えることが出来た。
バトルシステムから使用したガンプラを回収して箱に仕舞いながら、ヒデツグは思う。
「燕返し。もうちょっと確り作らにゃなぁ」
試合の終盤は、ビームライフルやジムライフルで敵機を牽制し撃破していたヒデツグだが、最初は平時使い続けている「燕返し」も使っていた。レギュレーションによっては弾数制限もあり、今回の試合も制限が付いていた。しかし、今回の試合で「燕返し」は余り使えていない。
ヒデツグの製作技術が中途半端に精巧だったのか、何度も弾詰まりを起こし、その度に銃身上部に付ける箱型弾倉を捨ててポンプアクションでリロードしなければならなかったからだ。
「ガンプラの専門学校なんて、あんのかなぁ」
コヤスやアイダに聞くのが早そうだが、彼等は会社や大学で忙しい。ヒデツグのような暇人に付き合っている暇はないのだ。修復技術を聞いたフェリーニの姿は既に日本に無く、今頃は欧米を転戦している。
他のチームメンバーに聞くという方法もあるが、ライバルチームのリーダーに教えてよいものでもない。
「今度また京都行こうかな」
とは言え、それも交通費が掛かってしまう。上方で賞金の掛かったガンプラバトル大会でもあれば考えてしまうが、兄弟子とかち合う可能性は否めない。
「ま、関東で活動する限り大丈夫」
7回世界選手権優勝ビルダーのイオリ・セイは今、日本にいないし、名人がヒデツグが出る市中の大会に出ることはない。自分から外に繰り出さなければ、今のところ安心してガンプラバトルで稼げるのだ。
* * * * * *
ネットカフェの、一番安いオープン席に座り目を閉じて暫し。
気軽にネットを楽しむことを前提に作られたオープン席は、睡眠には全くの不向きと言えよう。少し高い金を払えば、寝易いリクライニングの席を使えるのだがヒデツグはアイダとの結婚費用、そしてその後の当分の資金を稼ぎ、節約するために、敢えてこの席を選ぶ。
もちろん、そう簡単に寝れる訳はない。何時も外が白む頃になって、漸く数時間か数十分寝れるのだ。そして昼間、ガンプラバトルの施設でバトルの合間に良く寝ている。
健康に悪いとは解っているので、十日に一度か週に一回はリクライニングの席を借りて寝る事もある。
だが今日はオープン席だ。数百円でホテル代わりに出来る、背もたれの短い固椅子に頭を乗せると、喉の急所を差し出したような形になってしまってますます安心して寝れない。
「お兄ちゃん♪」
ネカフェの安席の背後からヒデツグの頭に、突然人影が覆いかぶさる。
「ぬお!?」
いきなり顔を覆った感触に、ヒデツグは覚えがあった。アイダなんかに、顔に胸を押し当てた時の柔らかさである。ただし、今のは被服で覆われてたが。
「誰っ……て、ミオ!?」
「これまた、景気悪そうな顔してるねぇ」
ヒデツグに悪戯した黒髪のセミロングの女性は、名をミオといった。
「バリに行くって言ってたけど、帰って来たんだな」
「バリでバリバリ仕事して来たよ」
ヒデツグは、そのボキャブラリーセンスに閉口した。
「お前、ホントにKO卒?」
「そーだよ。お兄ちゃんの可愛い妹は高学歴アイドルだって」
「バカドルって言われたら父さんに勘当されるぞ……」
ヒデツグの4歳年下の妹、ニワ・ミオ……日本名で言うと丹羽・澪は、某有名大学在学中の時からグラビアアイドルとして活動していた。
母似の肉感的肢体を生かし、多くのファンを持つアイドルだ。
まだ電波に載ったりとテレビ出演はしてないが、スポーツ紙がその正動に紙面に割かない日はない。
詳しく言えば、 Hに近いGカップという爆乳に、括れた腰とリアル系画風のヒロインのように整った顔立ちが人気を集めてる。
まぁ早い話、妹はパーフェクトだ!
……と、心の奥底でシスコンのヒデツグは説明しておく。
ただ「ニワ・ミオ」だと語呂が良くないので「モモカ・ミオ」という芸名で活動している。
欠点らしい欠点でもないが、どうしても挙げるならこの一点のみだ。
「まあまあ、夜も遅いから外で話そうよ」
見れば、個室で寝泊まりしていた者が立ち上がってケータイのカメラなぞを向けている。
「あ、これ。俺の妹なんで」
言いながら、ヒデツグは身体でカメラからミオを隠す。
話題のグラドルが、深夜に男の元を訪れるのは良いことではない。更に「愛する妹の写真を勝手に撮るな!」という思いもヒデツグにはある。
ネットカフェからミオのマンションに移動する傍ら、ヒデツグは問う。
「ミオ、アミさんはどうしたよ?」
「アミちゃんは空港からそのまま事務所に行っちゃったよ。三日は休みだからさ、その間に遊ぼうよ」
Gカップ越えの人気グラドルから「遊ぼう」となどと誘われる男が、世の中どれほど居るだろうか。実の妹ではあるが、高校二年のころからミオのことを異性として見ることになったヒデツグには誇らしさもあるが、普通の兄妹ではないことも自覚しているので後ろめたさもある。
だが、マネージャーと仕事のことを気にしなくて良いのは今くらいだ。二人は六本木のタワーマンションまで行くと、窃写を気にしなくて良い上階であるミオの部屋まで向かった。
「お兄ちゃん、お風呂入る?」
もうお湯は張ってあるよ、とミオは言う。帰る最中にスマートフォンを操作していたから、それで遠隔操作で湯を張ったのだろう。折角張ってくれたのだから、入らなければ申し訳ない。
「あぁ、うん。それじゃぁ有難く……」
実のところ、ヒデツグが寝泊りするネカフェにはシャワー室も完備されているのだが、それはそれで利用するとまた金が掛かる。
風呂に入れるのは助かるし、入るのがミオに対しての礼儀であろう。
そしてミオのことだ。後のこともあるし、入って身体を清めるのが道理である。
マンションの浴室と言っても値が張るタワーマンションだ。浴室も広めにスペースを取られていて、姉弟の中で資本的なリア充はミオであろう。浮浪者に近い二番目の兄に施しを出来る立場だ。
しかしミオも、ただ浮浪者の兄に施しをしているという訳ではない。根底には愛が多分に含まれている。しかも肉親に向けるべき形の愛ではない。
浴室に入ったヒデツグは先ずシャワーで身体と頭を濡らし、来る途中に買った少量入りのシャンプーで頭を洗う。
久方振りに入る風呂は、絶対的な安心感をヒデツグに与えた。金や時間のことを心配しないで良いのは、それだけ有り難いことなのだ。
シャンプーと同じ時に、タオルなり垢すりになる道具も買おうと思ったのだが、それだけの品揃えは深夜のコンビニには無かった。
仕方ないので浴室にあるスポンジ状の道具にボディソープを染み込ませ、後ろに腕を回して背中を擦る。
最近、泳いでないせいか、肩の関節が固い。以前は両腕とも背中の真ん中まで回すことが出来たが、今は肩甲骨にも届かない。
ヒデツグが四苦八苦していると、ガラっと風呂場のドアを開けて一糸纏わぬミオが入って来た。
「ミ、ミオ!?」
「どーお? お兄ちゃん。背中擦ろうか?」
まるで見ていたかのようなタイミングで入ってきたミオの裸体を見るのは、初めてのことではない。ないのだが、その軆は以前より更に人目に曝されることを目的としたように鍛えられている。
ソフトながらも腹筋が付き、縦に割れたように見える臍は筋肉的なものより色気を引き立てる。
大きな乳房から、ぷっくりと突き出た二つの突起は桃のように鮮やかで、居る者の視線を引き寄せ、そこから下に行くにつれてキュっと引き締まり、見事な括れを見せている。
骨盤は大きい方と言え、そこから伸びる脚は長く細く見えながら、付けられた筋肉の見事さは反論を赦さない。
何と言っても、臀部間近の大腿部にも視線は釘付けになってしまう。白くしなやかで、今にも触れてしまいたい衝動に駆られる。
「ミ、ミオ。ちょっとマズイだろ」
先程は暮らしの大変さ+αで脳が働いてなかったが、絶賛売り出し中のグラドルの家に男がお邪魔するのは、本来ならミオにとって好ましいことではない。
現在、ミオの制動は逐一マスコミが見張っていると言って良い。ミオもヒデツグも母似だが、独身女性の家に男が泊まるのは憚れる。それが、売り出し中のグラドルなら猶のことだ。
「ミオ。やっぱダメだって。干されちまうって! 俺、風呂上がったら夜の内に出てく」
「駄目だってお兄ちゃん。風呂から上がって直ぐ出たら湯冷めして風邪引いちゃうちゃうでしょ。またお母さんや家族みんなに心配させる気?」
ミオの言うことはもっともであって、ヒデツグは健康体とは言えない。人生の中で一番健康的だったのは、年上の友人と市内の神社仏閣を自転車で巡り回った小学生の低学年の頃だっただろうか。
「だからダメ。お兄ちゃん、もう今日は家から出さないよ」
そんなことを言って、ミオはヒデツグの背中をスポンジブラシで流していたかと思うと、ガバっと抱き付いた。勿論、爆乳と言える柔らかいものが当たるのは承知の上での行為だ。
「うぁっ、だ‥駄目だってミオっ! お前の裸を見ただけでもヤバイんだから、くっつかれたら襲っちゃうって!」
「良いよ~。今日はピルも飲んだし、お兄ちゃんなら幾らでも出して良いよ?」
「あ~、ミオ。まさか枕営業とか……してないよな?」
「裸の私を見れるのはお兄ちゃんだけだって。温泉にでも行けば他の女の人にも見られるんだろうけど」
ミオは何かと用意周到である。そしてヒデツグがシスコンなのに対し、重度のブラコンだ。そもそもミオとこういう関係になったのも、ミオのブラコンに発端する。
「取材の人とかに聞かれたら、下手に隠すよりも正直に『兄妹』だって言えば解ってもらえるよ。外国で仕事した後、日本に帰って肉親に会ったんだからさ。そのまま家に泊まってもらったって言えば大丈夫だって」
真実は最強の武器だとミオは言う。その通り、ヒデツグとミオは肉親なのだ。もしミオかヒデツグが拾い子だったら、真っ先に子供を作って結婚していたのだろうが、兄妹で愛し合うという歪んだ形を続けている。
「あ、お兄ちゃん。アイダさんに遠慮してる?」
「いや、そういうことでは……」
2年前、三重から上京したアイダがチームに入って暫し経ち、チームに慣れてきた頃のことだ。ミリシャ漁業組合が拠点とする新宿DOMEには他のチームも多数拠点としていて、その中の他チームの女性達ともアイダは楽しく話すことがあった。その中でアイダは、夫には何人の妻がいても良いから、皆を大事にしてほしいと言っていた。
だがヒデツグの年収は、多くて500万少々。四年前は150万を下回り、自分の面倒を見るだけで精精一杯だった。
アイダと結婚したら、子供とアイダを養い……いや、アイダが希望する進路に進めばヒデツグがアイダに養われる側になる可能性もある。
それくらい収入が不安定なヒデツグだ。仮にミオと血の繋がりが無くとも、二人以上の妻というは無理がある。
現実を言えば、ミオは三親等内の肉親なので結婚して子供を作るのは無理なのだが。
「なら良いじゃん。久しぶりにお兄ちゃんとさせてよ」
「あぁ、うん。ちゃんと避妊してるなら……。俺もミオとしたいし」
ミオははしゃぎ、ますます強く軆をヒデツグの背に押し寄せる。
「やった! お兄ちゃんの赤ちゃんなら幾らでも産んであげるから♪」
「いや、駄目だって! 前にも言ったでしょっ!」
本音を言えば、ミオという誰もが羨む妻を持ち、子供を3~4人作りたい。だが法が変わっても生物の道理は変わらない。血縁の近い者同士が子供を作れば病を抱えた子供が産まれる確率が跳ね上がってしまう。
「解ってるよ。染色体……とかの異常だっけ? 言ってみただけだから本気にしないでよ」
「あ、うん。兄ちゃんちょっと本気で焦った。ゴメンな」
特にヒデツグが悪いことはないのだが、そんなことを口にしてから、くるりと後ろを向き直る。
「ミオ、一緒になってやることは出来ないけど、愛してるからな」
そう言って正面からミオを抱き寄せ、頭一つ分下にあるミオの顔を寄せて唇を重ねる。
「いいよ。その代わり事実婚ね」
ミオは、そんなことを言って最愛の兄を困らせるのだった。
現在の医療技術は受精卵の染色体を調べ、胎児が将来持つ恐れのある病気を切除するゲノム技術が確立間近である。そうなれば、近親姦によって産まれてくる子供が病気を持つということは無い。
だが、デザインベビーは自然なことではない。ヒデツグやミオの価値観からしても、ここに至るには禁忌を乗り越えるような覚悟がいるのだ。
ヒデツグのブラコン妹が出てきました。
まぁ本番は描写してませんけど、アレです。アレなんです。
取り敢えず、次は魔導を更新するので遅くなりますかも。