黄色のスポーツカーが、マインツに向かう山道の横で停車している。閑散とした、人通りのない道である。ぎし、ときしむ音をたてながらスポーツカーがわずかに揺れる。
「ん……」
スモークガラスの向こうで、男と女は唇を重ねる。しっとりと白い肌を紅潮させた女は、男の背中に腕を回す。伸ばした舌同士が口腔内で交われば水音が車内に響く。熱いベーゼを交わし終えれば、火照ったままに背中に回していた腕の力を緩める。
「へへ、エリィちゃん、すっげぇ積極的……」
俺にもとばかりにもう一人の男が余韻に浸っているパールグレーの髪の少女に顔を近づける。同じようにまた、ぴちゃぴちゃと水音が響く。水音にベルトをかちゃかちゃと外す音が混じる。男たちの鼻息が荒くなる。
「ちょっと、そういうことするつもりじゃ……」
唇を離したエリィは、抗議の声を上げるが、男たちはだってさぁ、と男たちはエリィを宥めるようにする。二人とも下半身は下着1枚である。
「エリィちゃんの水着さぁ、すっげぇエロくて……」
エリィの身を包むものは、純白の水着のみである。シンプルなビキニではあるが、抜群のスタイル故に、そのシンプルさが男の煩悩にとっては凶器になりうる。形崩れのしないバスト、張りのあるヒップ、肉付きのいい太股をかえって強調する上、白という色は透けてしまいそうという期待感をあおる。鼻の下を伸ばしきった男たちは、舌なめずりを無意識にする。
「だから、そういうつもりじゃ……」
「それにさぁ」
サイクスはにやつきながらエリィの言葉を遮る。レジーも同じような表情で言葉をつぐ。
「さっきのキス、凄かったしさぁ……」
「…あ、あれは罰ゲームで……」
「へへ、そりゃそうなんだけどさぁ……」
下卑た顔で二人は顔を見合わせてから、エリィに向き直る。
「ちょっと唇あわせるくらいの積もりだったのに……舌までいれてきてさ…」
「ほんと、びっくりしたぜ。罰ゲームでべろちゅーなんて、エリィちゃんエロすぎ」
「あ……」
エリィは言われて思い立った。にやついている男たち二人は特別自分をはめようとしたわけではない。勘違いで大胆なことをしてしまったことに気がつき、顔を真っ赤にする。
「へへ、エリィちゃん、俺たち、そういうことはしないけどさ、どうする?」
「え?……」
「いや、どうかなって。する?ゲームのつづき」
鼻息を荒くしている彼らの目的なぞ、わかりきったことである。
「勿論、罰ゲームもパワーアップしていくけど……やる?それとも、帰る?」
答えを確信している者の問い方である。エリィは羞恥にまみれながらも、高揚感を持って、彼らの望み通りの、そして予想通りの答えを選択した。水着がほんのりと湿り気を帯びた。