洗面所で顔を洗った中年の男は、ぼさっとした頭をかきながら部屋にゆるりと戻る。
「92、かぁ……」
だらしない顔で思い浮かべるのは、隣部屋の美少女が昨晩口にしたワードである。浴衣越しにもわかるほどの量感だったが、改めて数値で示されると妄想を喚起せずにはいられない。浴衣をはだければその暴力的な数値を叩き出す果実が実っているというのだから。
それにしても恥ずかしげにしてたとはいえ、そんな質問に少女が答えるとは思ってもいなかった。むしろ恥ずかしがってるあたり、明け透けなタイプではないからこそ、自覚的であるように見受けられる。何にせよ、92という爆弾はこうして朝を迎えても頭のなかに焼き付いて離れないワードとなった。
「たまんねぇよなぁ……」
どこか憂いもある大人しめな彼女は、控えめにいっても抜群の美少女である。その上に男好きのするようなカラダをしているとあっては、出会えただけでも幸運とい
うものであろう。まして、昨日に続き今晩も酌をしてくれるというのである。女っ気のない寂しい催しであったが、一気に華やぎをえたというものである。
「お?あれは……」
襖を開けて顔をだしてこちらを見ているのは、件の美少女、確かリーシャといった娘である。思わず視線を顔から下に向けようとしてしまったが、あわてて視線を戻す。
「お、おはよう」
つい昨日を意識してぎこちない挨拶になる。声が裏返ってしまった。少女もどこかぎこちなく小さく頭を下げる。
「お、おはようございます……そ、その…」
少女はなにやらいい淀みながら、じっと男を見つめては視線を外して、何かいいたげである。
「ど、どうかしたのかな?リーシャちゃん、だったけ?」
名前を呼ばれれば少女は少し緊張が解けたようで、笑顔を浮かべる。
「は、はい。リーシャです。その……少し、お時間よろしいですか?」
「ん?ああ、別にどこかでかけるわけでもないから構わないけど……」
何の気なしに答えると少女は胸を撫で下ろして、よかった、と呟く。
「その、立ち話もなんですからこちらに……」
「……で、その、俺に何か用かい?」
いわれるがままに部屋に入ってしまったが、リーシャに誘われて部屋に、という状況を自覚して男の声は再び裏返る。リーシャが腰をおろしたのは少し乱れた布団の上である。ここで彼女は先程まで寝息をたてていたのか、と、夢想する。リーシャはちらちらと男をみながら、何かをいいかけてはやめてしまう。
「そ、その……ちょっとしたことなんですけど、お願いがありまして。よければでいいんですけど、聞いてくださると……」
奥歯にものが挟まったいいようだが、中年の男にとって年下の美少女にお願いされるというのはそれだけで気分のいいものである。
「何かな?俺に力になれることなら、喜んで力を貸すけど……何ならあいつらも起こそうか?」
「あ、いえ、いまはまだいいです。その、先ずは貴方にお願いしたくて……」
よほど言いづらいことなのか、リーシャは言葉を濁す。ようやく決心したようで、正座して向き合い、まじまじと男をみつめる。
「その、させてほしいことがありまして……」
「な、なんだい?」
真剣な面持ちに少し男は気圧される。
「___させてくれませんか?」
「ん?よく聞こえなかった……」
男は耳をリーシャの近くに向ける。リーシャは声を震わせて、その耳に囁く。
「させてくれませんか?……パイズリ」
男は、へ?と情けない声を上げる。幻聴の類いが聞こえたようである。
「い、今、何と?」
男が聞き直すとリーシャは頬を少し染めていいよどんでから再度囁く。
「パイズリ、させてください……」
吐息とともに言葉が耳に届けば、男は生唾を飲む。その言葉が意味する行為を、目の前の少女で何度夢想したことか。男なら誰だって考えるだろう。自らの男の象徴を、はちきれんばかりの爆乳の間に挟ませることを。しかし、そういったことに疎そうに見える少女自身からそんな提案をしてくるなんていうことは逆に想像だにしないことだった。浴衣から除く谷間に目を奪われながら、リーシャの熱を帯びた視線を感じる。リーシャはおもむろに浴衣の帯びに手をかけて、それを緩める。華奢な肩と滑らかな肌を露にして、そのまま二つの半球を見せつける。男は息を荒らしてまじまじとみつめる。さんざにいきりたったそれをリーシャの前につきつけると、リーシャはびくりとしつつも男が乳房に向ける視線と同等の視線を股間に向ける。少しずつ浴衣が緩めば、浴衣から薄桃色の乳暈が日の出を迎える 。重力に逆らうような量感のある双球が男の眼前にはっきりとさらされる。自らそれを持ち上げて、膝立ちになると反り返ったペニスと男の顔を交互にみて、熱を帯びた声で告げる。
「してみますね、パイズリ……」
顔の近くでペニスに挨拶できるくらいに寄ると、そのまま両側から乳房を掬うように自ら持ち上げる。滑らかな肌にゆっくりとペニスを触れさせる。
「うあ、あ………」
それだけで敏感なペニスは先端から汁を溢れさせる。それを確認したかのようなタイミングで、持ち上げる力をほんのわずか強くして、張りのある乳房に少しづつ赤黒いそれを沈ませるようにする。
「お、おお……こ、これやばいっ……」
まだ軽く触れたにすぎない状況でだらだらと先走りが漏れる。男とて胸で挟むなんて芸当が出来るほどの女性と経験は滅多にない。こうして直にペニス越しにそれを感じることで、92という数値の暴力を実感する。思わず腰が浮きそうになるが、リーシャの奉仕に身を委ねたくて理性がその動きを止める。むにぃ、っと乳房と乳房が触れあうようになると、ペニスの竿はすっかりと美しい双球に隠れ、赤黒い先端が少し顔を出すだけになる。たまらず先端が膨れ出したときにリーシャの熱い息が僅かにかかる。
「あ、やば……っ!」
「え?っ……」
その瞬間、先端が爆ぜて、びゅるっと勢いよくほとばしりがリーシャの顔を目掛けて飛んでしまう。頬のあたりにかかれば、劇団の花形の顔が男の欲望に汚される。
「ご、ごめんっ……」
「い、いえ……。急だったからびっくりして……」
湿り気を帯びた声でそういいつつ、頬にかかった白濁液がゆっくりと肌を伝うのを感じる。うっとりとしたまま、射精されたという余韻に浸っていると、隣が段々と騒がしくなる。
「ふぁ……ん?あいつどこいったんだ?」
「小便じゃねぇか?……すぐ戻ってくんだろ」
男の連れのいる隣から声が漏れ聞こえる。持ち上げていた乳房から指をはなすと、名残惜しげに乳房がペニスからゆっくり離れる。先走りの汚れがわずかに谷間の間をてからせた。
「中途半端になっちゃいましたね……ごめんなさい」
男の耳元で謝罪の言葉を口にする。男にしてみれば一度でも乳房で果てれただけで幸運というものである。
「その、よければ……夜、続き、だめ、ですか?」
上目使いにそんな願いをリーシャに口にされて、駄目といえる男などいないだろう。リーシャはほっと胸を撫で下ろしたようにして、顔を上気させたまま再度耳元で囁く。
「それじゃあ、今晩、たっぷりさせてくださいね」
一も二もなく頷く男。騒がしくなる隣にあわてて浴衣を整える二人。隣に見つからないようそろりと部屋を出ていく瞬間、リーシャはそっとリクエストをする。
夜は、馬乗りも。男はトイレに駆け込んでから、何食わぬ顔で隣室に戻り、夜までの長い時間を待つのであった。