某ネットテレビアプリで本原作の一気放送を見て、我慢できなくなって書きました。
話にもよりますが、穏やかに話が進む時もあれば、結構ガチでヒロインが酷い目に合う回もある見通しです。苦手な人ご注意ください。
また……初めての試みなんですが、日記形式(ほぼ)で書いてみました。どうぞ。
○月×日
月並みな言い方だが、今日から日記をつけてみることにした。
少しの時間でさっとやれるし、1日に起こったことを整理できるので、前線――特に自分のデスクを持っている士官クラス――にはよくある趣味だそうだ。
まあ、三日坊主は前世からだし、ここは忙しい時はすごく忙しい職場なので、ペースなんて安定しないだろうし、そもそもいつまで続くやらわからないけど。
……この仕事、手紙だと、色々と規則があってまともにかけることなんて少ないけれど……まあ、これは日記だし、いいだろう。
後から見返す時のために、今現在の僕の状況をきちんと記録しておくのも悪くない。
何か言われたら……まあ、たかが日記帳1冊。燃やしてしまえばそれまでだ。まあ、別に他人に見せることもないものだし……そもそも、読まれても大丈夫なように、わざわざ前世の言語で書いてるんだから、そんな心配も無用だろうけど。
まず最初に……僕には、前世の記憶がある。
いわゆる、転生ってやつだと思う。ネット小説は好きで、よく読んでた。
夢がある話だよね。志半ばで死んだ若者……だったり、おっさんだったり、病人だったりゲーマーだったりするわけだけど……それが異世界で、前世の記憶を維持したまま生まれ変わって、その際に獲得したチート能力で大暴れ……うん、実に痛快だ。
まあ……自分がそれと同じような状況下に置かれるなんてのはさすがに思いもしなかったけど。
まあ、もうすでに転生して17年。この身はもう17歳だ。
今更そこんとこを嘆いたり考えたりする気もない。
現実は現実として、だいぶ前に受け入れた。ここは異世界で、僕は転生したんだと。
そして転生したこの世界、この国は……前世の地球のヨーロッパのある国、ある時代に似ていた。
……っていうか、思いっきり西暦が採用されてた。1922年生まれだってさ、僕。
そして地図。まんま、前世の地球のそれと同じ世界地図である。
そしてここは……あー、地理苦手なんだよな。えっと……ドイツだよね多分?
異世界転生とかだと、よくあるパターンは、中世レベルの文明に剣と魔法の世界、って感じだと思うんだけど、ここは違うようだ。当然、魔法なんてものもないし。
ぶっちゃけ、異世界じゃなくてタイムスリップした地球かと思ったくらいだ。
まあ、国名が全然違うし、名前を知ってる世界史の偉人もほとんど出てこないから、『異世界なんだろうな』って、最終的には結論付けたけど。
で、この時代のドイツ――名前違うが――といえば軍国主義。
しかも、幸か不幸か僕が生まれた家は軍閥の名門らしい。
そのまま、お坊ちゃまとして大切に育てられた僕は、入学可能な年齢になると同時に士官学校に入学させられ、スパルタ教育に苦しみつつも、前世もちの特権と言ってもいい学習能力や未来知識を武器にして奮戦。どうにか好成績で士官学校を卒業し、そのまま軍に入った。
そして数年――今に至る。
コツコツ努力し、実績を積み重ね、この若さで大尉の地位をいただけるまでになった。
半年前、その知らせをよこした時には、家の連中も皆して喜んでくれたっけ。
父もほめてくれた。
古くからこの国を支えてきた名門であるこの家の跡継ぎにふさわしい大活躍だと。いや、前代未聞の出世スピードで、これならゆくゆくは将官、あるいは極官すら目指せる逸材だと。
……で、だ。
その父が死んだと、1か月前に連絡が入った。
しかし、今は戦争中である。悲しんでいる暇はなかった。
……その戦争が、わが祖国たる『ゲルマニア帝国』が、その野心から各国に吹っかけまくっているものだとしてもだ。
国軍に籍を置く1人の軍人として、僕は立ちはだかる敵を排除する義務がある。
正にあれだ、『戦わなければ生き残れない』。
戦争やってるんだから、敵を倒さなければ、倒れるのは自分たちなのである。
まず手始めに、常勝無敗を誇っていた帝国軍の戦歴に傷をつけた国に、
そんな力があるとは全く思われていなかった、とある小さな国に、
……父の命を奪った戦いの相手である……『エイルシュタット公国』に、
上層部からの指令により、僕は、参謀兼前線指揮官として赴任することになった。
……それは別に何の問題もないし、準備もしてあるんだけど……1つ、気になることがある。
かの戦線における、我が国の敗北。それについて報告してきた資料の中……目を通すうち、何度も目に飛び込んできた、ある単語。
……『魔女』……って何?
×月△日
日記を書き始めてから、今日で3か月が経過したわけだけども。
……随分前に僕、『剣と魔法』じゃないタイプの異世界だ、って言った気がする。
けどごめん、あれ訂正だわ。この世界……魔法、あったわ。
と言っても、最近出てきたというか、別に汎用性ある感じで世間一般に広まってるようなものじゃないというか……説明難しいな。
要するに、今までそんなもんは存在しないと思われていて、近代兵器最強、銃火器戦車戦闘機他どんどん作って撃ちまくれー的な、普通に地球と同じような戦争形態だったんだよ。
けど、そんな中突然、存在すらしないと思われていた『魔法』なるものが現れた。というか、それを使える人……『魔女』がいたんだ。
それも、今まさに戦争してる、『エイルシュタット公国』に。
数か月前に突如現れ、戦場で無双し始めたのである。
その活躍によって、帝国負け続け。公国含め、周辺『ざまあ』で大喜び。
その勢いに乗って、帝国つえー、もうだめだー、って感じだった皆さんも息を吹き返しだして……反乱増えるわ、抵抗強まるわ、戦線厳しくなるわで大変である。
何回か僕も、やばそうな戦場に助っ人指揮官としてで派遣されたし。
いやまあでも、そら混乱するわ……近代兵器で戦ってたら、いきなりファンタジーが現れたんだもんな。状況把握するだけでも大変だ。
で、その『魔女』……イゼッタっていう名前らしいんだけど……どうも、僕が当初考えてたような『魔法少女』って感じじゃないみたいだった。
いや、まだ若くて、少女と言っていい年齢で、かわいい……って部分はあってるんだけど。
ただ、僕にとって魔法少女って……世代のせいもあるだろうけど、不思議パワーで飛んだり、魔力で弾丸を作って打ち出したり、それを大口径にして砲撃っていうか『魔砲少女』したり、胡散臭いマスコット小動物がいたり……って感じなんだけど、
こっちの魔女さんは……対戦車ライフルに乗って空を飛んだり、擲弾やランスを浮かばせてぶつけて攻撃したり、盾にしたり、戦車を投げ飛ばしたり……といった感じらしい。
……使ってる武器が武器だからってのもあるだろうけど、やたら物騒だな。
それに、炎とか氷を出して攻撃、みたいなこともやってないみたいだし……ライフルに乗って飛ぶってのも含めて、むしろ『超能力』、テレキネシス系の力って感じが……。
まあいい。形はどうあれ、既存の物理法則では考えられない、まさしく『魔法』としか言いようがない現象が、その女の子によって起こされているのも事実。
起こっているからには、それを理解するために勉強しなきゃいけない。それが参謀の役目だ。
そういうわけでここんとこ、片っ端から情報・資料を集めて、この『魔女』さんを理解する勉強を続けていた。その力、性質、規模、弱点、etc……
その過程で、何か帝国がもともとその『魔女』について研究を進めてたとか、色々な事実を知ることになったり……そこから派生した新たな学問の探求に一部協力することになったりしたんだけど……まあ、そのへんはまた今度。
今はまず、『魔女』さんについての理解を深めることだ。できる限り。
彼女を……ひいては、彼女を擁する『エイルシュタット』に、勝つために。
×月●日
……死ぬかと思った。
今日、件の『魔女』に会った。一瞬だけだけど。
視察に行った先の物資集積地に、地元の義勇兵たちと一緒に現れて……持参した爆弾やら何やらを撃ちまくって荒らしに荒らして、物資を焼いて……焼け残った物資は、一緒に来た義勇兵たちが根こそぎ奪い去っていった。
で、その最中に……高台で指揮官をやってた僕のところに、またがってた対戦車ライフルから打ち出した大口径の弾丸が飛んできて……あれ絶対狙ってやったよな。まあ、指揮官をつぶして敵を丸ごと混乱させるのはよくある戦術だけど……自分がやられると怖いわ。
幸い弾は外れたけど、着弾の衝撃で砕けて飛び散った、周囲の機材その他の金属の破片に……左目をやられた。
外科手術が間に合って、金属片とか異物は摘出に成功した。
……一緒に、眼球も摘出する羽目になったけど。今は、義眼が入っている。
医者に、もっと早く来てくれれば違ったかもしれない、って怒られたけど、無理だろ。ぐっさり刺さってたんだし。それに……指揮がまだ終わってないのに、持ち場を離れられなかったし。
あそこで僕が逃げてたら、もっと多く死人が出てたはずだ。
ともあれ、失ったものは仕方がない。
あるもの、残ったものを生かしてこの先やっていくことにしようと思う。
……そのためにも、もっと勉強だな。
※月○日
必要なことは、一通り勉強できた。
ケガも治り――片目がないので、『治った』とは微妙に言いづらいんだけども――今まで通り前線で部隊の指揮を、後方に行けば参謀として作戦立案その他を行いつつ……今僕は、対エイルシュタットの決戦に向けた準備を進めている。
というのも……帝国の中枢で進められていた、魔女関係のプロジェクトがいよいよ動き出したのである。
驚いたことに、その内容は……エイルシュタットの伝説にある『白き魔女』のクローンを作って魔法を使わせ、戦わせるというものだった。
クローンあんのか、この時代に。すごいぜ帝国の研究機関。
しかもその過程で、全くの未知のエネルギーまで発見し、軍事利用のための研究を進めてたりする。僕もそれには一枚かんでいて……それゆえに、魔法やばいな、と思わざるを得ない状況だ。
詳しく書くと長く、ややこしくなるんで、詳細は省くけど。
けどひとまずは、そのクローン魔女……ゾフィーという名前らしいその子に、エイルシュタットの魔女・イゼッタを倒させるつもりのようだ。
本人とも協力するってことで話はついてるようだ。あくまで目的のために、って感じだけど。
しかも何か、『魔石』とかいうチートアイテムもついてきてるし……おまけに当の本人がやる気満々だ。よほどエイルシュタットに恨みがあるらしく……帝国軍に協力してるのも、そのエイルシュタットを苦しめて、痛めつけて滅ぼすためだとか。
……僕も帝国の国民だから、『白き魔女』の物語は知ってる。
公国には伝わっていないらしい、もう1つの結末についても……だ。もしアレが本当なら、そりゃまあ……恨むだろ。憎むだろ。
……ま、味方である分には頼もしい。
彼女の協力があれば……そして、『魔石』の力を使えば、魔女同士の戦いでもほぼ間違いなく勝てるだろう。
けど、僕は僕で準備は間違いなく進めよう。ほとんどが、あるいは全部が無駄になるとしても。
彼女……ゾフィーに、全部をゆだねて任せてしまうつもりはない。僕は僕で……1人の人間として、人間の力で進められる手を、あくまでも用意しておくべきだ。
魔女は別としても……その後の首都および主要都市侵攻、占領統治、武装勢力の解体に物資の応酬、情報の解析、要人の確保……やることはいくらでもあるんだ。
それらを僕は、ゾフィーに頼らず、あくまで軍の手によってやる。やらなければならない。
……他ならぬエイルシュタットは、魔女・イゼッタに依存しすぎてしまったゆえに、これから負けるのだから。
※月※日
作戦成功。
首都ランツブルック陥落。敵対空戦力を含む武装施設の無力化に成功。
こちらの損害は軽微。敵の物資および戦闘設備各種の大規模鹵獲に成功。捕虜も多数。
エイルシュタットの主要な官僚各位の捕獲に成功。ただし、大公フィーネ嬢ほか腹心数名には、秘密の通路か何かを使って逃げられた模様。捜索は困難。
戦闘終了後は、迅速に処理を進めることができたこともあり、特に大きな混乱もなく占領支配を開始。僕はそこの実質的な責任者に、兼務ではあるが就任することになった。
……勝利の報告を父の墓前に持って帰りたかったんだけども、しばらく無理そうだ。
そして、一番肝心なところ……ゼルン回廊における陽動を兼ねた戦闘において、魔女ゾフィーとこちらの、というか僕直属の魔法工作兵団の連携により、魔女イゼッタの撃破・捕縛に成功。
ゾフィーは『私一人でもできたわよ』って不満そうだけど。
そして、そのゾフィーによって、空中戦の最中から撃破直後に至るまで、さんざんに痛めつけられた魔女イゼッタは、見るも無残というか、痛々しい姿になって吊るされている。ゾフィーが浮かせて使ってる武器である大剣(みたいなもの)に、体を鎖で縛り上げられて。
手首から足元に至るまで鎖が巻き付き、食い込み、服もボロボロなので……必然的に露出も激しくなり、あちこち見えてしまっている。
まあ、ポロリしたりモザイクがかかるようなところは、幸い無事だけど。
そんな彼女を、広報担当の部局の連中が、高解像度のカメラを使ってパシャパシャ撮りまくっている。打ちのめされ、縛り上げられて、傷だらけになって気絶して吊るされている少女を。
痛々しくもあり……しかし、どこか同時に淫靡で、蟲惑的にも見えるその姿は……その場にいるほとんどの兵の目をくぎ付けにしていた。僕も含めて、だけど。
こんな小さな少女が、今まで帝国を苦しめてたのか、という感慨。
こいつのせいで、多くの戦友が殺された、という憎悪。
さあ、捕らえたこいつをどうしてやろうか、という情欲。
その他もろもろ……色んな感情が、無力な少女に向けられている。
そしてこの姿は……明日の新聞の1面で、国内外に報じられることになるだろう。
敗北し、囚われ、全てを失って……そしてこれから、さらに色々と失うことになる、哀れな魔女の姿が……大勢の人の目にさらされるだろう。さらされ続けるだろう。
帝国のプロパガンダ作戦のために。エイルシュタットの力が、権威が、最早地に落ちたことを示し、この戦争の勢いを再び帝国にもっていくために。
あとはこれに加えて……今、本国で開発が進められてる兵器、そして僕が研究している『アレ』と『アレ』が完成すれば……もはや、この欧州に、いや、地球上に、帝国の敵はいなくなる。
果たしてこの少女は……それまで生きていられるのやら。
ま、生きていられたとしても……無事じゃないだろうなあ。
彼女……可愛いし。
……っていうか、結構な量の血があちこちから流れているので、さっさと運んで治療した方がよさそうだ。かなり高いところから、全身に打撲もあるだろうし。
うん、あれだ。痛々しくも、服が破れてたりとか鎖で吊るされてたりとかしてて、何かリョナ的なエロさがあるなって感じてたりしたけど……やっぱそれ以上に痛々しいな。
うん、一通り撮ったら、引き上げさせて、さっさと運ぼう。
一応彼女は、基本生け捕りで話が進んでいるんだ。最終的に処刑される(かもしれない)としても、今死なれるのはまずい。
……それはそれとして、だ。
僕の予想だと、そろそろ彼女を奪還するために、忠誠心豊かなエイルシュタットの兵士たちが、決死の特攻を仕掛けてくると思うんだけど……さて(日記はここで途切れている)
☆☆☆
「失礼します。少佐殿、ご報告が」
「どうした? ここから南西の森林地帯の中に浸透中の伏兵でも見つかったかい? それとも、ランツブルック南西部の戦線が不自然に崩れたかな?」
「両方です。……さすがですね、報告もなしにわかるのですか」
「もしやるとしたら、突破して攻めて来れるのなんてそこらへんくらいだからね。というか、わざとそこに隙間ができるように、ちょっとわかりにくくした上で布陣させたんだけど」
「わざと、わかりにくく……ですか?」
「あまりに露骨だと罠だってわかっちゃうからね。敵方に多少なり頭の切れる奴がいれば、ここに気づく。気づかなければ、僕らが安全に護送できるだけの話だ。そして、南西部の戦線については……敗走を装った陽動だろう。こちらは陣形を動かさず、敵が動いた結果逆に手薄になったところから先に兵を送れ。多分そっちに大公殿下御一行様が逃げ出してる。あと、そこにいた戦闘機が、奪還のためにいくらかこっちに来るかもしれない。対空重機関銃と擲弾射出機を用意。哨戒機も飛ばして、こっちに被害が出る距離に近づかれる前に撃ち落とせ」
「了解しました、サンジェルマン少佐殿! 失礼いたします!」
世界に紛れ込んだ異物……ゲルマニア帝国軍少佐、ソロモン・フォン・サンジェルマン。
戦いに敗れ、捕らわれた英雄……エイルシュタット公国の白き魔女・イゼッタ。
交わることのないはずだった2人が出会う時、歴史は狂いだし、誰も知らない結末へ向けて流れていく……。
イゼッタちゃん、いい子ですよね……
姫様との友情、ふつくしい……そして健気で、一生懸命で……
ぜひ彼女には幸せになってほしい、って思いながら見てました。
……まあ、それはそれとして文章中ではいぢめるんですが。
いや、9話……あんなもん見せられたら、ねえ? その先を想像しちゃいますよ。
お楽しみいただけたら幸いです。今後ともよろしくです。