@月{日
昨日はまあ……色々ありすぎて疲れて、日記もろくに書かずに寝ちゃったので、今日まとめようと思う。
まず、汚っさんらの謀略で、僕がエイルシュタットの戦後処理をやってる間に、イゼッタとビアンカだけが汚っさんらに連れられて国を出ることになった。
汚っさんがそれを利用して、僕の居ぬ間に、久々の2人の体を堪能する予定だった。邪魔が入らないよう、直前で人員配置の一部変更何かも行って……列車の中でから始められるように。
プランとしては、夕方発の列車なので、夕飯の後に2人を手籠めにする気だった様子。
しかし、その歯車はすでに狂い始めていた。
人員配置の変更……僕に無断でやったそれの際に、イゼッタとビアンカの奪還をもくろむ、オルトフィーネ大公殿下の手の者が紛れ込んでいたのである。
そのスパイ……ビアンカの部下の近衛たちだったらしいけど、兵員がごまんといる駅や都市周辺にいるうちは大人しくしていたが……国境付近、大きな川を渡る鉄橋のところで牙をむいた。
ちょうど夕食を終えて、彼女たちのところへ行こうとしていた汚っさんと取り巻き共を無力化し、列車の各部を爆破して連結を破壊、ちょうど、イゼッタ達の乗っている車両が、鉄橋のど真ん中で立ち往生するようにした。
資材をメインで積んでいたために兵員が少なく、しかも仮にも指揮官である汚っさんが早々に無力化されていたこともあり、対応できないまま事態が進む。
炎上する列車から脱出した彼女たちは、鉄橋から飛び降り……時間ぴったりに橋の下を通過した、お仲間が用意したボートに飛び乗って、見事に脱出。
帝国の魔の手から、自分たちの仲間を奪還することに成功した……
……と、思われていた。
さて、そのほぼ同時刻、別動隊によって……警備が手薄になったところを、僕ことソロモン・フォン・サンジェルマン少佐の捕獲あるいは暗殺のための作戦が行われていた。
が、予定の場所に僕は現れず……それに困惑していた、そのエイルシュタットの別動隊の皆さんは……潜んでいた伏兵たちに襲撃され、瞬く間に全滅してしまいましたとさ。
あ、殺してないよ? 一応。催涙ガスとか、特殊部隊のやり口で無力化しただけ。
ここまで言えば普通に分かったと思うけど、この襲撃作戦、僕は予想していた。
というか、そう動くように僕が誘導したんだけど。情報から何から、全部わざと流して。
で、見事に引っかかってくれた、エイルシュタットの皆さんを狩ったわけ。
そして、町郊外にいると思われていた僕が実際にはどこにいたかと言えば……無論、前線だ。
前線は前線でも、『彼女たち』を捕獲し返すための前線だ。
ボートでの脱出は、事前の準備なしには陸上から追いかける手段が皆無に等しい、有効な一手だと言える。しかしそれはあくまでも、事前の準備がない場合だ。
加えて、確かにあの川は大きいけど……川である以上、進行方向は限られる。上流か下流。あるいはさっさと接岸して逃げるかだ。接岸するにしたって、あまり鉄橋が近いと追いつかれるし、銃弾が届くかもしれないから、ある程度は移動するだろう。
そしてこの川、すぐ上流に河底段差があるので、遠くまで逃げることができない。
つまり、下流に下るしかないのだ。
そして下流には……潜水装備で、徹甲弾を装填した水中銃を構えた僕の部下の兵士たちがスタンバイしていた。さらには、川岸に狙撃班も。
で、数分後。
所定の位置に差し掛かったところで……船のエンジンを破壊されて川の真ん中で立ち往生した大公殿下たちは、スポットライトで照らされ、狙撃兵たちに銃口を突き付けられ、さらに帝国軍所有の河川航行用モーターボートで周囲を完全包囲され、あえなくお縄で全滅……というわけだ。
最初から最後まで計画通りである(ニヤリ)。
武装船舶の上から、僕が直接行った降伏勧告に、オルトフィーネ大公殿下が直接応じてくれたので……そこでゲームセット、チェックメイトと相成った。
……ていうか、大公殿下が最前線のこの船に乗ってたことが驚きだったな。
さて、ともあれこれで、エイルシュタットの抵抗勢力中枢の皆さん全員を捕虜にできただろう。
内訳としては……まず、ボートに乗っていたオルトフィーネ大公殿下。
何でこんなところにこんな人が……と思って後で聞いたら、どうしても彼女たちを自分が助けに行きたかったのと、もし作戦が失敗した時に、自分がその場で降伏宣言をすることで、引き換えに部下たちの助命を嘆願するためだったとか。
その護衛兼前線指揮をしていた、ジークハルト・ミュラー首席補佐官。
なぜか魔石の片割れを持ってたんで、没収しておいた。
軍所属のハンス・オーベルマイヤー少佐……ああ、彼、イゼッタが落とされた時にも救出しようとしてた人だな。失敗だったけど。
軍医だっていうハルトマイヤー氏。2人が負傷している可能性を考慮してたらしい。
スパイとして乗り込んできていた近衛の子たちや、ボートに乗っていた兵士たち。
ルイーゼ、アデーレ、クリスタ……あー、以下省略。
それに……やっぱりいたよ。ベルクマン中佐。
色々この作戦のために暗躍したんだろうな……プラン内でも予想外の事態がいくつか起こったと思ったら、彼の伝手による手引きだったわけだ。余計な苦労をさせてくれた。
そして……ものの数分で奪還し返す形となった、イゼッタとビアンカ、だな。
さらに、僕の暗殺に出向いていた近衛と兵士の皆さん。こちらもきれいに捕獲。
そして、最近ひそかに確保した――と思っていたが実際はこっちで把握していた――アジトで待機していた、シュナイダー将軍にヴァルマー首相。その他首脳の方々数名。
あと、メイドのロッテって娘と、広報担当のエルヴィラ・フリードマン女史。
いやー、護衛の兵力も3分割されてて、殿軍やって逃げるだけの余力もない中での制圧戦だったから、楽だった(って報告を受けた)。
アルプス山中での時みたいに、逃げられちゃかなわんからね。
で、それぞれ近くに待機させていた護送車両に乗せて、最寄りの鉄道駅を有する町で合流。全員集合の後、列車に乗せて一路、本国へ向かいましょう……というわけだ。
……こんなとこか。
以上、エイルシュタットの頭を抑えるに成功するまでの経過報告でした。
なお、今回僕に黙ってバカなことをやった査察官は、見通しが甘いにもほどがあったとして、今回の襲撃事件その他の責任をすべて背負った上で……列車爆破に巻き込まれてご臨終いただいている。
ようやっとあの害虫駆除できた。やれやれ。
………………さて、
『準備』は整った。
ここからが、本番……正念場、だな。
@月}日
僕らは今、一路、途中乗車した特別秘匿列車にて、本国ゲルマニアは首都、ノイエベルリンへ向かっている。
車内には、今回とらえたオルトフィーネ大公殿下以下、部下の方々全員を乗せている。武装解除した上で、一応、役割ごとに分けて。
高級官僚とか軍人、従者とか協力者枠の人、そして中枢も中枢のフィーネ大公、って具合に。
彼女たちはこれから、ノイエベルリンへ到着次第連行され、戦争犯罪人として裁判の末に処罰を受けることになるだろう。
軍関係者の多くは極刑、あるいは収容所行きだ。
諜報部の関係者とかはまず間違いなく消されるだろうな。
協力者とかは禁固刑とかで済むかもだけど……。
……大公殿下はどうなるだろうな。普通なら極刑だろうけど、懐柔策とかに走る可能性もあるかも。部下の態度次第では、政略結婚で内部に取り込むとかもありうるかもね。
…………なんてね。普通ならね。
しかし今回、そうはならない。
というか、なりようがないのだ……何せ彼女たちは、ノイエベルリンに連行されるのではなく……その途中にある僕の領地にて途中下車し、そこでしばらくかくまわれて生活をする予定だからだ。アルプスの秘密基地にいた頃みたいに。
前述の『彼女たちはこれから(略)』から『……なんてね』の直前までが嘘。
本当は彼女たちは……これから、帝国を倒すための乾坤一擲の作戦のための準備に入ります。
そして僕は、彼女たちを助けるために……帝国を裏切ることにした。
理由は3つ。
1つ目は……今まで日記ではさんざん書き綴ったけども、このまま帝国を放っておくわけにはいかないだろう、と思ったから。
このままだと、この国は世界中に戦乱をばらまき続けるだろうから。
そしたら……いくら核ばりに強力な兵器があるからって、こっちが被る被害もバカにできないもんになるだろうし……相手国からの恨みつらみも募る。
国力は無駄に消費していく。その分を当てなきゃいけない国家事業も山ほどあるだろうに。
その辺ほとんど一切無視して、あの皇帝は世界征服なんて、大魔王ちっくな野望に向けて前進しようとしてるわけだから。
……実際にそんなことしてみろ、地獄だぞマジで。
ちょっと考えればわかることなんだけど……国ってのは、大きくなればなるほど、加速度的に管理が大変になるのだ。
治安が悪化しないように警察機構を配備したり、軍が出動できるように屯所とか基地を整備したり、あとはインフラその他もろもろ……
あんまり大きくしすぎて管理しきれなくなると、国内でよからぬことを考える輩が出たり、併合した旧敵国の領地でパルチザンが湧いて出たり……面倒ごとが多い。
だから、世界征服なんてのは……ぶっちゃけて言えば、現実的じゃないのだ。だって、破たんが目に見えてるんだから。
それを皇帝は……魔女の力と近代科学の力の合わせ技でどうにかしようとしてるわけだけど……絶対うまくいかないだろう。恐怖統治でどうにかしようにも限度あるし。
仮にだ。このままほっといても、世界征服なんて失敗に終わるだろうし……万が一世界統一に成功したとしても、その後の色々でゆっくりと崩壊に向かっていくだろう。
最初こそ魔女の力で抑え込もうとも、その魔女がゾフィー1人しかいない現状、限界はある。技術が進歩すれば、いずれそれに対応されるだろう……
……というか、対応しうるだけの技術をすでに僕が開発してるんだけどね、色々。
とにかく、だ。結論。
このまま帝国ほっといて世界征服計画進めさせると……長期的に考えて、単純に世界大戦やるよりも何十倍もひどいことになる。世界各地で、帝国に反発する正規兵・非正規兵入り乱れた戦いがあちこちで起こり、戦争に関係あるなしに関わらず大勢の人が死に、国が消えて難民が世界中にあふれ、治安の悪化が……考えるだけで頭痛くなってきた。
それをまた大量破壊兵器その他で抑え込もうと考えなしに撃ってみろ、世界人口の桁が一つ減りかねないぞ。いや、マジで。
さて、そうならないためにはどうすればいいか。
帝国が負けるのが一番手っ取り早いけど……これはこれで難しい。
まず、軍が普通に強い。
帝国は、精強な軍隊と多数の俊英の参謀将校を有し、有事に備えて施設や法の整備等も万全の、正確無比な戦争機械だ。その辺の国と、普通に戦争しても普通に勝てる。
加えて、ゾフィーが強い。
もうコレは言うまでもないんだけど、魔石パワー+帝国製の近代兵器を操って暴れまわるワンマンアーミー。まともに止められる軍が……無い。ブリタニアそろそろ滅びそうだし。
極めつけに、エクセニウム兵器がやばい。核爆弾だよあれマジで。それたくさん作ってるもの。あんなもんバカスカ撃ったら、ヨーロッパ中が焦土だらけになるわ。
アレは……存在するだけならともかく、使っちゃダメな兵器だ。
さて……長々と帝国放置しとくの無理な理由を語ったわけだが。
次、理由の2つ目。
僕の『錬金術』の研究成果が……ベルクマン中佐のゾフィー関連に引き続き、皇帝にとられそうになっとる。
まだベルクマン中佐の時みたいに、表立って『これから直接管理するから』みたいな指示こそないものの……僕への急務として、後進の育成を進めるように指示が下った。
それだけなら、広くこの技術を広めることを目的にしてるとも取れるけど……同時に、この技術に関しての使用その他権限、方向性なんかについて、僕から皇帝に権限を移して集中させるための法整備を模索する動きがあるようで。
法治国家とはいえ、中央集権で基本的に何でも思いのままにできるだろう皇帝が、そうまで周到に準備を進めて……おそらくは、これから世界を相手に戦争をするにあたって、この技術がどれだけ大きな力となるかを理解しているからだろう。
前々から、細かいところで予兆みたいなのはあったんだけどもね……
気が付いた時には、乗っ取りの準備は全部が全部整っていて……そのすべてが終わった暁には、僕は……よくて飼い殺しか島流し、悪くて『不慮の事故死』……かな?
何もかもが不吉すぎて、その時一緒に『中佐に昇進する』って言ってもらえたことが全くうれしくなかったしな……。ベルクマン中佐もこんな気持ちだったのかね?
で、3つ目。前2つの理由で、帝国の持つ軍事力は強大で、全世界から危険視されている。国内のみならず、国外にもその最強説を信じて、傘下に帰順するべきという意見が出るほどに(無論だが、こいつらは帝国が劣勢になればあっさり手の平を返すので、仲間が増えたよわーい、なんて喜ぶのは無理)。
しかしだからこそ、悪役に仕立て上げてぶっ壊すのに丁度いい……という見方もできる。
世界を恐怖のどん底に陥れかねない大魔王を倒すのを大義名分に裏切る……完ぺきではないにせよ、かなり物語性があって、民衆受けもしそうな題目だ。
事前に帝国に、国際社会から非難を受けまくるような非道な行いをさせておけば一番いいか。
そういうわけで……今は、絶好のチャンスなのだ。帝国を生贄にささげ、この戦争を『悪者退治』という、わかりやすく、あとくされのない形で収束させるための。
……アトランタ合衆国が似たようなこと考えてるっぽいけど、あの国に任せると、ヤバそうなのを全部……それこそ、エイルシュタットも含めて滅ぼしそうだしね。
僕も、イゼッタも多分死ぬ。殺される。合衆国へ牙をむきかねない者を残さないために。
それも……戦争が終わった後にだ。闇から闇へ葬られる。
それは勘弁。だから、自分から動いて主導権を握る必要があるわけだ。
以上、これら3つが理由…………
…………あ、でも、
……本当はあと1つ、4番目の理由あるんだけど……いや、コレは理由といっていいものかどうか。
前3つの理由から、コレ帝国裏切った方がいいかもなー、って考えてた僕が、逃げ道として無理やり用意した、理由とも言えない理由……ただのきっかけだからだ。
……イゼッタを利用して。
まだ、ノイエベルリンから撤収指令が届いていなかったころ。
ビアンカとイゼッタを抱いたある夜……なんか、夜中に目がさめちゃって、眠くなるまでにイゼッタと交わしたピロートークの中で、ふと、こんな話題になったのだ。
前に僕がちらっとこぼした『ゲルマニアでなくエイルシュタットに生まれたかった』というセリフをイゼッタが覚えていて、それについての話に。
まあいいかと思って話したのは……僕が特に帝国に忠誠心とか感じていないということと、単に育ててくれた家への恩と義理から戦ってるってこと。けど、近頃の国際情勢を見るに、それでいいのか悩んでること。
簡単に言えば、さっき言った『コレ帝国このまま放っといたらやばくね?』ってことだ。
うちに仕えてくれている使用人たちや、毎度秘密の作戦で動かす直属の部下たちも、僕あるいはサンジェルマン家そのものに恩義・忠義を感じて使えていくれている者がほとんどだから、もし僕がエイルシュタットに裏切っても普通についてきてくれるだろうな、とか。
むしろ、現時点でも帝国に不信感持ってる奴もいるからな、とか。
今思うと、結構やばいこと言ってたな……毎晩抱いて、心の距離が近くなって(僕が一方的にそう感じてるだけかもだが)、しかも事後で疲れて眠くて頭回らなくて、油断したか?
しかし、それを聞いて……イゼッタが一瞬、すごく驚きつつも嬉しそうな顔になって……しかし、慌てたようにすぐひっこめた。物理的に、顔を、布団の中に。
けどその直後……すぐに顔を出したイゼッタが、我慢できないような様子で聞いてきた。
『例えば、ですけど……もしあなたに、エイルシュタットの……姫様の味方になってもらえるように、私が頼めるとすれば……どうすれば、頼みを聞いてくれますか?』
交渉事としてはありえないくらい、まっすぐな質問だった。
けどまあ、彼女らしい。面と向かって、敵に『味方になってくれ』とは。
予想外に、目の前にいる敵が寝返ってくれる可能性がでてきたせいで、こらえきれなくなって聞いてしまったそうだ。
面白かったので……そこで僕は、彼女に、自分への発破もかねて、こう申し出た。
『なら、賭けでもしようか』と。
もし、これから先……姫様こと、オルトフィーネ大公殿下が、帝国につかまる、あるいは自分から降伏してくる、あるいは何のアクションも起こさないようなら……僕の勝ち。
イゼッタやビアンカは僕がもらう。僕に忠誠を誓ってもらって、僕はこのままゲールに所属して……イゼッタには、ゲールの魔女になってもらう。そのために力を振るってもらう。その場合も、可能な限り大公殿下は僕がかばうことは約束しよう。
けどもし、大公殿下があくまで戦うことを望んだら……亡命政府を打ち立てて徹底抗戦を叫んだり、イゼッタを取り返しに殴り込みをかけてくれば、イゼッタの勝ち。
僕はゲルマニアを裏切って、君たちの味方になる。人脈や個人としての能力はもちろん、『錬金術』やその理論なんかも使って全力で協力する。帝国を打倒して、戦争を終わらせて、欧州に平和を取り戻し……『皆が選べる明日』を作るために手を貸そう、と。
つまるところ……これは、イゼッタが『フィーネが自分との約束を守るかどうかを信じられるか』という点を核にした賭けなのだ。
フィーネが、イゼッタが戦う限り……イゼッタの希望になってくれるという約束を、違えることがないか。決してあきらめず、夢のために突き進んでくれるか。途中で、弱気になって心が折れて、あきらめて楽な方に流れてしまわないかどうか。
そう問いかけた時、イゼッタは驚いた顔のまましばらく固まって……しかし数秒後には、これ間にないくらいに力強く、自信に満ちた笑みを浮かべて、うなずいた。
賭けは成立。
結果は……ご存じの通りだ。
……とまあ、これらの理由を根拠に、僕はゲルマニアからエイルシュタット……というか、連合軍に味方する形で暗躍し、ゆくゆくは大っぴらに動くことを約束した。
電車の中で、イゼッタを伴って、大公殿下やビアンカ、それにミュラー補佐官やベルクマン中佐にこのことを話した時は……まー、驚いてたな。
その後、喜ぶ者、疑う者、困惑しっぱなしの者……それぞれだったけど。
ま、いきなり信用されると思ってたわけでもないし……別にいいけどね。
何なら、全部が終わった後で『ああ、ホントだったんだ』とか納得してくれてもいい。僕は僕の思惑の下に、勝手にやるから。
つーわけで反逆だ、覚悟しろ疑心暗鬼皇帝。
僕は……ゲルマニアを、ぶっ壊す。
……ちなみに、イゼッタに賭けの話をしたその時に……イゼッタが承諾した直後、抱き着いてきてキスされた。びっくりした。いきなり何で!? って。
そしたら、どうやら、彼女が前に雑談の中でちらっと話した程度の――たしか、まだゾフィーが彼女に拷問して、それを治療してやってた頃だから……めっちゃ初期の話だ――けど、自分にとっては何より大切な姫様との約束を、覚えていてくれたことが嬉しかった、って。
そして、それに続けて……
『今のでわかりました。あなたは……やっぱり、優しい人です』
『私、こんな形でだけど……あなたに出会えてよかった。ひどい目にあったり、あわされたり、滅茶苦茶な関係だけど……本当によかったです』
『あなたが姫様に……フィーネに手を貸してくれるなら、きっと……きっと優しい世界になる』
『え、もう勝った気に? わかりますよ……だって私、フィーネを信じてるから。それに……あなたのことも信じられるから。絶対に約束を守ってくれるって』
『きっと、皆で……私も、フィーネも、あなたも……笑って未来を生きられるって、わかるから』
……なんか、逆にプレッシャー感じるくらいに信頼されてしまった。
かわいかったけど。やっぱり、女の子は笑顔が一番だよ。
次回、最終話(多分)