¥月=日
予想通り仕事が増えた。
全くもう、いらんことやるから連中の反抗心に火が付くんだ……そのくせ、査察官の汚っさん共は何も手伝う気配すらないと来た。
……今度何かあったら、取り巻きの兵士共だけでも僕の権限で最前線に送ってやろうか。あと、汚っさんは別な任務入れて追い出して……難しいけど、できないことないぞ、僕なら。
まあ言うまでもなくわかったと思うが、ランツブルックにくすぶっていたレジスタンスの一派による襲撃があった。イゼッタ奪還のための。
こないだのあの『市中引き回しの刑』でプッツン行ったらしい。
『帝国許すまじ』『魔女殿を取り戻せ』的な感じでいきり立ってる連中が……あらかじめ僕が仕掛けておいた『ガス抜き罠』に引っかかるまでに、そう長くはかからなかった。
何のことかって? そりゃ、あんなことやった時点でこうなることはわかりきってたから、連中に見える形で『イゼッタを取り戻せそうなチャンス』を用意しておいただけだよ。こないだと同じようにイゼッタが連れ出されるって、あらかじめ偽の情報をリークして、待ち伏せしてた。
くすぶった火が、くすぶったまま燃え広がって、酸素にあたったとたんに大火になるのは避けたい。だから、わかりやすい餌に食いついてもらった。
戦略知識がなく、統制も取れない民兵やゲリラなんて、こんな感じで容易く誘導できる。
……まあ、彼らは彼らで被害者でもあるわけなので、気の毒に思わなくもないけども……これが本当に『大火』になられたら、占領区域全体を巻き込んで騒乱が広がって、余計に死傷者が増えるから、早々に鎮圧させてもらったのだ。
どうにかうまくいった……と安心してたわけだけども、
ここでもやらかしてくれたがったよ、あのボケが。
午前中に彼等を捕縛して……汚っさんが動いたのがその日の午後だった。
こんな時だけ何で行動力あるんだよ、その分を少しでも仕事に回せ。
副官が血相変えて執務室に飛び込んできて、『さ、査察官殿が、中庭で……』って言うもんで、窓から下を見下ろしてみたら、そこには……
後ろ手に縛られて、身動きできなくされた状態で並ばせられてる、今朝捕れたてのレジスタンスの方々が、1人残らず連れ出されて中庭の地べたに座らされていた。
そしてその眼の前で……あの時と同じぼろ布の服をまとったイゼッタが、汚っさんたちに輪姦されていた。
繰り返すが、レジスタンスたちの、彼女を助けようと立ち上がった者達の、目の前で。
しかも、またどっからあんなもん持ち出してきたのか……新しいおもちゃまで使って。
あれだ、ギロチン拘束、ってわかる? その名の通り、ギロチンで頭を固定する部分みたいな感じの……板状の拘束具だ。首元にはめて、さらに同じ位置で両手首も固定する。
多分、グ○ったら出てくると思う。後ろに誰もいないことを確認したうえでどうぞ。
当然ながら、普通の手錠に比べてさらに身動きが制限される上に、変な姿勢を強要されるから動きづらく、そして手が実質使えないので転ぶと1人では起き上がれない。
おまけに首が固定されるので、下や後ろを見ることができない。
そして、その様子をはたから見ている者にとっては、痛々しさ倍増のエロ拘束具である。
それを装着して連れてこられたイゼッタが、あらかじめ中庭に用意されていた台座……イゼッタの首の拘束具をはめ込んで固定するためのそれに、ガチャッと拘束具を合体させられた。
お尻を後ろに突き出して、首と手首を固定されて……本物のギロチンに拘束されたみたいな姿勢になっている。
で、その状態で……抵抗できるはずもないイゼッタは、前から後ろから犯されていると。
衆人環視の中で辱められ、恥ずかしさと申し訳なさでどうにかなりそうになっているイゼッタ。
自分たちの希望が凌辱されている様を見せつけられているレジスタンスたち。
彼らの表情は様々で、絶望、失意、くやしさ、怒り……しかし、皆一様に、自分たちには何もできず、ただイゼッタが辱められている様を見ていることしかできない。
じらすような前戯の後、膣に、口に、時には菊門に、容赦なく汚っさんや兵士たちのペニスが突き立てられ、水音を派手に響かせながら出し入れされて……その様子が、無駄にレジスタンスの皆さんからよく見えるように位置・角度を調整されてる。
もちろん、射精は遠慮なく膣内や口内で行われ……そうした後の、そこからあふれた精液がこぼれ出る様まで、容赦なく見せつけられる。
最初は『心配しないでください、大丈夫ですから……!』って気丈にふるまっていたイゼッタも、何度も何度も犯されるうちに、悲鳴や嬌声をこらえきれなくなり、数十分後には、目の焦点があってない状態で、助けを求め、許しを懇願するまでに追い込まれ、
それを見ていたレジスタンスの皆さんは……皆、泣きながら『もうやめてくれ……!』って感じで……ホントもうやめようよこんな鬱展開……気が滅入るよ、まだ明るいうちから……。
結局その後、わざわざ汚っさんが補充のために連れてきた兵士たちまで混ざってしばらく続いた輪姦ショーは、日没間際くらいに終わって……レジスタンスたちは、お通夜みたいな雰囲気で牢屋に連行されていった。
イゼッタはこっちで回収して、いつも通り処置を施して休ませてあげた。
¥月#日
……武装蜂起の実行犯たちの処刑が執行された。
公開処刑方式で……しかも、わざわざイゼッタを連れ出して、その目の前で。
……胸糞悪い。どうしてあいつらはこうもアレなことを思いついて、それをすぐに実行するかね。
拷問開始当初、というか、イゼッタが捕まった時みたいな感じで、彼女は鎖で縛られて吊るされながら処刑場へ連れていかれ……真正面から、特等席でその光景を見ることになった。
そして汚っさんたちは、わざわざ周囲に聞こえるように、『この者達は、この魔女イゼッタを奪還する目的で云々』みたいな感じで、声高に罪状を読み上げる。
イゼッタの罪悪感――感じる必要もないだろうに――が急上昇。冷汗が……。
横一列に、棒に縛り付けられて並ばせられた実行犯たちは、口々にその主張を最後まで叫びながら……たった一度、鳴り響いた銃声を境に……永遠に黙った。
言うまでもなく、その光景を見せつけられたイゼッタ……発砲の瞬間こそ目をつむっていたものの、その後に血まみれになった彼らを見ちゃって……目から、ハイライトが消えた。
トラウマ確定だ……これで心が壊れたらどうするつもりだよ、あの馬鹿ども……!
……この日は、ドクターストップ×強権発動でイゼッタはもう休ませた。犯らせん。これ以上は本当に精神が死ぬ。
他、書くことはなし。
¥月~日
アレ以降、彼女は目に見えて意気消沈している。
口数は少なく……汚っさんらに犯されても反応がわずかだ。
……本当にやばい。コレはただ落ち込んでるんじゃない……心が死にかけてる。
幸い、といっていいこともないだろうけど……わずかに生き残ってる彼女の心が、助けを求めているのはわかる。
事後の治療中に……ひょっとしたら、汚っさんや、男女の兵士たちよりも、今までフランクに接していたからか……治療のために彼女のそばに来た僕に抱き着いて、震えながらうわごとのように『ごめんなさい』『許して』『助けて』って……
彼女の心は、限界を超えた精神状態の中で、必死で生き延びようとしている、のだと思う。
……早く、どうにかしないと……
¥月+日
今日、イゼッタとは関係ない……こともないけど、全く別分野の仕事で、比較的大きな動きがあった。
以前から僕が敷いていた、集積物資の移動情報の調査網――すなわち、敵の隠された秘密基地なんかを、直接探すんじゃなく、そこに運び込まれる物資の動きから割り出そうというトラップに、そこそこ大きな秘密基地らしき情報が引っかかったのだ。
秘匿性最重視の作戦のため、コレを知っているのは僕が信頼できる部署のみ……それこそ、あの汚っさんらにも知らせてなかった。
知られれば、いらんちょっかいを出してくるのは自明なので、僕の子飼いの部隊を動かして即時制圧するように指示を出し、今日摘発させた。
その結果……迅速はいいけど、それゆえに情報の秘匿が雑になり、それがもとで向こうさんには直前で気取られてしまったらしい。
アルプス山脈の中腹、殿軍らしい少数の部隊と森の中での交戦になり……そうして時間を稼がれている間に、大公殿下には逃げられてしまったようだ。
こうなるのも見越して、僕が作った薬品――催涙ガス弾や閃光手榴弾なんかも持たせて、超短期決戦で仕留める算段だったんだけど……敵の士気が予想以上で、頑強に抵抗された。
僕らの戦術が戦術――即時敵を無力化する形だったので、敵味方共に死傷者は少なかった。
……敵の死傷者を少なくするように作戦を立てたのは、今まさに壊れそうになっているイゼッタの心に配慮してである。アレ以上は本当にやばいので、内政共々気を使っている。
その気遣いのせいで攻撃が甘くなり、逃げられたかもと言われれば……否定できないが。
けど、仮に殲滅戦でやろうとしても……今度は、生け捕りにしなきゃいけない、大公殿下やその側近たちまで傷つけたり、殺す羽目になりかねなかったしなあ。
基地、狭い上に入り組んでたそうだから。
それに、向こうも手勢の半分以上をこの戦いで失うことになった上、集積していた物資のほとんどを手放して、夜逃げ同然でここを去ることになった以上、これまで以上に厳しい道のりになるはず。悪いことばかりじゃないといえよう。
……その分、隠密性が増すことも考えると……探すのが大変だけど。
そしてこの作戦で、公国軍の捕虜を大勢手に入れた。ほとんどは摘発箇所の最寄りの駐屯地に収容してあるけど……そこで捕縛した者の中に数名、イゼッタと近しい存在らしい者がいたらしいので、その何名かをここに極秘裏に送らせる予定でいる。
数日中には着くはずだ。
彼らとイゼッタを面会させるつもりでいる。うまくすれば、これでいくらかイゼッタの心を癒してくれれば……ゆとりが戻ってくれればと思う。
……まあ、いくら無事だとは言え、大公殿下がさらに追い詰められてる、って教えることにもなるので……正直、諸刃の剣だろうけど。
どの道、僕らからの働きかけじゃあ何も効果がないんだし……。
捕虜たちもイゼッタを壊したくはないだろうから、『心配するな』とかいくらかのフォローはしてくれると期待する。
特に、話した感じ、イゼッタと大公殿下、双方と親しそうな女性が1人いたそうだし。
確か、近衛の隊長の……ビアンカとか言ったかな?
¥月Φ日
幸いなことに、効果はてきめんだった。
顔見知りが、一応は無事な姿で目の前に現れたことに、イゼッタの目に一瞬で生気が戻り……しかし、彼女が拘束されてここにいるという現状に、まさか、と顔を青ざめさせていた。
けどその後、すぐにビアンカが説明して、姫様……オルトフィーネ大公殿下は無事だって伝えたので、一応は安心していたようだけど。
とりあえずそのまま……監視付ではあったけど、特に何も制限はせず、話したいだけ話させてやった。記録はしっかりとっていたので……機密とかは話さなかったようだけど。
ビアンカはイゼッタを傷つけないよう、情報を選んで伝えていたようだった。
大公殿下は、一応は逃げ延びた。けど、今はどこにいるかわからない。
襲撃で手勢の半分以上がこちらの手に落ちた、しかし意外と死者は少なかった。
あと、ずっとここに閉じ込められていたイゼッタは、世状も把握してないだろうという予想から……すでにエイルシュタットのほとんどが占領下におかれ、各地で散発的に抵抗活動を繰り返している状態だと。しかしそれも……風前の灯であると。
もし仮に、大公殿下が捕まってしまいでもすれば、この国は終わりだと。
結構辛辣な情報も……必要だと思ったのだろう、はっきりと伝えていた。
その後で『私のせいで』『ごめんなさい』『私が負けなければ』って自分を責めていたイゼッタへのフォローも忘れずに。いい人だな。
なお、面会終了後、彼女を連行してイゼッタの牢屋から連れ出す際……ビアンカから、憎しみで人が殺せたら、とでも言うような視線を向けられた。あまりの迫力にヒュッとなった。
アレの理由は……僕がゲールの軍人だとか、イゼッタをこんなところに幽閉しているとか、ランツブルックを占領支配している当事者だからとか……そのへんだけじゃないだろう。
何せ、汚っさんが毎日毎日イゼッタをここで輪姦してるから、その分の……性臭、とでも呼ぶべき匂いが、いくら消毒してもこの部屋にはこびりついてる。
その匂いから、イゼッタがここでどんな目にあってるか悟ったんだろうな。
……僕は何も手だししてないんだけど……とは言うまい。立場や階級を理由にして、何もせずに彼女が虐げられるのを傍観していただけなのは事実なんだし。
親の仇でも見るような、ナイフ一本でもその手にあったら斬りかかってきそうな、強烈な殺気を向けてきた。……さすがは大公殿下付きの近衛、ってとこか。その心配がないとわかっていても……実力的に僕なら組み伏せられるとわかっていても、怯んでしまった。
……そして、今更だけど……ホント愛されてるな、イゼッタ。
¥月XX日
おっさんがビアンカに目を付けた。
当然、犯した。
名目は……最近までオルトフィーネ大公と一緒にいた近衛の幹部で、イゼッタ以上に重要な、それも鮮度の高い情報を握っている可能性が高いため、優先して尋問する、というもの。
……理屈は通っている。
というか、僕も同じ意見だ。
……だからといって、あんたの場合は単に性欲のはけ口としての見方が9割以上なんだろ。
まあ、本当に情報を聞き出してくれるなら文句は言えないが……無理だろうな。ビアンカの口はイゼッタ以上に堅いだろうし。
ビアンカは、軍人としての立場や、敵につかまっているという現状を鑑みて、こうなることは覚悟していたようだったけど……やっぱり辛そうだった。
どうやら彼女も処女だったようで……それを、こんな形で散らされたショックは、彼女の目の端からこぼれる涙が如実に物語っていた。
それでも、弱音一つこぼすことなく最後まで耐えてみせた。
裸にされ、四つん這いにされて後ろから獣のように犯されても……隠語をぶつけられて辱められながら、何人もの兵士に前後と上の穴を犯され、体中に白濁をドロドロになるまでぶっかけられても、耐えていた。
さすがに声を完全に耐えることはできていなかったけど……まあ、仕方ないだろう。
膣内を、菊門を、口の中を……体の隅々、頭から足先まで汚されても、泣き言ひとつ言わずに済ませただけで、大したもんだと思う。
イゼッタ同様、ヤるだけヤって後は放置されてた。
犯された穴からはドロドロの精液があふれ出し、起き上がるために床に手をつくだけで、ねとっとした感触にさいなまれ、精液の水たまりと体との間に糸が引き、呼吸のたびに鼻をつく匂いが飛び込んでくる状況。
これまた同じように処置してあげて……ああ、もちろんこうなることを見越して、昨日のうちに避妊薬は投与してあるので。
さすがに強靭な精神で、この程度何でもない、と言わんばかりの様子だった。
けど……これもイゼッタ同様、さすがに初めて見る『錬金術』による治療を目の前にしたときは、驚いていた。
すぐにこれも、帝国が研究して開発した、新しい魔女の力か、と悟った上で、何か考え込んでいたけど……結局その日は、そのまま治療を終えてすぐに休んでいた。
……意味ありげな視線を、退出する僕に向けていた気がしたけど。
……それと、イゼッタの方は今日はお休みかな、と思っていたら……きっちり手を出した。
それも、無駄に趣向を凝らして……ビアンカと一緒に呼び寄せたエイルシュタットの男の兵士たちに、イゼッタを犯させるという……鬼畜の所業。
こないだのレジスタンス同様、くやしさと憎しみに満ち満ちた視線をこっちに向けてきて……しかし逆らえずに、泣きながらイゼッタを犯す兵士たち。
『気にしないで下さい、皆さんの命の方が大事です』って言ってそれを受け入れるイゼッタ。痛々しさ倍増。
膣内に、菊穴に、口に、乳房に、長らく処理なんかしてないであろう……それゆえに大量の、生物として自然な反応で吐き出された欲望の白濁。
イゼッタの体を、帝国兵の輪姦と何も変わらない監視で汚していく。
そんな痛々しいイゼッタを前にしても、兵士たちの体は正直で……何発出しても生々しく勃起を保たせている肉棒を、絶え間なく小さな体に突き立てて、欲望を発散していた。
終わるころには……さすがに精神が衰弱し、呆然自失のイゼッタ。
頭の先からつま先まで、いつもと同じくどろっどろの精液塗れだった。
なお、汚っさんが今回のプレイの仕上げとして、イゼッタの目の前で用済みになった兵士たちを銃殺しようとしてたのは、僕の権限で止めた。
だから、やっと精神安定してきたところなんだっての。やめろバカ。
&月△日
どうやら汚っさんたちは、普段は普通のセックスで責め、時々思い付きでイベント――この前の、味方の兵士に犯させるといったような感じのもの――を織り込んでくることにしたようだ。
最早完全に彼女らは――イゼッタに加え、ビアンカも――慰安婦扱いである。
ここんとこ、3、4日に一回くらいのペースでそれが続いている。
こないだは、ギロチン拘束具で基地の一室に固定し、精液便所扱いにして何人、何十人もの兵士たちに犯させていたし、
その前は、子飼いの……しかも女性の兵士たちに命じて、レズ乱交させてそれを部下と見物、存分に目で楽しんだ後に、自分たちも参加して乱交。
でもって今日は……SM再び。三角木馬やら荒縄やら、鞭やら蝋燭やらを使って、痛みと快楽でイゼッタとビアンカを喘がせていた。
そんな日々が続いても、2人とも大したもので……こちらが調べた情報以上に、大公が不利になるような情報は決してしゃべらない。
弱音を吐いても、悲鳴や嬌声を上げても、そこだけはぶれなかった。
これ以上もっと責め苦が過激になればわからないんだろうけど、そうなる前に僕が止めてるので。
何度も言うが、イゼッタが壊れないように。ビアンカとの再会で持ち直したとはいえ、いつまたああいう感じになるかわかんないので、やりすぎないように注意している。
その結果、情報を聞き出せないのかもしれなくても……それはそれで仕方ないし。
陛下から、生け捕り……生きてればそれでいいってわけじゃなく、きちんと使い物になるような状態でとらえておくように、って言われてるんだし。そこ遵守しないと。
……そういえば、いまだに陛下からのアクションがないな。
陛下は何のために彼女を生かしてるんだろう?
軍事的な利用価値? ……従順な(表向きは、だけど)ゾフィーがいるのに?
オルトフィーネ大公への揺さぶりのため? ならなぜさっさとやらずに放置しておく?
それとも……妾にでもする気か? いや、これは絶対にないな。
皇帝は、信頼できない者は絶対に近くに置かない。たとえ、自国にとって多大な功績をなした者でも、自分にとって不利益、あるいは脅威になりそうだと判断したら、容赦なく切り捨てる。
その野心と享楽主義的な考え方に似合わないほどに、臆病かつ警戒的な人なのだ。
これまで占領してきた国から、貢物として出された王族・貴族の娘も、暗殺やハニートラップを警戒して、自分に近しい忠臣に与えるにとどめた。
敵国の、しかも魔女なんて論外だろう。抱こうともしないはずだ。
……そういや、ベルクマン中佐も目をつけられた……って聞いたな、風のうわさで。
何でも、少佐から中佐に昇進させられると同時に、魔女関係の研究に関わる権限の一切を皇帝に取り上げられたとか……用済み、いや、やりすぎたか。
皇帝の不興を買って半年以上生きた例はない……とも聞く。危ないか。
もっとも、あの人がそう簡単に殺されるとも思えないんだけど……うまいことやって、他国に亡命するか、あるいは寝返って下剋上でもやらかすなりしてどうにか生き延びそうだ。
案外、エイルシュタットの方について、イゼッタを使ってゾフィー倒して……とか考えててもおかしくないな。
そうなると……皇帝はそれを見越して僕のところにイゼッタを置いてる?
皇帝の方針や性格を考えれば、イゼッタは元々、とらえて無力化した後はプロパガンダのために公開処刑にするくらいしか使い道がなさそうだ。そうしないってことは……大公一味のみならず、自分の保身を図る中佐が接触してくるかもしれないと考えて……餌にしてる?
となると、僕に近々命令が来るか? 中佐が接触してきたら殺せ、って。
もしくは……あんまり考えたくないけど……
……僕も、目をつけられた、あるいは、つけられつつある……か?
いざとなったら、中佐やイゼッタごと殺すために。
占領統治の名目で、ここランツブルックにとどまらされてるのも、そう考えるときな臭い……。
……頑張らなきゃ前線で使い捨てにされ、かんばっても警戒されて謀殺される。
改めて思うけど、何て国だ、我が祖国は。
保身以上に、道義的にコレ……マジであの髭、どうにかした方がいいんじゃないかって思えてきた……貢献しておいてなんだが、このまま帝国にヨーロッパの覇権を握らせたら、不味くないか? あれ、絶対満足しないぞ?
魔女の力の結晶……エクセニウムとかなんとか名付けてたアレを使って、新兵器の開発を着々と進めてるって話だし……新型爆弾が完成間近だとか。
もしそうなら、連邦や合衆国との戦争すら見据えてる可能性も……連邦との不可侵条約なんて、笑って破るだろうし。
……このまま、帝国を肥え太らせていいものやら。
案外、この戦争に負けた方が、世界全体のためになる気がしてきた。そうなると、僕の未来もなくなるけど……
なんか、各国との戦線も最近活発になってきてて、僕も近々、指揮官としてこの国の近くの戦線に出張しなきゃいけないかもだし。
そんな時に妙な動きでもすれば、間違いなく粛清対象になるよなあ……。
……育ててもらった恩くらいは、もうそろそろ返した気がするんだけど……
……あー、どうしようか、ホント。
$月#日
今、出先である。
こないだ書いた通り、他の戦線に指揮官として派遣命令が出て……そこでの抵抗活動を鎮圧し、戦線を前に押し戻したところだ。
抵抗は激しいけど、ゾフィーが今ロンデニウム攻めの最中なので、僕が来た。
さっさと終わらせて戻るつもりだったんだけど……その間に……聞きたくなかった凶報が飛び込んできた。
あのバカ共……僕が留守だからって、調子に乗ったな!