$月●日
あのバカ共! 僕がいない間に調子に乗ったことをやってくれた!
指揮官任務で半月ばかりランツブルックを留守にして、同盟軍を押し戻して帰ってきてみれば……人が見ていない間に捕虜をボロボロにして!
帰ってから、イゼッタとビアンカの死に体といっていい様子を見て、絶叫しそうになったぞ!
その後、残しておいた次席指揮官から聞かされた報告内容に、もっとびっくりした!
本当に何をやってんだ、こいつらは!
いくら、出発前に『やりすぎないでくださいよ』ときつく言っといたとはいえ、それで安心できる連中じゃないってのは知っていた。
だから、可能な限りさっさと帰ってくるために全力で軍務済ませたってのに……予想以上にあの汚っさんたちは阿呆だった。
ここぞとばかりに欲望丸出しの、背徳的・変態的な……僕がいたら強権発動してでも絶対に許可しなかったであろう類の遊びを次々と!
体調を考えないペースでの強姦はもちろん……囚人なんかを使って人数を水増しして休みなく犯し続けたり、そのせいで睡眠時間が不足&不規則化なんてお構いなし。
変なものを食べさせたり飲ませたり……こいつら、使用した消耗品の報告欄に、キャットフードって書いてあるぞ!?
それ以外にも、アルコール度数のきつい酒や……医療用の下剤に……精神興奮物質? 何やってんだホントに! コレ扱うのに免許が必要な……ガ○ギマリセックスでもやりたかったのか!?
挙句の果てに……発情させた軍用犬と交尾させただと!? どこまで変態だよお前ら!?
衛生面その他を配慮しないままに、好き放題責めるだけ責めやがって! 一時はどうにか力を取り戻した捕虜が、完全に半死半生じゃないか!
そしてとどめに……僕が留守の間に、予定を前倒しにしてゾフィーが帰ってきたって……。
その後再開された、イゼッタへの苛烈を通り越したレベルの責め苦……容赦なく鞭で打ち据えられ、刻まれていく生傷。響く悲鳴、こぼれ落ちる涙。
隣で見させられていたビアンカがどれだけ懇願しても、ゾフィーはそれをやめず……ほぼ毎日それが続いたおかげで、こうなってしまったと。
医療班が手を尽くしたけど、それでもこの状態が精いっぱいだったそうだ。
即ドクターストップかけて、イゼッタ、ビアンカともに医療班へ引き渡し。
こんなこともあろうかと、出張先から僕の息がかかった、完全に僕に従う医療班を連れてきておいてよかった……病室にぶち込んで、それ以降夜通しで治療に当たった。
無茶苦茶なプレイばかりさせられた2人とも、心も体もボロボロだ。
特にイゼッタがひどい。
ゾフィーの暴行ももちろんだが、汚っさんたちも、反抗的な態度のビアンカの心をへし折る目的で、彼女の目の前で色々無茶苦茶やったらしい。先の軍用犬も、その一環だったようだ。
膣、肛門ともに粘膜は損傷して血がにじみ、体中が鞭やら何やらで傷だらけ。骨にひびが入ってる可能性もあり。変なもの食べさせられたせいで消化器系にもダメージあり。
イゼッタほどじゃないけど、ビアンカも十分重症なので、一緒に治療する。
まず今夜は、ほっといたらヤバそうな傷から治していかないと……『錬金術』だって万能じゃないんだ、油断はできない。
点滴に包帯にギプスに……足りるかな。
……準備できたみたいだ、早速はじめなきゃ。
$月@日
昨日からではあるが、彼女たちの治療は続いている。
今は僕は、ひと段落ついて……とりあえず問題ないだろう、ってとこまで来たので、こうして日記に残している感じだ。
あの後、まずは点滴による栄養注入を行いつつ、『錬金術』で最低限の治療をした後で……色々と細かいところの治療を進めていった。
まず、荒療治になるが、お腹の中の異物を全部吐き出させるため、ゾフィーがこの間使っていたガスを使った。吐くもの全部吐かせて、下からも……恥ずかしいだろうけど、全部出させて、お腹の中を空にする。その上で、体を洗ってやってきれいにして。
できたばかりの新薬も使って各部の治療。骨も、粘膜も、神経も全部治す。
消化器系も直すけど、弱ってる状態でいきなり食べさせられない。というか、食べるだけの元気がないだろうから、ゼリーにして食べさせる。
けどそれもすぐには無理だろうから、当分は点滴になるかな。
当分は絶対安静。ベッドの上から動かさせない。
尋問? 却下に決まってるだろバカ。
査察官? 叩き返せ、僕が責任を持つ。
……どの道、あの汚っさんとその取り巻きの連中は、もう容赦しないことに決めた。
すでに手回しは進めてある。
ゾフィーは僕と入れ違いでまた別な戦場に行ったそうだ。もう戻ってくるな。
いつ容体が急変するかわからない+錬金術依然として僕しか使えない+いつ強引にあの汚っさんが乗り込んでくるかもわかんないので、僕は今日ずっとここ……病室にいる。
書類とか持ち込んで、ここで仕事してる。
戻ってくる列車の中で可能な限りやっといてよかった。ここでも十分やれる。
$月*日
中央に手を回した成果がようやく出た。
前々から汚職疑惑があった別な査察官……すなわちいなくなってもいい屑を事故に見せかけて始末して、その後任に汚っさんを設定。ここから追い出すことに成功した。
取り巻きの兵士たちも、汚っさんに同行させるか、あるいは前線、あるいは僻地に飛ばした。
これで、ゾフィーが帰ってこない限りは、彼女たちは安全と言っていいだろう……少々強権を発動しすぎたから、陛下に目をつけられないかだけ心配だけど。
ともあれ、これで僕も少しゆとりを持った生活を送れそうだ……部屋を元に戻して……あと、眠い。さすがに3徹→1時間仮眠→また3徹は、錬金術で作った薬品でごまかしててもきついもんがある。
2人の容体もようやく安定したし……ビアンカの方は、意識も戻ったそうだ。
体力回復のためだろう、2人とも治療を始めて、容体が比較的安定してからは……一度も起きずに死んだように眠ってた。
それが起きたってことは……よかった、どうにかなったみたいだ。
……寝よう。
副官、後よろしく。
$月+日
久々にたっぷり11時間も寝て、起きてご飯食べた後に、彼女たちの様子を見に行った。
……僕、軍医じゃないんだけどな……今更ながら。まあ、軍医よりもいろいろできるから、仕方ないっちゃ仕方ないのか。データも取れるし。
医務室に入ると、ビアンカが医務官たちの検査を受けていたところだった。
全裸で。
別にいじめてるわけじゃなくて……調べる箇所が体中あちこちに多すぎるからなんだけどね。医務官も全員女性だし、そこまで恥ずかしくもないだろう。
が、僕は男性なので、出直した方がいいかな……とか思っていたんだけども。
ほかならぬビアンカに、呼び止められた。話したいことがあると。
いぶかしむ医務官に対して『いいよ』と目で合図して……とりあえずシーツで体を隠してもらい、ベッドの近くまで行って椅子に座り、話を聞くことに。
……やはりというか、ここんとこの責め苦はかなりきつかったんだろう。肉体的にも、精神的にも。僕を見る目に、尋常じゃない警戒とおびえが見える。
それでも、体の震えをどうにか抑え込みつつ、ビアンカは話した。
曰く、助けて……治療してくれたことには、礼を言う、と。
おかげで体もすっかり回復したし、イゼッタの方も落ち着いたようでよかった、と。
それはこちらとしてもよかった、と伝えると……しばしビアンカ、黙る。
そしてその数秒後……意を決したような表情になったかと思うと、突然ベッドから降りた。シーツを放り出し、全裸のままのその体があらわになるのも構わずに。
驚く僕らが何か言う前に、そのままビアンカは床にひざまずいて……腰を折り、手を揃え、頭を床にぴったりとつけた。
突然の、まさかの全裸土下座である。
何事!? とあっけにとられる僕らの眼前で、ビアンカは……絞り出すように話し始めた。
もう、これ以上は許してくれ、と。
自分ではなく、イゼッタに責め苦を与えるのを、だ。
どうやら、汚っさんや、ゾフィーの所業を見せつけられ続けたのが、相当こたえたらしい。
ビアンカは、以前から……おそらく、同じように姫様=オルトフィーネ大公を敬愛するものとして、イゼッタのことを慈しみ、大切に思っていたらしい。
もちろん、自分も軍人であるし、敗北しとらえられればこういう扱いを受けることになるのも覚悟はしていた。しかし、彼女はもともと、姫様の友達で、魔法が使えるだけの一般人であり――やっぱりそうだったか――このような仕打ちを見ているのはつらい、という。
自分は、この国……エイルシュタットと大公家のために全てをささげた軍人である。
だから、敗北の結果としてどのような扱いを受けようとも、文句は言わない。
でも、イゼッタは……と。
女としての地獄を味わわされ、人間以下の屈辱的な扱いをされ、死んでしまうのではないかと思うほどに痛めつけられる。
このままでは、イゼッタが壊れてしまう。肉体的にも、精神的にも。
本当なら、こんな戦争に関わらなくてよかったはずのイゼッタ。
自分で望んだことだとはいえ、その結果として帝国に大きな損害を出したの事実だとはいえ、
『見ていられないんだ、もう……こんなになるまで、自分の全てを犠牲にして戦って……その果てに、こんな……』
演技も何もない、ビアンカ自身の、心からの叫びだったように思う。
甘い物言いだとわかっている。都合のいいことだとわかっている。
そもそも、囚われの身である自分に、何か言う権利すらないのもわかっている。
それでも、と。
『私はどうなってもいい。嬲ってくれていい、罵ってくれていい、痛めつけてくれていい、殺されたってかまわない……でも、どうかイゼッタは許してくれ……! 無罪放免などと都合のいいことは言わない、言えない。だが、どうか……貴殿の力で、どうか……あの子にこれ以上、つらい思いをさせるのだけは……!』
『痛々しいから土下座とかやめて』って言うのも忘れて、それを黙って聞いていた。
恐らく、涙を流してると気づいてないまま、必死に懇願するビアンカの弁を。
……正直、返事に困る。
ゲルマニアの軍人として、この願いに、首を縦に振るのは難しい。
けど……できないわけでもない。今の僕の権限なら。
自分の意向を通すんだから、色々リスクが伴うし、皇帝陛下の意向に左右される部分もある。さらに言えば、それは一時的なもので……一度守った後にイゼッタがどうなるかも保証できない。
そしてその先には……もっと大きな決断を迫られること請け合いなのだ。
……けど困ったことに、心情的にそっちに傾いてしまいつつある自分がいる。
そうする理由を、根拠を探してしまっている自分がいる。
ごちゃごちゃになった頭の中を整理しようと奮闘していると……ふと、ゆっくりと頭を上げたビアンカ、僕の方を見て……何かに気づいたように、わずかに目を大きくした。
その先を追って……僕も初めてそれに気づく。
自分の股間に張っている、ごまかしようのない大きさのテントに。
……! しまった、今日まだ、鎮静剤飲んでない……!
というか、ここんとこ出張行ったり治療したりで、そういう場面を前にすることがなかったから、必然的に飲む必要なくて……完全に忘れてた!
このシリアスな空気の中で何してんだ僕は、って慌てていると……それを見て顔を赤くしていたビアンカは、さっきも見た、何か決意したような顔になって……
$月&日
朝、自室で目を覚ます。
横には……全裸の上、体のあちこちにべとべとした液体をこびりつかせたビアンカが寝ている。
……うん、説明の必要もなければ、弁解のしようもないんだけど……ね。
昨日、寝た。彼女を……部屋に呼んで。
彼女は、イゼッタを助けるために、自分が犠牲になるんだと言って。帝国に対して屈したわけでもなければ、僕に対して心を許すわけでもない、と断って。
僕は……彼女に手を出す代わりに、イゼッタに対して便宜を図るんだと。差し出された貢物を受け取るんだから、こっちも何かしてやらなきゃ不義理になるんだと、言い聞かせて。
……さすがに、その時のことを詳細に描写するのは勘弁願いたい。
ただ何というか、お互い背徳的な部分があって、それがスパイスになったのか……僕は、今までどんな娼婦を抱いた時よりも気持ちよかったし、ビアンカは、僕が知る限り、汚っさん達にどんな辱められ方をしたときにも見ることのなかったレベルで乱れていた。
病み上がりに対して何をしてるんだと自分をぶん殴りたくなるが……昨日の夜10時ごろから始まった、取引のためのセックスは……日付が変わってもなお勢い収まらず、結局その欲望のまま、明け方近くになるまで続けてしまった。
……こんなに盛り上がったのも、射精したのも……初めてだ。間違いなく。
僕もビアンカも、お互いに息も絶え絶えになって、出るものも出なくなるまで腰を振って……気絶するように眠ってしまった。
多分、あの時ビアンカが僕を殺そうとしてたら……抗いようもなかっただろうな。
そのビアンカは……ベッドの上で、安らかに寝息を立てている。
……彼女はしばらく寝かせておくことにして。ああ、起きたら色々世話をするように、メイド達に言っておかなきゃ。
持って来させた水と、清潔な布で体を軽くふいて……着替えにそでを通す。
下着を着て、シャツに、軍服……アクセサリー……それに、眼帯、と。
衣擦れや水音程度とはいえ、横でしばらく生活音を立ててたのに……ビアンカは起きる気配はなかった。よっぽど無理をさせてしまったらしい。
……彼女から、対価は受け取った。
なら、今度は僕が義理を通さなきゃな。
イゼッタの待遇、どうにかするようにさっさと動かないと。まずは……