¥月Φ日
この身は、全て姫様……オルトフィーネ大公殿下にささげた。心も体も、命までも。
近衛として彼女に仕え始めたその日に、全てをささげた。
だからこそ、彼女を守って敵につかまったこの現状も……不本意な部分こそあれ、何も後悔はない。彼女が逃げ延びてくれたのであれば……このまま殺されても、本望だった。
しかし、私が送ってこられた先には……私をさいなむ、もう1つの地獄があった。
イゼッタ……エイルシュタットの白き魔女。
私と同じく、姫様に全てをささげる覚悟を持って戦った……私が認める戦友だ。
その彼女が……ゾフィーなる魔女がゲールに現れ、ランツブルックが陥落させられたあの日以来、行方不明になっていた彼女が……そこにいた。
あの日からずっと……帝国軍によって与えられる責め苦に、辱めに……たった一人耐えていた。
話してみた感じ、疲弊はしているようだが、致命的な心の傷を抱えているという感じではないように思えた…………今は、だが。
しかし、あの顔を、目を見て、つらそうに沈んだ声を耳にすれば……彼女がいかにつらい責め苦を受けているのか、感じ取ることはできる。
……部屋にこもっている独特のにおいや、よく見ないとわからない血の跡に気づけば……なおさらだ。
汚らわしい……。こんな健気な少女に、下卑た責め苦を与えているゲール達を、今すぐにでも殺してしまいたい……そんな衝動が湧き上がってくる。不可能だと、わかりつつも。
それどころか……明日には、私もそうなっていてもおかしくないのだ。
……私たちの戦いは、むしろこれからだ。
私も頑張って耐えよう……だからすまん、イゼッタ……お前も耐えてくれ。
身勝手な物言いなのはわかっているが……私たちが共に慕う、姫様のために。
&月△日
……予想も覚悟もしていたが、やはり……つらい。
処女などくれてやった。その上で、いかなる辱めをどれだけ受けても耐えてみせた。
隣で同じように辱められるイゼッタと共に、屈せず、口を割らず。
朝起きてから夜寝るまで、一切の自由行動を許されず……好きな時間にやってくるゲール共が、私たちの体をもてあそぶ。
薄汚れた、吐きそうな匂いの肉棒でもって、私たちの……女の秘所をむさぼり、痛めつけ……遠慮も何もなしに、欲望を吐き出していく。
汚らわしいゲールの子種に……姫様にささげたこの体を、内側から汚される。
ゴリゴリと膣内をえぐられ、種を注がれる……妊娠、してしまったかもしれない。
全て終われば放り出され、私の体は異臭を放つ白濁液にまみれている。
呼吸するたびに、嗅ぎたくもない匂いが鼻の奥に流れ込んでくる。
悔しい。苦しい。……許されるなら、死んでしまいたい。
しかし、それもできない……自殺すれば、そこで終わる。これ以上、姫様の役に立つことができない……いつか必ず立ち上がるであろう、姫様のそのお側にはせ参じ、共に戦うことが。
もしかしたら……そんな機会は永遠に訪れないのかもしれないが……それでも、最後まで。
時に……陰鬱な気分を紛らわすために、イゼッタと無理に話題を探して行った世間話で……彼女の口から、この基地にもまともなゲール兵がいると聞かされた。
どうやら、初日に見かけた、金髪に眼帯の男がそうらしい。
私はその男を知っている。
と言っても、見たことがあるとか、知り合いだとかではなく……情報としてだ。
帝国軍少佐……ソロモン・フォン・サンジェルマン。私の記憶に間違いがなければ……帝国軍における要注意人物の1人だ。ミュラー首席補佐官も、注意を向けていた1人だったはず。
帝国の参謀将校であり、まだ若いながら多数の戦場で劣勢をひっくり返している名将。
その戦歴はまさに百戦錬磨。
帝国の未来を担う若き俊英、とまで言われており……その期待を裏付けるかのように、エイルシュタットの占領統治府の、暫定指揮権を与えられていると聞く。
そして、彼の父親……帝国軍大佐、メフィスト・フォン・サンジェルマンは……イゼッタが参戦した戦いで戦死している。
すなわち、イゼッタは彼にとって……父の仇。
さらに、情報が確かなら……同時に、自分の左目の仇でもある。
そんな間柄なのだから、余計にイゼッタが、彼を誉めるようなことを、ことあるごとにつぶやく理由が理解できなかった。
……確かに、あの男が使う『錬金術』の力は驚異的だ。
まさか、数日……あるいは数週間をかけて治すような傷が、わずか数分、短いもので数秒で、跡形もなく癒えるとは……。しかも、副作用らしい副作用もなく。
しかし、やはり心情的にはわからなかったのだが……どうやら彼が、一般的なゲールの軍人とは違いそうだというのは確からしい。
感覚ではあるが、何度か話してみるうちに……そう、思えてきた。イゼッタは、もっとこの感覚を鋭敏に、あるいは正確に感じ取っているのか……?
$月#日
……何かに気づけそうになって……気を抜いたかもしれない。
いや、気を抜こうが抜くまいが……やられることは変わらないか。
このところ、ゲール共によってもたらされる責め苦が……ひどい。
今まではやらなかった、身の毛もよだつような内容のものがあったり……それについて、後から適切な衛生的処置がなされなかったり……
加えて、出先から帰ってきたらしいゾフィーによる、イゼッタが死んでしまいそうになるほどの責め苦を何度も……
目の前で繰り広げられるそれに耐えきれず、思わず声を上げて止めてしまったのだが……結果、ゾフィーを喜ばせるだけに終わった。
しかもいつからか……拷問の後、私たちの体に刻まれた傷を……そして、他愛ない雑談の中で心の傷すらも癒してくれていた、あの男が……現れなくなった。
兵士たちの話によれば……我らが見限られたのでもなければ、作戦でこうしているわけでもないのだが……単に用事、というか、別件での軍務らしい。
その間、『普通の』医療措置しか施されずにいた我々は……特に、ゾフィーの責め苦を連日受け続けているイゼッタは、すでに虫の息になりつつある。
このままでは……死んで、しまう。
$月+日
……どうにか助かった。
出先から帰ってきたサンジェルマン少佐が、我らを助けてくれたとのことだ。
ただ傷を癒すのみならず、我々をもてあそんでいた者達をあちこちに飛ばし、我々に近づけないようにしたようだ。……こればかりは、素直に感謝せねばなるまい。
そして、今回の一件で確信した。
彼は、イゼッタの言う通り……優しい。
もっと正確に言えば……甘いのだ。
彼は私たちを、単なる敵国の兵士ではなく、非力な女として見て、無意識に温情をかけている。
そしてそれに、彼もはっきりとは気づいていない。
……利用できる。
そうしなければ……できなければ……この先、まずい。
今までのように責められることはもうないのかもしれないが、どの道戦犯、ろくなことにはならないだろう……。
だが、この男なら……。
傷ついたイゼッタを……彼女を助けることができる。
なんなら今すぐにでも、できないことはないはずなのだ……そしてそれを、恐らくはサンジェルマン自身も望んでいる。
しかし、本人がそれに気づいていない上、踏ん切りがつかなくてここに介入することができずにいると見た。
つまり……必要なのは、きっかけだ。
奴の背中を後押ししてやれればいいのだ。奴の力を行使してイゼッタを助けるための、確たる理由を……より正確に言えば、『言い訳』ないし『口実』を……こちらで用意してやればいいのだ。
敵兵であり、本来は憎み、痛めつけなければならない立場の私達を、逆に『助ける』。奴がそれに踏み切るための……他でもない、自分を納得させる大義名分。
それさえあれば……
……そう気づいた私は、覚悟を決めた。
頭を下げた。無様にも裸で、床に額をこすりつけた。
恥も外聞も意地も捨てて、許しを請うた。イゼッタを助けてくれと懇願した。
そして対価に……私を差し出した。
それを……色々と葛藤しつつも、最終的に無理やりに近い形で押し切り、受け取らせた。
すなわち……私は自分から、奴のベッドの上で股を開いて……体を差し出したのだ。
奴はそれを受け取った。すなわち、私を抱いた。
そして、私の読み通り……その『対価』を受け取ったことを理由にして、私の願いを聞いてくれた。それどころか……イゼッタのみならず、私の身の安全の保障まで。
……万事、うまくいった。これで少なくとも、今以上に状況が悪くなることは……彼の上から何か言われたりしない限りは、ないだろう。
後悔はない。今はこれが、最善の方策。
私の体で、イゼッタの心身の安全が保障されるなら……安いものだ。
……いや、待て。
1つ……あった。不安な要素が。
……そ、その……今まで、激しくつらい責め苦しか味わってこなかったからなのかもしれないが……彼の手つきというか、手管というか……こちらをいたわるような抱き方がその……こ、心地よくて困る。
愛すら感じるその手法は、私の体を内側からじんわりと温めてくれるようで……安心する。
そのあまり……ついつい、心を許して甘えたくなって……加えて、ふ、普通に快感が、しかも怒涛のように押し寄せるものだから……
……いつも、最初こそドライな感じで応対しているのに……最後には……
あ、あんな風に乱れて! いやらしい娼婦のように!
い、いや……娼婦でもあんな言い方はしないぞ、演技ならともかく……ほ、本心から! あ、あれではまるで……身も心もゆだねてしまうかのように……。
い、いや逆に考えろ。
あんな風な……あ、あえて言うなら、愛に満ちたようなセックスを施してくれるのだ。相当彼は私の肉体に入れ込んでいるに違いない。
ならばその分、私も彼を操りやすくなる……そうだ、何も問題ない。これはいいことなんだ。
言い訳でも何でもなく、彼をより確実に抑えることができれば、エイルシュタットの有利性が増すのだから……
……だから、昨日一昨日と抱かれていない私が、改めて女の味を彼に味わわせるため、こうしてその……誘うように声をかけるのも、至極自然なことなのだ。
な、なあ、今日、その……そ、そうかわかった。後で行く。
うん、これは仕方ないんだ……決して、私が快楽に溺れつつあるなんてことは……
彼とのセックスが忘れられないとか……そんなことは決して…………
………………♪