……そうか。
今まで、抱こうとしなかったのは――このため。
私から求めてくるのを、この人はずっと待っていたんだ。
「神奈。……服を脱いでベッドにうつ伏せになるんだ」
注射器の中に浣腸液を入れると、椅子に座って私の身体を隅々まで視姦するように見つめた。
舌を舐めて興奮を隠そうともせず鼻息を荒くしている。
大股に開いた足の間で、そそり勃つモノの大きさが、いつもの倍以上は窺えた。
それを見ながら……。
彼の目の前で服を脱いでいく。
誘うようにゆっくりと……。少しずつ、焦らしながら。
プチン、とホックを取った途端、勃起した乳首が露わになり、今朝までたくやくんに吸われていた母乳が少し零れていた。
「……妊娠でもしたのか」
それを見て驚く彼に、クスッと笑う。そういえば発情した状態で彼と会うのはこれで二度目だけど、あの時はまだ母乳までは出ていなかった。
「してないです」
「じゃあ、それはなんだ」
「あなたを見て欲情したんです」
「…………。ごまかすな。妊娠でもしないとそんなものは出ないぞ」
本当のことなのに。
でも説明するのが面倒だ。どうせ抱けばすぐにわかること。
ショーツを脱ぐと、溢れる蜜が股の間から滴り落ちてきた。それを見て鼻を鳴らす彼をチラ見して、いやらしく膣内の襞を拡げて内部まで見せつける。
どう……?
こんなに濡れた神奈を見るのは、初めてでしょう?
後ろだけで満足できるの? あなたが?
だが。
挑発する私に蔑むように見下すと、注射器から浣腸液を数滴迸らせた。
「ベッドにうつ伏せになれ。……股を広げるんだ」
やる気らしい。
まあ、……いいか。アナルセックスで感じることもできる。特にこの人の陰茎は長いからあれで抉られるだけで子宮が疼いてしまう。
ベッドに乗り上げると、四つん這いになった状態でアナルを指で拡張した。入れやすいようにしてあげる。こんな淫らな姿、今までこの人に見せたことあったっけ。
ギシッ……、とベッドが軋む音がして、背後に彼の吐息がかかった。
「……商売でもしてるつもりなのか?」
「そんなつもりはありません」
「俺の前でそんなふうに誘うことなんて、今までなかっただろう」
「誘ってくるのを、待っていたくせに」
「ああ。……ずっと待っていた。君がいやらしく股を広げて身体を差し出してくるのを、ずっとな。……俺から息子を取り返そうとでも思っているのか?」
……ああ。
そんなふうに思ったの。
仕方ないか。今までこの人からの求愛をことごとくスルーしていた。だって恵子さんがいるのに、信じられるわけがないじゃない。
今だってこの人の中にはまだ恵子さんがいる。死んだと思ってすらいない。……そんな人に求められても。
ああ。
たくやくんの、無償の愛が本当に嬉しかった。
母親だと信じ切って私を求めてくれるあの必死な愛撫……あれを知ってしまった今となっては、広大さんの二股心がまったく心に響かない。
だけど。
今の神奈は……。
彼の手を乳房へと導き、指を突起へと辿らせた。
「これ……今朝のたくやくんの、朝ごはんです」
「……!」
「絞って……吸い上げて……舐めてくれました。とっても強い舌使いで。あの子は、乳首だけで女を絶頂させることができるほど、上達したんですよ」
「……神奈」
「ふふ……、もう神奈の愛液の味まで覚えてしまったのに、あの味を忘れられることなんて、できるわけ……んんぁっ!」
いきなり。
アナルに注射器を挿された。そのまま最奥まで浣腸液を流し込まれる。
う……。い、いた……。
けど、……悪くない。ただの浣腸液じゃない。何を混ぜたかわからないけど、この快感……すごい、入れれば入れられるほど喉奥から震えがとまらなくなる。
あ、はは……。
やっぱり、広大さんだ。この人はこうでなくちゃ。
神奈の底なしの性欲を満たしてくれるのは、この人しかいない。
ん、……ぅ。
お腹の力を強めて残らず吸い上げた。広大さんの手を掴んで注射器をもっと深く挿入させる。すると驚いたのか、嬉しそうな声が耳元に聞こえた。
「この……淫乱女。ただの浣腸じゃないぞ、痛痒感がたまらないはずだ」
「なにを……入れ……たの」
「普通のグリセリンだが、抗ヒスタミンを配合している。こういうプレイではよく使われるんだ。痒みを促すから挿入後の蠕動が止まらなくなる」
「……へん、……たい」
「とか言って、満更でもなさそうじゃないか。……どれ、もう半分以上入れたな。腹は……だいぶ膨れたようだな」
「あ、ああぁ……お、押さないで……」
「こら、また尻穴を窄めるな。注射器が抜けないだろ。俺のを早く入れさせろ」
「こ、……この状態で?」
「言ったろう、腸内が痒みで刺激されて激しい動きになるんだ。それを味わえるんだ、最高じゃないか」
「……あぅ、……こ、広大さん……はや、く……」
「ついに言ったな。神奈、しっかり尻穴で俺のをキツく絞りこめよ。……いくぞ」
注射器を抜いたのと広大さんのペニスが入ってきたのはほぼ同時だった。
すご……い……。
いつもの倍、……ううん、それ以上に大きい。それにこの硬さ。まるで灼熱の棒のよう。
はう……ん。
浣腸液の中を掻き混ぜられる。お尻の穴から漏れてきているけど、そんなの気にならないくらい激しい動き。カリが、いつも以上にあちこちに引っ掛かって……たまらない。
はあ、はあ……。
お、お腹の奥が、痺れる……。
抜き挿しが気持ちいい……。あ……。乳首を絞ってくれている。痛いのに、痛みが快感になっていた。たくやくんの柔らかい唇もよかったけれど、この人の爪を立てての絞り方も、……すごい、いい。
ん、しょ……と。
挿入しやすいように、もう少し足を広げた。すると、さらに深く繋げてくる。背後からの激しい叩きつけに、身体がうち震える。なんて気持ちいい……。
広大さんの、が……。
もう限界に近くなっていた。ドクンドクン、って……すごく強くなってる。ああ、出そうとしてくれている。
あんなに欲しかった広大さんの精液。……それがお尻の穴なんて。
神奈は我慢できなくて、たくやくんを精通させちゃいました。
それを膣内に入れたら少しだけ発情がおさまったけれど。
でも、やっぱり、広大さんのが欲しい。
ぐすん、と泣き顔になった。すると広大さんが背後から指で涙を拭ってくれた。
「神奈、……お仕置きだ」
「……?」
「息子なんかにうつつを抜かしたからだ。最初のこれは、ここの奥に注ぐからな」
「じゃあ……次は?」
「次もアナルだ」
「ひどい……」
「でも気持ちいいだろう?」
「そんなのでごまかさないで」
「神奈……君はアナルも最高な女だよ。俺の欲望のはけ口になってくれ。またしばらく会えなくなる。この快感をずっと忘れずにいたい」
「…………。もう少し、品のある口説き文句にしてください」
「こんな状態で品も糞もあるか。……う、っ……く、……し、絞るな、痛い」
「ほら、少し萎えた。まだ出すまで動けますよね」
「この……。…………。くそ、そっちがその気なら、もう手加減しないからな」
「あ……ひゃああんっっ!」
足で背中を抑えつけられながら両手を引っ張られた。まるで馬の手綱みたい。
あう……!
なんて凄い動き。奥の奥まで捩じりこんでくる。たまらない、いい、これ、いい……!
もう排泄感も通り過ぎていた。さっきから出そうになっているけれど、それを広大さんのペニスが押し返してくる。その感覚が喉まで迫り上げてきて、吐き気と同時に艶のある吐息へと変わっていた。
あ……、足で、神奈を乱暴に蹴ってる……と思ったらまたペニスが膨らんで……。
これ、広大さんも興奮してるのが伝わる。そうか、この人はサドだった。普段は隠してるけれど、もう隠せていない。神奈をオモチャみたいに犯して悦んでいる。
可愛い……。
広大さん、可愛い。たくやくんみたい。あの子も私の愛撫で感じながら時たま虐めるように叩いたり抓ったりしていた。
親子だもの、似ていて当たり前か。
あの子の将来が、心配だなあ。
神奈のせいでもあるけれど……。
はう……!
より一層膨らんだ。最初のが、くる……!
「う、くぉっ……!」
爆発した。
浣腸液で満たされた腸内を熱い飛沫で覆ってくる。……やっと味わえた。何年ぶりだろう。ずっとこれが欲しかったの。
お尻の穴を思い切り窄めて吸い上げるように動かしていく。もっと、もっと出して……神奈をもっと汚して……。
はあはあ、という熱い吐息交じりの舌がうなじを吸い上げた。いまさらそんな愛撫しなくても、もうあなたが私を痛めつけることで快感が増すことを知っている。
続きを促すように振り返って広大さんの顔を見た。
笑っている。
満足したみたい。……神奈は満足できていません。
うん……!
お尻の奥に力を込めた。まだいける。排泄感より続きをねだる気持ちが勝って、彼のペニスをより深く誘うように吸い上げた。
すると。
広大さんが座って、座位で背後から抱きしめられてしまった。
「……俺が、もう限界なんだ」
「いや。まだ……まだして」
「神奈、勘弁してくれ……。痒みがたまらない。君は平気なのか?」
「痒いです、とても。……でも気持ちいいの」
「たいした、女、だ……。少し……休ませて、くれ」
「まだまだ勃起できるでしょ?」
「…………。こうやって、三人の男を殺したのか」
「……知っていたの?」
「君の近くにSPを目立たせない程度に張り付かせていた。君がした不始末な死体処理は、あとで彼らに証拠隠滅させておいたよ」
「そうだったんですか」
「……詳しくは聞く気もないが、俺が原因なのか」
「そう……ですね。少しはあります」
「少しだけか?」
「これは神奈の問題だから。あなただけのせいではありません。……ね、もうできるでしょ?」
「……やれやれ。我慢できそうもなくなったら言ってくれ。前みたいに押し出すことは、もうしないから」
「してもいいの」
「俺がいやなんだ。……気持ちの問題でね」
広大さんらしくもない。
あのときと同じスカトロをまたしたいのに。
背後から口づけをされながら、少しずつ、ペニスが動きだした。
……ねえ、広大さん。
発情した神奈のセックスに耐えられるのは、あなただけなの。
それがどれほど神奈にとって嬉しいか、あなたにわかる?
もうそんな男は、あなたしかいない。
だから――逃げないで。
結局。
最後まで、彼はアナルセックスしかしなかった。
どれほど私が懇願しても、もう普通に抱く気はないようだった。
荷造りをしながら、岬の家の中を見渡してみる。
もう――ここに来ることはないかもしれない。
広大さんは行ってしまった。次に戻るのはいつになるかわからない。たくやくんとも、いつ会えるのか……。
……待とう。
いつまででも待つ。たとえあの人が違う人と結婚したとしても、あの人の人生だ。
いずれ。
成長したたくやくんと、再び会えることができるのなら、……それでいい。
鍵を閉めて、振り返ることはなく、自分の住処へと向かった。
次の話は23の続きになります。
コロコロ時間軸が変わってしまってすみません。
どうしてもこれを、あの続きの前に書いておきたかったんです。
また投稿までに時間はかかりますが、お待ちいただけると嬉しいです。