短編です。
行為はありません。(キスだけ)
セーレスが冷たい水を手桶に入れて持ってきた。
「……サンキュ」
それにタオルを浸して絞り、娘の額に乗せてやる。
さっきから何度も替えてはいるが、ちっとも微熱がおさまらなかった。
心配そうに眺めるセーレスの頭をくしゃっと撫でる。
「大丈夫、子供の頃はよくあるんだ。俺も熱を出して寝込んだんだって。体力さえ戻ればすぐ治るよ」
とはいえ……。
ここには医者がいない。
もし急性麻疹だとしたら対処の仕様がない。一応解熱剤はあったので与えているが。
体温計があればな、と小声で呟くと、セーレスが不思議そうな顔で振り返った。
熱を測る道具なんだ、と頭の中で呟く。この世界にはないものらしい。
ウトウト、と船を漕ぎだしたセーレスの肩に手を乗せた。
「ほら、昨夜は一晩中ユーノの看病をして疲れてるだろ。あとは俺が看ててやるから」
セーレスはもう一度ユーノの額に手を当ててから。
腰を上げて、たくやに笑みを向けて部屋へと戻っていった。
かなり疲れているはずだが、娘のことが気がかりで眠れていなかったのだろう。目の下に隈が出来ていた。
「ん……うん……」
寝返りをうったユーノを見て、かなり汗が出ていることに気がついた。
拭いてやらないと……と思ったが。
「しまった」
セーレスを部屋に帰してしまった。
ユーノの汗を拭かせてから戻せばよかった。まさか俺がやるわけにも。
……いや。
親が子供の汗を拭くのに、遠慮がいるか?
男親だろうと関係ない。今はユーノの看病のほうが大事だ。
新しいタオルを水で絞り、ベッドの脇に置くと。
寝巻のボタンをひとつずつ外して、上半身を裸に……した。
「…………」
落ち着け。
汗を拭くだけだ。
なにもやましいことはない。そうだ、落ち着け。
だけど。
初めて見る娘の裸だった。
まだ6歳前後の見た目だが、今まで風呂も着替えも、全部セーレスにやらせていたからわからなかった。
小さな桜色の乳首、しなやかな身体、絹のような滑らかな素肌。
子供なのに、なんだろう……この艶やかな姿は。
落ち着け。
最近セーレスとご無沙汰してるからって、いくらなんでも娘に欲情してどうする。
ふう、と一呼吸して落ち着いてから、冷たいタオルで汗を拭い取った。
「……んん、……んぁ……」
「…………」
おまえな。
子供のくせにそんな喘ぎ声なんて出すんじゃない。
今からそれでは、この先どれほど魅惑的になるのやら。
汗を拭いながらどんどん下半身に熱が移っていくような気がした。
間違いなく勃っていた。触るまでもなくわかる。完全な欲求不満だ。
最近……セーレスとアレをしていない。
彼女が性感帯を変えてしまったからもう出来そうもなかった。
調子に乗り過ぎたせいだ。自分のせいだとわかってるけど。
思考がどんどん自虐的になっていく。それだけ罪悪感が増していた。
「ん、ぅ……う……」
あらかた拭き終わったが、……まだ下が。
下も拭いたほうがいいよな、これ。
さすがにそこは……。
これ以上刺激されたらどうなるか。
セーレスを起こすわけにもいかないし。
……仕方ない。
なるべく見ないように拭くしかないだろう。
寝巻のズボンをずりおろす。汗で濡れている下着も一緒に脱がせると。
一糸纏わぬ娘の全裸がそこにあった。
「…………」
凝視してしまった。
見ないようにと思っていた考えは瞬時に消えた。
あまりの美しさに目が奪われた。
子供なのに、――綺麗だった。
まだ毛も生えそろっていない。誰も踏み込んでいない秘所。
それを、……見つめていた。
「…………」
ヤバい。
汗を拭う手がどんどん汗ばんでいく。喉が渇く。興奮がどんどん膨れあがっていく。
股を開く。
指で軽く触れてみると、すでにそこは潤って、汗なのか愛液なのかわからないが、光って雫が落ちていた。
……ゴクリ、……
完全に目を奪われていた。
下半身を拭う手が、フラフラとそこへ吸い寄せられていく。
股の間、足の付け根、……そして。
雫が光るその中へと指を伸ばしかけたとき。
「う……うぅん……」
ユーノの声にハッと我にかえった。
――なにを。
なにをしようとした?
ほとんど無意識だった。無意識でユーノに手を出そうと……。
……え?
ちょっと待て。
俺ペドフィリアだったのか?
いやそんな趣味はないぞ。
真っ当なノーマルなはずだ。
なのに。
目の前のユーノの肢体に目を完全に奪われている。汗を拭いとる手の動きがとめられない。いまだって。
微熱を持て余して苦しんでいる娘を見て、――興奮していた。
…………。
…………。
どういうことだ。
欲求不満なのを差し引いてもありえないだろ。
まだ生まれて半年に満たない子供だぞ。見た目は6歳児だが。
それにもまして。
……俺の娘だ。
一番性欲からは遠い存在のはずだ。
はず、……なのに。
下半身はそうは言ってなかった。
痛いくらいに勃っていた。これはあとで抜かないと大変なことになる。
なんでこうなってるんだ。
わけがわからない。
「……パ、……パ……ぁ……」
ユーノの声にビクッと背筋が凍ったが、よく見るとまだ眠っていた。寝言か。
早く拭いて服を着せてあげよう。
裸のままじゃ熱が下がりにくい。
そう思って彼女の背中を持ち上げたとき、無意識にユーノの手が首へとまわされた。
すり寄ってくる仕草が赤ん坊の頃と変わらない。
そうまでされてやっと落ち着いた。
やっぱりこの娘は俺の子供だ。
さっきの興奮は何かの間違いだ。
用意した新しい寝巻を手に取り、袖を通した。
下着もつけないといけないよな、とユーノの手から逃れようとしたそのとき。
彼女が、――指を。
俺の指を、咥えた。
「…………」
……寝てるんだよな?
気持ちよさそうな顔で薬指を咥えて吸い上げている。
そういえばセーレスが前に、ユーノの授乳癖がまだなおらないとか言っていた。
その辺にあるものを手当たり次第に口の中へ入れてしまう。
自然と治るものだと思っていた。
治っていないじゃないか。
……ちょっと待て。
おまえ、赤ん坊の頃より……吸い上げる力が……。
ジュルッと吸引する強い力に、思わず前かがみになる。舌の動きが、咥内で貪ろうとする動きが……。
やめろと言いたいのに……!
「……くそっ!」
もう無理だった。
指を引き離して唇を重ねた。
この不埒な舌の動きを俺の舌でかき回してやる。
……熱い。
火傷しそうなくらい咥内が熱かった。微熱が続いているからだ。
そんな娘に、俺はいったい何をしているんだ。
だけどもう、そんなのどうでもいいくらい娘の咥内が気持ちよかった。熱と、唾液の甘さが、媚薬のように脳を痺れさせていく。
「ふ、ぁ……あ……んん……」
……なんて声を出すんだ。
もう疑いようがなかった。生後半年の娘に、俺は、欲情していた。
さっきこの娘の下半身を見て興奮したのは間違いなんかじゃなかった。
……セーレスにバレたら。
それが怖い。だが、隠し通せるとは思えない。
バレたらそのときはそのときだ。
言い訳するつもりはない。ユーノが欲しいと言おう。……軽蔑するだろうな。
「ん、……ん……パパ……?」
唇を離したタイミングで目を覚ました。間がいいのか悪いのか。
苦笑して、ユーノの顔を覗き込む。
「目が覚めたか?」
「パパだぁ……」
「熱は……まだあるな」
「ユーノ、もう平気」
「もう少し寝てろ。熱が下がるまで傍にいてやるから」
「うん」
布団を被せて横たわらせる。
下着がまだつけていないが、仕方ない。あとでセーレスに着せてもらおう。
「ねえ、パパ」
「ん?」
「ユーノね、なんだかとっても気持ちいい夢、見たの」
「…………。どんな?」
「わかんない。でもとても気持ちよかった」
そうか、と微笑みながら額に冷たいタオルをあてがう。
それを気持ちよさそうに感じている娘を見下ろして。
自覚した娘への――昏い欲望を押し殺した。
11の補完みたいな感じです。
自覚したタイミングがこの頃かなあと。
自覚した後は開き直るわけですが。