夫婦の営みは、ほぼセーレスから求めてくる。
俺から求めることはあっても、彼女の拒否があればやめていた。
厳格なルールがあったわけではないが、それでいつもお互いに満足していた。
拒否する理由は、彼女が体調不良、ユーノの授乳で疲れている、なんとなくしたくない、そんなところだった。
言葉はなくても理由に該当するジェスチャーを決めていた。こういう指の形で、と言うと、その通りにしてくれた。
なぜそこまで決めておいたかというと。
俺が毎日のようにするからだった。
さすがに身がもたない、とセーレスが拒否するようになったので、そういう取り決めをすることにした。
俺としても彼女を苦しめたくはなかったので、セーレスの意志を尊重した。
……だったのだが。
初めてその取り決めを無視することにした。
理由は極めて明快だ。
俺の思考を読んでいる。
それがわかれば、もう躊躇はしない。
それなら俺が本当に求めているのはなにか、彼女は知っているはずだ。
彼女の手を引っ張り、寝室へと向かう。
途中で振り払おうとする動きを無視して、小さく笑みを零した。
「セーレス」
振り返って、怖がっている彼女の顔を見ながら、優しく言った。
「君は俺の妻だ。妻の役割はなにか、わかるよね」
セーレスは。
次の俺の言葉を思考で読んで、戦慄したように表情が強張った。
「子供をつくることと、夫を満足させることだ」
子供はもう生んでくれた。
あとは。
俺のしたいことをさせてくれること。
「妻だけじゃなくて、夫の役割も教えてあげるよ。妻と子供を養うこと、それと妻子を愛し続けること」
おそらく常識的な範囲内でだが、だいたいそれで合ってる。
セーレスは握りしめられた手を振りほどこうともがいた。
それを許さず、グイっと手を引っ張ってそのまま横抱きに抱き上げた。
「俺は君もユーノも愛している。君たちを養うために狩りだってしてる。そういえば最近、森の奥からまた魔獣の気配がするんだ。危ないから近づくなよ」
話しているうちにベッドに辿り着いた。
彼女の身体をゆっくりと降ろして、覆いかぶさるように上から押さえつけた。
「俺から求めるのは久しぶりだな。今夜は君の体調がどうあれ、やめるつもりはない。それは伝わるだろ?」
セーレスの顔が泣きそうになってきた。
いい加減覚悟して欲しい。
そんなに怖いのか。
俺の思考って、そんなに恐ろしいものだったのか。
と思ってると。
セーレスが首を振って否定した。
「違うのか? じゃあ、何をそんなに怖がるんだよ」
別に虐めたいわけじゃない。俺の欲望を満たして欲しいだけだ。
セーレスを愛しているからしたいと思うのに。
それが伝わってるはずなのに、なんで……。
カタカタと細かく震える身体を見下ろし、一体何をそんなに怯えるのかわからなかった。
彼女の服の下に手を潜りこませた。
柔らかな胸の先端が、母乳で濡れている。それを軽く吸い上げると、彼女がビクッと身体を硬直させた。感じるというより慄くに近い。
これじゃ緊張で身体が強張ったままだ。
怖がるなら、いっそ……。
そう思った途端。
彼女が目を見開いて、その場から逃げようと膝を立てて起き上がろうとした。
――が。
そんな彼女の動きなどとっくにわかっていたから、そのままひっくり返してうつ伏せにし、両腕を背後で固定すると。
近くにあったユーノを抱くときの組紐の先端を掴み、長いその紐で彼女の両手首を縛った。
残りの余った紐の先はかなり長い。セーレスが頑張って作ってくれたおかげだが。
その紐を使って、器用に両脚を拡げた状態で縛ってがに股にした。
以前同じ格好で縛られたことがあるから縛り方はわかっていた。
いわゆる亀甲縛り。首までは絞めないが、両腕と両脚を縛りつけて膝を折り曲げた状態にさせた。
セーレスはカッ――と顔を赤くしてきつく睨みつけてきた。
「君が作ったこの紐、柔らかい素材だからそんなに痛くないだろ?」
なにかが――。
何か、怒気のような意識みたいなものを感じる。
……え?
これ、セーレスの声なのか?
声みたいにはっきりとは聞こえないが、彼女がかなり怒っていることは伝わった。
……初めて聞いた。
こんなことも、できたのか。
それが拘束プレイで判明したというのは、いかにも俺らしいが。
「……なんだよ。ちゃんと意思疎通できたんじゃないか。なんで今までそれを黙ってた!」
卑猥な恰好の彼女を、なんの慣らしもせず、いきなり膣内へと昂っていたペニスを挿入した。
「……っっ!」
痛みか、恐怖か、それとも……。
彼女の悲痛の叫びが頭の中に木霊する。
グリグリと回すように押しこめていく。内部から蜜が出るのはすぐだった。熱い男根を迎えいれようと襞が蠢いて、喜んでいる。
なのに彼女の顔は悲鳴を押し殺した辛い表情を浮かべていた。
まるで……。
強姦してるみたいだ。
――ゾクッ……
興奮のゲージが跳ね上がる。
こんな戦慄、美月さんと最後にしたときのあれ以来かもしれない。
そのことを思い浮かべていると。
セーレスが怖い顔でこっちを振り向いた。
「……妬いてるのか? 盗み見て、どう思った? 俺とあの女の、最後のセックス」
教えてやるよ。
俺があの女にどうやって復讐したか。
そう――本気で好きになったからこそ、俺の好きなように蹂躙したくなった。
「まずは慣らすところからだ。思いきり――突くぞ」
グチュッ――!
子宮孔に一気に突き入れた。
セーレスの呼吸が一瞬とまる。そこを突き破られるのが一番感じるのだとわかっている。だが。
孔の中央から頭だけを出し、すかさず引いて彼女のGスポット目掛けて穿つように突いた。
今までとは違う叩きつけるような動き。まるで痛みすら伴うかのような激しい突き上げに、その感覚が共有するかのように意識が流れこんできた。
「はは……。これ、今まで隠してたのか。俺にも君の快感が伝わるよ。痛みもだけど」
セックスの感覚を共有できるなんて。
こんなの今まで味わったことがない。最高だろ。
そうか……ここをこうすると、感じるのか。
じゃあ、もう少しゆっくり動くと。
「……! ――っ、……っっ」
感じてる。むずがゆいような、物足りなさまでが伝わってくる。
膣内が自分のもののように感じた。ああ、そうか。女ってこうやって男のモノを受け入れているのか。
妊娠も出産も、女だけにしかできない理由がわかった気がする。
こんな屈辱――女にしか耐えられない。
「セーレス……もっと……締めろ」
腰を掴む。
亀甲縛りしている紐は、がっちりと肌に食い込んでいた。これはあとで跡が残るかもしれない。
構わない。
こんな姿の彼女なんて、そうそう拝めるものじゃない。今のうちにたっぷり舐めるように眺めてやる。
――……っ!!
なんの声なのか、心の中に。
彼女の悲鳴のようなものが聞こえた。
いくらでも叫んでくれ。聞きたいんだ、もっと。君の声を。
言葉ではなく意識だけど。それでも。
君の意識をちゃんと感じたい。
「……いくぞ」
まだ拡張する分には至っていないが。
膣内を縦横に突きまわしているうちに、もう我慢ができなくなった。
美月さんのときは、性急に事を進めすぎて、彼女の膣内を傷つけた。
だけどセーレスは、彼女の内襞から注がれる愛液が十分なほど潤っているから、傷つくことはないはず。
痛みは今までの比じゃないかもしれないが。
「ああ、……なにするか、わかったのか。そう、俺がね、あの女を壊したんだ。これをやって」
セーレスの顔はうつ伏せた状態だが。
どんな表情を浮かべているか、手に取るようにわかる。だって。
彼女の醜い嫉妬と、怒りと、恐怖が――俺の中に流れこんできた。
これがセーレスなのか。
今まで見えなかった、本当の彼女。
惚れなおしたよ。
優しくて美しいだけの妻じゃなかった。こんな醜い感情を持っていた。
だから、もう――躊躇はしない。
「……っっ!!!!」
膣内の襞を抉りまわす。
俺にもその痛みは伝わった。だが構うことなく亀頭の先でグルグルと捲り、同じ動きを何度も繰り返した。
……痛い。
が、痛いだけじゃない。これ痺れる。感覚がだんだん麻痺していく。
そうか。
美月さんにこの動きを最初にしたとき、なぜしたのか自分でもわからなかったが。
イけないんだ。
俺は根元にまでギュウッと襞が巻き付く強さが伝わり射精がうまいこと堰き止められる。
彼女は膣内をこうやって耕されていくうちに、達成感みたいなものがなかなか訪れない。
イきたくても……イけない。
最高だ。
「……辛い?」
俺が悦に浸っているのを反駁するかのように、彼女の嫌悪感のようなものが流れてきた。
そりゃ普通はイこうとするのがセックスだから、むしろそうしないのを悦ぶ俺が変態なのはわかる。
そんな状態をずっと続けられるセーレスにとっては、辛い以外のなにものでもない。
「でも俺がしたかったのは、これなんだ。そう、あの女が俺を変えた。こんな性癖にしたのはあの女が原因。だけど別にそのことを悔やんでもいないし、むしろ感謝しているよ。……だから」
君にも俺と同じ快感を味あわせてやるよ。
セーレスをひっくり返し、正面から彼女の脚を持ち上げた。
繋がっているところが丸見えの状態で抉りまわしてやる。
セーレスは精一杯の反抗のつもりなのか、声にならない声で助けを求めていた。
俺の良心に縋っている。
「あとでいくらでも小言をきくよ。嫌っても構わない。だけどこれはやめない」
彼女は、……泣いていた。
一瞬、ズキンと胸が痛んだが、それでも。
ついた火はおさまらなかった。
ふう、――と一息ついて。
今度は子宮孔に亀頭を突き刺し、その状態で同じように捲りあげる動きを繰り返した。
「――っ!! ――……っっ!!」
壊されるという意識が絶え間なく響く。
その恐怖が伝わるが、同じくらいこっちも壊したりしないと心の中で叫んだ。
君のその孔を俺が直接見てることも、知っているはずだ。
ユーノが生まれるとき、君はその激痛を必死になって耐えていた。
あのとき君は意識を閉じていたのか。俺に痛みが伝わらないように。
それはありがたいことだと思うけど。
こんなことができると知っていたら、俺はその激痛だって味わいたかったよ。
君だけに生みの苦しみを感じさせたくなかった。
く、ぅ……。
痛い、が……。
ここから出すと彼女が達するのだから、入口だって性感帯のはず。
なんとか、感じさせたい。
動きをもっと強くしてみる。
痛みはさらに増すが、孔の入口がだんだん痙攣している。快感もだんだん伝わってきているはず。
美月さんは意外とあっさり達してしまい、物足りなくて何度も同じように子宮孔を抉り続けた。
そうしたら彼女はイきっぱなしの状態になったが。
セーレスは……。
達したくても達せない苦しみを味わっていた。
そう。
それが見たかったんだ。
「……軽蔑するか?」
泣き顔でこっちを見上げている彼女に、自嘲するように呟いた。
ドン引きしてる。軽蔑どころか、完全に俺についていけない、そんな感情が伝わってきた。
「なんかさ、そういう素直な感想がきけて、むしろ嬉しい。本当に、なんで今までこれを黙ってた? 俺の中が筒抜けだってことが知られたくなかったのか? バカだな、そんなことあるわけないだろ」
ゆっくりと。
孔の周囲を捲っていくと、次第にセーレスの口から甘い吐息が出てきた。
それと同時に。
膣全体から、なにか……。
熱いぬめりのようなものを感じる。
なんだろう、と結合部を見ると。
いつの間にか彼女の経血が漏れていた。
「……驚いたな」
もう次の排卵が始まったのか。生んでまだ二週間たらずなのに。
ということは。
二人目も作れるということか。
「次の赤ん坊は、男と女、どっちがいい?」
ききながら口づける。
彼女は、――もう。
なにも返答しなかった。
最初から飛ばして申し訳ありません、いきなり亀甲縛りです。
あとこれはまだ序盤なので、ここからもっとセーレスにひどいことをしていくつもりです。
セーレスが好きな人がいましたらごめんなさいとだけ言っておきます。
ちなみに作者もセーレスが好きです。
ひどいことするつもりですけど。