セーレスを裸のまま抱きあげ、寝室へと移動する。
腕の中で怯えたようなセーレスの顔。……もっと怯えるといい。俺を怒らせるからだ。
性感帯を変えた。
それは俺の無茶なセックスが原因とみて間違いない。いつまでたってもイかせようとしなかった。その返答がこれだ。
問題は――そればかりじゃない。
俺が……。
俺がどんなに君の気持ちを知りたがっているか、それをわかってて。
「なんとか言えよ。やめて、とさっきから言ってたくせに、もうだんまりかよ」
ベッドに下ろすと、セーレスが諦めたように顔を逸らした。
……くそ。
何も聞こえない。意識を閉ざした。こうなるともうセーレスは意地を張って黙り続ける。
いいさ。
どうせ欲しいと泣いて訴えてくる。そうさせてやる。俺のこの手で。
「セーレス。……いいことを教えてやるよ。アナルセックスって、知ってる?」
ここを使うんだよ、と心の中で呟いて彼女の尻穴を指でこじ開けた。
……?
セーレスが。
怯えて、いない……。
指を奥深くまで入れてみる。だが痛みで嫌がる素振りすら見せない。
一度入れたことはあるが、あのときは最後までしなかった。しかもオイルを塗っている状態だったから、彼女の痛みもわからず、結局しなかった。
今は、なにも慣らしていない。
なのに。
まるで……。
「経験、……あるのか」
セーレスは、目を見開いて肩を震わせた。
聞かれたくなかった。そんな様子だ。
……誰だ。
誰に、されたんだ。
「俺と会う……前か」
「……っ」
腕を伸ばして、しがみついてきた。
ごめんなさい――と。
頭の中で声がする。
尻穴を……犯された。俺以外の男に。俺と出会う前に。
どうして……。
「どうして、それを言わなかった?」
セーレスは泣きながらギュッと強く抱きしめてきた。
言わなかったんじゃない。言いたくなかったんだ。そんなのわかってる。
だけど。
こんな形で、知りたくなかったよ……。
彼女の腕を引きはがして、うつ伏せにひっくり返した。
足を広げて指を尻穴の深くまで突っ込む。喉をのけ反らせてその感触にただ耐えているが、指がある一点を触れた瞬間、彼女の膣口が震えているのが見えた。
……開発されている。
腸壁でも感じるようにされていた。おそらくは相当長い間、調教されたのだろう。
「……ふっ、……あははははっ!」
笑いしかこみあげてこなかった。
セーレスが怯えたように後ろを振り向いた。だがそんな彼女の頭を枕の上に押しつける。
「俺もだよ、セーレス。俺も……尻穴を開発されてるんだ。しかも女にそうされた。君より酷い目にあってる」
だから、もう遠慮しなくていいよな。
尻穴から指を引き抜き、狭いその穴を無理やり広げるようにペニスを挿入した。
「あっ、くぅ……もっと、……奥、……入れるぞ」
セーレスが、痛みを感覚で訴えてきた。それでいい。痛みでもいいから、もっと俺に意識を伝えてくれ。
狭い尻の中、息を殺しながら突き進む。
やっぱり……。
どれだけ慣らされたのか知らないが、彼女の腸内は驚くほど柔軟で、入ってくる男根を悦んで迎え入れようとしていた。
セーレスの足が、膝を立てて、男根を引きずりこもうと動いている。
なんて……。
なんて淫らな……。
こんなセーレスは初めて見た。
誰がこんなふうに変えてしまったんだ。
尻穴の結合部が収縮を繰り返し、腸壁のいたるところでビクビクと痙攣したように震えていた。明らかに感じている。
俺は。
前立腺を開発した美月さんを、一時期恨んだこともある。
あんなところでも感じてしまう自分が惨めで、でもたまらないほど気持ちいいのが悔しくて。
俺のケツをいいように弄ぶ彼女を恨みながらも、もっとして欲しいと泣いて懇願したこともある。
セーレスは……。
どうなんだよ……?
俺に尻穴を犯されて、嬉しいのか?
まるで待ち望んでいたみたいに震えている。ずっとその感覚を待っていた――そんな様子だ。
なら……。
イかせてやるよ、ここで……!
「……ッッ!」
捻じり込む。最奥まで。
膣と違い子宮には当たらないからどれほど奥だろうと突ける。
どれだけ開発されたのか知らないけど、俺の動きにどこまで耐えられるか見せてみろ。
「――っ! ……っっ、……ぁ、……ぅっ!」
膣入口から潮が出てきている。
それを指で掬いとり、結合部へと擦りつけた。もうすでに濡らさなくても十分動けるほど彼女の尻穴は馴染んでいるが、熱い潮を塗ることでさらに感度が引き上げられた。
なんだ、これ……。
締まりが、半端ない。
膣内の比じゃない。襞がない分、動きがより早く突けて、それに抗うかのように棹全体への圧迫感がキツくてたまらない。
息が、――呼吸が苦しい。
セーレスに首でも締められている気分だった。
締められているのはペニスの方か。……シャレにもならない。
「はあ、……はっ、……なん、だよ……こっちのほうが、俺を欲しがってる……みたいじゃないか」
枕の下が濡れていた。
泣いている。感じているのが嫌なのか。俺に犯されるのがイイのか、それとも……。
「どっち……なんだよ」
うつ伏せているから表情がわからない。
腰を持ち上げ、ベッドの背に腰かけるように座り、繋がった状態で背面座位になった。
上から落とすように深く繋がると、やっとセーレスの快感を伝える表情を見ることができた。
「はあ、ふぅ……ケツのほうが……感じるのか……俺を」
「~~~っっ」
恥ずかしそうに顔を背ける。
だがそれを許さず、背後から顎を手に取り口づけた。
舌を伸ばし、喉奥まで届くほど深く犯そうとしたそのとき――。
「……ッ!!」
舌を噛まれた。
口の中で広がる血の味に、初めて彼女から抵抗を受けたことを知った。
今までどんなに酷い目に合わせても。
嫌がることはなかったのに。
「……セーレス」
なんで。
こんなに身体は悦んでいる。なのになぜ。
そんな顔をしているんだ。
なんていたたまれない表情で……俺を見て……。
「……見たのか?」
俺の記憶を。
俺が美月さんにやられている姿を。
君の意識がそれを見たのか?
だから、そんな表情を……。
「……泣くなよ。言うほど辛くはなかった。むしろ俺は悦んでそれをしたんだ」
君の場合は、違っただろうけど……。
チュ、と彼女の頬に軽くキスをして、またグリグリと奥まで捩じりこんだ。
……どこだ。
この腸内のどこが一番感じるんだ。
探すように内部を動かしていく。もう彼女をここでイかせることしか考えられない。俺と同時にイってくれ。
――見つけた。
一番奥だった。そこを突いた瞬間、彼女の膣内からまた潮が噴き出してきた。
「中で……出すから……後で薬、取ってくるよ……」
腹を壊すほどたくさん射精すると宣言して。
腰を浮かせて逃げようとするセーレスを無視して。
とまらない射精を最奥で浴びせ、背後から腰を掴んだまま、ずっと繋がっていた。
「……ほら、飲んで」
下剤を掌に載せて彼女の目の前に出したが、泣いたまま枕に顔をうつ伏せている。
仕方ない、と薬と水を口に含んで肩を引き起こして無理やり口づけた。
出さないと辛いままだ。……まだ終わりじゃない。
セーレスが驚いたような顔で目を見開いた。
「イかせる気はなかったんだよ。君に騙されたから。……まさかこっちの穴が開発されてるなんて思わなかった。だからそいつらへの当てつけにイかせただけだ」
誰なんだ、と彼女に問いつめた。
セーレスは――黙った。
言いたくない気持ちはわかる。俺だって……。
心を読まれなければ一生黙っていたかった。
女に、いいように尻穴を弄ばれたことなんて。
「男か……? 入れられたのはわかってる。慣れてるもんな。感じるところまで、引き出されて……」
セーレスが涙を堪えて顔を振った。
思い出させないでと言ってるような感じだ。
俺は。
君がたとえ不本意であったとしても、……だとしたらなおさら。
尻穴を犯されたことが許せない。
「セーレス。……君のすべては、俺のものだ。心も、身体も、すべて。俺だけのものだ。……何をされた。俺がそれを忘れさせてやる。言ってくれ、全部」
頭ごと彼女を抱きしめて、思いの丈を吐き出した。
だが――。
しがみつく彼女からは、なんの意識も……流れてこなかった。
俺には言えないのか。
何をされたにせよ、全部聞く覚悟はあるのに。
俺では、彼女の傷を癒せないのか。
セーレスはただ、首を振って、胸の中で泣いていた。
「……下剤が効いてきたか?」
身体が震えている。
そろそろ腹を下す頃だ。
彼女を立たせて、部屋の扉を開けた。
「行ってきていいよ。終わったら再開するからな。それまで待っている」
セーレスは。
何かを言いたげな視線を向けてきた。
「……なんだよ?」
何も聞こえないんだが。
いったい、どこまで意識を押し隠すつもりなんだか。
そう思っていると。
彼女が近寄ってきて、額に軽くキスを落としてきた。
……最初の頃と、同じキス。
俺が、元の世界に帰れなくて荒れていたとき、よく彼女がこうやって額にキスをしてきた。
何を考えているのかわからなくて、ただ戸惑った。
いまも。
いったい何を考えているのか、……なにもわからなかった。
続きます。
実はこの後も書いてあるのですが、長くなりそうなのでわけました。
続けて投稿します。