オリジナル広大先生を最後までごらんください。
夜景を見下ろしながら二人で食事をしていた。
このホテルにある最上階のレストラン。豪華なフレンチだったが、味なんてほとんどわからない。
目の前の恋人を見つめているだけで満たされていた。
「……食べないのですか?」
さっきからシャンパンしか傾けていない俺を、彼女が不思議そうに尋ねてくる。
……綺麗だ。
神奈を美容室へと連れて行き、ドレスとそれに合わせた髪型にしてもらった。複雑に編み込まれた髪型と髪飾りが夜景によく映えている。胸元のあいたドレスもまた、彼女の美しさを際立たせていた。
最初は遠慮して辞退していたが、俺の我儘なんだと押し通した。
我儘、……か。
男が女を着飾らせるのは、見せびらかせたいのが半分、もう半分は。
自分の所有物だということを女にわからせるため。
そう。
もう君は俺のものになったんだ。
このまま連れ帰りたい。俺の家に匿ってしまいたい。
……といいたいところだけど。
明日も学校があるんだよな。
今日休んでしまった分、取り返さないとやばい。
それに何より、神奈の転校の手続きとかしないと。
「神奈。いまの学校なんだけどな、別の高校に転校してもらいたい」
「え?」
「教え子に手を出したんだ。さすがにバレないとは思うが、念のためだ。俺が手続きとかするから」
「……どこの?」
「境町からそう遠くない場所にする。俺の家に来ないか?」
「…………」
「一人暮らしだって言ってたし、引っ越すのは問題ないだろ。俺も実家暮らしだけど、両親は他界して、今は俺一人だ。神奈さえよければ」
「それは……同棲ですか?」
シャンパンを揺らす手がとまった。
神奈の表情が険しい。その真意が読み取れず、思わず言葉につまった。
「……そうだ。何か問題でも?」
俺のものになると言ってくれた。
それはこういう意味も含めてのことだ。
なのにそんな顔をする理由がわからない。
「結婚を前提にお付き合いしてる方がいるのでしょう?」
「ああ」
「その方と結婚を?」
「するつもりだ」
「じゃあ、……私は?」
「愛人だよ」
「広大さん」
「倫理的な問題とか言われる筋合いはない。俺は恵子と結婚する。だけど君のことも手放すつもりはない。神奈。俺の申し出を受けたからには、その覚悟が出来ているはずだ」
「…………」
「当面の間だけだ。いずれ君にはマンションにでも住んでもらうつもりだ。俺のところに来るんだ。もちろん君のことは親戚の子を預かっているという名目にする。年齢的にも未成年だし、仮の保護者としての体裁もたつだろう」
「…………」
「来れば何をされるかわかってるよな。避妊はするよ。君もピルを飲み続けるといい。だけど行為はやめないからな。俺はもう、君とそういう関係になることを望んでいる」
「…………」
「その代わり生活の心配はしなくていい。もう身売りはするな。……二度としたら承知しない」
神奈が息を呑んだ。
俺の殺気が伝わったらしい。
実際――もしまたそうなったら、相手の男を殺すかもしれない。
もう俺以外の男に手を触れさせるだけでも嫌だ。
俺の女だ。まるごとすべて俺の所有物だ。
「よく似合ってるよ、そのドレス。また着てくれないか。今度は俺の家で、……二人きりで」
神奈の躊躇いの表情を見つめ、優しく微笑んだ。
まだわかってないのか。
俺は君を買ったんだ。
神奈、君の人生――君のすべてを。
部屋に着いた直後に神奈を抱き寄せて唇を奪った。
家に帰すつもりはない。
逃がす気はなかった。
明日は彼女の休学届けを出す。そのまま転校手続きもしてしまおう。私立の高校なら簡単に転校できる。金さえあれば。
手持ちの資金だけで十分だった。教職でいくらか余裕もある。バイトして正解だ。まさかこんなふうに使うことになるとは思わなかったが。
早く論文を書いてしまわねば。
定説を覆すことになるあの学説――四百年周期説。あの学説を早く提唱して地位を築く。証拠も集めてフィールドワークも確立した。その後に売るんだ、あのブレンダーの樹の仮説を。そのためにはある程度の社会的認知度が必要になる。
俺の知名度は低い。だからこそやるしかない。
この女を逃がさないためにも。
神奈は慣れたはずの口づけをしきりと拒んでいた。まだ子供だからと甘く見ないほうがいい。この女は売春していたんだ。これが演技の可能性だってある。
ドレスの下をたくしあげる。
下着もすべてオーダーで俺が選んだ。脱がせやすい結ぶタイプにしてある。
腰に結ばれているショーツの紐を外すと、簡単に半分はだけて陰部が現れた。
直に指で触れてみる。……濡れていた。熱いぬめりが彼女の快感を伝えている。
「あ、……っっ」
神奈が息をあげて秘部に潜りこむ手首を掴んだ。
こうやって男を誘うのか?
その艶のある顔で拒絶し、煽るのか。
俺は君の客じゃない。……恋人だ。
そんな演技はもうしなくていい。
「明日、転校手続きをしてくるよ。その前に俺の家に連れて行く」
「え……?」
「明け方がいい。人目が避けられる。タクシー呼んで早めのチェックアウトしよう」
「え、え……? が、学校は」
「行く必要はない。休学届けを出す。転校先が決まるまで俺の家にいるんだ」
「だ、だって、私、なんの着替えも」
「買ってやるよ、全部。服から下着からすべて。必要なものがあれば言ってくれ」
神奈を抱き上げる。
そのままベッドへと運んだ。軽い身体だ。ほとんど重さを感じなかった。もちろんそれなりの重さはあるが、年相応の体重ではない。明らかに栄養失調だ。
そんな彼女を見下ろし、優しい手つきで前髪を梳きながら胸元の開いたドレスを少しずつ剥がしていく。
神奈は呆然とした表情を浮かべ、なんの抵抗もしなかった。
「……自宅に、帰してください」
「帰さない」
「……っ」
「君の私物は業者に引き取りに来て持ってきてもらう。君は何も心配する必要はないんだ。俺が全部揃えてやるよ」
「広大……さん」
「残念だったな。逃げるつもりだったんだろ?」
「…………」
「君の考えくらい読めないとでも思ったのか」
「…………」
「どこにも逃がすつもりはない。言っとくけど暗唱キーがないと我が家は施錠されていてどこからも開けることができないんだ。これでも各国から狙われている身なもので。セキュリティは大使館並みだ」
「…………」
「逆にどこよりも安全だよ。家の中にいる限りはな。そこで落ち着くまでいてもらう」
「いつ……まで……」
「君が俺から離れたくなくなるまで」
――パチッ……
彼女のブラのホックを外した。
フロントホックで簡単に乳房が現れた。手で揉みながら吸い上げると、やっと感じたような吐息が聞こえてきた。
「あ、……っう」
「小さくも大きくもない理想的な胸だよな。柔らかくて暖かい」
「こ、広大、さ……っ、わ、私が、逃げるって……どうして」
「何を隠してるのか知らないが、俺にも言えないことがあるんだろ? 君が何度も何かを言いたそうにしているのを見て思ったよ、ああ、この娘は後ろめたいなにかがあるんだなって」
神奈が目を見開いた。
俺がそこまで察しているとは思わなかったらしい。
……バカにするな。
これでも好きな女が何かを悩んでいることくらい、言われなくても察しがつく。
神奈はそれでも隠しているほうだったが、イった後の微妙な表情や、身体を離した後のやるせない笑みなどから、俺にも言えない何かがあることはわかっていた。
逃げるつもりなのは明らかだった。
だからこうして、始終目を離さず、ホテルに居続けたんだ。
だが明日は学校へ行かないといけない。
だからその前に俺の家に匿うことにした。あそこなら簡単に逃げることができない。
「神奈、俺から逃げるな。……逃がすものか。俺を甘く見るなよ。これでも5年かけて恵子をものにしたんだ。彼女が抱えている事情を引き出すまで、俺は5年以上かけた。そしてやっと結婚することができるんだ。恵子のためなら俺はどんなことでもする。彼女を救うためなら死んだって構わない。そして神奈も、手に入れるためなら俺はなんだってやる。いっそ子供でも作らせて妾にしてもいいと思ってるくらいだ。それくらい君のことを手放せなくなっている。俺は恵子も、神奈も、両方諦めるつもりはない。狂ってると思うならそう言えよ、俺が一番そう思ってるから」
自分でもわかっている。
こんなの普通じゃないってことくらい。
だけどもう無理だ。
神奈を好きになってしまった。
恵子を愛しているのに、なぜ別の女を好きになったりしたんだ。
セックスしたから? 身体に溺れてしまったから?
……そればかりじゃない。
それもあるが、俺は神奈の、――その憂う姿に惚れたんだ。
なんの悩みなのかは知らない。知る必要もない。彼女から心を開くまで聞く気はない。
思えば恵子もそうだった。
知ってしまうまで、俺は執拗に恵子に迫ったんだ。
研究目的という名目で……。
なのに気づいたら魂まで捧げるほど惚れてしまっていた。
そう。
俺はそういう女にどうしようもなく惹かれるんだ。
「……先生」
「なんだ? 君はもう俺の生徒なんかじゃない。恋人だ。名前で呼べよ」
「有馬、先生……私のせい、なんですね。先生を変えてしまったのは」
神奈が両手で顔を覆った。……泣いている。
彼女の手を取り払って泣いているその顔に口づけた。舌を深く差し込み、息すら奪うかのように深く深く口づける。
やっと唇を離したとき、神奈の両手を抑えつけながらきつい眼差しを向けた。
「二度と自分を責めるな」
「だ、……って」
「俺が君を好きになったんだ。こうなるとは思わなかったが、君を路地裏で見た瞬間に身体が動いていた。君が男に肩を抱き寄せられているのを見て思わずカッとなったんだ。俺はあの時に恋に落ちたんだよ」
「うそ……」
「嘘なもんか。それをもう一度わからせてやる」
――チュプ……
亀頭の先端を濡れている膣入口へと当てた。ビクビクと震えているその動きに、恐れと快感が入り混じっているのがわかる。
だが神奈はハッと気づいたかのように、挿れようとしている俺のを見て押しとどめた。
「だ、ダメ……っ! コンドームがっ」
「無いよ。買ってきてない」
「ひ、避妊、してください!」
「ピルを飲んでるんだろ」
「だとしても!」
「神奈、言ったよな。俺の子を作れって。妊娠するのは身体に負担がかかるのはわかっている。だけど俺は君の子供が欲しい」
「……な、なにを」
「結婚はできない。俺は恵子に人生をかけてあることをすると誓った。だから神奈。君を俺のものにするには……もう子供でも作るしかないんだ」
――ズッ……!
最大硬度で彼女の中へと入った。その固さと熱さに、彼女の喉がのけ反って感じているのが伝わる。
両手は押さえたまま。このままいかせてもらう。
分け入る。押し込む。彼女の膣内は男を迎え入れるかのように動いていた。再び快楽を与えにくる象徴に悦んで、あちこちから吸い上げては締めつけてくる。
身体はこんなに素直なのに。
神奈は涙を堪えて耐えていた。
感じたまま受け入れればいいのに。心だけは受け入れようとしない。
「神奈。……俺の子種が欲しいって言ってごらん」
耳元で囁く。甘く、低い声音で。愛する女にしか言わない声音で彼女の心を奪いにいく。
だが。
「いけ……ない……恋人が、いるのに」
そうか。
俺の考えに、ついていけないのか。
そりゃそうか。普通に考えればわかる。結婚する相手がいる男を好きになる女などいない。いたとしても普通は離れる。
神奈。
君が欲しい。
君の意志など関係なく、欲しいんだ。
ピルを飲んでいるならなおさら、受精させてやりたい。
いずれコンドームも使うが、いまは。
俺の子を宿すまで種付けしてやる。
「……出すぞ」
まずは一発目。膣内へとそのまま出していく。
まだ子宮口へと届いていない状態で動きながらまき散らした。途端に染みわたっていく精液とは違う熱いぬめり。彼女の膣内が男の精を受けて快感が頂点へと達したことがわかる。
イった余韻のまま動きだした。
神奈の手がもがく。それを離さず、ぬめるその快楽の熱い蜜壺をひたすら乱暴に突き動かした。
「はぅ、あ、うぅぅっ」
「気持ち……よさそう、じゃないか……イきながら、動く感じ、……たまらないだろ」
いまだ、と奥の閊えを突き上げた。
再び神奈が達した。……はは、連続で絶頂させることができた。やろうと思えばこんなに感じさせることもできるのか。
子宮が下りてくる。
明らかに男を欲していた。その素直な反応にほくそ笑み、そのまま望み通り突いていく。
イってる彼女の中で吸い上げる子宮の穴を潜り込ませるこの動き……たまらない。
生だからこそ味わえるこの感触。きっと生涯忘れないだろう。恵子では味わえない感触だった。同じように恵子にも中出しを何度もしたが、彼女がイくのを感じた記憶がない。
恵子は俺を出させて満足してしまう。俺の射精で満たされてしまうからだ。
それを不満に思ったことはないが、女がこうやってイくものだということを、神奈を通して初めて知った。
今度恵子もイかせてみよう。
神奈と同じようにイくかどうか見てみたい。……最悪だな俺は。もはやそれを最低だと思っていない時点でどうかしてる。
二人の女。恵子と神奈。
そのどちらも俺は同じように愛する自信があった。二人とも俺のものにしたい。いや、してみせる。
そうすることでしか俺はもう満足できないんだ。
「はあ、はぁ、ふぅ……」
二度目の射精が迫っていた。出した途端に締めつけてきてくれたおかげで、こうして連続して抜かずの射精ができる。
神奈を見る。
もう手を離してもよさそうだった。イった状態のままになっている。ほら、と彼女の手を俺の背へと掴まらせ、再び腰を持ち上げて突きまわしていく。
神奈はようやく、素直に動きを合わせてきた。昼間にさんざん蹂躙したおかげで、身体が男の動きについていけるようになってきた。足を自ら広げ、引き込もうと括約筋を締めてくる。
「い、いぞ……もっと、キツく……締めつけろ」
「あ……また……、……かたくな、って……」
「出すぞ、そろそろ……子宮の穴を開くんだ」
「……だ、め……」
「まだ言うのか。俺の子種を欲しいって言うんだ、言わないともっとイかせ続けるぞ」
入口のコリコリした襞を捲る。そうするだけで膣腔が震えて締め上げてきた。もう何度イったかわからないが、これも彼女の絶頂だというのはわかっている。
孔の先端を――穿つ。
先走りをピュッと内部へと吐き出すと、彼女がビクッと震えて驚愕の表情を浮かべた。
「や、やめて……お願い」
「俺の子供をつくるんだ」
「け、恵子……さんに、なんて、言うんですか」
「全部話すよ。神奈という女ができた。だけど結婚はする。無理やり犯してでも従わせる」
「そんな……!」
「俺と恵子の5年間はな、そんなことでは崩れたりしない。そりゃ怒るかもな。だけど怒っても俺と離れられないことくらい、彼女にもわかっている。俺は彼女を救うと約束したんだ」
「救う……?」
「恵子は……漂流者なんだ。俺の研究対象者だよ。俺の専攻を知ってるか?」
「歴史……」
「そう、歴史学。恵子のためにある論文を書いて、それを世間に認めさせる。彼女を救うためだ。俺の生涯の研究だ。歴史は繰り返す――それを証明するために」
「……先生」
「なんだよ、またか。俺はもう先生じゃないと言っただろ」
「私も……漂流者です」
「……え?」
「母がデラ=グラント出身の戦士でした。……私は境町に転移された母から生まれたんです」
動きが……とまった。
いま、俺は何を聞いた。
信じられないことを聞いた。
まさか……そんなことが……。
神奈は胸につけている青色のネックレスを手に取った。
「これは、母の形見なんです。……私の命の石」
「……超念石か」
「ご存じでしたか」
「なんで気づかなかったんだ。……地下の遺跡で見たものと同じだ。結晶化する技術があったとは」
「先生、私を……恵子さんに会わせてください」
「言われるまでもない。すぐにでも引き合わせる。……だがその前に」
グイっと腰を引き寄せて奥を再び突いた。
あうっ、と神奈が小鳥のような喘ぎを漏らし、その口を重ねる。
思いきり咥内をかきまわした。今までより熱く激しいディープキス。だが神奈はもう拒むこともしなかった。
涙を零す彼女の頬を、そっと指で拭う。
やっと唇を離したとき、神奈は嬉しそうな表情で呟いた。
「広大さん……」
「俺の子を、産んでくれるか?」
「……はい」
「大切にするよ。そして恵子にも子供を産ませる。その子に教えてやろう。いつかきっと母親の住んでいた世界へ、辿りつけるように」
腕を伸ばしてしがみついてくる神奈に、やっと。
ありったけの想いをこめて子宮内へと射精した。
ドクドクと注がれる精液を味わう彼女が、初めてその感触を言葉で表した。
「熱くて、……暖かい。……残念です。ピルさえ飲んでいなければ、身籠ったかもしれないのに」
「仕方ない。これからいくらでも中出ししてやるよ。いや……もっと大人になってからでもいいか」
「私……もう……」
「そうか。……成長がとまってるのか。苦労、したんだな……」
少しだけ泣きそうな顔をする神奈の、こめかみを優しくキスをする。
残滓を振り絞って注ぎこみながら、再び動きを再開した。
「いくぞ。……もうとまらないからな」
「はい。……やめないで」
「まったく……どこでそんな表情を覚えたんだ」
「え?」
「神奈、……綺麗だ。今までみたどの顔よりも綺麗だよ。そんな幸せそうな表情、初めて見たよ」
「だ、って……幸せ、なんです」
「ん?」
「私……先生と……広大さんと出会えて……よかった」
口づけを交わす。
やっと神奈を手に入れた。
悩んでいたのはこれだった。聞いてしまえば、意外だったとはいえ、なんのことはない。恵子と同じだったんだ。
やってみせる。
俺のライフワークは決定した。二人の女を救ってみせる。――必ず。
神奈は身籠るでしょうか。
どうなんですかね。一度くらいは出産しそうです。して欲しい。
もっともその子供はいなくなりますが。
さて、神奈過去編はこれで終わります。
続きも書きたいのですが、これ以上番外編を書いても仕方ないのでやめます。
次のお話は、……まだ考えていませんが。
もう少したくやくんの女性遍歴を書ければいいなと思ってます。