神奈の腹帯を撫でていた。
臨月に入って安定しているが、予定日を10日過ぎても出産の兆しがない。
診察してもらったが、元気な女の子ですよ、と言われ、心配しなくてもすぐに出て来るとのことだった。
神奈を見ると。
腹帯を撫でる俺の手に手を重ねて、少し不安そうにお腹を見つめていた。
……一度流産してるから。
不安が消えないのだろう。元気な胎動もなくなったことすら、彼女を不安にさせていた。出産間近で胎動が消えるのは説明されたはずなのに。
「大丈夫、医者も言ってただろ。いま赤ん坊は出産の準備中だって」
「あんなに……元気に動いていたのに」
確かに。
お腹を蹴り上げていた。
あんまり動きまわるので、元気のいい男の子だなと思っていたら、女の子だとわかって拍子抜けした。
「予定日はあくまで予定なんだよ。10日くらいはズレるさ。子宮口だって3センチ開いてるんだろ? 閉じてるわけじゃないんだから、大丈夫、順調だよ」
「……広大さん」
「ん?」
「私と……繋がってください」
はい? と問い返した。
神奈の手が、俺の固くなりつつあるソレを、パジャマの上から握りしめた。
「ちょ、お、おい」
「広大さんに突いてもらいたいんです。赤ちゃんを下ろしてあげるために」
「ま、待て。そんなことしたら下手したら切迫流産しかねない」
「お願いです。痛くなったらすぐにやめます。破水させて欲しいんです」
神奈がすがりつくように俺の胸を掴んだ。
その必死の眼差しに真剣だというのが伝わる。……だが。
「そんなことはできない。コンドームをつけても危険すぎる。君は臨月なんだ。身重すぎる身体だ。赤ん坊の出産を促したいのはわかるが」
神奈は腹帯を外して、ブラのホックを外した。
そしてネグリジェを脱ぎ、下着すらも脱ぎだした。
……初めてみる彼女の臨月の裸体。
その美しさに眩暈がした。妊娠した女性がこうも艶めかしいものだとは思わなかった。
――勃起する。
くそ、身体は正直だ。数ヵ月彼女とセックスしていないことも欲情に火をつけていた。
彼女の乳房が……濡れていた。
子を育むための母体の準備が整っている。その姿すら海綿体を刺激した。
「広大さん」
「……ダメだ。俺は君が産むまで手を出さないと誓ったんだ」
「神奈の身体は……怖いですか」
「怖いに決まってるだろ。子供を失うかもしれない。そんな危険はおかせない」
「怖いのは自制を失うかもしれない自分にですか」
「な……っ」
「明日でちょうど40週目になります。私、必死に発情を抑えていました。でももう耐えられません。広大さんが欲しいんです」
神奈が抱きついてきた。
その身体を抱き寄せ……ようとしたが、思いとどまった。
必死に理性を振り絞って両肩に手を乗せる。
「俺もだ。だけど、こればかりはダメだ。もっと前ならセックスも出来たかもしれない。だけどいまはいつ陣痛が来てもおかしくないんだ。セックスは出来ない。わかってくれ」
「その陣痛を、広大さんに起こして欲しいんです」
「……あのな。お迎え棒のことを言ってるのか? あんなのは迷信で医学的根拠も」
「お腹、触ってください。張っているのがわかりますか?」
神奈の手が胎児のいる腹部へと導いた。
手のひらで撫でてみる。今まで腹帯があったから気づかなかった。……しこりがある。
胎盤が出来ているんだ。子宮が胎児の排出を促している。あとはもう、胎児が出てくるだけ。
「身体はもう出来ているんです。赤ちゃんだけが踏みとどまっている」
「……俺に、その赤ん坊を刺激しろと?」
「もう広大さんにしてもらうしか」
お願い、と神奈が再び懇願するように顔を見上げた。
……お迎え棒。
古くから伝わる習慣だ。臨月を過ぎた妊婦の出産を促すための交合。昔はコンドームがなかったから感染症の危険を伴った。
だが膣内への挿入が妊婦の性感を昂らせるのだと聞く。子宮口が開ききった状態で男根に刺激されるだけで、簡単にオーガズムに達するのだという。本当かどうかは知らないが。
陣痛促進剤もある。医師に処方してもらった。これを使えば陣痛が来る前に出産することも可能らしい。
しかし神奈は薬を飲まなかった。……確かに、この世界の薬は彼女の体質には合わないかもしれない。
性交は控えたほうがいいのは確かだ。
だが神奈は出産と、俺のを、両方望んでいる。
もう断れなかった。
「……コンドームはつけるからな」
「はい!」
「あと少しでも痛くなったら言うんだ。イってる最中でもだ。すぐさまやめる。それでいいな?」
「はい……!」
「たく……、少し待ってろ」
恵子との約束も破ってしまうことになるが、仕方ない。
緊急措置ということにしよう。
迷信だと思っていたが、案外、うまくいくかもしれない。……今度研究してみるか。実地検証をかねて。
箱からコンドームの袋を破く。
久しぶりだ、この感じ。神奈に使うときはいつもこうやって手で握りしめて、体温で温めてから使っていた。冷たいゴムの感触を少しでもなくすために。
それと。
出産のために用意した天然素材のウェットティッシュを取り出した。それで俺の肉棒を少し拭い取る。
先走りがもう出ていた。……よほど我慢しきれなかったのか。無理もないけど。
もう一枚取り出し、それを持ってベッドにいる神奈の身体を横倒しにした。
「あ……」
「足を開いて、膣内をこっちに向けて。少しこれで拭いておくぞ」
彼女の愛液を拭い取ってしまうことになるがこれも万が一のためだ。少しでも子宮への感染を防ぎたい。
ウェットティッシュで丁寧に膣内を拭うと、神奈は気持ちよさそうに目を細めた。
「つめ、たい……」
「少しだけ我慢だ。どうせ君のここはすぐに熱くなってくるんだから」
お腹が大きくて奥まで手が届かない。だが入口だけでも拭いておきたい。
横になった神奈のお腹。……とても重そうだった。本当に人ひとりがこの中にいるのか。苦しくないのか。
だが神奈の顔は少しずつ快楽に染まっていた。妊婦の苦しみなんてわからない。その苦しみを少しでも紛らわせることができるのならそうしてやりたい。
一頻り拭った。ゴムを慣れた手つきで装着し、彼女の乳首を優しく摘まみながら、……ゆっくりと。
柔らかなその膣内へと潜りこんだ。
「あ、……あぅ、……はぁ、ん……」
言った通り、すぐ熱くなった。
挿れた瞬間に陰唇から伝わるこの熱量。彼女の性器が反応している。
だが俺も、……もちそうもない。
理性をフル動員して下半身の暴走を食い止める。激しく突いたりはしない。出産を促すだけだ。コンドーム越しでも射精するつもりはなかった。
神奈だけをイかせるつもりだった。できるだけ気持ちよくさせてやりたい。久しぶりの性交――それも臨月だ。妊娠している女性と繋がる機会なんてそうそうあるものじゃない。いや、これが最初で最後かも。
恵子とはほぼ毎日セックスしているけれど。
まだ妊娠の兆しはなかった。あいつピルでも飲んでるのか。いや、そんな様子はなかった。だいたい避妊薬なんてあいつに効果があるとも思えない。
俺のやり方がまずいのか?
中出ししてるはずだが。……受精しにくいのかな。そういう体質の女性も稀にいる。神奈はあっさり身籠ったから、俺の精子に問題があるわけじゃない。
今度――恵子を集中的に責めてみよう。
一晩で何発やれるか試してみるか。精力剤でも飲んで。こうなったら意地でも妊娠させてやる。
「んん、ぅ……」
神奈の膣内が動きだした。
その中を亀頭でゆっくりと掻きまわしていく。まだ半分しか入れてない。これ以上入れたら子宮に届いてしまう。だが――奥まで突かないと。
おそるおそる、亀頭の先端を開いた子宮口へとあてた。
……開いてる。
産婦人科で3センチ開いているとは聞いていた。3センチどころかもっと開いている。亀頭がすっぽりとおさまった。
この奥に……子供が。
産道が出来ているのでこれなら奥まで突いても問題ない。ゴム越しなら彼女の子宮を汚す心配はなかった。
ふう、と一呼吸した。
いける。
始めはゆっくりだ。あまり叩きつけず、あてるだけにとどめる。だがこの隘路。抜くたびに収縮する。この動きだけでイってしまいそうになる。
「こ、……広大、さん」
神奈が哀願するようにこっちを向いた。大丈夫だから、と小声で囁く。
彼女のこめかみにキスをして、耳の中に舌を入れた。それだけで震える身体を抱きしめ、……動く。
「あ、……う……ぁ……」
神奈の喘ぎに煽られ、次第に興奮がこっちにも伝わってきた。捩じるようにまわし、子宮口を出入りする。こんなにゆっくりと出入りすることなど今までなかった。なかったが。
……気持ち、いい……。
神奈の開いた子宮口が亀頭を咥えこんでいる。咥内フェラもさせたことがあるが、それ以上の感触だ。
神奈の口は舌も使って全体を舐めまわすように吸い上げていた。バキュームも凄まじく、喉奥まで飲み込み、ペニスを食いちぎろうとするかのような痺れる感覚で、何度イかされたかわからない。
だがやはり口の中の狭さが動きを妨げた。彼女の頭を掴んで上下に動かしたが、思いきり動かすことはできなかった。
……できる。
動かせる。
この口は男を飲み込もうとしている。もともと子宮の穴は開いていた。それに加えて産道も出来ていた。産まれるとき、逆子でなければ頭から出てくるその道は、ほんの少し潜りこんだだけで広さを実感できた。
もしこれを……生で味わったら。
想像しただけでイきそうになる。興奮がやまない。いけない。突いてはいけないのに、理性が壊れかけている。
「く、……ぅ……」
我慢できなかった。射精は踏みとどまる。だが動かす欲求には勝てなかった。
――ズッ……チュ……
引き戻す。そして……押し込む。
捻じるようにまわし、カリ首を捕らえる入口の襞の動きを味わった。動かすたびに息があがっていく。酒にでも酔っているかのようだ。
……なんて動きなんだ。
妊婦の産道を犯しているというのに、男根を飲み込むその動きに抗えなかった。根元の膣襞の熱さすら気にならなくなっている。亀頭に全神経が集中する。
「はうぅぅ……んん……」
横向きで繋がっている神奈が動きを合わせてきた。重そうなお腹に手をあてながら足を少しずつ広げていく。
動きはゆっくりだ。……だが。
今までになくお互い性欲が最高潮に達していた。
彼女の胸から少しずつ母乳が染み出している。たまらず乳首を引っ張った。ピュッと噴き出す母乳を乳輪に擦り付けマッサージをしていく。そうしながらも彼女の乳首を引っ張り続けた。
「あ、あ、……あぁうっ」
「気持ち、……いいか?」
「も、もう……イきそう……です」
「……俺もだ。……だけど」
射精はできない。ゴムは根元にはまっているが、少しでも精液が染み出す可能性がないわけじゃない。
先走りはもう十分出ていた。このカウパーがまたゴムを外してしまうとも限らない。
なにか……。なにか気を紛らわせるものは。
射精感がおさまらない。あとでトイレで抜かせてもらう。だがいまは耐えないと。
「か、……神奈」
会話でもしよう。動きながらでいい。彼女と話して気を落ち着かせるんだ。
「はい……?」
「こ、子供の名前……考えたんだ」
「え……?」
女の子だから、奈の字を取って。
「
「……蒔奈。……素敵、だと……思います」
「神奈、女の子だから……きっと、成長が早い。だから剣の岬に別荘を建てた。そこなら誰も来ない。しばらくそこで暮らすんだ。海岸一帯も買い取ってある。私有地にした。君と娘の二人で暮らすんだ。俺も仕事の合間に行くから」
神奈は。
しばらく目を見開いて驚いていたが、やがて。
目を潤ませて泣いてしまった。
「お、おい」
「……名前だけでも、嬉しいのに。……そこまで」
「これくらいしか、俺にはできないから……。本当はこの家で育てたい。だが」
すでに恵子と入籍した。
神奈を人目にさらすわけにはいかない。
「神奈、俺が……君と娘を守るよ」
「……はい」
「君と会ったら一日中セックスしてるかもな……」
くす、と神奈が笑った。
……くぅ。
いま、腹筋が揺れたおかげで締まりが。……た、耐えろ。
「大丈夫……ですか?」
「いや、……気持ちよすぎるだけだ。気を紛らわそうと思ったけど、もう無理だ。……動くぞ」
グイッと神奈の足をあげた。
お腹が揺れる。……早く出てこい。いま道をあけてやるから。
産道に潜り込む。
そして、追いすがる子宮口から抜き、再び突き上げる。もう動きを躊躇うことはしなかった。
「あ、あぅっ、はぅっ、ああっ」
「はあ、ふぅ、くうっ」
神奈の中から潮が噴き出た。
愛液に包まれる。熱もあわさってたまらなく感じた。彼女をもっとイかせようとひたすら子宮口を叩きつける。
この音、振動……そして震える膣内と吸い込む子宮口。
俺のために作り替えられた快楽の坩堝だ。そしてその証が宿った。
あとはもう、その子が出てくるのを待つだけ。
神奈が腕を伸ばした。
その腕に手を重ね、両脚を限界まで開いて最大深度まで抉った。
「あ、……あぁぁぁっっっ!」
絶叫した直後――。
大きく胎動した。
今までピクリとも動かなかった胎児のいる子宮が明らかに異質な動き方をした。
……下りてきた。
頭が動いたんだ。いま胎児は出産準備に入った。やはり効果はあった。
「神奈、……神奈! すぐに出るぞ、車を出す。破水が起きる。陣痛に備えるんだ」
急いで抜くと、潮とは違う大量の体液が膣内から出てきた。――破水だ。羊膜が破れた。
彼女の身体を起こし、寝巻を着せ、身体を抱き上げた。
神奈は……。
まだイった状態のまま放心していた。好都合だ。痛みはこれから出てくるが、しばらく快楽に浸らせておこう。
月すら隠れた闇夜の中。
彼女を抱きあげ、病院へと車を走らせた。
次ですが。
神奈がヒロインではありません。
恵子さんでもありません。
書いていいものかどうか、悩んでます。
一応、18禁の予定ですが。
でもこのエピソードを入れたいんですよね。
どうしようかな。
もう少し考えます。