……忘れられない。
こうやって神奈を抱いていても――あの女の肌のぬくもりが忘れられなかった。
別荘に戻った後、神奈を引っ張って浴室へと移動した。
崖際に建てたのを活かして外に面した檜の浴槽の露天風呂にした。かなり広めの浴槽で、温泉でこそないが海を見下ろしながらゆったりと浸かることができる。
その中で神奈の股を割り開いて勢いよくペニスを突き立てていた。
我ながら……なんという精力の強さかと呆れる。あんなに射精したのにまだ足りないのか。
足りない。
あの女とのセックスが刺激的すぎて、ついた欲情の火がまだ消えなかった。
あんなセックス――あんなに感じたことなんて、初めてだった。
彼女の特徴的すぎる膣内だけではなかった。
求めれば求めるほど応えてくれる。それどころか求められていた。彼女の欲する気持ちが強すぎた。俺の精根が尽きるかと思うほど付き合わされた。
彼女を愛した男が、――それほど深く愛したということか。
嫉妬する。
猛烈な嫉妬に胸をかきむしりたくなる。あの女を手に入れた男は世界で最高の幸せ者だ。その男になれなかった自分が悔しくてたまらない。
……欲しい。
あの女がどうしても欲しかった。
消えてしまったが……もう二度と会えないのだろうか。
同じ時間にまた行けば、……いや。
一度きりの逢瀬だからこそ。
二度と会えないからこそ、――恋しいのか。
恋焦がれていた。
情けない。中学生じゃあるまいし。キスから始まり、セックスをするに至って自覚した恋だった。
神奈の背を見つめる。
背後から突かれ、子宮口を叩きつけられる衝動に身悶えている。腕を引っ張って乱暴に奥へと穿つと、彼女の膣入口がまた熱い灼熱と化して俺の根元を刺激した。
神奈を愛している。……その気持ちに偽りはない。
なのにこの想いはいったいどこから湧き出るのだろう。神奈を抱きながらあの女の面影を追っている。重ねてしまう。違う存在だとわかっているのに。
「あ……あぅ、……は、ぁ……ん……」
背をのけ反らせて神奈がまた達した。コンドームはつけなかった。神奈の子宮内へと直接注ぎたかった。
――彼女にしたように。
名前は……結局、わからない。ゆ、……の。悠乃? 由乃? いや、日本人ではないから――ユーノ、か?
わからない。名前ではないのかもしれない。
再び会えるときが来るのなら、今度こそ名前をきいておきたい。
いや……もう二度と会うことはないだろう。
彼女と繋がっていたあの瞬間に、俺は自分が生きているという実感が消えていた。
陶酔していたわけじゃない。快楽に酔ってはいたが、意識が身体から離れるような感覚に襲われた。
……間違いない。
俺の仮説が正しければ、彼女が消えた理由も察しがつく。
事象転移だ。
彼女は時空間移動をしていたのだろう。あの場所、あの時間、あの瞬間だったからこそ現れた。
彼女を救うには、同じ時空間移動――厳密に言えば事象の上書きができる人間にしか出来ない。
そんなことが可能だろうか。
おそらく――できる。ただし俺ではなく、特異点を持つ存在じゃないと無理だ。
裸の特異点を内在してる存在……そんな人間、いるわけが……。
いる。
いなければ彼女は存在しない。卵が先か鶏が先かの問題だった。
その理論を構築しよう。俺には不可能でも必ずそういう存在はいる。
名前もわからない。
たった一人で彷徨っているあの女を。
救う存在が――きっといる。
「広大……さん……」
「……ん?」
「イって……お願い……」
……珍しい。神奈のほうから射精をねだってくるなんて。
愛おしさがこみあげた。神奈をイかせようとはしていたが、考えに耽っていて自分がイくのを忘れていた。
腰を持ち上げて片足を高く掲げ、神奈の胸を鷲掴みながらさらに深く分け入った。
「あ、……うっ!」
「……神奈。……俺のが欲しいのか?」
「あ、……は、はい……欲しい、です……」
「なら何をされてもいいってことだよな?」
え……? と問い返す彼女に微笑む。
忘れたくない。
あの女とのセックスを、忘れたくないんだ。魂に刻みこまれるほど生涯でもう二度とない凄まじい快楽だった。
思い出す。
様々な体位で繋がったが、なかでも一番感じたのは……。
あれだ。
浴槽の縁へと移動する。
神奈を仰向けにして、彼女の両手を縁に掴まらせた。そして腰を高く持ち上げ、神奈の頭を下に、俺が見下ろす形で繋がった。
背後に海が見える。
波濤の彼方で海鳥が獲物を捕らえて群れているのが見えた。その光景をチラリと見ながら、捕食する肉食獣のような気持ちで神奈を見下ろす。
もちろん表情は柔らかく微笑んでいた。
「広大……さん?」
「少し激しく動くぞ」
両脚を大きく広げる。
神奈の子宮がどれくらいもつか、――産後の身体にはきついかもしれない。
だけど、もう……この想いをおさえきれなかった。
――ズッ……チュ!
一気に。
子宮口を突き破って亀頭を潜りこませた。
「……は、ぅっっ!」
衝撃に身体が浮く。それに構わず最奥を突き進んだ。
……神奈の子宮。
暖かくて柔らかい。包み込まれる柔らかさだ。蒔奈を育てたその体内器官を俺の肉棒で突きまわしていく。
抜かずにそのまま回すように動かした。こんなに深く抉ったことは今まで一度もない。
――あの女には。
この中を徹底的に荒した。自分でも信じられないが子宮内で射精しながら抉るように突いていった。そうすると彼女はなんと、子宮を俺の動きに合わせて形を変えてくれた。
高速で突けば内膜を高速で収縮させ、連続射精すれば残滓すら絞り取るかのようにキツく締め上げてきて、どんなに激しく攻めてもついてきた。
ついてくるどころか、もっと欲しいと心の中で叫んでいた。
彼女がどんなふうに愛されたか、……そのときやっと理解した。
これは普通の愛し方じゃない。もっと異質な何か――禁忌にも似た行為だ。
それに近いものを感じた。おかげで……。
俺の中にも、己の昏い欲望を垣間見てしまった。
神奈。
済まない。
君を抱いていると、自分でもよくわからない衝動がいつもこみあげていた。
今まで必死にそれを隠していたが……。
あの女に、その理性の箍を外されてしまった。
神奈、君を……壊したい。
俺の破壊衝動に付き合ってくれ。
「あ、あぅっ、はうぅぅっっ!」
「……っ」
神奈の手が逃げようと浴槽から外に出る。その手を無理やり引っ張って彼女の背中で羽交い締めにした。
逃がすものか。
ベッドで抱いていても神奈がここまで抵抗することはない。そりゃそうだ。子宮の中を突いている。深すぎて内臓がせりあがる感覚についていけないのだろう。……感じろ。俺のを体内で形を覚えるんだ。
「い、いやぁっ!」
「逃げるな!」
「こ、広大さっ……!」
「感じるんだ、神奈。苦しいだけじゃないだろ。もっと中で俺を締めつけろ」
「や……も、もう……あぅっっ!」
「……神奈。お産ではもっと苦しかっただろ? 赤ん坊をここで育ててどうだった?」
「ど、……どうって?」
「お腹の中を蹴りあげて、暴れまわってたじゃないか。あれに比べたら俺のなんてたいしたことないだろ」
「そっ、それとこれとは……!」
「……いくぞ。もっと激しく暴れてやる。俺をこの中でイかせてくれ」
神奈の両脚を持ち上げた。
結合部を引き寄せて子宮口に棹を擦り寄せる動きをゆっくりと味わうと――神奈は。
わなわなと唇を震わせて俺が何をするつもりなのかを悟った。
怯えたように足の付け根が震えていた。
「ど、どう……したの?」
「どうもしない。もともと俺は君をこうしたかった」
「な……んで……」
「理由はわからないけどさ……最初にホテルで君から誘ってきたときのセックスからだよ。朝から夕方までしてただろ。あれでそもそもおかしくなってることに気づいた」
「おかしく……?」
「普通じゃないんだ。君とのセックス。恵子とは違う。まるでしちゃいけないかのような気にさせられる。そう……まるで」
父と娘のような。
母親と息子のような。
近親姦でもしているような錯覚を感じていた。
赤の他人のはずなのに。
「……?」
……濡れている。
子宮の中がジワリと熱い粘液で満たされていた。
濡れることなんて、あるのか。
だが間違いなかった。俺のが動くたびに水音がする。体内から響くこの音――まだ射精してないはずなのに、この水音は普通じゃない。
……そうか。
神奈、君も……興奮、してるんだな。
そう受け取らせてもらう。
このわけのわからない衝動を遠慮なくぶつけさせてもらうぞ。
「――ッッ……!!」
強引に、――突き刺した。
捻じるようにまわしていく。内膜が引き攣る。だがそれに構わず棹を縦横に動かしていった。
神奈が息を求めて喘ぐのを、唇を塞いで呼吸を促すように息を吹き込んだ。意味のない問いかけをする声を舌でかきまぜていく。
最初にホテルで彼女にセックスした時と同じ――いやそれ以上の荒々しさ。
子宮内の愛液の補助のおかげだった。連続で怒涛のような動きをしても動きが堰き止められない。細い腰を掴み、ドリルのような動きでひたすら突いていく。……すると。
動かしながら神奈がイき続けた。
膣入口がギュウッと千切れるほど強く締めつけ、火傷するほどの熱量を放出した。
「……いっっ!!」
痛い。熱いとかじゃなくて、もはや激痛。だが耐える。
この痛みはそのまま神奈が感じてる証だ。彼女は絶頂をそれほど維持できるほど性を解放できない。もともとの性格なのか、長年の売春のせいか、ともかく。
この痛みが続いている間、それを途切れさせないようにするには。
連続で――出すしかない!
「く、……ぅぅぉっ……!」
子宮奥へと突き立てた状態で射精した。ビクンビクンと神奈の腰と陰唇が震えて根元を刺激しまくっている。出せと言ってるんだ。男の精を、子種を、もっと吐き出せと言っている。
放尿でもするような勢いで精液が子宮内を満たしていた。……実際のところ、少し尿管も刺激されている。混ざって出ているかもしれない。
それでもいい。
神奈が射精されることで満たされるのなら……。
ふう、と残滓を出しきってから、また動きだした。さっきよりグチョグチョとより水音が増したその中を、今度は子宮口から出入りしながら、中のものを掻き出しながら動かしていく。
また注ぐ必要がある。まだ神奈はイったままだった。この状態だからこそ絶頂を上書きできる。
イかせ続ける。
狂わせるんだ、俺のを欲しがるまで。
神奈から求められないと、もうこの欲情はおさまりそうもない。
「かん、な……神奈」
彼女の頬をペチペチと叩いた。引き攣った表情のまま虚ろな瞳で宙を見つめている。
ひどいことをしていると自覚しているが、ここまできたらもうとめようがなかった。
あとでいくらでも怒っていい。――怒る?
いっそ怒らせてみるか。
泣かせたくはないが、これ以上付き合わせるにはもう彼女の怒りでも買うしかない。
――ズッ……
一度抜いた。
よほど深く挿入していたせいなのか、抜いたあとも膣口が開いたまま、しかも大量の精液が零れてきた。
そうしてやっと神奈が息を吹き返したかのように目を開いた。抜かれた後のお腹の具合を確かめようと、手をあてて辛そうに涙を堪えていた。
「……うぅぅ」
「痛むか?」
気遣う素振りをしながらも。
いつでも挿入できるよう硬度は保っていた。股の間でスタンバイをしているそれを神奈が恐れて見つめた。
「も、……もう、……お願い」
「いやだ」
「……っ」
「神奈。もう一度だ。今度は連続して出すから、息をとめないで動きを合わせてくれ」
「ど、どうして……子供、欲しいの?」
「孕むかもな、これだけ出せば。だけどそうじゃない。君が子宮内で俺のを欲しがるまでしたいんだ。俺の精を本能で求めるように……彼女のように」
「……彼女?」
「さっき、海岸で……見知らぬ女性とセックスしたんだ。彼女のほうから俺を求めてきて、それに応じた」
「え……?」
神奈の表情が固まった。
信じられないものを見るかのような顔で。
「し、知らない、……ひとと?」
「幻のように消えたよ。目の前でね。彼女と今みたいなセックスを小一時間ほどしていた」
「…………」
「金髪の……美しい女性だった。俺はね、その娘に恋したんだ。彼女とのセックスがあまりにも情熱的で」
「……金髪の、……」
「神奈。俺は浮気したんだ。浮気というか恋をしたんだよ。君にしたのと同じように。怒っていい。軽蔑してもいい。だけどこれだけは言える。俺は君のことを彼女に恋したのと同じ――いや、失いたくないと思うほどに愛している」
再び。
神奈の膣口へと亀頭を潜りこませた。もし拒否するなら今だとばかりに動きをとめる。
神奈の顔を見つめた。
脈打つそれをジッと見つめながらも、何かを言いたそうに唇が震えていた。
「……どうした?」
「そ、……その人……消えた、の?」
「ああ。……そう、だが。信じるのか?」
「まさ、か……」
「……知ってるのか?」
「ママ……と……昔……」
「え……?」
「オレの、せいだ、って……ママ、泣いて……」
「な、……に?」
「神奈のパパの娘だ、……って、……ママが」
……え?
神奈の……え? ……え??
つまり……?
「き、金髪の……女の人……昔、海岸で……見ました」
「……昔?」
「60年……くらい……前に」
「……?!」
「消えた、んです。……目の前で。ママが、取り乱して……ユーノ、行くなって……大声で、叫んで」
「……ユーノ」
「そのとき、聞いたんです。……パパのこと。神奈のパパは、これから生まれてくる、この境町に。だから、それまで絶対死ぬな、……って」
「これから……だと?」
「あと……1年後……あのときのママの言葉の通りなら」
「名前は?」
「わかりません。この世界で生まれた人、としか……ただ」
「ただ?」
「もしもまた会えたら……そのときはユーノを助けてやってくれ、って……ママ、泣いて……」
母親のことを思い出したのか。
神奈は泣きながら縋りついてきた。
俺も……それ以上行為をすることができなくなった。
……そうか。
あの娘の名前は、ユーノというのか。
助けた、と……言えるのだろうか。
セックスしかしなかったけど。
「広大、さん……」
「ん?」
「彼女と……交わったのですね」
「ああ。凄まじく気持ちよかったよ。彼女の恋人は、きっと相当深く愛したんだろう」
「ママが言ってました。……神奈のパパは、あの娘に恋したんだよって」
「…………」
それでか。
最後に……ぱぱ、って。
俺を……父親だと。
だから、あんなセックスを……。
「広大さん。……ありがとう」
「なにが?」
「彼女を救ってくれて」
「俺は浮気したんだぞ。何度も彼女に中出しした。怒られるのが筋じゃ」
「……広大さん」
「は、はい」
「また……さっきの続き、してください」
神奈の手が、俺の肉棒を手で優しく撫でてきた。
彼女の手淫は……いつも、こう、突然……性感を刺激する。
あっという間に勃ってきた。
「……いいのか?」
「私も……彼女にしたみたいに、愛して、欲しい」
神奈が熱い息を吹きかけてきた。
……そういうことなら。
もう躊躇うこともない。
自分の欲望のままに神奈を貪りたかった。
「……自分で、挿れてごらん」
彼女の腰を掴んで、正面に向かいあった。
ゆっくりと……。
神奈は自ら、足を開いて固い分身を飲み込んだ。
この話の神奈は、広大に父性のようなものを感じてますが、恋心ではありません。
なので別にユーノとしていようと嫉妬はしません。
子供まで産んでおいてなんですが……。
一方、広大は神奈の身体に溺れてます。
恋というよりほとんど肉欲です。
たくやが美月さんの身体に溺れていたのと同じです。
やっぱり親子ですね。ヘンタイなところが。