スカトロです。
完全にヤバいです。
覚悟できる方のみお通りください。
――17年前
「……遅かったな」
椅子に座ったまま振り返りもせず、不満そうな声で言った。
……怒ってる。
それも、かなり。
彼がクラシックをかけるのは、2パターンしかない。ひとつは機嫌がいい時(大抵、セックスの最中だ)、もうひとつは機嫌が悪いのを極力隠す時。
今回は後者なのは明らかだ。だってモーツァルト。彼にとっては精神安定剤みたいなものだから。
さっき尾行に失敗したのをまだ引きずっているのだろうか。
私も、あんなにあちこち遠回りさせられるとは思わなかったけれど。
まさか尾けられていたなんて、あの男から聞かされるまでは気づかなかった。
「何か言いたいことは?」
「……ありません」
「さぞや楽しんだんだろうな」
「…………」
「それともあまりのプレイの数々に失神でもして遅くなったのか」
……返す言葉もない。
その通りだ。失神というかほぼ気絶だったけど。
しばらくは食事が喉を通りそうもない……。
「これで懲りただろう。二度と売春なんてするんじゃない。今後一切だ」
「…………」
「返事は? 神奈」
なぜ。
ここまで言われなければならない。
確かに彼のおかげで生活はできている。
だけど私がお金を必要とするのは、生きていくためにどうしても石を掘らなければならないからだ。
もう寿命は超えている。
まだ死ぬわけにはいかない。
だってまだ、会えていないんだから。
神奈のお父さんに。
「お金が必要です」
「……神奈」
「私じゃなければ天然の超念石を発掘できません。知っているでしょう。どれだけの人間が落雷で命を落としたか」
「……君だって、命の危険がないわけじゃない」
「だから私が持つ石しか避雷できません。あと少しなんです。やらせてください」
「金なら俺が」
「足りません。あなただって資金が必要でしょう」
やっと。
広大さんがこっちを振り向いた。
痛いところを突かれたという顔だ。……私だって。
こんなことは言いたくなかった。
「いくら必要なんだ」
「あればあるほど、湯水の如く使います」
「……底が見えないということか」
「だから稼ぐのに、何がいけないんですか。たとえ生活をきりつめてでも必要なのに」
「君にそんな生活をさせるわけにはいかない」
「広大さん。これは仕事なんです。神奈はこれで生きてきて」
「……俺の! 君は俺の女だ!」
腕を引き寄せられ、無理やり口づけをさせられる。
がむしゃらに咥内をかき回す舌の動きに、彼の慟哭が伝わった。
「…っ、はぁ、……はっ」
「やつの痕跡を消してやると言っただろ。何をされたか逐一話してみろ」
「は、……離して」
「君がスカトロ経験者だとは知らなかったが、それならそれで遠慮なくやってやる」
彼が背後から取り出したものを見て、背筋が凍った。
グリセリンが入った注射器の形をした、浣腸器具。
同じものをあの男も使った。……さっきの苦痛が蘇る。
「……広大さん」
「ここじゃ汚れる。風呂場に行くぞ、神奈」
本気だ。
覚悟していたとはいえ、彼の悋気は想像以上だった。
引きずられるように手首を掴まれ、彼の後に従うしかなかった。
「そ、……それは?」
浴室のガラス扉の収納から取り出したものを見て、訊かないわけにはいかなかった。
明らかにまともなものじゃない。
アンプルを指で切り取って準備している彼は、無表情に言った。
「麻薬だよ」
そんなもの、どこで……。
聞かなくても想像はつく。彼の海外渡航歴は長い。
だけど今までそんなもの、使うことなんて一度もなかった。
「腕を出すんだ」
「こ、広大さん」
「一回くらいじゃ中毒にならない。酩酊感が強い酒みたいなものだ」
袖を捲られ、アルコール綿で消毒されてすぐに注射された。
……ひどい。
ここまでするなんて。
素面じゃできないことをするつもりなんだろうけれど。
あの男は私の意識がはっきりしている状態で凌辱の限りを尽くした。
それに比べればとかいう問題じゃない。
父親のように恋人のように慕っているのに。
傷つける目的でこんなことをするなんて。
「……っ、……く、…っ」
「薬がまわってきたな」
頭が……。
メリーゴーランドみたいにまわっている。
彼の顔がぼやけて見える。……いやだ。こんなの。
たとえ何をされてもいい。だけど、あなたの顔がまともに見れないのはいやだ。
とても立っていられず、フラついた身体を彼が支えた。
しがみついて顔を見上げる。だけどぼやけた視界では彼の表情が見えなかった。
「神奈。……何をされたのか言うんだ」
耳元で囁かれる低い声。
声だけははっきりと聞こえる。
彼の怒気が含まれた声音に恐怖がこみあげた。
「……あ、……くぅ、っ……」
「言えないのか?」
「い、……言いたく、……ありませ…っあああっっ!」
突如。
後ろの穴に冷たい液体が容赦なく注がれた。
いつの間にか下着がおろされ服も半分以上脱がされていた。
だけどまったく気づかなかった。感覚がなくなりかけている。いったい……どんな麻薬なの。
「あ……あっ、……ぅぁあああ……っ」
「まだ半分も入れてないぞ。力を抜け」
必死に彼にしがみついていたが、もう膝の力が限界だった。だが彼の指が後ろの穴を拡げて注射器を動かしている。
……やっと出したのに。
あの男に排泄されたものを全部出しきったのに、またこっちの穴が疼き出した。全部は出てなかったんだ。こんな浣腸液なんて入れられたらまたあの排泄感に襲われる。
泣きそうな顔で彼を見上げた。
だけど見えるのは舌舐めずりする口元だけ。
興奮しているのが見てとれる。もう、……とめることもできなかった。
「神奈。アナルにどれだけ射精されたんだ」
「……っっ」
「やつのことだ、射精だけじゃ終わらなかったはずだ。放尿でもされたか」
「こっ、…広大さっ」
「全部出すんだ。やつに出されたものを」
「だっ、出しました……っ! 帰る前に、全部、洗い流して」
「神奈。出すってのはな、腸内にまで侵入したやつの痕跡を全部出すって意味なんだよ」
注射器が全部押し出された。
息をとめてその勢いを味わう。強制的に満たされた溶液に、最初に感じた冷たさはもうなくなり、代わりに。
激しい痛痒感に見舞われた。
お腹の底からこみあげてくる激痛と、……快感。
出したくてたまらないこの感じが、いつしか気持ちよさにすり替わっていた。
麻薬のせい? ……違う。
そう、出しきることができなかった。シャワーと自分の指なんかじゃ届かなかったあの男の出したもの。
それがいま、薬の力を借りることでようやく全部出しきることができる。
「あ、ぁ……ああぁぁっ」
で、……出ちゃう。
お腹の中で暴れている。だけどこんなところで出したくない。この人の前でそんなことしたくないのに。
そう思っているのを見越したかのように。
彼に横抱きにされ、そのままバスルームへと入った。
……まさか。
ここで出せというの。
膝を持ち上げられ、赤ん坊が排泄するような両股を開かされた格好にさせられた。
しかも。
目の前には……浴室の鏡。
嘘でしょ。
背後で私を抱えている彼の口元が笑っていた。
「絶景だな」
そう言った彼はそのままジッと鏡を見つめていた。
……こんな。
何をされてもいいと思ったけれど、こんなのってあんまりだ。
「神奈、全部出すんだ」
もう……いい。
お腹はとっくにはちきれそうになっているけれど、もう我慢なんてしなくてもいい。
そうすることでこの人が満足するのなら。
お腹に力をこめ、一気に出そうと息をとめた。
――だが。
「……っっ??!!」
その、息をとめた瞬間に襲いかかった。
いったい何が起きたのか、目の前の鏡に映っているのを見ても信じられない。
彼が――塞いだ。
いま、出そうとしていた穴に、昂って勃起していた男根を。
「はっ、……ああっ」
く、苦しい……。
貫かれている。こみあげてきていたものが出口を塞がれて行き場をなくしている。
彼のモノはさらに膨張しているのが感じられた。
「かはっ、……や、やめ……ぅああっ」
「はぁ、ふぅ……熱い、な……」
「な、……んで……」
「……やつには、……ここまでされなかったのか?」
ま、……まだ根に持っている。
そうか、龍蔵寺がスカトロが趣味なのを知っているから。
私にも同じことをされたと思っているのか。
……こんなこと。
あなたしかしていない。
「んんっ……んぅぅぅ……っっ!」
「我慢しようとするんじゃない、腹を壊すぞ」
「っっ……!! こ、こんなことしてたら、いずれ……っ!」
「出そうになったら中で出してやる。俺の射精をたっぷりと味わえ……!」
――グチュッ……!
彼の固くなっているものが奥の排出を堰き止めるように突き上げた。
悲鳴すらあがらない。
麻薬のせいだ。感覚がおかしくなっている。激痛と快感が綯交ぜになって、もはや快楽になりかけていた。
気持ち、いい……。
中空を見ながら彼のかき混ぜる動きを感じていた。排泄感は絶えずあるけれど、それを彼のものが押し戻している。その感触がたまらない。
スカトロは、……実はしたことがなかった。
そういう客がいるにはいた。でもみんな途中でやめていた。私の出した糞尿を見て恐れをなして、後始末もせずに逃げていく――そんな客しかいなかった。
この人はちゃんとしてるんだ。
ちゃんと、って言えるのかどうかわからないけれど。
恐れずに私の中を動きまわっている。……あ。もう爆発しそう。いつもより早く噴出しそうになっている。
おそるおそる、鏡の中を見てみる。
彼が泣いていた。
たぶん自覚すらもないのだろう。涙を流しながら気持ちよさそうな顔で荒い呼吸をあげている。
……そっか。
私のせいか。
傷つけてしまったんだ。そのやり場のない嫉妬が彼の暴挙をとめられないでいる。
広大さん。
神奈はね、……そんなあなたが好きですよ。
「はぅ、ん……んっ」
お腹の力をこめた。まだ掻き混ぜられていたいけれど、もうそろそろ彼をイかせてあげたい。
両腕で彼の頭の後ろを抱えこみ、大きく息を吸って、――一気に。
溶液によって排泄しかけているものを出そうと力んだ。
「くっ、……ぅおっ」
その締めつけに耐えきれなかったのか、彼のペニスがより一層膨らみ、中で凄まじい勢いで吐き出した。
しばし混ざり合うが、下腹部が膨らむほどの量にやっと彼が抜こうとしたのを。
私が――締め出した。
「……っ?!」
尻穴を力一杯窄める。同時に膣入口も熱が孕んでいくのを感じる。
イってる……私。これ以上はないかと思うほどの快楽。
彼の熱を浴び続ける。出して欲しい、もっと。この排泄物まみれの汚れた中で、全部出して。
「か、……んな……」
彼が。
出しながら私に口づけてきた。……優しいキス。満ち足りた思いを感じた。
こんな汚い行為でも。
お互いに昇りつめることができた、その喜びの口づけだった。
「神奈……すまん……」
「……いいの」
「神奈、……神奈。……出るぞ、いいな?」
「うん……」
抜けばもう堰き止めることはできない。
それを確認するかのように何度も私の唇を啄み、口づけしながらゆっくりと男根を抜いた。
途端に溢れ出す汚物。……だけど。
彼はそれを身に浴びながらも、私に口づけを繰り返していた。
「広大さん……あのね」
「ん?」
「匂い、すごいでしょ……シャワーで」
やっとそれが申し訳なく思えてそう言うと、彼は微笑んで暖かいシャワーを浴びせてくれた。
そして出しきった尻穴の中を指で優しく掻き出していく。シャワーとボディソープで洗い落そうとするのを、ただ黙って眺めていた。
お腹が、少し鳴っている。
でも心地よい気怠さに包まれていた。
凄かった。こんな絶頂、生まれてはじめて。
……生きててよかった。
そう思えるほど、最高のセックスだった。
――スカトロ、だけど。
「は、ふ……」
「腹は痛くないか?」
「うん……平気」
「だいたい落ちたと思うが、……中のものは全部出たよな」
「心配、しないで。全部出たから。ありがとう、広大さん」
「な、……なにが?」
「今までこんなに感じたことなかった。初めての体験だったの」
「そう……なのか?」
「神奈の初めてをもらってくれて、ありがとう。あなたには性徴を開発してもらって、子供も身籠らせてくれて、たくさんの気持ちいいことをしてもらって、本当に感謝してます」
「……神奈」
「龍蔵寺にはアナルに射精されただけです。それと彼の排尿を口でされました。それだけです」
「あいつ……!」
「こんなスカトロは、広大さんだけ。……でも、すごく気持ちよかった」
正面を向いて、彼の身体をギュッと抱きしめた。
応えるかのように頭を撫でられる。
「……俺もだよ。君を傷つけようとして、ごめん」
「広大さん。神奈はね、……広大さんになら何をされてもいいの」
そう言うと。
彼は言葉につまったかのように目を潤ませ、激しい口づけをかわしてきた。
龍蔵寺がやったこと
・注射器型浣腸で神奈の宿便を排泄後、中にぶちまける
・ベルトで拘束しようとしたが神奈が抵抗しなかったのでやめた(抵抗する女じゃないと楽しくない)
・アナルセックスで何度か射精したが神奈がイかなかったので、ムカついたので口内に放尿した
・気絶した神奈をそのまま放置
でも広大のやったことのほうが凄いですけどね。
この後神奈に説得されて、売春を再開することになります。
広大はこのときのスカトロがきっかけで、神奈に嫉妬することはなくなりました。