……言えない。
今も自分の中で動きまわっている彼に、どう言おうか迷っていた。
まさか出来るとは思わなかった。
年齢的にもそうだが、実は生理がほとんどとまっている。来てもすぐに終わってしまうから、そろそろ閉経が来たのだと覚悟した。
なのに妊娠した。
以前、一度……堕胎した。
医者にもう子供は産めないだろうと言われたけれど、考えてみれば数十年前のことだ。医療技術なんて当てにならない。
産みたい。
今度こそちゃんと子供を産みたかった。
だけど。
「……どうした?」
動きをとめて背後から私の腰を持ち上げた。引き込む動きがなくなったのを訝しんでいる。
……どう言おう。
この人には奥さんになる人がいる。私は愛人で、買われた身だ。
赤ん坊なんていたら結婚の妨げになる。
言わずに、逃げるべきだろうか。
だけど……。
この人の喜ぶ顔も見てみたい。
逆かもしれない。恵子さんのことがある。困った顔をするかもしれない。……でも。
もしかしたら。
この人を……恵子さんから奪えるのかもしれない。
「……あの」
「さすがに4時間ぶっ通しは疲れたか? そろそろ夜明けだし、この辺にするか」
抜く動きを感じて、思わず身体を浮かせて胎内にとどまる彼の男根を締めつけた。
子宮口を伸ばしてみる。
亀頭を咥えこみ、逃がさないように強く挟み込んだ。
「こ、……こら、神奈」
彼がこの動きに弱いのは知っている。何度となく射精を促した。
ビクビクと彼のカリ首が震えているのが伝わる。まだ射精できる彼の精力が頼もしかった。あんなに出したのにもうこんなに固くなっている。
そのまま、……もっと潜りこんで。
こうやって私があなたの敏感なところを扱いてあげるから。
「くうっ……!」
不埒な動きに耐えきれなくなったのか、乱暴に股を開いて勢いよく子宮口を突き破ってきた。
気持ちよさに目を瞑るといやらしく喉元まで迫る激しいキスで息も奪われていく。
それに呼応するように私も彼の男根を扱きつづけていた。どんどん脈動が早くなっていく。もう欲しくてたまらなかった。
「……
耳元で囁いたと同時に熱いシャワーが子宮内へと注がれた。彼の熱を浴びながらなおも食らいつくように足を絡ませていく。
出しながら中で左右に揺れ動いている。呻き声のような喘ぎが絶えず彼の口から漏れていた。そう、動かせるように襞を絞りあげている。あちこちから締めつける動きに、耐え切れず藻掻くように、亀頭の先が逃げ道を探すかのように揺れていた。
まるで獲物を捕らえる蛇だ。
彼の顔が快楽から苦痛へと変わっていく。……少しやりすぎた。
「……神奈」
「……はい」
「この、……淫乱」
「……そうですね」
「俺を腹上死させるつもりか」
「広大さんなら大丈夫かと」
「……どうした? いつになく子種を求めて」
嬉しくて。
あなたの子供が出来たのが。
身籠ったことはいつでも言える。
もう少し言わないまま、淫乱な女のままでいてあげよう。
「広大さん、あと何回出せますか?」
その言葉に呆れたのか、彼が私の両脚を折り曲げて結合部を見下ろす姿勢になった。
泡立った精液が溢れているのが見えて、ゴクリと喉を鳴らした。
「……ふう。今日は仕事があるのに」
こんなの見たらもう終われないな、と言いながらズリュゥッ――と引きずり出し、また激しく突き上げてきた。
「あう……っ!」
「あと何回出して欲しいんだ、言ってごらん神奈」
「は、ぅ……ん……い、いっぱい……」
「もっと具体的に」
「広大さんの、……精巣の貯蓄がなくなるまで、……神奈に全部ください」
具体的に言ったら、彼は顔を青ざめた。
どれだけ絞れば気が済むんだと小さな声で呟いている。
だって。
神奈は欲しかったんです。ずっと。
お父さん、と呼べる存在が。
……見てる。
視線をドアの先に感じた。視線というか息を呑む気配。
もっとバレないようにしろ。
それともそのドアの先で、見ながら抜いてでもいるのか。
「……広大さん?」
身体の下で亜由美の艶のある吐息が、問いかける声に変った。
曲を変えた。
タンホイザーから魔笛へとリモコンを操作すると、彼女の右脚を捻るように持ち上げて深く突き挿した。
「あぅ…っっ!」
「亜由美、ワーグナーはあんまり好きじゃないか?」
「あ、う……よ、よくわかりませ……はぅんっ」
「ほら、こっちに変えたほうがよく締まる」
事実、モーツァルトの軽快なテンポが彼女の膣内の動きを滑らかに蠢かせていた。
……神奈もそうだった。
あの娘はどんな曲でも乱れていたが、なかでもオペラのアリア部分にさしかかると、謳うように腰が舞った。
比較すること自体が間違っているが。
亜由美のふくよかで肉感的な肢体は、男根の動きと曲に合わせて徐々に乱れていく。
女がセックスを情感的に捉えると言われるのは本当らしい。……誰の説だか忘れたが。
「こ、広大さん……」
「ん?」
「声、……もう抑えられ、な……」
泣きそうな顔で亜由美が訴えた。
いくら部屋が離れているとはいえ、同じ家にいるたくやのことが気になるのか。
気にするな。
あいつは俺たちのことを見ているよ。
むしろ見せつけてやりたい。
やつがどう嫉妬するのか見ものだ。
亜由美はいま生理中だった。
彼女がそれを言ってむしろ余計に情欲に火がつき、無理やり押し倒して今に至る。
やり始めた途端、いつもの倍は感じている。なんだかんだ言って、こういうプレイも嫌いじゃないらしい。
たくや。よく見ろ。
女が本当に淫乱になるっていうのは――こういうことだ。
「…あぁぁっ!」
腰を高く持ち上げ上から突き刺す格好で、彼女の子宮奥を貫いた。
学生時代の頃から何度もやっているが、ここまで深く侵入したことはない。
だが、――今なら。
生理で膣内すべてが性感帯みたいになっている今、どれほど深く突き挿そうと受け入れようとするはず。
亜由美。
神奈はな、この状態で……俺のを咥えて離そうとしなかった。
深く潜り込もうとすればするほど、神奈の子宮は貪欲に絞りあげてくる。
魔性の女だったよ。……だからこそ。
俺を求めるというのがどういうことかを教えてやる。
俺が欲しいなら、神奈以上に――あの女以上に俺を求めてみろ。
「あっ、あっ、……いやぁっ!」
声を抑えようとしていた手が自然と口元から離れ、子宮内を暴れまわる亀頭の動きに亜由美は身悶えた。
逃げようと手がベッドの下へと伸びる。その手を掴んで引っ張り上げ、背後から押し上げるように彼女の奥を連続して叩きつけた。
口元が自然と綻ぶ。征服欲が溢れてきてとまらない。
もはや息子が見ていることも頭の片隅から消えていた。
思った通り、子宮の奥から次々と糊のような血の塊が下りてくる。その中を掻き分けて動きまわる快感は、動けば動くほど止まらなくなっていた。
亜由美の身体がビクビクと海老のように反りあがっていく。
その美しさに見惚れ、なおも興奮が増し、尽きぬ肉欲のすべてを目の前の女にぶつけていた。
……綺麗だ。
結合部から溢れ出てくる経血にただ見惚れた。
美月さんとしたときはコンドーム越しだったから、血に染まったゴムを見てこんなに綺麗だとは思わなかったが。
前に親父と亜由美さんがしているのを見たときに感じたあの衝動――。
血まみれの結合部を見た瞬間、頭の中が沸騰したかのように嫉妬とそれ以上の性欲に支配された。
あの親父が狂ったように亜由美さんを貫いているのを見て、そんなに生理中の女に興奮するのかと驚いた。
むしろ……。
これヤバい。奥から湧き出てくる血の塊のようなものが俺の敏感な部分に当たるたびに、頭の芯が蕩けそうになる。
神奈は。
まだあまり動いていないのに、全身が瘧のように震えている。感じすぎているんだ。さっきから子宮口の締め付けがどんどんキツくなる。
彼女の背を撫でて力を抜くように耳元で囁く。……ダメだ。右手で胸を押しのけるようにして首を振っている。
なんとか。
なんとかして動くしかない。
彼女が求めているのは射精だ。……果たして生理中の子宮内に注いでいいものかどうか不安はよぎるが。
少しだけ抜こうと引っ張った。
……だ、ダメだ。追いかけてくる。なんだこの子宮口は。引っかかったカリ首を掴んで離そうとしない。
こうなったら。
抜けるまで何度だって貫いてやる。
奥を突く動きと抜く動きを交互に繰り返していく。隙間すらなくみっちりと埋まっているが、何度かそうやって動かしていくと次第に神奈の息があがって力が少しずつ抜けてきた。
……すごい。
経血の量が半端ない。二日目だろうか。それにしては突然始まったような気がするが。
まるで媚薬だ。動けば動くほど血糊が亀頭に纏わりつく。そのゼリーのような感触に腰が砕けそうなほど気持ちよかった。
そうか。
親父のやつ、亜由美さんの血をこうやって味わったのか。
鬼畜もいいところだが、いま同じことをしている自分にそれを責める資格はない。
だって、……最高だ。
天空の雲の中を漂う気分。果たしてそれがどんな気分なのかわからないが、他に例えようがないほど気持ちよかった。
この抜けそうで抜けない子宮の口も、中から次々と湧き出る血の海も、その中でどんなに暴れても身悶えて受け入れる神奈も、――すべて。
いまこの瞬間は、どんな幸福と引き換えにしても得難いものに思えた。
きっと。
この快楽は、幸福という概念が形として現れたものなのかもしれない。
そう思えるほど、彼女を通して幸せを感じていた。
「……あ」
神奈の力が完全に抜けた。抜き差しする動きをしていたその時、ついに子宮の口から亀頭が抜けた。
二人で顔を見合わせる。
まるで行為が中断されたかのような中途半端な気持ちが、彼女の顔に出ていた。おそらくは、俺も。
「神奈。……また締められるかい?」
そこを締めてくれないと、さっきと同じ動きができない。
そう思って言ってみたのだが。
神奈は首を振った。
「……無理、です。……もう、力が……抜けて」
ダメか。
でもまあ、……いいか。
十分、味わった。まだ出してないが、それでもこんな快楽を得られたことに感謝している。
神奈が両腕をまわしてしがみついてきた。
「……ごめんなさい」
「いいよ、すごく気持ちよかったから」
「たくやくん、明日……いえ、今夜もまた、してくれますか?」
続きをねだる神奈の可愛らしさに鼻息が荒くなる。
彼女の腰を尻ごと持ち上げて上からズンッと深く貫いた。
「はう、んっ」
「神奈。俺以外の男にそんなこと絶対言うなよ。……いや、親父には言ったのか」
「……こう言うと、広大さんもこんなふうに神奈を突き上げました」
「親子だな、やっぱ。考えることは同じか。……一度抜くぞ、神奈。力は抜いたままでいいから、俺にしがみついてろ」
もうペニスははちきれそうなほど膨らんでいた。
この中にぶちまけない限り、この興奮はやみそうもない。
深夜3時。
学校は休むことにした。風邪だとでも言おう。
今は、――ただ。
神奈と繋がることしか考えたくなかった。
謝罪。
本来はもっと長くしつこく行為を続けてましたが。
大幅にカットし、代わりに神奈と広大の行為で水増ししました。
修行不足でした。申し訳ありません。
神奈ルートはこの後も続きます。
まだ終わりではありませんので、よろしくお願いします。