※この作品はR-18です。

【YU-NO】たくやくんの女性遍歴   作:千月華音

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神奈ルート Another〜15

 

 

 

 ズボンを上げてワイシャツに袖を通したとき。

 後ろにいた澪が裸のまましがみついてきた。

「……有馬くん」

 必死に縋りつこうとしている彼女の手を見下ろし、一瞬だけ――憐れんだが。

 すぐにその手を掴んで再び彼女の顎を手に取り、激しい口づけを交わした。

「ん、……ぅんん……」

 そのまま濡れた股を開いて再び貫いていく。

 彼女の感じるところはもう把握している。

 土手の裏側……わかりやすいGスポットだった。

 亀頭の先で撫でつけるように動かすだけで簡単に腰が砕けてきた。

「は、ぅ、……あぅ……」

「澪。やるなら俺の言うことをもうひとつ聞いてくれ」

「え……?」

「おまえの父親――島津市長に面会したい」

 澪の蕩けかけた顔が一瞬で真顔になった。

 思いもしなかった言葉に目を瞬かせている。

「……パパに?」

「2回も殴り倒したからな。俺には会いたくもないだろう。もっとも顔しか見られてないから名前すら知らないと思うが」

「あの……痣は、有馬くんが?」

「神奈に手を出そうとしたからだ」

「…………」

「澪。……もう一度イかせて欲しいか?」

 膣入口の襞を捩じりこむように刺激すると。

 また澪が泣きそうな顔で頬を染め上げた。

 卑怯だと自分でも百も承知だ。

 こんなふうに利用するつもりなんてなかった。

 だが――。

「あ、……有馬、……くん」

「うん」

「は、波多乃……さんと付き合っても……私を……抱いてくれる?」

「俺に二股しろと?」

「も、……もう、してる、じゃない」

 両尻を割り開いて思いきり深く抉った。

「……あうっ!」

「澪。おまえは俺の性欲処理だ。それでもいいなら抱いてやる」

「……っ」

「俺の好きな時、好きな場所、好きなタイミングでおまえを呼び出す。おまえはいつでも俺のために股を濡らしておくんだ。俺の言うことを素直にきいてくれるなら――好きなだけ可愛がってやるよ」

 さすがに。

 ここまで言えば百年の恋も覚めるだろう。

 表情は冷酷そうに微笑んでいたが、内心かなりビクついていた。いつでも平手を受ける覚悟はしている。

 ――が。

 澪は。

「……ほんと?」

 頬を染めて嬉しそうに微笑んだ。

 …………。

 澪。

 おまえ、ほんとにそれでいいのか。

 自分で言っておいてなんだが、それってかなり鬼畜だぞ。

「嬉しい……」

 俺がおかしいのか、澪がおかしいのか。

 よくわからなくなってきた。

 仕方ない。

 できるだけいじめないようにしよう。

 美月さんみたいなサドっ気がある女には見えない。

 もともと深窓のお嬢様育ちだ。世間知らずなだけなんだ。たぶん可愛がるという意味すらわかっていない。

「有馬くん、……いまって好きな時?」

 続きをねだられた。

 ……俺の責任だ。

 こうなるとは思っていたが、まさかここまで骨抜きになるとは思わなかった。

 デレるにも程がある。

「澪。下校時間はとっくに過ぎてるぞ」

「だからいいんじゃない。誰も来ないから」

「いつも俺に早く帰れと言ってただろ」

「あれは有馬くんが……ううん、もういいの。……ね、おっきくなってる。動いて」

「……この似非優等生め」

 再び彼女の腰を持ち上げ、体重をかけて押し込むように動かしていく。

 澪はもう喘ぎ声を隠すこともなく、身体の力を抜いて快楽を味わっていた。

 

 

 

 

 

 ――10時間前

 

 

「亜由美さん」

 意気消沈している様子に、さすがに言い過ぎたかと思ったが。

 声をかけた途端、いつものはにかんだ笑顔を向けてきた。

「なに? たくやクン」

 ……そんなに俺に名前を呼ばれて嬉しいのか。

 亜由美さんのいい所はこういうカラ元気がとても自然なのだが、本当はメンタルが弱いことも知っている。

 なので。

 できるだけ優しく話しかけた。

「親父の日記ってどこにあるんだい」

 亜由美さんの顔が強張った。

 ……ろくな内容じゃないらしい。

「書斎の……一番上の引き出しの中よ」

 確か鍵がささったままのあの引き出しか。

 なんのために鍵がついてるのか、ただのカモフラージュなのかと思っていた。

 そこに日記があるということは、つまり。

 どうぞ読んでくださいと言ってるようなものか。

「亜由美さんは読んだんだ?」

「…………」

 読んだらしい。

 だが。

「……初めの数ページだけ。そこに書いてあったの」

「神奈のことが?」

「その娘のことしか書いてなくて、……閉じちゃった」

 ショックだったらしい。

 そりゃそうか。

 あの親父が囲ってる女がいるなんて思いもしなかっただろう。

「亜由美さん、まだその日記はあるのか?」

「……読むの?」

「神奈のことが書いてあるなら読んでおいたほうがいいだろ」

「……もうすぐ学校に行く時間よ」

「まだ6時だ。かなり時間はある」

「帰ってからでも」

「亜由美さん。親父の日記だ。俺にも読む権利があるはずだ」

 観念したかのように書斎の鍵を渡された。

「中はまだ手付かずの状態よ。日記は持ち出さないでね」

「わかったよ。鍵、借りるぞ」

 あいつの部屋になど本当は行きたくはないが。

 遺品をそのままにしておきたいという彼女の意志も尊重しないと。

 久しぶりの親父の部屋。

 ……あまりいい思い出はないな。

 読んだらさっさと出よう。

 部屋に入り、少し埃くさい部屋の中を見渡して、中央の机へと向かった。

 鍵がささったままの引き出し。

 中を開けるとけっこう厚みのある手帳が何十冊も入っていた。……これ全部日記か?

 何年分なんだ、これ。

 一番上の手帳を見てみる。

 ……クソ親父。

 日記のくせに年月日が書いてねえぞ。

 なんのための日記だ。ただの雑記帳じゃないか。

 だが。

 最初のページに書いてあった数行を読んでいくうちに、心臓が跳ね上がった。

 

 

 

 女を買った。

 道端で売春をしていた娘だ。

 この俺が娼婦に手を出すなんてな。

 昔、火遊び程度で女を買ったことはあるが、この女――神奈は火遊びどころか身を滅ぼしかねない。

 それほど極上の女だ。

 売春歴は長いらしい。男を絞りあげる術に長けている。精も根も尽き果てても底なしに求めてくる。

 正直、その性欲の強さに俺のほうが負けた。

 ほぼ毎日セックスしているというのに、神奈の中はどれだけ出しても吸い上げてくる。

 俺はもうこの女を手放せない。

 いや手放したい。

 毎日がこの葛藤だ。

 いっそ神奈を孕ませてしまおうか。

 母親になれば俺をここまで求めることもないんじゃないか。

 

 

 

 

 …………。

 たぶん。

 亜由美さんはこれで読むのをやめたんだろう。

 これは日記じゃない。やつの妄想だ。

 とはいえ、ほぼ事実に沿った妄想なんだろうな。

 こんなふうに神奈のことばかりが綴られた手帳が何十冊もある。

 あいつの妻のことが一言も見当たらない。

 ……いや。

 ところどころ破かれた跡があった。

 破り目の古さから、かなり昔に破り捨てたのだとわかる。……そうか。

 これは神奈手帳だ。

 神奈以外の部分は破いて、たぶん別に保存しているのだろう。

 いくつか他の手帳も見てみるが……。

 神奈との情事のことしか書いてない。

 どんだけ神奈を弄んだんだ、あいつ。

 年月日がないのでいまいちいつの頃なのかがわからないが……。

 これだけの数だ。数年分じゃきかないだろう。下手すると数十年。

 ……まさか。

 あいつ、いったいいつ神奈を買ったんだ。

 

 

 

 ……遅い。

 尾行に失敗して戻ってきてからもう3時間。

 ……くそ。

 やつに気づかれたのは失敗だった。

 後ろから見ただけで頭が沸騰しそうだった。……くそ、くそっ! 俺の神奈を!

 その尻に触っていいのは俺だけだ。肩に手を乗せていいのも、抱き寄せていいのも、……キスも!

 あいつ、俺が見てるのに気づいてわざと……!

 神奈も神奈だ。

 なぜ抵抗しない。やつに弱みでも握られてるのか。

 ……いや。

 彼女は元娼婦だ。

 あれは仕事なのだと割り切っているのだろう。

 その証拠に顔色ひとつ変えていなかった。ごく自然にキスを受け入れていた。嫌がる素振りすらなかった。

 やつめ、嫌がるのをむしろ期待していたんだろう。不機嫌そうな顔をしていた。

 そういう嗜好だ、あいつは。

 神奈。

 それを知って、あいつと寝ようとしたのか。

 何をされるかわかった上で。

 ……俺が。

 俺がどれだけそれを不愉快に思うかわかってるのか。

 

 

 

 ……なんだ、これ。

 まるでこの前の俺みたいじゃないか。

 龍蔵寺と逢引する神奈を尾行した――あのときの。

 読み進めていくうちに気になる部分があった。

 

 

 

 無理だ。

 彼女の見た目は変わらない。

 何十年もあの姿のままだ。……俺の妻にはできない。

 同じことは恵子にも言えた。彼女も100年前からあの姿のままだ。

 だから恵子と結婚したことは誰にも言わなかった。

 戸籍は作ったが、人目に曝すことは避けていた。

 それほど、彼女たちは特殊なんだ。

 恵子はまだいい。成人女性の姿だ。……だが神奈は。

 聞いてみたことがある。なぜ少女の姿なのかと。……聞かなければよかったと後悔した。

 苦労、したんだ。生きていくのに必死で。第二次性徴を迎えることもできずに成長がとまった。

 第二次性徴は外部の手助けがいる。性感を高める必要があるらしい。彼女の母親はそれをしなかった。

 理由は――貧困だ。

 成人女性になると大量の食費がかかる。この世界では食料でエネルギーを補給するしかない。彼女たちのいた世界では、大気中に満ちている成分がそれに代わる役割を担っていた。

 それでも神奈は。

 母親を責めたりはしなかった。

 もう100年以上、あの姿のままだ。

 それを聞いたとき、神奈をなんとかしてやりたいと思った。

 この哀れな少女を俺の手で救ってやりたい。

 そう、……思っていた。

 

 

 

 …………。

 これは。

 親父の妄想か?

 ここでようやく俺の母親の名前が出てきた。恵子。確かそういう名前だ。

 100年前からあの姿のままって、どういうことだ。

 彼女たちのいた世界――?

 なんだ、それ。

 神奈が……100年以上あの姿?

 なんだかさっぱりわからない。

 いったいいつの日記だ。……クソ親父! 年月日を書け!

 しかし。

 ただの妄想にしては書いてあることが具体的すぎる。

 しかもこの後、やつは神奈にスカトロをしたらしい。

 あの野郎……。

 生きていたらただじゃ済まさないが。

 これは……。

 神奈に聞いてみたほうがいいのか。

 だが親父の妄想という可能性も捨てがたい。

 それにこの日記は持ち出せない。下手すると処分されるだろう。亜由美さんなら燃やすだろうな。

 とりあえず、気になる部分だけを写メしておく。

 神奈に聞くのはいつでもできる。

 まずは事実を確認したい。

 神奈がもし本当に親父の妄想日記の通り、何十年も同じ姿なら。

 彼女が昔いた痕跡が必ずどこかにあるはずだ。

 そんなものあるはずがないと思うが、……一応確かめてみるか。

 転校前の記録、彼女の戸籍、家族構成、あと……。

 売春の記録。

 おそらくは出会い系サイトに登録しているはずだ。路上で男を釣る場合、待ち合わせのパターンが多い。

 神奈がセックスしていた場所から待ち合わせになりそうなポイントを絞り込んでみるか。

 過去何年までさかのぼれるかで、彼女の売春歴がわかるはず。

 ……本当はそんなもの知りたくはないが。

 これというのも。

 親父が変な妄想を書いたりするからだ。

 

 

 




澪のなかでは「可愛がってやる」が乙女フィルターでエコーされてます。
性欲処理という単語は理解不能なので聞いていません。
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