このお話は現在弟9話までの本編よりも先の時間軸での小話となり、ミレウス島辺りを旅している頃です。
二ヴラス軍は徐々に後退を始めている時期です。
まあそんなことは関係なくゼファと氷牙の剣の二人旅は続いております。
あらすじ。
とある蒸した暑い地域の夏の日。12歳の少年ゼファと、二十代前半の大人の女性である氷牙の剣。子供な少年と大人な女性という年の離れた間柄にありつつも、確かな夫婦である二人。
誰よりも愛し合っているという思いを互いに持ち、また強すぎ深すぎる愛情を互いに伝えあっているゼファと氷牙の剣は、宿屋の一室で愛し合ったばかりであり生まれたままの姿で居つつ、身体を寄せ合い休みながらも、暑さに耐える修行の様な時間を送っていた。
風の少年と氷牙の剣士 小話
旅の途上のある夏
「ふぅ~っ、それにしても暑くなったね。こう毎日暑いと溶けちまいそうだよ」
「しょうがないよ、もうすぐ夏だもん。熱いのはさ」
「ゼファ、あんた偉く素直じゃないかい。いつもなら‟あちーよー氷牙の剣んん、何とかしてくれよ~、なんて駄々こねそうなのに」
「あのさあ氷牙の剣。オレだってそこまでガキじゃねーもん。我慢すべきは、我慢してやらぁ」
オレも氷牙の剣も今まで交わってたから素っ裸なんだけど全然涼しくない。
冬とかじゃ考えられないくらい大量の汗を掻いてて、シーツがびしょ濡れ。
氷牙の剣なんか湯上がりみたいに髪の毛の先まで汗に濡れて肌に張り付いてる。
氷牙の件ってさ、髪の毛がお尻の下、膝裏くらいまでの長さがあるからさ、きっとこれからの季節は暑いんだろうなぁと思うよ。
鬢の髪だって胸下まで届く長さがあるんだぜ? 暑いよきっと。でもオレはさ、そんな氷牙の剣の長い髪が好きなんだ。とっても触り心地が良いし良い匂いもするしさ、すっごく綺麗だもん。
「そう、夏なんだよね。あたし暑いのは苦手だ……夏もまあこの薄手の服を着てるから過ごしやすくはあるけど、裸になっても暑いものは暑いからねえ。冬なら厚手の服を羽織ってれば耐えられるんだけどね」
「そんなのオレだって苦手だよ。俺も半袖の服にマフラーだけだけどさ、暑ィもんは暑ィって。そりゃズボンは穿いてているけど、こっちもどっちかってっと薄手だし。よくよく考えたら氷牙の剣もオレもさ、夏服仕様の服着てるよな」
「言われてみればね」
でもなー、確かにさあ。冬の寒さは服の重ね着とか、厚着すればある程度耐えられるけど、夏は裸になっても暑いんだ。
オレの着てる服、袖がないから風通しいいんだけど、暑さに加えて湿度まで高いとさあ、それくらいじゃちっとも涼しくならないんだよね。
氷牙の剣だって腰の目一杯まで切れ込みの入ったスカートに、袖もゆったりしてる衣服だからどう見ても涼しそうに見えるんだけど、やっぱり暑いみたいだし。
「こう暑いと交わってるだけで倒れそうになるよ」
うん、それは分かるな。
実際交わるの、まぐわうのって気持ちいいけど、その反面凄く疲れる。
こう、勢いを変えて出し入れしたり、体勢を入れ替えてしたり。
一回で満足できるわけないから三回も四回もするしで、全力で運動してるのとそんなに変わらないくらい疲れるんだ。
でもしないわけにはいかない。オレと氷牙の剣は愛し合ってんだもん。愛を育まなきゃな。
とまあ、したいから寝る前にするんだけど、氷牙の剣が言うようにホント暑くて倒れそう。
「交わってる最中に二人一緒にぶっ倒れてさあ、繋がったままお医者行きなんてなったら、目も当てられないねェ。あたし死ぬほど恥ずかしいよ」
「うわぁ、それイヤだなぁ。一応言っとくと、まぐわったままなのが嫌なんじゃないぜ? オレは氷牙の剣の裸を誰かに見られるのが嫌なんだよ。だって、氷牙の剣は俺の恋人で、俺の嫁さんで、誰にも身体を見せたくねえから」
「ふふっ、あたしって、ホントゼファに愛されてるね。嬉しいよゼファ。そうだね、ゼファって夫以外に、あたしはあたしの肌を見せるようなことをしちゃいけないね。でも、それを言うなら、ゼファもあたし以外の女に下手に身体を見せるんじゃないよ」
「氷牙の剣……」
「あたしだってそれくらいゼファのことを愛してるのさ。察しな」
「う、うん」
まあそれはさておいて。置いておくくらい簡単な話じゃないけどさ。
実際問題として、そんなことになったら、だ。恥ずかしくてその町には居られないなあ。
繋がったまま運ばれて、他の人に見られるだなんて、想像するのもイヤだ。
「ふぅ、これじゃ交わるのも一苦労だよ。何かいい方法はないものかね?」
「交わってる間涼しくなる方法? 氷牙の剣には何か思い付くのありそう?」
「あたしはないよそんなの。どうやったら夏に交わりながら、身体を動かしながら涼しくなる方法があるってんだい。逆に訊くけどゼファにはいい方法はあるってのかい?」
「大人の氷牙の剣に出てこない方法が、子供のオレに思い付くわけないだろ」
「いつもは子供じゃねーやいって言うくせして、こういう時だけ子供かい、まったく調子のいい旦那様だよ」
「へへん」
「褒めてないからね」
あるわけないよそんなの。そんなのあったらとっくに試してるよ。それがないからこんなに暑いわけだしさ。
端から考えることを放棄して諦めてるオレに対して、氷牙の剣は目をつむって真剣に考え込んでいた。
そんな氷牙の剣を、じーっと見つめていると、思わずキスしたくなって顔を近づけ──
「ん……」
唇を重ねた。
だけど、氷牙の剣はというと、オレにキスされたことに気付いてないみたいで、目をつむったまま無反応。
これには少しムッとして、おっぱいでも揉んでやろうと胸を触ったところで、閉じていた目が見開かれる。
「うわぁ!」
び、びっくりしたぁ~、いきなり目を開けるんだもんなぁ。
「どうしたんだい?」
「い、いや、急に目を開けるからさぁ……っていうかオレが氷牙の剣の唇にキスしてたの、もしかしてわかってた?」
「当たり前だろ? キスされてることに気付かないわけがないよ」
そう言った氷牙の剣は呆れ顔。そ、そうだよな。キスされて気付かないわけないよな。
「そうそう、ゼファあたしは思い付いたよ」
「えっ なに?」
「夏の暑さでも快適に交われる方法だよ」
ほ、本当にあるのかよそんなの?!
それがあるなら毎晩気持ちよくエッチができるけど……でもどんな方法なんだ?
「ふふ、なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろうね」
オレと見つめ合ってた氷牙の剣の視線が横にそれる。その視線を追ってみると、その先には脱ぎ捨てられた氷牙の剣の服。
ベッドから立ち上がった氷牙の剣は、自分の服に手を伸ばして、服──の上に置いてあった、自分の剣を取ると、鞘から引き抜いた。
「どうするんだそれ?」
氷牙の剣が持つ『氷牙の剣』は、氷の魔力が込められていて、斬ったものを凍らせることができるんだ。
この剣はオレも持たせてもらったことあるけど、刃の部分が冷気を帯びていて凄く冷たい。
でも、これで部屋中を冷やすなんて無理。いくら宿の部屋が狭いって言ったって『氷牙の剣』で冷えるほどには狭くない。
部屋中の隙間から『氷牙の剣』の冷気だって逃げ出しちゃうし、結局のところ、冷えたままの部屋でオレと氷牙の剣が、熱く、熱く、心地よく交わることはできないと思うんだ。
そもそも、そんなに狭かったらもう部屋じゃないだろ。
「さてゼファ、そこに立ちな」
「う、うん……、というかさ、氷牙の剣……、何しようとしてんだよ」
言われたままに立ち上がったけど、裸で剣を携えた氷牙の剣が妙に色っぽい。左右二本の長い鬢の髪、毛先をまとめた鬢の髪をさらりと揺らしながら、蠱惑的に唇に笑みを浮かべて、大きな両乳房を揺らせながら立つ氷牙の剣。
なだらかな腹部は、なだらかでいて剣士らしく鍛えているからしっかりと引き締まっていてさ、その立ち姿に感じて、オレの男根まで勃っていたんだ。
「呆れたねぇ……あれだけ交わって、散々あたしの中に出して、それでまだ勃つのかい?」
「しょうがねーだろ! それだけ氷牙の剣のことが好き、だから……」
消え入りそうなオレの告白。何百回してきたか分からないオレの、氷牙の剣への告白に、氷牙の剣は頬を赤らめて。
「あ、あたしだって、ゼファを、ゼファのことを、愛してるよ……」
そう、返してくれた。オレと氷牙の剣。ギート王国で出逢ってから、お互いを好き合って、もう何回、愛してる。好きだと伝え合ってきたか分からない。どれだけ伝え合っても足りないんだよ。
オレは氷牙の剣からの『ゼファが好きだよ。ゼファを愛しているよ』って言葉を聞きたいし、氷牙の剣は俺からの『氷牙の剣が好きだ。氷牙の剣を愛してる』って言葉を聞きたい。お互いにさ、どれだけ伝え合ったって、足りないんだよね。好きっていう気持ち。愛おしい。
それはそうと、氷牙の剣は、『氷牙の剣』をオレに向けて構えたまま。
「ま、ちょうどいい。そのまま動くんじゃないよ」
腰を落として少し後ろに剣を引いた。
どうみてもそのまま前に突き出す構えだよな。
え、ちょ、なにすんだ?
オレ、この構え知ってる。というよりよく見る氷牙の剣の必殺技の構えだぞ。
「ひ、氷牙の剣……?」
「じっとしてなよ……下手に動けば下半身全体が凍えるからね」
「へ……お、おい、氷牙の剣?」
「いくよっ! 氷牙の舞っ!!!」
「ちょ、ちょっと待っ!!」
ぎゃああああああああああああああああ────―
◇
「あっ……、イイっ……イイよゼファっ すごく……気持ちいい……よ……、奥まで冷たくてっ、っああ! 凍え、そう、だよ……っあ、ああ、ゼファっ、ゼ、ファっっ」
氷牙の剣が気持ちよさそうに喘いでる。本当に気持ちよさそうに、長い二本の鬢の髪を揺らしながら。みているこっちまで‟気分は”気持ち良くなってくるし、性的にも刺激を受けている、けど、でも。
「氷牙の剣、オレ……オレは」
今オレの男根は氷牙の剣の膣に深く差し込まれている。
氷牙の剣の一番奥までをしっかりと刺し貫いて、子宮の入り口を押し上げている。
いつも通りの行為。いつもと同じ愛し合う行為。
だけど、だけど……これ、これはさあ。
「オレは気持ちよくない!!!」
気持ちよさげに喘ぐ氷牙の剣とは違って、オレの方はちっとも気持ちよくない!!
そりゃ気分は気持ちがいいんだぜ? きちんと氷牙の剣の長い鬢の髪を触れるし、大きな胸だって優しく揉みしだければ、その乳房を頬張って、吸い上げることもできる。氷牙の剣の身体に俺は触れられるんだ。
で、も、でもさあ、これはないよ氷牙の剣……。
だって男根を包み込む膣肉の柔らかさも。
亀頭に吸い付く子宮口の感触も。
抽挿する度に──抜き差し、出し入れする度に感じるはずの、背筋を貫く痺れるような電気も。
何にも感じられないんだから!!
「あ、はは、それは……悪かった、ね……っ でも……っ で、もっ、あ、あたし、はっ あたしは気持ち、いいよっ……冷たくて……」
冷たい……。そうだよ、冷たいんだよ。
氷牙の剣はいま膣の中がとっても冷たくて、多分、きっと、普段味わえない、未知の快楽を感じてるはずなんだ。
そう、氷牙の剣だけ一人で気持ちよさそうなんだよ。
原因はオレの男根にある。
「うう……、オレはっ、オレは気持ちいいどころかっ、逆に痛ェよっ!」
オレのモノ、今カチカチなんだ。
興奮して勃起してるからじゃない。
「冷たくて痛いし、何も感じないし、最悪だっ」
凍ってカチカチになってるんだよ。
さっき放たれた氷牙の舞の一突きが、優しくオレの股間を直撃して、モノが一瞬で凍りづけにされちゃったんだ。
「あっ んんっ! でも……暑くないっ、っまぐわい、……だろ?」
「暑くないけど気持ちよくもないっ これじゃ交わりを楽しめねぇ! 氷牙の剣と愛し合えねえじゃねえかよっっ!」
楽しめないどころか、変に力を入れて突き込んだりしたら、凍った竿の根本から……。
想像したら怖くなってゾッとした。
もちろん、氷牙の剣がそんなことになるようなことはしていないって、分かってるんだぜ? ただやっぱり男としては、そういうの想像しちゃうじゃねーか。
別の意味で涼しくなりそうだけど、こんなのヤダぁぁぁ~~~っ!!!
「アアっ……冷たい……よ……つるつるした氷がっ……膣の中を滑って……凍えそうな感じだよ……っ、っ凍える、凍えちまうよゼファっ、ああっ、っああ!」
それともう一つ不安なのは、モノが凍ってる状態でイったらどうなるか?
そんな経験ないから分からないけど、ちゃんと精子出るんだろうな?
もし竿の中で詰まっちゃったら……
どうしよう……。
◇
「ふ~、凄く気持ちよかったよゼファ」
「気持ちよかったじゃない! 痛かったんだぞ!」
結果的に言えば精子はきちんと出たし、氷牙の剣の子宮の中へ、トクトクと入っていった。
射精の瞬間の解けた氷の感触は、なんとも言えず気持ち良かったけど、本当にきちんと射精できるのかどうか怖かったんだからな。
「あはは、悪い悪い。でもあんたも普段と違う交わりに少しくらい興奮したろう?」
「そりゃ、してないと言えば嘘になるけどさあ、もしもオレのに穴が開いたりとかって考えたら、怖かったんだから、氷牙の剣も反省しろよ」
「あははは、反省してるよ旦那様。これでいいだろ? 男がやいのやいのと煩いのはみっともないよ」
オレは氷牙の剣の長い鬢の髪を掴んで抗議する。
「あははじゃないやい! もしもだってあるんだからなー!!」
でも掴んだ怒ってるからって鬢の髪を引っ張ったりはしないぜ。
このままオレの手の中で滑らせてあげて、氷牙の剣の長い鬢の髪を優しく撫でるんだ。
艶々して触り心地が良いんだよ。
「ん……、気持ちいい、ね……、ゼファは、ホントにあたしの鬢の髪が好きだね」
「なんかさぁ、氷牙の剣の鬢の髪って、凄く長いからつい触りたくなるんだ」
「じゃあ好きなだけ触りな、あたしもこうしてゼファの手にされるのは、心地よくて好きなんだよ」
そう言って微笑む氷牙の剣。ちょっと照れる。
「そういえば氷牙の剣の髪って、お尻よりもまだ下まで届く長さだけどさ、これからの季節、暑くない?」
「ああ、暑いね」
「ひょっとして切っちゃうの?」
それはイヤだな。
「ヤダな~、オレ、氷牙の剣の長い髪大好きだからさ~」
氷牙の剣の長い髪は綺麗でいいにおいがするから、もったいないしさ。オレ、本音で氷牙の剣の長い髪が好きなんだよ。
それを伝えると。
「馬鹿、暑くなるたびに切ってるならここまで長くなるはずないだろ?」
夏になるたびに髪を切っていたら、ここまでの長さにはならない。
ここまでの長さになるまでには何年もかかってるって返事が返ってきたんだ。
うーん、確かに言われてみれば。氷牙の剣の髪の長さまで伸ばすには、何年もかかるだろう。一年や二年じゃないもっと長い年数が。俺が良く触ってる鬢の髪だって、あそこまで伸びるのに何年もかかるよなあ。
「あ、そっか。それもそうだね」
「夏はそのままにしてるか、後ろで一つに纏めてるのさ。ま、鬢はそのまま身体の前に垂らしてるけれどね」
それだけ言うと氷牙の剣は頭の後ろ、上の方に髪を集めてゴムで括っちゃった。
「ほら、こんな感じにね」
顔の横側、左右二本の先の方で括った長い鬢の髪。そのままに、後ろの髪だけを、後頭高くに一つで括っている氷牙の剣。
「へぇ~、凄く似合ってるぜ」
「あはは、ありがとう」
「なあ氷牙の剣。じゃあ触ってもいい?」
「やれやれ、鬢の髪の次は後ろ髪かい? ま、いいよ」
早速オレは氷牙の剣の後ろ高くで一つにまとまられた長い髪を触る。
下ろしてるとお尻のまだ下まで届く長い髪は、頭の後ろ高くで一つに括っても毛先が腰まで届いてる。
氷牙の剣の一つにまとめられた長い髪が、オレの手の平を滑っていく。
「最高の触り心地だね」
「そんなにいいかい?」
「うん」
「だったら、好きなだけ触りなよ。飽きるまでずっと、ね……」
それだけ言うと、氷牙の剣は交わり疲れたのか、座ったままうとうとと眠り始めた。
そんな氷牙の剣に。
「おやすみ、氷牙の剣」
おやすみを告げてから、オレは一人、いつまでも氷牙の剣の髪の毛を触らせてもらっていた。