※この作品はR-18です。

それは平凡なる恋の日々   作:夜半の月

16 / 42
女と少年は愛を知り、先輩と助手になる。


















2ちゃんねるエロパロ版、pixiv様にも投稿しております。











小話2 先輩と助手

 

 

 

 

 先輩と助手

 

 

 

 

 

 

 

 SIDE:ユージアル

 

 

 

「ユ、ユージアルさんと……、よ、要はその、えっちを……ってことですか?」

 

 私から申し出たことに戸惑うのは、私の所属する……いいえしていたといった過去形の方が正しいか。その所属していた秘密結社デスバスターズ内の後輩である、仕事に趣味を混同させるようなぶりっ子女ミメットによって、ブレーキの破壊された私のワゴン車が引き起こした事故のさなか、私を助けて介抱してくれていた少年だった。

 

 

 

 時は少し前に遡る。私はセーラー戦士達との死闘の末、ついに世界を手にする事も可能なのだという、とてつもない力を秘めた聖杯を出現させるところにまでは事を運ぶことができていた。我ながら自分で自分を褒めてやりたい気分だった。しかし、結局現れた聖杯はあと一歩、いやあと半手届かず、口惜しいことにもセーラームーンに奪われてしまったのだ。もしもあのとき私が聖杯を手にしていれば──っ……いや、やめておこう。結果が総てだ。私は失敗した。奴等に負けた。そこは反省すべき点として自らを戒めておかねば……。

 

 そして聖杯を手にしたセーラームーンは、その場において二段階変身を遂げ、私自身が考案し、開発した、火炎放射器ならぬ火炎放射砲とでも表すべき、強力な火炎を放射する威力を持つファイヤーバスター2の炎までもを跳ね返し、私は闘いの場となった教会マリンカテドラルより投げ出された。

 

 地上数階より投げ出されたにも拘わらず運良く軽傷と火傷で済んでいたところを、あのミメットの罠に嵌ったのはその直後のことだった。奴の手でブレーキを破壊されたワゴン車の中で私は死を覚悟していた。いや死ぬつもりなど毛頭無かったし、死にたいとも考えていなかった。が、そうであるが故に招いた焦りと怒りが無為にスピードを上げてしまうという行為に繋がり、気が付いたその時にはもう手遅れとなっていた。

 

 生にしがみつきながらも死を覚悟し、死を覚悟しながらも生きる事にしがみつく。そんな死を待つばかりとなっていた矢先のこと、曲り切れそうもないカーブに差し掛かった時、そのカーブの先よりこちら側へと向っていたのだろうスポーツカーと衝突した。大きくバウンドする身体は座席に叩きつけられるような衝撃をもたらし、私の意識を奪いさる。そうして暗転した視界が再び光を取り戻したときにあったのが、この瓶底眼鏡にボサボサ頭をした少年の姿だったのだ。

 

 彼の名は天野ぐりかずといって、対向車のスポーツカーに乗車していたひとりであった。他に持ち主で運転手の三條院正人、その三條院正人の恋人である大阪なるという少女もいたが、その後の介抱まで懸命にしてくれていたのは、この天野だったらしい。

 

 仕方ない。車をおしゃかにされて気分の良い人間は居ないだろうし、その恋人だって。そんな考えを持っていた私に天野は。

 

『あのお二人も貴女の介抱や治療を申し出ていたのですが、三條院さんはお車を一台失ってしまわれましたし、大阪さんについては三條院さんが厄介毎に巻き込ませたくないからってお止めになられていたので、それではなんのしがらみも損失もない僕がと自分から名乗りを上げまして』

 

 そう二人の擁護をしていた。

 

 天野自身に損失はないですって? そんなの嘘に決まってるじゃない。ひと一人を介助するのにどれだけ費用が掛かるか知らない私ではない。それに車の弁償代もある。三條院から聞いたという車種を聞き出して愕然とした。日本で家一軒買える値段だったからだ。

 

 まあある程度予想は出来ていたがそれに続いて弁償は必要ないと伝えて置いてくれと、天野は言付かっていたらしい。

 

 だがそれはさすがにプライドが許さなかった。デスバスターズの次期大幹部候補筆頭だったこの私が、数々の発明をし、実用段階まで来た物については特許出願までしていたこの発明の天才たる私が、一銭も払わずに見逃して貰うですって? 

 

 “見逃して貰う”というところがとても癇に障り意地でも弁償しようと思うも、開発研究が可能なデスバスターズの施設には戻れない。

 

 ならばと恥を忍んで頼み込んだ相手が、この天野ぐりかずという少年だった。

 

 実家が金持ちらしい天野に、必ず損はさせない、必ず返すからと、出資金などの協力を願い出ると、『でしたらお車の弁償は僕が』なんて言ってきた。

 

 なんでもそのくらいなら何とかなりそうだとかで。

 

 だもんだから頭に来てしばき倒してやった。金の問題じゃなくってプライドの問題だと言うとろーがこの中坊がぁぁぁっっ!!! 。っといった具合に。まあ色々とあったわね。

 

 でまあ。ひとが良いのか良すぎるのか、天野の両親はいつまでも居てくれてかまわないと、行き先のない私を天野家に住まわせてくれている。天野が考えた“懇意にしている発明家さんで、いま貧乏で行き先無いらしくって、僕偶然助けられまして”等、嘘八百なでたらめ設定を信じ込んで。

 

 そのおかげで実験器具に開発費にと、色々と工面までしてくれたのは、私物がワゴン車に入れていた白衣だけとなってしまっていた私にとっては有り難いことだけれども。なにせあの事故だ、無線機なんかの金に替えられそうなものなんて全部ぶっ壊れていただろうし、その前の話として私の車その物が跡形もなく消えていたのだ。誇張でもなんでもなく、本当に三條院のスポーツカーと共に文字通り消滅して事故の痕跡すら残ってなく、ニュースにもなっていなかったのだ。

 

 白衣だけが残ったのは天野が衣服くらいはとワゴン車から持ち出してくれていたらしいとあとで聴いた。二台の車が消滅したのはその直ぐあとなのだろう。あの三條院という男がなにかしたらしいのはなんとなく勘付いてはいたけれど、藪を突いて蛇を出しても馬鹿らしいし、これはこれで此方も助かったので結果オーライということで、以後事故についてのことには私も言及していない。

 

 最近有ったいい事と言えば、私が開発した風邪薬や発明品、たとえ老人でも全盛期以上の精力が漲ってしまう超強力精力剤の馬鹿売れくらいかしらね? しかしこのユージアル様がそんなちんけな物を作って小銭稼いで、満足なんか出来るわけがない。

 

 仮にだ。仮に三條院の言う弁済無用を受け入れて、いまの生活での収益金で暮らしていこうと思えば、それは確かに余裕で暮らしていけるだけの稼ぎにはなりそうなこの売れ行き。満足は出来なくともそれなりに自分を満たしながら生きていけるだろう。

 

 いや、実際はそんな動きになりつつあった。お人好し天野が勝手にそういう方向に話を持って行っているからだ。それでも三條院への弁済は最低半額だけでもさせて貰うつもりだが、それならビジネスパートナーとなってこちらの注文に合わせた品を作って欲しいとか、本気でスポーツカー一台くらいどうでも良いと云わんばかりの本人の態度にこっちも器の違いを思い知らせれて、それがまた私のプライドを傷付けて。悉く通用しない私の計算を追い越す現実にイライラが募るばかりの毎日。

 

 だいたいがあのクソミメットへの復讐が残っている。いまという現実を全部受け入れようがアイツだけはこの手で殺してやらないと気が済まなかった。

 

 デスバスターズのこと、ミメットのこと、いまの現状、考えれば考える程にむしゃくしゃしてきて、半分やけくそ気味に提案してやったのが、いまこの瞬間に繋がっていた。

 

 天野が私に発情していたらしいから、それなら性交を行ってみないかとこっちから誘ってやったというわけだ。美人だなんて言われてちょっと気分がよくなったのも、私の心情や行動に影響を及ぼしたのだろう。

 

「それ以外になにがあるってーのよ。あんたの好きにしなさいよ。するならするでしないならしない。私はするってならとことんまで付き合ったげるわ。それとねえ、こんなことあんたにだから特別ってことだけは覚えていて貰える? 私はね、そんな安い女じゃないのよ」

 

 ただなにも自棄ってわけでもない。こいつ、怪我が治るまでの間、学校まで長期に休んで甲斐甲斐しく私の世話をしてくれていたのよね。ダサイし、とろいし、ガキっぽいし、男に興味のない私でも更に『ないわ』なやつなくせして、得にもならない私の世話をね。そういう事をしってしまっていた、天野ぐりかずの人柄に触れてしまっていたという土台があり、こういったいまの条件が整ってしまっては、こんな中坊なんかにという悔しいさに、その思い遣りの優しさにくらっとさせられたり、反対に煮え切らない態度にイライラを増大させられたりと心中ぐっちゃぐちゃにさせられて、なにも感じないで居られないほどには私も不感症ではないってことなのよ。

 

 だからむしゃくしゃしてるのもあったし、まったく興味がないってわけでもない性交渉を特別にしてやってもいいと考えたのよ。べつにどちらでもいい、コイツがしたいならさせてあげるだけ。コイツだって興味を持つ年頃だろうし、コイツにならたぶん……抱かれてもいいと、私自身が訴えていた。

 

 ミーハーなクソミメットあたりなんかだと、どうせ叶いもしないイケメンアイドルとする自分なんて考えたりしてるでしょうね。

 

 でも私は現実主義だ。私自身が抱かれてもいいと、この男にならと無意識にでも感じた相手以外どんなに顔が良かろうと抱かせたりする女ではない。

 

 コイツ以外の男だった場合、きっとこんな話を持ち掛けたりすることなんかないんでしょうね。こんなことはコイツにだけ……。まあ好きにしなさい。決めるのはあんたに任せるから。

 

「き、興味はあります」

 

 ふーん、やっぱり興味くらいあるか。じゃあするってこ──

 

「でも、どっちでもいいとかで、そんないい加減なことでは……僕……、できっこありませんよ……」

 

 真摯な瞳っていうのかしら? そんな目で私を見つめる瓶底眼鏡。

 

 ──ハアっ? なにいっちゃってんのよコイツ。

 

 真剣な眼差しに抱いた感想が私らしいと思った私だったけど、そういう私も、その真摯な瞳から目を放すことができなくなっていた。

 

「したいんでしょあんた?」

 

「したい、と思ってます」

 

「だったらさせたげるって言ってるじゃない」

 

 何が言いたいのよこの瓶底眼鏡のクソ中坊は腹立つわね-。ただでさえ感情がぐちゃぐちゃになってイライラしてるってのに余計にイライラさせんじゃな──「ユージアルさんもしたい、しようっていうのでなければ僕はできません」

 

 …………。なに……コイツ……。

 

 ちょっと……、ちょっとだけど……、面食らった。

 

 つまり私に選ばせるってこと? 自分はしてみたいけど私がどっちでもいいじゃできない、私もしたいってならないとできないって……。

 

「自分じゃ決められませんっとでも言いたいのかと思ったけど、私がしてみたいって考えにならないとするのは嫌だって、要はそういうことね?」

 

「は、はい……その、エッチって、とっても大切なことでしょうし。僕あまりよくわかりませんけど、どっちでもいいでするものじゃ──」

 

 うじうじ、うじうじ、うじうじ、うじうじうじ──―あーもうっ! 苛つくわねェっっ!! そんなに言うならわかったっ!! 私が決めてやろうじゃないっっ!! 

 

 コイツまでイライラさせてくれて頭に血が上った私は、乗り出していた態勢のままで後ろのベッドに押し倒してやったわ。

 

「うわっ──ユージアルさ──んんむっ!?」

 

 押し倒してそのまま口付けてやった。ファーストキスではあったけれど、もともとこういうのに発明やら任務以上の興味は抱けなかった分、それほど躊躇いもない。

 

 まして相手が世話になってる天野なら“いい”くらいに考えられた。……いやたぶん、天野だからが正解だったのかしらね……。自分で自分が分からなくなってきたわ、っとにこのクソ中坊。私の心を掻き乱してくれちゃって、ああ……腹が立つ……。

 

 

 

 

 

 SIDE:ぐりかず

 

 

 

「んっんう……ちゅっ」

 

 できないと言った僕は、伝えた相手に、ユージアルさんに、押し倒されていた。彼女のピンク色の口紅が曳かれた艶っぽい唇を押し付けられながら。

 

 肩を押さえ付けられていた手が僕の顔に添えられてきて、力強く掴まれて。

 

 僕は目を開けたまま、ルビーのような紅い瞳があるはずのいまは薄く閉じられている目を見つめていた。それでも見える紅い瞳がとても綺麗で吸い込まれてしまいそうな感覚を覚えました。

 

「んっ──あむっ」

 

 赤い髪の一房が、僕の頬を撫でつつベッドに落ちている。

 

 センター分けにされた彼女の赤色の髪は腰近くまでの長さで、いつも背中側で二房、左肩からの横髪を身体の前へ一房流す髪型をしている。

 

「んむっ、ユージアル──さっ、んっんう……んちゅう」

 

 その身体の前に流れる赤色の長い髪の大きな一房が、ベッドへ落ちながらも僕の頬と耳を撫でている。彼女自身の頬も、僕の頬に撫で擦られて、唇はくちゅくちゅ濡れた音を立てて啄まれていました。

 

 突然の口づけに、小柄な僕は抵抗もできなくって、彼女の思うようにされてるだけ。彼女の右耳に付けられている大きな赤い星形のイヤリングも僕の右耳に触れていて、イヤリングの冷たい感触が、彼女の頬の温かさと、彼女の髪の感触とに入り混じり、心地良さをさらに大きな物としてくれていた。

 

 なにをされているのか一瞬頭が真っ白になっていたのですが、これってキス…………きききききき、キスですよねっっ?! 

 

「んっ……」

 

 最後にぐっと押し付けられたあと、ユージアルさんの唇は離された。

 

「ぷはぁ……」

 

 ちょっとだけ、ほんのりと染まってるユージアルさんの頬。あの頬がいま僕の頬に触れていたんだ。

 

 ピンク色の口紅が曳かれた瑞々しい唇が、僕の唇と重ね合わされていたんだ。

 

「ふふっ、ど~お? どうせ初めてのキスなんでしょう? まあ私も初めてではあるんだけれど中坊には刺激が強すぎたかしら?」

 

 そんなこといってほっぺた少し紅潮してますユージアルさん。

 

 でも事を把握して心臓がばくばくと血管に血を流されているさなかの僕にはそのことさえ指摘する余裕はありませんでした。

 

「き、きききききすっ、ぼくっ、いまっ、したんですよねっ……?!」

 

「はいはいどうどう、落ち着いて~っ。したんじゃないでしょー童貞坊や~? してもらったんでしょうーが。このわ・た・し・に、キスをしてもらったんでしょうが」

 

 僕とユージアルさんの唇の間には細い糸が、ほんとに細い糸が繋がって少し離れるだけで切れた。

 

 だけどそれは確かなキスの名残で。僕の心臓が止まりそうな程緊張していた。

 

「ええ中坊くん~?」

 

「痛っ……っ!」

 

 そんな僕に事実を突き付けながら、デコピンをしてきたユージアルさんがルビー色の右目をぱちりと閉じる。初めて観る彼女のウインクに、僕の止まらない心音が一瞬だけドキンと突き上げるような感じで高鳴った。

 

「しようじゃないセックス。あんたが私に丸投げしたんだからいまさらやめられないわよクソ中坊。たーだーし、引き替えにあんた今日から私の研究や実験の助手になんなさいよ?」

 

 不敵な笑顔が何とも美しくて、素直に綺麗だって口に出していた。

 

「綺麗……ね、ふふっ、あんたそのキレーなお姉さんの助手になるのよ今日からね」

 

「じ、助手……ですか?」

 

「そう助手よ……要は研究を手伝いなさいってこ~と。わかった? わかったら……さっさとやることやって、寝ちゃうとしましょうか」

 

 なにか強引に話を決められてしまいながら僕は彼女に抱き起こされて、今度は彼女が僕を抱き締めたままベッドに寝る。僕が上で彼女が下と、さっきとは上下逆さまに。

 

「天野の小さい身体で下はしんどいでしょうからね、私が下になったげるわ。こう見下ろされるってのは気に食わないけどまあこの際しかたない」

 

「ああ、あのぅ」

 

「あ~ん? まだなんか文句あんの?」

 

「い、いやありませんが……ユージアルさんも僕とエッチをしたい、しようって気持ちになってくれたってことで……、よ、よろしいのでしょうか……?」

 

「しっつこいわねっ! でなきゃキスなんてするわけないでしょーがこの私がっ!?」

 

「ひっ、ごっごめんなさっ──」

 

「謝ってる暇があんならさっさと白衣のボタン外しなさいよっ!」

 

「はっはいぃぃぃ~~~~っ!!」

 

 僕は脚を広げたユージアルさんの白衣のボタンを外して脱がせていく。といってもボタンは二つだけだからすぐ外せたし脱がせることができたのですが。

 

 その下には一番高いところに桜色の丘が広がり真ん中がぽちっと突き出た、大きな丸い果実が二つあったのです。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 それからの二人の時間は。

 

 ただ甘美で静か。

 

 そして熱く秘やかな刻だった。

 

 

 

 

 

 あっ……あっ……あっ

 

 

 

 

 

 甘い声。ユージアルの切ない声が吐息と共に吐き出されては消え。

 

 

 

 

 

 うっ──うう! 

 

 

 

 

 

 頂へと辿り着いたときに発せられた天野の声が。

 

 登り切った瞬間の熱いなにかをユージアルに手渡す相図となる。

 

 

 

 ~~~~~っっ

 

 

 

 天野から手渡されたものを受け取りながら、ユージアルは送り主に対してのお礼という名の歓喜の叫びを上げる。

 

 悦びは彼女だけに留まらず、天野自身にも伝わり、それがまた天野からユージアルへ、上流から下流へと流れるかの川の如き、白き清流の流れを生み出す。

 

 やがて流れは行き止まりとなる彼女の中で溜まりゆき、大きく成長してゆく。

 

 水溜まりは、泉へ。泉から、湖へ。

 

 多くの生命を内包した命の湖が、ユージアルの奥深い場所で形作られていった。

 

 中ではおそらくは弱肉強食の争いが起きているのだろう。

 

 自分という個が、新しい生命へと生まれ変わるために。

 

 湖に浮かぶ、丸い生命のゆりかごへと。

 

 ひとつ、またひとつ。

 

 入り込んでは己という個の形をゆりかごと共に変えようとしゆく。

 

 それは正しく戦争。

 

 新しい命となる為の、生き残りを掛けた戦争だ。

 

 命の湖を湛えた女性は、その闘いの場を作り出してしまった少年を抱き竦める。

 

 己の中に居る彼を感じながら。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「ねえ、天野……あんたはもう……、私の……助手……、だから……ぐりかずって、呼ぶわよ……?」

 

 抱き竦められていた天野は、自らの小柄な身体と手足を大きく伸ばして、最後の堰を切った際にベッドから跳ねて浮いたユージアルの背の間に手を入れては、彼女の後ろ髪の一房を手の平に捉えながら、強く抱き締め返していた。

 

「ええ、ユージアルさん……」

 

 静かに始まり静かに終わる。事はそうであってもそれまではイライラさせられっぱなしだったユージアルは天野にささやいた。

 

「年下なんだから、あんまし口答えすんじゃないわよ……私の後輩だったクソミメットとは違うだろうけれど……それと、助手で年下のあんたは、私のことを呼ぶ時はユージアル先輩と呼びなさい」

 

「わ、わかりましたその、ユージアル先輩……ん」

 

 抱き合ったままキスをして、また直ぐに唇は離れる。

 

「普段は、ユージアルさんでもいいわよ……研究の手伝いをしているときだけでいいわ……。わかった? ぐりかず?」

 

「ええ、わかりました……、ユージアルさん……」

 

「よろしい……んっ」

 

 そして、今一度、抱き合ったまましっかりとキスをして唇を押し付け合いながら、結ばれたままの二人は静かな眠りに就いていく。

 

 静かで、穏やかで、安心感だけを感じられるよう、一つになった身のままで。

 

 新しい関係となり、結ばれながらの安眠開けた翌日のお赤飯後に天野がユージアルからしばかれるまでは。それはそれは仲の良い姉弟のようでもあった。

 

 といったように、こうして先輩と助手、お姉さんと弟、そして熱く強く結ばれ合った男と女としての、天野ぐりかずとユージアルこと有村ゆう子の関係は、静かな始まりを迎えるのであった。

 

 

 

 




 

出してほしいキャラは誰ですか?本当はもっと書きたいですデマンドとかちびうさとか(期待に応えられるかは分かりません)

  • カオリナイト
  • 海野ぐりお
  • ユージアル
  • 天野ぐりかず
  • 地場衛
  • 月野うさぎ
  • ネフライト様
  • 大阪なる
  • テルル
  • ビリユイ
  • シプリン
  • プチロル
  • 水野亜美
  • 浦和良
  • 火野レイ
  • 木野まこと
  • 愛野美奈子
  • 天皇はるか
  • 海王みちる
  • 冥王せつな
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。