再会と再確認
数日後の夜。
「ここね。あの少年の部屋は」
カオリナイトはあの少年──海野ぐりおの部屋に来ていた。
家の中には他に誰も居ないのか。それとも寝静まっているのか。ずいぶんと静かだった。
彼女はその静けさの中聞こえる海野の寝息に、ふとベッドに横たわる彼を見た。
「んが~っ……んが~っ……」
布団を放り出し、大口を開けて鼾をかくだらしないその姿を。
「……」
そのだらしない姿を見て、普通呆れる事はあっても素敵だとは思わないだろう。
現に彼女もそれと同じで、海野のだらしない姿には呆れさせられてしまった。
(けれどこの胸は……、熱いわ……)
だが、呆れとは関係無しに彼女の胸の鼓動はといえば早くなっていく一方だ。
彼の寝姿を見ているだけで心が温かくなるのだ。
(なぜ私の胸はこんなにも高鳴っているというの?)
理解できない何かにここ数日悩まされていた彼女は、その原因と思われる海野の様子を見に来ていたのだ。
彼はあの後どうなったのか? 自分をかばって負った怪我は? 命に別状は無かったのか?
心を支配するこの温かい物は何か? 彼の事を考えてしまうのは何故?
その答えを見つけるため、カオリナイトは海野が寝ているベッドに近付くと、右手を伸ばして彼の頬に触れた。
「ん……」
すると、手が海野の頬に触れた瞬間、彼女の手の温もりを感じた彼は僅かに反応を示した。
「っ!!」
何もないところにいきなり人肌の温もりを感じれば、余程深い眠りに付いていない限りは何らかの反応を示すもの。
海野の場合、眠りについてそれほど時間が経っていないというのもあって、手で触れただけで目覚めようとしていたのだ。
しかし、一度触れてしまった手を離す事に躊躇いを覚えた彼女は、起きるかも知れないというリスクを無視して彼の頬を撫でさする。
「かわいい寝顔だこと」
彼の丸い頬は赤ん坊のようにつるつるしていて、触っているだけで心が温かくなっていく。
(不思議ね……ただ頬を撫でているだけだというのに……)
だがカオリナイトはその感覚を悪いものであるとは思わなかった。
寧ろ、欲していた何かが手に入ったような満足感さえ其処にはある。
「う……んん……」
当然、そうやって頬を撫でさすっていれば覚醒しかけている海野は時を置かずして目を覚ますだろう。
魘されるというよりも、甘えるような声を出す彼の瞼が震えている。
「もうすぐかしら」
間もなく目を覚ますと判断したカオリナイトは、海野の身体に手を回して彼を抱き寄せていた。
何故そんな事をしたのかは彼女自身も分からない。唯こうしたくなった。
こうしてこの少年の体を抱き締め、自分の腕の中に置いておきたいと思った……それだけだ。
その行為が決め手となったのだろう。
目覚め掛けていた彼の目がゆっくりと見開かれていった。
「んんっ……」
目を覚ます彼。暗闇の中から光へと戻ってきたその意識が辿り着いた先は。
美しい女の腕に抱かれた現実の世界。
「あ……あれ……?」
目の覚めるような美女が、目の前に居て。
そんな美女の温もりを、体に感じている。
「漸くお目覚めかしら?」
「あ、貴女は……」
目を覚ました海野は自分の身体に感じる温もりと甘い匂い。それらをもたらしているだろう紅色の長い髪と雪のような白い肌、それに薄紫色の瞳が印象的な、目の覚めるような美女に抱き付かれている事に気付き、ようやくのことで体を動かし慌てふためいた。
「え……ええっ!? な、ななな、なんですかぁ────!? なんで僕の部屋に貴女が居るんですか────―!??」
それが数日前、十番商店街の交差点で暴走トラックに跳ねられそうになっていたあの女性だと分かった彼は、あの場から居なくなっていた彼女が無事であった事に安堵しつつも、自分の部屋に居る事に驚き、大声を上げていた。
その大きな声に、ここで誰かに気付かれて余計な邪魔が入るのを良しとしないカオリナイトは、海野の耳元に口を寄せて。
「静かになさい」
言い聞かせるような声音で注意した。
「……っ」
海野はカオリナイトの凍えるような静かな声に息を飲み込む。『言うとおりにしないと酷い目に遭わす』との無言の圧力を感じたからだ。
伊達に妖魔などの類に襲われてきた訳じゃない。幾度か危機的状況を経験した事のある彼は、ある程度なら察する事が出来るのだ。
とはいっても所詮凡人に毛が生えた程度の物でしかないが……。
それに顔を近付けられた事で彼女の髪が頬に触れ、髪から漂う何とも言えない甘い香りに心を奪われたというのもあった。
「あ、あの」
「なに?」
「い、いえ……なんでもありませんっ」
カオリナイトが海野の身体に真正面から抱き付いているため、彼女の大きくて豊かな胸の膨らみが、彼の胸に押し付けられる格好になっているのだ。
(おおお、おっぱいがっ、おっぱいが当たっているんですよっ)
それも彼女の服の胸元が、お腹の上辺りまでの深いVネックの襟になっている大胆なデザインをしているため、少し視線を下げるだけでたわわに実った胸が見えてしまうというオマケ付き。
それでも先ほど感じた威圧もあって、彼はその言葉をすんでの所で飲み込んだ。
「そ、そそそ、そのですね……っ、あ! そう! そうです……! 大丈夫……でしたかっ?!」
「……」
「気が付いたときには、貴女があの事故現場から居なくなっていたものですから……、その……、無事だったかのかと気になっておりましてですね……」
(まただわ……、またこの少年は私を心配している……こうしていま目の前に無事で居るにも関わらず私の身を案じている……)
カオリナイトの疑問は尽きない。再び心配された事で余計に大きくなるばかりだ。
それと比例するかのように、彼女の胸の鼓動も更なる早鐘を打ち付けるように大きくなっていく。
「見ての通りよ……。それよりも、貴方の方こそ大丈夫なのかしら? 私を庇ってケガをしていたと思うのだけれど、人の心配をしている余裕などあって?」
「えっ? あ、ああ僕ですか?」
彼女からの気遣い。それに少年は意味があるのか胸を張る。
「へっちゃらですよこんなのっ、大した事ありません! 後遺症の残るような大怪我でもなく至って順調に快方へと向かい邁進中です!」
「そう……」
大した事はない。自信を持って自分は大丈夫という海野。
それを聞いて心から安堵する自分にカオリナイトは気付いた。
心底ほっとしたのだ。彼の身が何もないというその事に。
(やはり私がこの少年の身を案じていたように感じたのは気のせいではないようね)
ならばもう自らの心理状態を肯定するしかない。
自分は確かにこの少年のことを気にしている。
それも殊更に少年──海野ぐりおを知りたいという心の飢えにも似た感覚と共に。
「どうして助けたの……?」
「え?! いっ、いやぁ、そんなどうしてと言われましてもですねっ」
「貴方は自分が死ぬ可能性を考えなかったのかしら? あの状況で私を助けるのは自殺行為であったとも言えなくて?」
そう、どう考えてもそこに考えが行き着くのだ。自分の命を赤の他人であるカオリナイトのために投げ出した行為。
それが彼女には理解できない。だからこそ彼が何を考えそうしたのかが知りたいのだ。
死んでも良いとさえ云えるような不可解な行動をとってまで自分を助けた理由を。
「あ、あれは……ですね、その、何と言いましょうか……」
海野は相も変わらず真っ赤な顔をして、歯切れの悪い言葉を続けながら、どう言えばいいのかを考えている。
カオリナイトはただ待つだけだ。彼が示してくれるだろう答えを。
「その、ですね……。自分でも分からない訳ですが、貴女が……ええっと、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」
訊かれて気が付く。未だ自らの名も名乗っていないことに。
「カオリナイトよ」
名も名乗らず深夜部屋に忍び込んだ自分という女に対し、この少年は不審の色を一切浮かべていない。
それがまた彼女の琴線に触れた。
「カオリナイトさんですか。僕は海野です、十番中学三年生──海野ぐりおです」
彼の名前も学校も事前調査で知ってはいた。ターゲットを調べるのは現場責任者として真っ先に行うべきことなのだから当然として。
だが彼は知る筈が無い秘密に敢えて知らないふりをした彼女は、反芻するように彼の名を呟いた。
「海野ぐりお……ね」
とくん──また一つ高鳴った鼓動。
彼の名を言葉に出して呟いた事で彼女の心の中で燻っている感情と、海野ぐりおという少年の存在が更に大きくなっていく。
「ええっと……、はい、どうしてかと言うとですね。まあその~掻い摘み申し上げますと、カオリナイトさんに突っ込むトラックを見て身体が勝手に動いていたんですよ」
「身体が勝手に?」
「はい、カオリナイトさんを助けないとって思ったら、もう身体ごと飛び込んでいたんです」
「……」
*
丁度部屋の中で話し続ける二人と時を同じくして、窓の外では一つの視線が二人へと向けられていた。
「フフフ、カオリナイト様を見張っていて正解だったわ。まさか今回のターゲットと一緒だなんて」
その視線の持ち主──ウィッチーズ5のシプリンは、カオリナイトと海野。
二人のピュアな心を奪おうと、赤い液体の入ったガラスケースが銃身となるライフルを構え、スコープ越しに中の様子を窺いながらほくそ笑む。
彼女の持つライフル形の銃は、彼女と同じウィッチーズ5の先輩であるユージアルが開発した物で、ダイモーンが居なくてもピュアな心を抜き取る事が出来る専用の捕獲銃である。
重大なる裏切り行為の発覚とその処罰。
そんな名目の元にユージアルより借り受けたのだ。
「まず初めに厄介なカオリナイト様から片付ける事にしましょうか」
純粋な戦闘力では自分よりも強いカオリナイト。
此方に気付かれる前に先にピュアな心を奪ってしまうのが最良と考え、シプリンは銃口を部屋の中に向けた。
「そのままでいてくださいよ。一瞬で終わらせてあげますからね」
都合良く背を向けているので此方には気付かない。
「フフフ、それではカオリナイト様。貴女のピュアな心はこの私──ウィッチーズ5のシプリンが貰い受けます……捕獲ッッ!!」
彼女が構えた銃の引き金が引かれると、星形の銃口から黒い光線が飛び出し、カオリナイトが居る海野の部屋に向かって突き進んだ……。
*
「なんと言えば良いんでしょうか、こう、動かなければ後悔すると申しましょうか……」
未だ上手く説明できないで居た海野は、カオリナイトの胸元を見ないようにして視線を彷徨わせながら、しどろもどろに喋っていた。
だが、そうやって視線を彷徨わせていたからこそ気付けたのだろう。窓の外で自分とカオリナイトに銃口を向けている、空中に浮かぶ少女の姿に。
閉じていても気休め程度でしかない窓は、開けっ放しにしていた為、身を守る防壁にはならない。
それ以前に彼はなにかを考える間もなく体を動かし咄嗟の行動に移っていた。
何を目的として?
そう、あの交差点の事故と同じ、目の前にいるこの女性を守る為に。
直後。
どん──。
「え──?」
海野に身体を突き飛ばされたカオリナイトが何か言葉を発する間もなく、海野の胸に黒い光線が命中した。
「です……から……こうし……て、うご……く……」
にっこり微笑んだ海野は声を振り絞って自らの意思を伝える。再び護ることの出来た女性へと。
「ハハ……僕って、結構……間に合う、ほ……う」
胸から飛び出す赤い色をした宝石のような心の結晶。
見る見る内に土気色へと変わっていく彼の表情。
精細さも、先程までの照れるような仕草も喪ったその顔は、半死人の様相を呈していた。
「海野──―ッッ!」
叫ぶカオリナイトが崩れ落ちる彼の身体を反射的に動いて抱き留めた瞬間。
「いただきました」
突如部屋に現れた少女に彼の心の結晶が奪い取られる。
「シプリンッッ!!」
それが何者かを理解したカオリナイトは海野の身体を守るように抱き締めながら、彼のピュアな心を奪った者に目を向け、睨み付けた。
「おっと、動かない方が宜しいのではございませんかカオリナイト様?」
シプリンは奪い取った海野の結晶をちらつかせながら、カオリナイトの動きを制した。
まともに闘っては勝てないのが分かっているから、親しげに話をしていたターゲットの少年のピュアな心の結晶を人質に取ることにしたのだ。
「フン……、それがどうしたというの?」
そんなシプリンを相手に心の動揺を悟られないよう注意しながら、強気に返すカオリナイトだったが──
「随分と余裕ですね。それでは──この結晶……壊してしまいましょうか?」
シプリンには通用しなかった。
彼の女は結晶に圧力を掛けていく。
このままでは海野の心の結晶は壊されてしまう。
そう考えたカオリナイトは思わず叫んでいた。
「や、やめなさいッッ……!」
それが自分にとって不利になると分かっていながら。
それでも海野の結晶を壊されるのは耐えられない。
この少年は、一度ならず二度までも、自分の為に命を懸けてくれたのだから。
心に温かい何かを植え付けられてしまったのだから……。
「目的はタリスマンなのでしょう?」
「ええ勿論です」
焦りを見せた彼女の様子に、手に掛けていた圧力を弱めるシプリン。
その手の中で輝く海野の結晶には何の変化も見られない。
つまり、それはタリスマンではないという事になる。
「残念ねシプリン、それはタリスマンではない」
「そのようですね」
目的とする物ではない。それに安心したカオリナイトは、手に入れること適わずというのにどこかしら余裕と満足げな表情を崩さないシプリンへ警戒を緩めない。
「さあ、その結晶をこちらへ寄越しなさい」
一刻も早く用済みとなった結晶体を自分の手に取り戻し、彼の胸へ仕舞わなければ。
悪い予感が消えないのだ。シプリンの余裕の態度に。
しかしてその予感は──。
「いいえ、まだです」
数瞬の後に的中してしまった。
「もう一人のターゲットが居りますので」
シプリンはそれだけ告げると、捕獲銃の銃口をカオリナイトへ向けた。
「なッ、なにッ!? どういうつもりッ……!」
「どうもこうもありませんわカオリナイト様。失敗続きのカオリナイト様は、ここでお役ご免ということですわ」
「こんな、こんな事が許されるとでも思っているの!?」
「ええもちろん許されます。何せこれは教授に許可を頂いた上での事ですから」
「なんですって!? 教授が私を……!」
簡単な話だ。彼女の行動が全て筒抜けであったそれだけのこと。
任務の放棄も虚偽の報告も全て。故に教授の不興を買ってしまった。
それだけだ。
「カオリナイト様。最後に教授からの御伝言です」
“カオリナイトくん、出ない成果は君のピュアな心で出して貰う事としよう”
「ま、全ては失敗ばかりする無能なご自分の責任と思ってください。それと、結晶は二人仲良く壊して差し上げますのでご安心を」
カオリナイトは教授に見限られた事などどうでも良かった。だが、自分の事を命を懸けて守ってくれた海野まで殺されてしまう──それが悔しかった。
「ごめんなさい……こんなことになってしまって」
彼女はせめて海野がしてくれたように、彼の身体を守るように抱き締めた。
暴虐を前に何の意味も成さないと知っていても、そうしてあげたかった。
命を助けてくれたその僅かばかりの返礼として……。
「それではカオリナイト様さようなら────」
発射された黒い光線。
「捕獲ッ!!」
死をもたらすであろう漆黒の星がカオリナイトの胸を撃ち抜き、彼女のピュアな心を露出させた。
ほんの僅かな時を触れ合った少年。
二度に渡り命を助けようとしてきた少年。
(そうだったの……。私はこんなにも)
惚れっぽい女だったのか。
命を守られる。自分が護って貰える。
それはカオリナイトにとって、心を変えてしまうほどの重大事だった。
冷酷で、力在る彼女は、他を顧みない女だ。
任務第一で、着実に履行し成果を勝ち取る優秀な人間は頼られこそしても頼ることはない。
少なくとも彼女は誰かを頼ったことなど無かった。
そんな彼女が、自身を助けようとする大きな心の抱擁に包まれたとき、女であるが故の心に目覚める。それは十二分に考えられることであった。
初めて彼女にこの暖かな感情を芽生えさせるのは、彼女の命を救う人間だったのかもしれない。
(偶然にも海野だった……私の命を助けようと動き自らは傷付きながらも私を護ってくれた少年)
抱いたそのピュアな気持ちに彩られ、一段と美しく輝いていた心の結晶。
その強き女の気持ちを乗せた結晶体を胸から露出させながら、死と引き替えにして抱いた想いを悪くないと感じたカオリナイトは。
それを芽生えさせてくれた少年の体を抱き締めたまま、静かに意識を手放した。
*
シプリンは海野を抱き締めたまま倒れているカオリナイトには目もくれず、彼女の身体から抜け出た心の結晶を奪おうと手を伸ばす。
「うふふ。上手く行ったわ」
今シプリンはとても満足していた。仮にこの結晶がタリスマンであれば、自分はデスバスターズの大幹部へと出世できるかも知れない。
「意外と強い光を放つ結晶ね」
そうでなくても目障りな目障りな女カオリナイトを蹴落とし、始末する事が出来たのは僥倖だ。
「これはタリスマンの可能性が──」
彼女は期待に胸を膨らませて、そこに浮かぶ結晶を手に取ると窓の外へ。
だが万事全てが、そうそう上手く回り出すことなどありはしなかったのだ。
『ワールド──ッ・シェイキングッ!!』
窓から外に出た直後、シプリン目掛けて凄まじいエネルギーを持つオレンジ色の光球が飛来した。
「きゃあっ!!」
それに気付いた彼女は慌てて光球を除けるも、その反動で手にしていた二つのピュアな心の結晶を手放してしまう。
「ああっ! 私のタリスマンが──―っ!!」
宙に舞った心の結晶は攻撃したと思われる者に掠め取られ、そして近くの建物の屋根に二つの影が降り立つ。
「新たな時代に誘われて、セーラーウラヌス華麗に活躍」
「同じく、セーラーネプチューン優雅に活躍」
名乗りを上げたのは、シプリンから心の結晶を奪い取った二人。
外宇宙からの侵略者より地球を守護する使命を持つ、外部太陽系の惑星をその守護星とした二人のセーラー戦士だった。
「くッ、後一歩だったというのによくも邪魔をしてくれたな!」
想わぬ乱入者にシプリンは憤り、顔を歪めつつも、状況を冷静に分析していた。
(今ここには私一人しか居ない。対してセーラー戦士は二人。それも相当な実力を持つというウラヌスとネプチューン……不味いわね……)
ダイモーンか、もしくは双子の妹でありベストパートナーでもあるプチロルが居れば闘えるだろう。
だが、一人では勝ち目がない。
焦るシプリンに、一方奪い取った二つの結晶を調べていたウラヌス達は、これがタリスマンではない事が分かり、期待はずれだと肩を落としながら彼女に言い放った。
「残念だったな。これはタリスマンじゃない」
渡りに船とはこのことだろう。
無理な戦闘を回避する良い口実が生まれたのだからこれに乗らぬ手はない。
「そう……、それじゃ此所に居ても仕方ないわね」
あくまでも撤収を装いつつ逃げ口上を述べるシプリン。
「今回は見逃して上げるけど、次にあったらこうはいかないわ」
そんなもの、ウラヌス達にはお見通しであったが。
「見逃す? ふっ、“見逃して貰う”の間違いじゃないのか?」
「くっ、覚えていろ……!」
事実を指摘されて苦渋に顔を歪めながら消えるシプリンを追うでもなく、唯見ているだけだったウラヌスに、ネプチューンは声を掛けた。
「で、どうするのその結晶は?」
用のない二つの結晶。
海野ぐりおと、そしてカオリナイトの。
「いつものように返すさ、タリスマンじゃないからな」
「そうじゃなくて、その結晶の内一つはカオリナイトの物でしょう? いいのかしらそのまま返しても」
敵のピュアな心まで返しても良いのか。
ネプチューンの言葉にしかしウラヌスは。
「ああ、構わないさ」
何でもないことのように肯定する。
「今の感じからしてカオリナイトは組織に切り捨てられている」
一部始終を見ていた。カオリナイトと海野の様子も。
シプリンのカオリナイトへの粛清とも取れる発現も。
結論としては、カオリナイトという女は既にデスバスターズより見限られている。
「である以上、もう何も出来はしないだろう?」
たった一人では何もできない。
そんなことは共に力を合わせて二人で歩む彼女達にもわかっていた。
「貴方の判断に任せるわ。言ってることも尤もでしょうし」
ウラヌスとネプチューンは心の結晶を持って海野の部屋に入ると、ベッドの横で折り重なるように倒れているカオリナイトと海野に、それぞれ心の結晶を戻すと、もう用は無いとばかりにその場を立ち去るのだった。
出してほしいキャラは誰ですか?本当はもっと書きたいですデマンドとかちびうさとか(期待に応えられるかは分かりません)
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カオリナイト
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海野ぐりお
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ユージアル
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天野ぐりかず
-
地場衛
-
月野うさぎ
-
ネフライト様
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大阪なる
-
テルル
-
ビリユイ
-
シプリン
-
プチロル
-
水野亜美
-
浦和良
-
火野レイ
-
木野まこと
-
愛野美奈子
-
天皇はるか
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海王みちる
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冥王せつな