ネフライト様となるちゃん。
天野くんとユージアル。
まもちゃんとうさぎちゃん。
四組の恋人たちが送る雪の日の短編です。
御批判、御批評、御感想、遠慮なく頂けると嬉しいです。
雪の日のそれぞれ
雪がしんしんと降っていた。
白い、白い、街をどこまでも白く染める雪。
降り止まない雪は午前だけではなく、午後となってもまだしんしんと降り積もる。
しんしん。
しんしん。
雪の中には幾組もの恋人達がいる。
東に向けて据えられたベンチには、赤い色をした長い髪を編み込みのポニーテール風に結い上げた大人の女性と、ボサッとした感じの特徴的な髪型をした瓶底眼鏡の少年がいた。
「カオリナイトさん、この白い雪はまるでカオリナイトさんの肌のようです。白く細やかでいて、優しい感じがとくに」
少年が女性の頬に触れる。少し恥ずかしそうにしながらも、しっかりと手を触れさせる。
その手に、女性の白魚のような手と指が重なる。
「あら。それは違うのではなくて? どちらかと言えば私の肌が雪のように白いというものですわ。うふふ、こんなことを自分で言うと自意識過剰、自画自賛に聞こえてしまうわね」
なんでもない、その様に返しながらも女性の頬は少年と触れ合う喜びに赤く色付いている。
鬼灯のように赤い頬が、少年の頬に寄せられて、女性の頬より少年の手が離れた。
「い、いいえ。じ、実際に、雪みたいに白くてですねえ、綺麗なお肌をその、していますから」
ドキドキする少年の様子に、うっすらと微笑んだ女性は、その頬を少年の頬に合わせて、擦り込んだ。
「うふふふ、ぐりおはロマンチストね。そんな褒め言葉を使ったところでお勉強の手を抜いたりしないわよ」
「い、いえいえ、本当にです……、思ったままを口にしただけですから……」
少年は感極まったかのように、或いは諦めたかのように、それでいながら嬉しそうに、女性と頬を擦り合う。
そうして、二人は仲睦まじそうに抱き締め合いながら、白い景色の中で静かな口付けを交わした。
◇
西向きに据えられたベンチには、濃色のコカブラウンという色をした波打つ長髪が特徴的な青年と、こちらも波打つ栗色をした肩までのウェーブヘアを緑のリボンで留めた少女の姿があった。
「ネフライト様、新しく出来たチョコレートパフェのお店の話、知ってます?」
「ん? あ。ああ、知っているよ」
青年の一瞬の躊躇。
少女はそれを素早く察して青年を制した。
「嘘」
「え?」
「いま、言葉に詰まったでしょう。そんな嘘を吐いたってあたしはすぐに見抜けるんですからね。この嘘吐き」
嘘吐き、と、言いながらも、少女の表情のそれは、けして青年を責めているものではなく、嬉しげに微笑みを浮かべている。
青年は、目をぱちくり。素直に謝った。
「す、すまない。知らないと言ってしまえばそこで話題が終わってしまうような気がしたのでね」
折角振られた話題。知らないと終わらせてしまうのは寂しい。青年の言い訳もまた尤も。
だからといって嘘を吐いて良い理由にはならない。
「駄目だな、下手な嘘を吐いてしまう癖が抜けない。キミに助けられたあの日から」
「……そういえば。あの時もこういった公園でしたよね。……なんだか、夢みたい」
「なにがだい?」
「うふふ、こうしてネフライト様と過ごしている今この時が。泡沫の夢のようにも思えて」
「ははっ。だったら、なるちゃんに贈られたこの手編みの手袋の温もりは、キミという温もりは、私から見ても泡だったりするのかな?」
青年は、少女からの贈り物。手編みの手袋に包まれた手を、少女の両頬に当てる。
静かで優しく、労りの気持ちの込められた温もりに、少女はその手に、手を重ねた。
「あはっ、温かい。でも、泡じゃないですよ私」
「無論だ」
「ネフライト様も、泡じゃない」
「勿論さ。力強く触れ合える泡なんてないからな」
「えへへ、そうですね。はあ~っ、雪で真っ白~」
◇
南側へと向くベンチには、赤色の長い髪を後ろで二つに分けて結び、左の横髪だけ一房、身体の前に流して髪先を結んでいる女性と、東のベンチに座っている瓶底眼鏡の少年とまるで双子のように瓜二つな顔と背丈と髪型をした少年の姿がある。
「あ~ったく、腹立たしいわね。この大雪の所為で車が使えないじゃない」
怒る女性は苛立たしげに足下につもった雪を踏む。バンバン、踏み固まる雪。
その隣では、マイペースに紙袋から芋を取り出した瓶底眼鏡の少年が、怒る女性に差し出していた。
「ユージアルさん、もう危ない物を作るのは止めにしましょうよぉ」
女性は差し出された芋と、少年との間で幾度か視線を彷徨わせながら、少年手ずからの芋にパクッと食い付いた。
「っさいわねぇ~。もぐもぐ、あのミメっんぐ、トの奴に、はむっ、一泡吹かさせてやんないと、んぐ、気が済まないのよ! その為にはぐりかず! あんたの言う危ない物が必要になってくんのよ!」
パクパク。芋をパクパク。焼き芋が美味しいと女性は感じながら、少年のほっぺたをバシンと叩いた。叩いては、両手で挟み込むようにしてしっかりと掴む。
「い、痛いれす、ユージアルさはぁん、ボクに八つ当たりは止めてくらさひぃ~」
「これぐらいで男がぐちぐち言うなっての。こんないい女とデートして文句たれてんじゃないわよ」
「……ユージアルさんが可愛いっていうのは確かに、賛成です。ユージアルさんはその、可愛い……ですから」
不意の告白。告白もなにも女性と少年はお付き合いをしている間柄である。
しかし、そういったことを言われ慣れていない女性の方は顔を真っ赤にして慌てふためいた。
「ち、中坊の分際で、こ、この私をからかうなんていい度胸してんじゃないっ、だ、大体、今日は雪が降ってなけりゃアキバで部品買いしてるとこだったってのに、わ、態々、あんたに付き合ってあげてんだから、エラソーにすんじゃない!」
普段慣れない恋愛的な意味での何かに、女性は始終ペースを乱されっぱなしであった。
◇
北向きのベンチには、足首にまでかかりそうな長さのストレートな金糸の髪を、頭の左右上でお団子頭に結んだ髪型が特徴の少女と、黒髪短髪のスラリと背の高い青年がいた。
「手編みのマフラーか。ありがとううさこ」
青年は受け取ったプレゼントを手に心からの笑みを浮かべている。
「あの~、でもさそのぅ、ちょっち失敗しちゃって……こんなんなっちゃって」
「な~に、ははっ、うさこらしくて良いじゃないか」
少女からのプレゼント。それは長ーいマフラーだった。青年はそのマフラーをやはり嬉しそうに広げてみた。
「うん、まあ確かに長いなこれは」
「ごめん……」
沈む少女の顔、頭は重く、お団子の尻尾も心なしか沈み込んでいるかのように萎れ気味。
しかし、そんな少女の様子に、変わらぬ調子で青年は言う。
「一人用としては長いな。だから、これは──」
青年は、自分の首にマフラーを巻き付けると、余ったマフラーの生地を手に。
少女の両肩を掴んでは、頭を上げさせた。
「ほへ?」
少女は何か分からないといった様相で、青年の静かな優しさを称える瞳をのぞき見る。
「こうするんだよ」
その間に、青年の手は、余ったマフラーを少女の首へと巻き付け始めた。
「って、まもちゃん?」
くるくるくるくるくーるくる。
あっという間に少女の首を厚く覆ったマフラーは、一人にして二人、二人にして一つ。つまり、二人用のマフラーへと早変わり。
「ほら、これで良いだろう。このマフラーは、俺用なんじゃなくてだ、俺とうさこの二人用のマフラーってことになるのさ。それにこうして二人で使えば寄り添え合えて、寒い中でも平気になるだろ?」
一人では使いづらい長さ。一人では使いにくい長さ。だが、愛し合う二人でならば一緒に使える良い品物。最高の贈り物だと青年は伝えた。
「まもちゃん……」
そして、静かに近付く二つの唇は、僅かな時を置いて重なり合う。
ロマンチックな雪化粧の中を彼等、或いは彼女達は楽しむ。
ただ、思い人とだけ過ごす、その時を。
海野くんとカオリナイトさん。
ネフライト様となるちゃん。
天野くんとユージアル。
まもちゃんとうさぎちゃん。
四組の恋人たちの静かで平和な日常の様子でした。
本作は海野くんとカオリナイトさんが主人公ですが、みんなそれぞれ恋人たちの恋物語がお話で描かれていない場所で展開されております。
特に海野くんとカオリナイトさんはいつでもどこでもラブラブです。
御批判、御批評、御感想、遠慮なく頂けると嬉しいです。
出してほしいキャラは誰ですか?本当はもっと書きたいですデマンドとかちびうさとか(期待に応えられるかは分かりません)
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カオリナイト
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海野ぐりお
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ユージアル
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天野ぐりかず
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地場衛
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月野うさぎ
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ネフライト様
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大阪なる
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テルル
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ビリユイ
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シプリン
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プチロル
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水野亜美
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浦和良
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火野レイ
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木野まこと
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愛野美奈子
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天皇はるか
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海王みちる
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冥王せつな