※この作品はR-18です。

それは平凡なる恋の日々   作:夜半の月

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まもうさと海カオ、地場衛×月野うさぎ、海野ぐりお×カオリナイトの恋愛話です。
正道カップリングとあり得ないカップリングの短いお話ですがお楽しみいただけると幸いです。


小話9 0.2秒の距離

 

 

 

 

 0.2秒の距離

 

 

 

 

 

 

 東京、十番街。

 

 待ち人はまだ来ない。

 

 少し遅れるという事だった。

 

 勉強会が長引いてのこと。

 

 火川神社に集まるいつもの仲良しグループだが。

 

 その中に居る待ち人は成績に問題あり、だ。

 

 どれくらい問題ありかというと、下から数えた方が早いくらいには問題があった。

 

 戦いに、恋にと頑張る彼女だが、学生の本分である勉強も頑張らなければならない。

 

 来年に高校受験を控える彼女、実は彼女の一番の敵は勉強なのかも知れない。

 

 夕刻の空。

 

 唯一光る宵の明星を除けば、点と見える星とは比較にならない大きな月が一際強く輝いていた。

 

「満月か。うさこの笑顔みたいだな」

 

 穏やかな光を地上に注ぐその姿は、愛する少女の笑顔のよう。

 

 満面の明るい笑顔。

 

 遙かに高い月へと手を伸ばしてみる。

 

 空を切る手。

 

 淡く金色に輝くそれを掴むことは出来ない。

 

「無理か」

 

 届くはずも無し、だがその姿はこの目に捕らえている。

 

「1.2秒……、一瞬を秒とするなら0.2秒の向こう側に居るわけだ。俺とうさことの距離。無いに等しい距離ながら、確かに存在する距離が少し煩わしい」

 

 目に入る光。最も早いその速度を以てしてまだ0.2秒の壁がある。

 

 この壁を越えてこの手を彼女に届けるためには。

 

 いっそ此方から訪ねてしまおうか。

 

 0.2秒の距離を此方から無くしてしまえばどうだろう。

 

 電話なら近くにある、せめて無理をするなよと言いたい。

 

 地球と月。向かい合わせで常に互いを見ている。

 

 彼女までの道は真っ直ぐ歩くその先に――。

 

 

 途端、視界が塞がれる。

 

 分からなくなる彼女までの、距離。

 

 0.2秒の向こう側。

 

 温かい、とても温かい良の手をかたどる指を持つそれは0.2秒の先にある手だった。温かくて優しい手だった。

 

 “えへへ~、だーれだ”

 

 しかし縮められたその距離は。

 

 ああ、そうか……。なにも俺からって事でも無いな。

 

 コンマ2秒の距離を詰めるのは、自分からとは限らない。

 

 行動力に溢れる彼女は、ただ待つだけの少女では無いから。

 

 寧ろ彼女の側からやってくる事だって普通なんだ。

 

「問題だ。月までの距離、分かるか?」

 

 詰められた距離、どうせならと問題を一つ出してみる。

 

「ほえ? い、いきなりなんぞーー??」

 

「答えて見せてくれ」

 

「う、うーむ……、え~っとね……、さ、30万キロだったかな?」

 

 違う、答えは30万キロでも、38万キロでも無い。

 

 38万キロの距離は確かにあるけど、そういう事じゃないからな。

 

「答えはゼロだようさこ」

 

 両目を塞いでいる細い手に、此方からも両手を重ね。

 

 静かに解いて見せつつ、振り返りながら。

 

「まもちゃ――」

 

 華奢な身体を抱き締めた。

 

 1、2、3、0.2秒なんて置き去りにして。

 

 温かい、柔らかい、この温もりを得る為ならば時間の壁など突破して見せよう。俺の方から。

 

「う、うにゃああ~、まもちゃん~~」

 

「で、どうしてゼロか分かるか?」

 

「う、まだ続いてるの? う、うーん、ええーと……、うーん、……分かりましぇん(汗)」

 

 なんだ、こんな簡単な問題を解いて貰えないのは少し寂しいぞ?

 

 じゃ答え合わせだ。

 

「俺(地球)と、うさこ(月)の距離は、いまゼロだろ?」

 

 この手の中に収まる彼女と、収めている自分。

 

 距離は正しくゼロなのだから。

 

「違うか?」

 

「え……、う、ううん……、ゼロだね。あたしとまもちゃんの距離……だけど」

 

「なんだ?」

 

「ん、んっとね」

 

 彼女を抱き締める俺に、彼女は恥じらいを見せながらつま先立ちになり。

 

「どうせゼロだって言うんなら、えい――」

 

「んむ!?」

 

 距離はゼロよりもまだ縮まった。

 

 

 ん――。

 

 

 しっとりと湿った肌触りが俺の唇をさらう。

 

 薄く瞳を見開くと、彼女の蒼い瞳も僅かに見開いて。

 

 どちらともなく視線を交わし合って、本当のゼロ距離、ゼロ以上の距離でお互いを暖めた。

 

 季節は夏。

 

 暑い盛りの頃だが、彼女と、うさこと熱い時を過ごすのならば。何の不満も無い。

 

 どんな形であっても受け入れるだけだ。

 

「ん……、やっぱり思ってたとおりだ」

 

「え?? なにが?」

 

 首をかしげる彼女の頭にそっと手を置いてみた。

 

 金色……満月の輝きのような金沙の髪が揺れていた。

 

「なに、距離を縮めるのはうさこからって事も往々にしてありって事さ」

 

 衛はベンチを立つ。

 

「さあお姫様。これからどこへ向かう? ゲーセンか? お菓子屋か? 少し遅めのウィンドウショッピングか?」

 

 それとも。

 

「俺の家か?」

 

「まもちゃんの、家」

 

「ああ。そこで、海野くんとカオリナイトの様に、愛し合おうか? キスで終わりじゃない、その先へと進むんだ」

 

 海野ぐりお。うさこの同級生は何がどうなったのか、あのダイモーンでピュアな心を狙いまくっていたカオリナイトと恋人となり、ピュアな心を狙う行為をやめさせ、カオリナイトに悪の組織を抜けさせる過程で彼女と愛し合い、男と女の最終形まで進んでしまったらしい。確かにカオリナイトなら俺より年上だろう。中学生の恋愛などに付き合えない。大人の恋を求めるだろう。結果として海野くんはカオリナイトと大人の関係で結ばれた。

 

 何某かがあったのだろう。海野くんとカオリナイトの間で。でなければあのカオリナイトが一介の中学生に惚れて……ああいや、俺もうさこって中学生に惚れているんだったな。人の事をどうこう言えないか。

 

 とにかく海野くんとカオリナイトの間で運命的な何かがあった。そして愛し合うようになった。それも大人の恋にまで突き抜けてしまう程に深く愛し合っているんだ。

 

 それが良いのか悪いのか。究極的に言えば良いだ。愛とはそういう物。

 

 それを俺がうさこに求めてしまっても良いのだろうか。

 

 海野くんとカオリナイトがどういう進み方をしたのかは分からない。海野くん色恋には奥手だと聞く。ではカオリナイトが積極的に迫り海野くんと交わった……。この路線が高そうだが、海野くんも男、一度そういう状態になれば自らカオリナイトを抱いてしまうかもしれない。

 

 俺とうさこの場合はどうだ? うさこはどうなんだ? 反応を知るのが少し怖い。

 

 まだ、早すぎる。世間的には。だが愛の前には世間的なんて関係ないのも確かだ。

 

 現に海野くんとカオリナイトは初めての後積極的にしているらしいと、耳にした。うさことうさこの友人のなるちゃんの会話を偶然聞いてしまった。

 

 ならば彼の二人は世間体など最早考えていないだろう。ただ愛し合う事だけを考えて愛し合っている。禁忌に足を踏み入れてしまっているのか、それとも素晴らしい愛の形か。

 

 少なくとも今の俺は素晴らしい愛の形だと思う。

 

 悩む俺に。

 

「まもちゃんがいいなら……、良いよ……あたし」

 

 優しく温かい少女は、答えを一つくれた。

 

「う、うさこ」

 

 さあ、この答え、この札を切って良いのかは、後は俺次第、か。

 

 

 

 

 

 東京、十番街。

 

 待ち人はまだ来ない。

 

 珍しくも火川神社で集まる勉強会に参加するというのだ。

 

 その事が彼女をイライラさせていた。

 

 腰下まで届く真っすぐな赤い髪は、編み込まれたポニーテール気味に纏められていて。

 

 両の瞳は紫色。金のイヤリングを両耳に付けた、素肌の露出の多い赤いワンピースを着る、モデル体型の美女。

 

 名をカオリナイト。

 

 彼女が美女で無ければ、この世の七割は美女ではなくなってしまうくらいには美しい女性。

 

 彼女がイライラする要因。火川神社で集まるメンツにある。

 

 月野うさぎ。

 

 水野亜美。

 

 火野レイ。

 

 木野まこと。

 

 愛野美奈子。

 

 以上、全員女の子だ。そのメンツの中に男子である海野ぐりお、カオリナイトの愛しい恋人が入る。

 

 勿論何かあるわけではない。ただ勉強をするだけ。

 

 だが、勉強をするだけなら家庭教師でもある自分カオリナイトも呼ぶか、カオリナイトと二人家で勉強すればいい。

 

 しかしながら、友達との親睦を深めるのも大切ですからと海野は火川神社で勉強中なのだ

 

「ぐりお……」

 

 人気のない公園のベンチで生徒であり、恋人であり、婚約者である少年の名を呟く。

 

 勝気で強気な性格の彼女にしては弱弱しい。

 

 それは彼女が海野に恋をしているから。

 

 恋する女性は強くなれるが、同時に弱くもなる。

 

 カオリナイトの場合は元々が強かったから海野がいないと弱くなってしまうのだ。

 

 寂しさなんてものを知ったのは、海野を愛するようになってしまってからだろう。

 

 吹き抜ける風がカオリナイトの長い髪を煽り、靡かせる。

 

 赤い髪の束が、強い風にあおられる。遮るものはない。

 

 そんな場面、そんなところで、登場するのが、ヒーロー。

 

「カオリナイトさん!」

 

 カオリナイトが座るベンチの背後より彼女に抱き着いたのは。抱き着かれた相手は。

 

 茶髪栗毛のぼさっとした短髪。

 

 詰襟の青い制服に、顔と瞳の分からないグルグルとした分厚い眼鏡。

 

 腕にはカオリナイトがプレゼントした、エナジー攻撃に対してシールドやバリアーを張れる特殊なブレスレット。

 

 タキシード海野仮面ならぬ、海野ぐりおであった。

 

「お待たせしましたカオリナイトさん。貴女の海野ぐりお参上です! 遅れて申し訳ありませんっ」

 

 颯爽と現れた海野は、風の煽りを受けていたカオリナイトの赤い長い髪を両手で抑えた。

 

 艶めいた髪の触感が海野の手に伝わり、撫でたい気持ちになり。風が吹き已むと指を櫛代わりにカオリナイトの髪を撫でていた。

 

「んっ、気持ちいい」

 

 髪を撫でられるカオリナイトの素直な反応。

 

 指が髪の中を泳いでいき、毛先まで抜けていくさまがとても心地いいのだ。

 

「ボクも気持ちいいし、心地いいですよカオリナイトさん。カオリナイトさんの御髪を触れるのはボクの特権ですからね」

 

 と言いつつも。カオリナイトの髪はなるやうさぎも触ったことがある。

 

 性的にも男と女という意味でも一番触っているのは海野だが。

 

「ボクの愛するカオリナイトさん」

 

「その愛する女をこんな場所に三十分も待たせた挙句に後ろから髪を撫でてお仕舞というのは如何な物かしら? わたくし、寂しかったのよ?」

 

「す、すみません。次の課題、次の課題とやってる間にずいぶんと時間が経ってしまいまして」

 

 ベンチに座るカオリナイトを背後から抱き締めるような形の海野。彼は少々の言い訳をしつつ、素直に謝る。

 

「言い訳はダメですよね。ボクの大切な恋人、婚約者、この海野ぐりおの愛するカオリナイトさんを寂しがらせてしまったのは事実ですから」

 

 カオリナイトの長い髪を梳くい、手指でしっかりと梳き、その赤い髪の毛の艶に心ときめかせながら。

 

 海野はカオリナイトの髪の中を両耳の位置まで梳くいあげ、彼女の顔を自分の方へ、斜め後ろへと向かせて、その厚っぼったく瑞々しい真紅の唇を、自分自身の唇で深く塞いだ。

 

「んンン──!」

 

 突然の事。カオリナイトのくぐもった嬌声が上がる。とても色っぽく、男をとろけさせる物だが。

 

 これを聞くこと、これを得ることが許されるのはこの世でただ一人。海野ぐりおだけなのだ。

 

「んっ」

 

 一方の海野は小さな声を上げて、湿った赤い唇に塗り付ける様にして、自身の唇を押し込む。

 

 海野はカオリナイトの唇を舌でこじ開け、その中にまで侵入。歯茎を静かになぞり、舌の裏を優しくなめとり、口内を侵しながら最後はカオリナイトの舌に己の舌を絡みつけた。

 

「んっんん!んん~~っっ!!」

 

 一方的なキスを受けるカオリナイトの白い頬は紅色へと染まり。紫色の瞳は細められ潤みを帯び、端から一筋涙がこぼれた。

 

 暴虐的であり深い愛の込められた海野からの口付けに、カオリナイトの鼓動は早くなり、海野に唾液を飲まされたことでもうその愛情は頂点に達した。

 

「ん、んんっ、あっ、むぅ」

 

 深いキスは時計の針が五分分進むまで続けられ、静かに唇は離される。

 

「ん、はあ……」

 

 カオリナイトの熱い吐息。唇の間には銀の糸が長く伸び、唇同士の接触の長さと深さの程度を物語っていた。

 

 海野は自分の唾液を飲ませつつも、さり気なくカオリナイトの唾液も飲んでいたのだ。

 

 海野とカオリナイト、二人分の唾液が交じり合った液体は長く長く糸を引き、静かに切れて、二人の口元を濡らし水滴となって垂れ落ちていった。

 

「これで、許してくれないでしょうか?」

 

 遅れた分を。だが。

 

「許す?これで? こんな、こんなにも熱いキスをしてくださってわたくしに許せとぐりおは仰るの? そんな事……無体ですわ」

 

 この熱いキスがカオリナイトの待たされた分の苛立ちとない交ぜとなって、彼女の心に火を付けてしまった。

 

 カオリナイトは自分の髪を変わらず梳いている海野を見遣り、その場に立つ。

 

 シュンっ

 

 そして短距離テレポート。

 

 場所は海野の後背。

 

「えっ?! うわわっ、か、カオリナイトさん何をっ?!」

 

 海野の背後に宙に浮いたまま、海野の両脇に手を入れ、彼の身体を優しく抱きしめると。

 

「行きますわよ? わたくしとぐりおの部屋へ」

 

 そして今の続きを致しましょう?

 

 海野の身体からは女の子たちの匂いがした。

 

 けして何某かがあったわけではないと分かっていても嫉妬はする。カオリナイトも一人の恋する女なのだから。

 

 だからこの火照った身体のそのままに、深く熱く愛し合って、匂いを全て自身の匂い一色に変えてしまおう。

 

 海野ぐりおとカオリナイトはもう深く深く愛し合っている身なのだから。いつもと同様の行為へと及ぶだけの話。

 

 海野の父と母も共に公認で、早すぎる話ながら、愛し合った結果として、カオリナイトが海野の子を妊娠すれば、その時は産むという約束まで取り付けている。

 

 とにかく今は海野ぐりおと愛し合いたい。カオリナイトは深く熱く幾度にも渡って海野ぐりおと愛し合いたいのだ。

 

 この切ない胸の疼きを、どうか彼に分かってほしい。

 

 風吹きすさぶ月の下、一人待たされていた女の気持ちをどうか分かって……。

 

 私は28歳の大人の女だけれど。恋を知った私はあなたの前では、一介の少女と呼んでも差し障りないほどにか弱い、一人の女でしかないのだから。中学生であるぐりおと変わらない。

 

 海野ぐりお──私、カオリナイトの初恋の男にして永遠の愛を誓い合った男……。

 

「ああ、愛おしい……、わたくしはあなたの事が愛おしいですわぐりお」

 

「そ、それはボクも、海野ぐりおもカオリナイトさんが愛おしいですよ」

 

「う、ふふふっ、愛し合いましょうぐりお。夜を越え、夜が明けても……丁度明日は日曜日ですわ」

 

 時間はたっぷりとある。

 

「朝までかぁ。幸せですけどボク持つかなあ」

 

「う、うっふふふふっ、持つようなペースで愛し合いましょう。わたくしを愛して下さる?ぐりお?」

 

「それは、それはもちろんです、海野ぐりおがカオリナイトさんを愛さないなんてありませんからね」

 

 言葉通り愛し合う。夜遅くまでも、夜が更けても、夜明けが来ても、今夜はとことんぐりおと愛し合いたい。海野もだ、今夜はとことんまでカオリナイトを愛したい。結局自分たちは愛し合う事に帰結する。

 

 心が少女の様に若々しくなってもやはり自身は28の大人。ぐりおと身体同士で愛し合う事を望む。いや、そも愛する男と女とは、年若きも自分くらいの年齢も、肉体同士を深く交接させる事を望まざるを得ない部分があるのかも知れない。

 

 答えは一つ。男と女であるから。

 

 カオリナイトはそう考えながら、宙に浮きあがっていき。

 

「うわわわわっ、カオリナイトさんっっ」

 

「おだまりなさい。遅れた罰ですわ今夜は朝まで……う、ふふふふっ」

 

 シュン──。

 

 カオリナイトと海野ぐりお、二人の家、二人の部屋へとテレポートするのだった。

 

 海野ぐりおとカオリナイト、朝までという長い愛の時間の始まりだ。

 

 

 

 

出してほしいキャラは誰ですか?本当はもっと書きたいですデマンドとかちびうさとか(期待に応えられるかは分かりません)

  • カオリナイト
  • 海野ぐりお
  • ユージアル
  • 天野ぐりかず
  • 地場衛
  • 月野うさぎ
  • ネフライト様
  • 大阪なる
  • テルル
  • ビリユイ
  • シプリン
  • プチロル
  • 水野亜美
  • 浦和良
  • 火野レイ
  • 木野まこと
  • 愛野美奈子
  • 天皇はるか
  • 海王みちる
  • 冥王せつな
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