赤い長い髪の女性カオリナイトは愛する少年に呼び出され、一人寒い中をベンチに座り待っていた。
そんな彼女に与えられるは暖かな……。
丁度似合うマフラー
「まだ寒いわね」
近所の公園を歩いていた、赤色の長い髪を編み込み、大きくポニーテール風に纏めた女性が呟いた。
風が吹き、彼女、名をカオリナイトの長い髪が靡き、赤い鮮やかなカーテンを作り出す。
ぽつぽつ。と、小さな白い物も落ちてきていた。雪。小雪がちらついているのだ。
二月の雪はそれほど珍しくも無く、少し冷え込めば、十番街や東京タワーの周辺を舞う物。
それでも降れば寒いが、しかし幻想的な光景も作り出す物として、カオリナイトはこの雪の舞う十番街が好きであった。
だが、寒い事は寒い。白いフワフワの毛糸のセーターを着こみ、チェックのミニのスカートといういで立ち。
ソックスは茶色のサイハイソックス。生憎と上に着る物を洗濯中であるために上着が無く寒さは増しましだ。
こんな寒い日、防寒対策も御座なりに外へと出たのは彼女の婚約者にして家庭教師としての生徒、海野ぐりおという少年に呼び出されたから。
中学生の海野少年は学業に忙しく、カオリナイトの衣服の事情など知らない。上着が洗濯中であることも。
知っていれば当然彼女を寒いお外に呼び出したりはしないだろう。
海野少年が普段よく目にするカオリナイトの服装と言えば、白衣か、赤いワンピースか。
まあ、家の中でが大半なのだが、その服装が多い。
いま彼女が着ているような白いセーターは見たことが無いのではないか。
温かい家の中ではいつもの赤いワンピースか、同じデザインの紫色のワンピースで十分なのだから。
海野家では家政婦も務めているカオリナイト。彼女は家に居ることが多い。買い物にも出かけるがそれはお仕事としての物。
態々お勤めをしている家の子供を連れだしたりはしない。
デートの時などは変わった衣服を着る事もあるが。
びゅうう
風が吹き抜ける。カオリナイトの赤色の長い髪が風にあおられる。
座った場所は、海野少年の友達たち。うさぎさんたちが良くくつろいでいるベンチ。上を見上げるとうねうねとうねった木が天上を形作り。
自然と人工の融和が上手く図られている。テルルなどはこういう場所は気に入るかもしれない。そうカオリナイトが思いながら木の天井を見上げていると。
「カーオリナーイトさん」
だーれだ。そう言わんばかりに両目をふさがれてしまった。視界は暗闇に包まれる。しかし冷たい暗闇ではない温かい暗闇だ。
「うふふふ、どうしたのかしらぐりお」
「あれ? 一発で分かってしまいましたか」
「たとえどこに居ようとぐりおの事は分かりますわ。で、どうしたのかしら、こんなところへ呼び出して」
「あ、いえ、ちょっとですね。最近温かくなってきたと思ったら、また寒くなってきたでしょう?」
「ふふ、季節の変わり目ですもの仕方がありませんわ。で、わたくしの家事と言うお仕事を止めてまで呼び出した理由は?」
そうだ。カオリナイトは今日も今日とて海野家で家政婦をしていた。そこを海野少年に公衆電話で呼び出されたのだ。
いつも皆さんが遊んでいる公園に来てください。それだけを告げられて。
いつも皆さんがと言われても家政婦業の傍ら見るに留まるだけ。
どこかと改めて尋ね〇〇公園だと知り、カオリナイトはやってきていた訳で。
「まさかだ~れだをなさる為だけにお呼びになったのではございませんわよね?」
そんなことで呼び出されてはお仕事の方が疎かになってしまう。態々奥様に許可を頂いて来訪したというのに。
「もちろんですよ!」
海野少年はいつもの無駄に元気な元気に、元気を更にかけたようにして宣言した。
「目をつむっていてくださいねカオリナイトさん」
柔らかく言う彼に応じるカオリナイト。
「はいはい」
何をする気なのだろうかこの陽気で明るい少年は。
私を助けてくれた時のような驚きをまたぞろくれるというのだろうか。
そんな他愛のない事を考えていた彼女の首元を──ふわり──柔らかく優しい感触が覆いつくした。
「えっ?」
「目、開けても良いですよ」
すっと開く目。開かれる視界。少し首元に紫色の双眸を下げやって見えれば見える、赤い、柔らかな赤。
艶やかな髪とも違う、露出の多い赤のワンピースとも異なる、柔らかい赤。
「これって……マフラー?」
「あ、あっはっはっ、いや~寒いですもんね。カオリナイトさんお買い物へ行く時、お外へ出かけるとき、寒そうですから。ましてやお空の上を飛んでいる時なんか寒いでしょう」
赤いマフラー。
恥ずかしそうに笑う海野少年はマフラーの意味を告げる。
本当は意味なんて無い。ただカオリナイトにプレゼントを贈りたかっただけ。
それが寒い昨今を温めるマフラーだった。
「カオリナイトさんの髪の色に併せましたが、いつものワンピースに赤だと全部赤に、ああ、カオリナイトさんってヒールの色も赤で全身赤でしたっけ」
でも。
「本日の白いセーターに、チェックのスカート。茶色のソックスには、赤いマフラー、似合ってますよ。と、と、とても、その、素敵です。ど、どうでしょう温かいですか?」
その言葉にカオリナイトは少し顔を伏せる。
「駄目、でした?」
詰襟学生服を着たぼさぼさ頭にぐるぐる眼鏡の中学生は、心配そうにオロオロ。
「ぐりおっ!」
瞬間、弾けた。カオリナイトの冷徹ながら海野ぐりおに温かみを覚えさせられた心が。
上半身をひねり、自分の首元までしかない背丈の中学生の男の子。その少年の身体を優しくも、深く抱きしめた。
「わっ! わわわっ! カオリナイトさんこんなところでっ!」
あわあわと慌てる海野少年だが、彼は彼で、優しくカオリナイトの身体を抱きとめる。カオリナイトの長い髪が鼻を擽り、香ばしい香りを残していく。それは尚も髪に鼻を埋める格好の海野少年に、新しい香りをもたらし続けるのだ。
これを勿体ないと思いつ振り切り、海野少年はカオリナイトの表情をちらりと覗き見た。
「お、おだまりなさいっ、バカっ、バカ……」
カオリナイトの紫色の双眸が涙で潤む。今にもこぼれそうになるそれを、大人としての矜持で堪える。
も、一筋、二筋、両目から溢れ出る涙が止まらない。
「好き……好きよぐりお……生まれ変わっても、一緒よ……ずっと」
カオリナイトの紫色の瞳を零れ落ちる涙。
彼女の赤い長い髪にその表情は隠されていても、落ちる涙は隠せない。
「か、カオリナイトさん、泣いてるんですか?」
目ざとく気付いた海野少年は尋ねるも。
「な、泣いて、なんて……これは、そう、雪が。目に、当たって……」
カオリナイトは否定する。
丁度似合うマフラーを贈ってくれた海野ぐりおを、カオリナイトは羽交い絞めにしたまま涙をぬぐう。
そんな二月の一の橋公園でのある一組の恋人たちの出来事だった。
うさぎちゃんたちがSの12話で居た公園は、ただの公園との意見を頂き、少しだけ書き換えました。
出してほしいキャラは誰ですか?本当はもっと書きたいですデマンドとかちびうさとか(期待に応えられるかは分かりません)
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カオリナイト
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海野ぐりお
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ユージアル
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天野ぐりかず
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地場衛
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月野うさぎ
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ネフライト様
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大阪なる
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テルル
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ビリユイ
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シプリン
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プチロル
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水野亜美
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浦和良
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火野レイ
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木野まこと
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愛野美奈子
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天皇はるか
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海王みちる
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冥王せつな