※この作品はR-18です。

それは平凡なる恋の日々   作:夜半の月

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『愛し合うを知る関係へ』の裏話です。
カオリナイトのちょっとした失敗と。
焦りながらも勇気を持とうとする浦和くんのお話です。


小話17 家の中より仙台へ

 

 

 

 

 家の中より仙台へ

 

 

 

 カオリナイトは考えていた。先日勉強会にやってきた水野亜美と浦和良。この二人の事を。

 

 あの二人、愛し合う恋人同士。私とぐりおと同じ様な。

 

 それでいて水野亜美さん、彼女にはとてもひどい事をしてしまっていた。

 

 いつかのプールで、ダイモーンを使い、彼女のピュアな心を無理やり引き抜くという。

 

 いや、彼女だけではない。月野うさぎさんや水野亜美さん。そしてぐりおの周りには自分の関わったピュアな心の結晶を抜き取るという。

 

 それも無理矢理に抜き取ろうという行為をしてしまった人々が多く、今となっては申し訳ない気持ちがあった。

 

 無論、全員に対してその様な気持ちがあるわけではない、カオリナイトも一人の人間。

 

 人間とは感情を持つ生き物で、その感情は関わる相手との関係の深度によって変わってくる。

 

 たとえば自分の関わった事案でも、特に今現在交流の無い相手には、悪かったという気持ちがあっても謝罪するまで考えてはいない。

 

 カオリナイトは確かに海野ぐりおと恋人となり、愛を知って変わったが、基本的にはセーラー戦士の様な正義の心など持ち合わせてはいないからだ。

 

 だからこそ全員に謝罪は考えていない。だが裏を返せば、深く関わり、交流を深めんとする相手に対しては、申し訳ない気持ちが沸いて来る。

 

 水野亜美。彼女には直接謝罪した。月野うさぎ、大阪なる、海野ぐりおの同級生で友達な彼女は、必然的に海野家へ遊びに来ることもあるのだ。

 

 海野ぐりおが特別彼女と親しいという訳ではないのだが、ここ最近、月野うさぎと大阪なるが時折ぐりおと連れ立って、うちで勉強会を行う事があり。

 

 そこへ水野亜美が誘われて来ることがあった。その過程で水野亜美とカオリナイトは対面し、カオリナイトは水野亜美が自分の襲った少女だと分かり、謝罪したのだ。

 

 水野亜美。彼女は心優しい少女。自分の命に関わる様な行為をしたカオリナイトを『気にしていません。カオリナイトさんにも事情があったのでしょうし』の一言で許してしまう程の優しい少女だった。

 

 そんな優しい少女はある時、男の子を一人連れ立ってきた。その男の子の名は浦和良。かつてはこの街に住んでいたが、現在は仙台に住むという少年だった。

 

 そして、自分自身が同じであるからこそ見抜けた。自分とぐりおの様に、水野亜美さんと浦和良さんも同じく恋人同士であると。

 

『亜美ちゃんの恋人さんなんですよね~浦和くんってば』

 

 小さな声でカオリナイトに耳打ちしてきたうさぎさんの言葉もあり確定を見た二人の関係。

 

 どこで出会い、どの様に関係を築き、どんな在り方をしているか。それは勿論のことカオリナイトには分からない。

 

 水野亜美さんと浦和良さんが出逢い結ばれたのは、そう、自分とぐりおが結ばれるよりも前の事。知る由もない。

 

 そんな二人の淡い恋は、まだ深度で言えば自分たちほどではないとも気が付かされた。

 

 甘い、甘く淡いのだ。それは小学生の恋に少しばかり進化を加えたような恋。無論中学生同士の恋なのだからそれも当然と言えば当然だろう。

 

 カオリナイトはそんな二人の恋に少しばかり背を押してみてみようかと考えたのだ。いや、自分の様な28歳にもなる大人が、自身のほぼ半分ほどの年齢の恋人たちの淡い恋に手を出していい物か?

 

 何度も考えた末に、幾度か手を出してみた。それは子供の恋を知らない大人の余計なおせっかい。

 

 命まで奪おうとした女の勝手な贖罪的な意味も持つ行為。はたして水野亜美さんは……喜んでくれた。

 

 深度1の恋が深度2となったのだから、それはカオリナイトのちょっかいで深度2.5くらいまでは進んだように見えた。

 

 いわゆるA、B、C的な表し方で言うならBまで。それは生来大人しい性格の水野亜美にはとても大きく強い刺激を伴う物だったろう。

 

 これは浦和良も大人しい方だから、短期間でここまで進んだ関係を亜美と築けるとは思わなかったに違いなく、事実そうだった。

 

 カオリナイトの裏工作。と言いつつ、わざとらしい誘導方法や、時に亜美と良が海野家を訪れていた際に、わざとらしくぐりおとの恋話を持ちだしたりすることで二人の意識を高めさせたのだ。

 

 ぐりおとカオリナイトの恋話というより、全体的な恋の話に及んだ時に、うさぎが衛との熱い恋の片鱗を語り。

 

 カオリナイトが続き『ぐりおとは毎夜、毎朝、熱い、熱い、心地の良い時間を、この身の奥まで』等と性的な話に及ばせる。

 

 これらが水野亜美と浦和良に強い恋の進むその先を意識させ、深度を深めさせたのだ。

 

 そしてこの日。カオリナイトはもう一つおせっかいを焼いてみようと思ったのだ。必要ない、自分たちは自分たちのペースでと言われるかもしれない。

 

 ならばそのペースその物を、早めるような何かを用意してみようと。

 

「ふふ」

 

 カオリナイトが手に取ったのは電話機の受話器。電話する先は──とあるホテル。

 

 勿論変な、いやらしいホテルなどではない。

 

「〇〇ホテルさんですか? わたくし黒峰カオリと申しますが、お部屋を二つ。隣り合わせでご用意できないでしょうか。ええ、空室がございましたらでよろしいのですが。……ありますの? ではその二つのお部屋を予約でお願いします。はい。黒峰カオリで予約をお願いしますわ。はい。それでは、そのように」

 

 カチャ。置かれる受話器。

 

「うっふふふふ、これで準備は整いましたわ。後は仙台に飛んで浦和さんを探し、東京に連れてくるだけね」

 

 そう言って、赤いワンピース。春から夏の終わりまで着ている以外は部屋着としている、カオリナイトのトレードマークである露出の多い赤いワンピースを“着たまま”、彼女は2月の仙台にテレポートした。

 

 

 ◇

 

 

 シュン……

 

 仙台の空中に出現する赤色の長い髪の一部を編み込み大きくポニーテール風に纏めた、露出過多の赤いワンピースを着た美女。

 

 強い風に長い髪が煽り靡かされ、乱される。背中の露出部や腕の肌に冷たい風が吹き付けて非常に寒い。

 

「は、ははははっくしゅんッッ! さ、さむ、さむさむさむッ、なにこの寒さはッ?!」

 

 当たり前である。2月の仙台だ。それは寒いに決まっている。

 

 雪降る仙台の空を夏用のワンピース一枚着て飛んでいればくしゃみの一つも出て来よう。

 

「は、は、早く浦和さんを見つけないと風邪を引いてしまうわっ」

 

 珍しく慌てるカオリナイト。

 

 降り立ったのは仙台駅の前。

 

 それは奇跡か偶然か。降り立ったその場で。

 

 

“ドンっ”

 

 

「っと、すみません」

 

 大人の女の人にぶつかった。

 

 随分と背の高いモデル体型の人だ。

 

 あれ? 赤色の太股の裏くらいまで届く大きなポニーテール風に編み込まれた長い髪。真っ赤な薄手のワンピースに、赤いハイヒール。全身赤。

 

 よく知ってるぞこの女の人――というか知人だった。

 

「って、カオリナイトさん?!」

 

「えっ!? う、浦和さんっ!?」

 

 この人、こんな寒いところでこんな服装で何をしてるんだ?! というより仙台に来てたのか。

 

「じ、地獄に仏とはこのことかしらね? 助かりましたわ浦和さん。少しわたくしの手を掴んでくださるかしら?!」

 

 早く早くと急かしてくるカオリナイトさん。

 

 寒いから手でも温めて欲しいのだろうか?僕には亜美さんが居るけれど、人への親切も大事だよね。

 

 と、彼女の手を掴んだ。

 

 瞬間。

 

 シュン――。

 

 次の瞬間仙台の駅前からの景色が変わり、これもまた知っている景色の部屋に周囲の景色が変わってしまった。

 

 え?ホントによく知ってるぞここ。海野さんの家の応接間じゃないか!

 

「こ、ここ、っ海野さんの家の!! か、カオリナイトさん貴女いったい――」

 

「お話は後です。わたくし、ちょっと着替えて参りますので。はあ、寒かったわ……」

 

 応接間に一人残される僕。どうなってるんだろうか?

 

「とにかく落ち着こう。こういうのは慣れてる」

 

 まずは情報の整理だ。仙台にカオリナイトさんはたぶん瞬間移動でやって来た。

 

 そしてその目当て、目的は僕だった。彼女があんな薄手だったのはたぶんこの家から直接瞬間移動したからだろう。

 

 ここは、海野さんの家。彼女は何らかの目的のために僕を此処へと連れてきた。何のために?

 

 あれやこれやと考えている間にもカオリナイトさんは着替え終えた様子で。

 

 赤い毛糸のセーター、チェックのスカートを着て。手にはコートを持ち応接間へとやって来た。

 

「お待たせしました」

 

「ああ、いえ、そんなに待ってませんよ」

 

「大急ぎで着替えましたので。あの寒さは身に堪えました」

 

 それはまあ、あんな服装で仙台に来たら当然ですよ。いや、東京でも同じか。

 

「で、どうされたんですか? 僕に何か用が?」

 

「テレポートには驚かれないのですね」

 

「まあ、僕も色々と経験してきて超常的な物には慣れてますので、今更知り合いが瞬間移動を使えるからって驚いたりしませんよ」

 

 そう。かく言う僕だって最強の妖魔七人衆の一人だったのだから。

 

「頼もしい方ですわね。ぐりおだったらあわあわと慌てているところよ。ああそう、要件でした。実は要件とは水野亜美さんの事です」

 

「亜美さん?あ、亜美さんがどうかされたのですかっ!?」

 

「ああいえ、どうもされては居りません。元気です」

 

 なんだ普通に元気なのか。何かあったのかって焦ってしまったよ。

 

「ほっ……、じゃ、じゃあ亜美さんの事とは」

 

「ここは単刀直入に申し上げます。実は浦和さんには水野さんとあるホテルの部屋に入って頂きたいのです」

 

 ほ、ほ、ほて、る? ホテル――?!

 

 何を言い出したんだろうかこの人は!

 

「ほ、ホテルって」

 

「ああ、勘違いなさらないで。いかがわしいホテルではありません。普通のビジネスホテルです」

 

 な、なんだ。びっくりさせられるなあ。

 

 で、でも、亜美さんと、ホテルで二人きり。

 

「因みにわたくしはぐりおと二人で浦和さん達のお隣の部屋へと入ります」

 

 へ? う、海野さんとカオリナイトさんも二人きり。

 

 いやまあ、おかしなことではないけれど。

 

 海野さんとカオリナイトさんが部屋で二人きり。こ、この二人って進みきってるんだよね、確か。

 

 え、まさかホテルで。

 

「うふふふ、わたくしとぐりおが何をするのかは御想像にお任せ致しますわ。それを踏まえて浦和さんと水野さんは何を為さるのかしらね」

 

 僕と、亜美さん、……僕は、どうするんだ?

 

 いや、そんなの、決まって……。いやでも、そんなこと、僕ら中学生――。

 

「一つの答えとしてわたくしは28歳の大人ですけれど、ぐりおは中学生です……そんなわたくしたちの関係がどこまで進んでいるかは――もう御存じですわね」

 

 周りからも、亜美さんからも、また当人たちからも、幾度と聞かされてきたのでよく知っている。子供が出来ても良いといった完全に進みきった関係だ。

 

 愛し合う男と女が最終的に辿り着く場所に、海野さんとカオリナイトさんは居る。

 

「で、でも」

 

「勘違いを為さらないで。わたくしは何も水野さんと某かをしなさいとは申し上げておりません。全ては浦和さんと水野さんのお二人だけのお話、別にホテルでお二人で談笑をされても良いかと思われますし、恋のお話をされても良いかと。仙台と東京で離れていらっしゃるのですから逢瀬を重ねられれば宜しいかと。その上で何を為さるのかはお二人次第。さあ、先にホテルへ参りましょう。水野さんももう下校時刻ですしね」

 

 どう、しよう。

 

 どうするんだ僕。

 

 いや、しっかりしろ。しっかりするんだ浦和良。

 

 僕が、僕が決めなくてどうするって言うんだ。

 

「では、手に捕まって下さい。ホテル前までテレポート致します。その後は先にホテルへチェックイン為さって置いて下さい」

 

 僕は。

 

 僕は、そう、亜美さんを愛しているんだから――。

 

 

 

出してほしいキャラは誰ですか?本当はもっと書きたいですデマンドとかちびうさとか(期待に応えられるかは分かりません)

  • カオリナイト
  • 海野ぐりお
  • ユージアル
  • 天野ぐりかず
  • 地場衛
  • 月野うさぎ
  • ネフライト様
  • 大阪なる
  • テルル
  • ビリユイ
  • シプリン
  • プチロル
  • 水野亜美
  • 浦和良
  • 火野レイ
  • 木野まこと
  • 愛野美奈子
  • 天皇はるか
  • 海王みちる
  • 冥王せつな
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