※この作品はR-18です。

それは平凡なる恋の日々   作:夜半の月

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互いだけのもの

 

 

 

 互いだけのもの

 

 

 

 

「ひゃああっ──!」

 

 下半身を丸出しにされた海野は反射的に両手で股間を隠して慌てふためくも、カオリナイトがそれを許す筈がなく。

 

 彼女は彼の手を掴んで、強引に股間から引き離すと、冷たい空気の下に出たかったであろうソレを解放させてあげた。

 

「あらあら海野の言う清く正しい交際とは、ココをこのように膨らませながら行うものなのかしら?」

 

 彼女の指摘通り。

 

 丸出しにされた海野の股間に顔を覘かせた男の器官は、天に向かって真っ直ぐに屹立していた。

 

「い、い、いや、いやいやっ、これは違うんですっ!」

 

「何がどう違うのか、具体的にご教授くださる?」

 

 皮肉なことに、彼の男たる頂は彼女を目指して立っているのだ。

 

 物言わぬ亀の頭は、その口より僅かな唾液を漏らしながら語っている。

 

 この女に愛されたい。

 

 この女をずっと待っていたと。

 

「恥ずかしいですっ、もうお婿に行けませんよ~っ」

 

「ばか者っ。貴方は私の婿になることが決まったばかりでしょう? その私を相手になにを恥ずかしがる必要があるというの」

 

 婿に行けないとはどういうことか。

 

 既に結ばれるべき相手を見つけ、こうして結ばれたというのに失礼ではないか。

 

 自分達はもう心通わせ合う恋人同士。

 

 いや、命の危機を共に分かち合ったのだから最早恋人以上の関係だ。

 

「よくお聴き海野。私はこれより先も永遠に貴方を放すつもりなんてないわ」

 

 この私に恋心を植え付けてしまったのだからこれはもう決まったこと。

 

 ならばもうこの場でお互いの関係をこれ以上無い物に昇華させておくべき。

 

「海野……、貴方は私のものよ。私だけのものになるのよ……。そして、貴方も私を自分だけのものにしてしまえばいい」

 

「ぼ、僕だけの?」

 

「そうよ。ここで一つになり融け合って……、そして海野ぐりおという“男”をカオリナイトという女に刻み込みなさい」

 

 カオリナイトは意識的に彼を恋人であると同時に伴侶としても視るつもりだった。

 

 未だ中学生。十四,五といった思春期の少年ながら、精通を迎えた立派な男であるとして。

 

「この──」

 

 彼女は硬く屹立したままの彼自身を、白魚のような指でなぞり上げた。

 

「はうっ──!」

 

 冷たい指が粘膜を擦る感触に男の根たるソレは震え、海野の体をじりじりとした快感が襲った。

 

「この歳相応に育った男で私を貫くのよ」

 

 精通した、成熟した男としての海野を受け入れたいのだカオリナイトは。

 

 全てを以て互いを感じ合い、それをこの恋の始まりとする。

 

 永遠に終わりのない恋の始まりに。

 

「わかったかしら? わかったのならば後は」

 

 だが海野はというと。

 

「そ、それはもう大変にありがたいですっ、こんなに愛されて幸せでありがたいわけでございますがっ──」

 

 僕は未だ中学生の身なので──等と、未だ覚悟が決まらない。

 

 やはり純情な少年、その手を強引にでも引かれなければ大人の階段を踏み出せないようだった。

 

 まだ何事かをわめき立てる彼に対し、次第にカオリナイトも実力行使へと移行していく。

 

 腕を通しているだけのパジャマの上着も剥ぎ取り、彼を生まれたままの姿にさせてしまった。

 

「痛ッッ!」

 

 強引に剥ぎ取られた服に、海野が悲鳴を上げたのはその時のこと。

 

「どうしたの?」

 

 それは、彼の右腕に巻かれている包帯の部位から奔った痛みが原因だった。

 

「これは……?」

 

「うう、痛かった……。あ、ああこれですか? これはあの事故のときのものです」

 

 そう、あの事故──カオリナイトを助けようとした時の。

 

「痛むのかしら?」

 

「ええまあ、少しですが」

 

 完治まではもう暫くかかるだろうその怪我。

 

 痛みも大分と収まり、時間の問題となった治癒の時を待つだけの、彼女を助けた勲章とも云える傷跡。

 

「……」

 

 カオリナイトは、己を守ってくれたときに負った傷口に巻かれている包帯を、無言で解き始めた。

 

「わわっ、何するんですか!?」

 

 抗議する海野を無視して包帯とガーゼを取り去った彼女は、現れた皮膚の損傷──痛々しい傷口にそっと触れる。

 

(私を守って負った怪我……)

 

 指で傷口をなぞった彼女、鮮やかなルージュの引かれた唇を近付けると、未だ生々しい傷口をぺろりと舐めた。

 

「ひう!」

 

 まるで傷口を塞ごうとするかのようにカオリナイトはぺろぺろと舐め続ける。

 

 糸を引く唾液がじわりじわりと傷口に染み込んでいく。

 

 舌に付く粘液は彼女自身の唾液だが、その粘液には傷口に滲む膿が混ざっていた。

 

「ん……、ちゅ……」

 

 ぴちゃぴちゃと、濡れた音を立てて傷口を舐める彼女の頭に海野は手持ち無沙汰に行き場のない左手を載せた。

 

「か、カオリナイトさん……、嬉しいですけど、やめてくださいよ……っ」

 

 膿を飲んでしまう。黄白色の膿には細菌や皮膚の腐敗物質が混ざっている為に口にしてもいいことはない。

 

「バイ菌が貴女のお口に入ってしまいますし……」

 

 彼女の舌が傷口をなぞるぬめやかさは、正直言って気持ちいいと感じていた彼だが。

 

 是を素直に受け入れていてもいいものだろうか? 

 

 思いを燻らせつつもカオリナイトの頭へと載せていた左手動かし、彼女の頭を撫でた海野に彼女は言う。

 

「かまわないわ」

 

 言われるまでもなくカオリナイトとしてもこんな事をしても意味がないのは分かっている。

 

 舐めたくらいで怪我が治るのなら、この世に医者も病院も必要ないだろう。

 

「私がこうしたいのよ……、好きにさせてちょうだい」

 

 しかし彼女はこうせずには居られなかった。

 

 これは非力な彼が必死になって守ってくれたことの証なのだから。

 

「ぺろ──」

 

 膿の放つ臭気を舌で感じ、鼻腔に吸いながら、堪能するかのように舐めていた彼女が一通りして覚えた満足感。

 

 所詮、自己満足なだけの行為には違いなかった。だが得られた物もある。

 

(気持ちいいわね……)

 

 海野が、頭や髪を撫でてくれているのだ。

 

 頭皮に感じる指は彼の体温の上昇を知らせ、温もりに当てられる彼女の高ぶりを誘った。

 

 長い髪の中を慈しむように泳ぐ彼の左手の指が、この上ない幸福感を彼女にもたらす。

 

 その指の感触を楽しみながら、カオリナイトは唇を離し言葉を紡ぐ。

 

「痛い?」

 

「少し滲みます。でも痛いという程では」

 

 長身の彼女が立っているときは斜め上に見上げる目線。

 

「舐めてくださって……とても気持ち良かった」

 

 いまは、海野よりも少し下にあるその瞳が交差する。

 

「海野、貴方はこの手で私を守ってくれたのね」

 

 カオリナイトは傷の残る彼の手を取り自分の頬に当て、愛おしげに頬を擦る。

 

「本当に、自分がおかしいわ……、こうして貴方を愛してしまった自分が……、貴方のような少年をこんなにも愛している自分が」

 

「カオリナイトさん……」

 

「私は、自分でも思うけれど冷たい女よ」

 

 今も、必要とあらば人を傷付けることなど容易く行える。

 

 良心の呵責が介入する余地も其処にはない。

 

「けれど、驚くほどに」

 

 海野を愛するこの気持ちだけが熱い。

 

 彼に助けられたあの時から付けられた火は、この夜の短い時間に心を焦がそうと燃え上がった。

 

「胸が火にくべられたかのように熱いのよ……、この体が焼き尽くされてしまいそうな程に……。冷たい女であるはずの私が……」

 

 カオリナイトが伝えたその想いに、海野もまた応える。

 

 彼女の編み組の房に触れ、その房で緩くアップにした色鮮やかな紅い髪を撫でながら。

 

「僕は、そんなの気になりません。カオリナイトさんがどんな人でも、きっとまた助けてみせます」

 

 思うといった曖昧さはない。助けるのだカオリナイトを。

 

 彼女が善人だとか悪人だとか、そんなことは問題じゃない。

 

 愛するこの女性を助けたいから僕は助ける。

 

「好きですから、カオリナイトさんのことを愛していますから、いつだって僕は命懸けで守ってみせますよ。きっと、理屈じゃないんですねこういうのって」

 

「海野……」

 

「僕ってとっても弱いんですけど、愛する貴女のためなら例え火の中、水の中。何処へだって駆け付けます」

 

 いい人でも悪い人でもそれがカオリナイトであるならば。

 

 彼女を愛する己が、彼女を助けに向うのは、もう確約された事なのだ。

 

「色々と勉強になります。貴女を好きなこの気持ちは……、──いえ。カオリナイトさん自身が僕の大切な宝物なんです」

 

 共有した時間こそ短くとも、もう幾十年を共にする男女よりも深く愛し合っている。

 

 不思議とそんな感覚が二人の心を包んでいた。

 

 厚いぐりぐりの瓶底眼鏡の奥で穏やかに微笑む海野の瞳。

 

 向けられる彼女も恋する女の表情を浮かべながら微笑み返し、彼に小さく口付けた。

 

「ん……」

 

 潤む紫の瞳と、朱に染まる頬。

 

 美しい女からの再びの口付けに海野もこの時だけは真正面から受け止めることができた。

 

「んん──」

 

 離れる唇に伸びた糸は刹那に消えるも、しかし唇には相手の唾液がしっかりと残る。

 

「ふふ……、優しい子」

 

 カオリナイトはもう二、三。

 

 海野への頬擦りを行い、肌をこすりつけてから己を助けて傷付いた彼の腕を両手で触った。

 

「替えのガーゼと包帯は? 私が巻いてあげるわ」

 

「ありがとうございます……、──あ、ガーゼそこの引き出しに入ってますよ」

 

 ベッド脇にある鏡台の引き出しから新しいガーゼと包帯を取るカオリナイトは、自分が舐めていた傷口にガーゼを当て、そして包帯を巻いていく。

 

「……」

 

 一巻き、二巻き、三巻き。

 

 傷をしっかりと覆い隠したところで包帯を切り、結ぶ。

 

「これでいい」

 

 恋人の手ずからに巻かれた新しい包帯に、海野は傷口の疼きが和らぐのを確かに感じた。

 

「なんだか……、痛みが吹っ飛んだような気がしますよ」

 

「そう? 世辞なのではなくって?」

 

「いいえそんなことありません──! カオリナイトさんに舐めてもらっていた方が治りが早いのかもしれませんね。これも愛の力なのでしょうか」

 

「フフ、だったらまた舐めてあげるわ。──んっ」

 

 海野の唇に軽く口づけた彼女は彼の頬にも頬ずりを贈る。

 

「私の愛で傷を癒せるのなら、いくらでもこうして差し上げてよ」

 

「嬉しいです……」

 

 もう何度目かとなる同様の愛情表現。

 

 繰り返しながら、それでも醒めやらない酔いに彼女は自分をこんなにまで酔わせてくれた少年の名を呼ぶ。

 

「海野……」

 

 海野ぐりお。この愛する少年を早く受け入れたい……、受け入れ、そして共に登り詰めてしまいたい。

 

 もちろん今の感じもこれはこれでいいのだが、彼女は受け止めたいのだ女として。

 

「んっ、くすぐったいですっ、ああでも……これは、とても落ち着きますよ……実にいいものです、暖かくて最高の……」

 

 カオリナイトの白磁のような頬を擦り寄せられている海野も、くすぐったくも心地良い感触と彼女の髪の香りに、心の中がポカポカと暖かくなっていくのを感じていた。

 

 こう何と言おうか。春の日差しの中にいるような、そんな感じだ。

 

「私もよ、こうして静かに愛情を酌み交わすのも悪くない……、悪くはないけれど」

 

「けれど、なんです?」

 

「私はこの先を、海野と──」

 

 言葉を伝えられ、心で愛を共有し、頭を撫でられても、まだ物足りない。

 

 体で感じ、受け止めたいのだこの少年を。

 

「海野、そこへ上がりなさい」

 

「え……?」

 

「いいから上がりなさい」

 

「は、はいっ……!」

 

 カオリナイトは擦り寄せていた頬を離すと彼にベッドへ上がるようへと指示し、自らもベッドに上がると。

 

「本番はこれからよ坊や」

 

「ちょッ、カオリナイトさ────―」

 

 彼の体を押し倒した。

 

 

 




  

出してほしいキャラは誰ですか?本当はもっと書きたいですデマンドとかちびうさとか(期待に応えられるかは分かりません)

  • カオリナイト
  • 海野ぐりお
  • ユージアル
  • 天野ぐりかず
  • 地場衛
  • 月野うさぎ
  • ネフライト様
  • 大阪なる
  • テルル
  • ビリユイ
  • シプリン
  • プチロル
  • 水野亜美
  • 浦和良
  • 火野レイ
  • 木野まこと
  • 愛野美奈子
  • 天皇はるか
  • 海王みちる
  • 冥王せつな
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