ふと自身のデス・バスターズ時代の人間関係を振り返りながら、異次元空間部屋で勉強をしていたうさぎちゃんたちを見ながら、考え込まなくてもいい事を考え込み?
カオリナイトのお友達
今日も今日とて海野家宅の異次元空間部屋。
海野家宅の家政婦さんでもあるカオリナイトが、本来は使っていない部屋であった奥の部屋の内装を改装し作り上げた異次元空間部屋にて、自身の恋人にして婚約者にして夫でもある海野ぐりおと、ぐりおの友達である月野うさぎに水野亜美、大阪なる。
そして亜美の恋人であり、現在は仙台に住む浦和良がカオリナイトのテレポーテーションで亜美の下に連れて来てもらい、集まったみんなで勉強会を開いていた。
不思議な組み合わせの彼女ら彼らながら、カオリナイトという一人の人間が紡いだ友人関係でもある中学生たち。
齢にして倍と離れた大人と子供の間に築かれた友人関係を、彼女は嘗ての自分を思い出しながら振り返っていた。
side:カオリナイト
(友人、か……振り返れば、私には友人と呼べる人間は一人も居なかったわ……)
これまで自分という人間は、誰かを傷つけ、壊し奪う事ばかりをしてきた。それ以外は研究の時間に宛がうのみの、どうしようもない冷酷な女だった。
そんな、誰にも誇れない黒い生き方をしてきたカオリナイトは、嘗て所属していた世界の支配を目論む秘密結社、デス・バスターズ内でも完全に孤立していた女だったと言えよう。
赤いワンピースを着ているカオリナイトは、服と同じ色の赤い色をした少し緩やかなupしつつポニーテール風に編み込まれている自らの長い髪を掻き上げながら、勉強に励む中学生たちをその紫色の双眸に写し、思いを馳せる。
(私だけではないわ。デス・バスターズの人間関係は元より崩壊していたのかも知れないわね……あそこには信頼等という物は無かった……)
そもそも彼の組織内に結束という単語に当て嵌る様な人間関係などあっただろうか。
皆が皆、それぞれ個々人の思惑のみで動いていた。
アイドル好きのミメットも、植物好きで表面上はぶりっ子なテルルも、冷徹な学力主義者ビリユイも、己たちこそがデス・バスターズ最強の魔女と驕り高ぶるシプリン・プチロルも。隙あらば誰かを出し抜こうとし、出世欲、趣味、単純なる我欲のみで動いていた様に思える。
自分達の頂点に立っていた教授でさえも、組織を離れた今となって今一度思い返してみれば、何処となく妖しい。
(ミメット、テルルは別として。ビリユイ、シプリン・プチロルは部下でありつつも、私の事など上司とも見ていない関係……組織内に置ける敵でしかなかったわ)
教授は確かに組織の大幹部として、自分とユージアルは真面目に、組織の為に動いてはいた。
お互いを敵視するような関係では無かった。
だが、それは飽く迄も組織の為の上下関係でしかなく、けして友人関係などではない。
(組織の為に動き続けた私は、失敗の果て、最終的に教授が命じたのか、シプリンに唆された教授が私を切り捨てたのかは分からないけれど、ピュアな心を奪われ始末されかけられた……。ぐりおに命を救われなければ、セーラー戦士に助けられなければ、私は愛するぐりおと共に死んでいた……、私は、カオリナイトと言う女は、ただ組織に利用されていただけの駒でしかなかったのだと思い知らされた)
騙し騙され、利用し利用され、欲得のみでばかり動いていた構成員たち。そこには信頼も友情も無い、まるで伏魔殿の様な場所デス・バスターズ。
強大な力と影響力を持っている物の組織としては脆弱と言えるのではないのだろうか。あるいは最終目標へと到達する以前に崩壊していた可能性も……。
「この部屋って便利だよね~っ。とーっても広いから寛げるし、ゴロゴロ出来るし、ゲームも出来るし遊べるし、ねえカオリナイトさん」
「……」
「おーいカオリナイトさーん」
「えっ?! え、ええそうですわね」
頭の両側高くでシニヨンに纏めたツインテールはそれでも、その毛先が膝にまで届くほどの長さをした、月の様に輝く金色の髪を持つ少女──月野うさぎさんが私に声をかけて下さっていた。
「あの、何かお悩みなんですかカオリナイトさん」
うさぎさんに続いて、海の水の様な青く澄んだ短い髪と青い瞳が美しい、いつも周囲を気遣いながら居て、心優しい水野亜美さんが、微笑みながら私を気遣いお声がけ下さる。
「あたしたちで良ければ相談に乗りますから、遠慮なく悩みを打ち明けてくださいね」
うさぎさんと同じ様に明るい性格の、波打つ栗色をしたセミロングヘアの少女。大阪なるさんが仰います。
『カオリナイトさんは私たちのお友達なんですから』
「とも、だち……」
彼女達より頂いたお言葉を、私は反芻するように呟いた。
月と水、栗色、それぞれの色を持つ少女たちからの優しい言葉を受けて。
「ええ、ええ、カオリナイトさんはあたしのお友達ですとも。そりゃあ年齢は離れてますし、大人と子供ではありますけれども、だけどあたし達とカオリナイトさんはお友達なのです。ねえ亜美ちゃん」
元気に明るく言葉を紡ぐうさぎさん。
「ええ、カオリナイトさんはお友達ですよ。カオリナイトさんご自身も仰っていたじゃないですか。あたしと良くんはお友達だと」
「はい。いつだって僕と亜美さんの為にカオリナイトさんは遠い東京と仙台の間でテレポートをしてくださって、僕と、僕の愛おしい亜美さんを引き合わせてくださるじゃないですか。僕の家で亜美さんと僕の前で、僕達に対してお友達だとも仰ってくださいました。それは僕も亜美さんも、皆さんも同じ気持ちなんですよ」
穏やかに優しくお口になさる亜美さんと浦和さん。
「だよねぇ。あたし達ってもうカオリナイトさんの超能力とかも知ってますし、色々教えてくださいますし、女子会だってしてるわけなんですから、大人だ子供だでお友達じゃないとかありませんよ。あたしはカオリナイトさんの事、お友達だって思ってます」
明るさの中に自信を持ちながら仰るなるさん。
友達、私のお友達……生まれて初めて出来た私の友人達……。
(本当の友達になら、か。以前、亜美さんと浦和さんの前で私自身が口にした言葉……、自分自身で口にしていて気恥ずかしさはあっても嫌悪感は無い……。今もそう。皆さんからお友達と仰っていただいて……私は……)
「カオリナイトさん?」
私の顔を覗き込んでくるうさぎさん。月の色のシニヨンのツインテールが大きく揺れる。
「い、如何為さいましたか?」
自身抱いた少しの動揺を隠しながら、私は私を見つめる八つ+二つの瞳をこの身に受けながら返答致しました。
「う~ん、気の所為かなっと思ったんですけどぉ、カオリナイトさん…、なんか今泣いてる様に見えちゃったので……あ、違ってたらごめんなさい。別に涙は流れていませんしね」
私が、泣いていた……?
私が、泣いている?
私は……。
カオリナイトさん──。
一人黙り込んでいた私の恋人──私の婚約者にして、私の夫……ぐるぐる眼鏡をかけた、青い詰襟の制服に身を包む、ぼさぼさの髪をした少年、海野ぐりおが、長方形の六人用くらいの机から立ち上がると。
「ぐ、りお」
私の方へと歩み寄ってきて下さり、そっと私の体を抱き締めてくださいました。
「あっ……」
「カオリナイトさん……いま、ボクにもカオリナイトさんが泣いている様に見えました。何かお悩みがお有りなのでしたら御遠慮なくこの海野ぐりおに打ち明けて下さい。僕と貴女は生徒と教師、恋人同士にして婚約者同士、僕達の間では夫婦関係にあるのですから。不肖、海野ぐりお! カオリナイトさんの為ならば何事であれその障害を打ち払って見せますよ!!」
こと恋愛には奥手で恥ずかしがり屋なところも見えるぐりおが、皆さんがいらっしゃる前でも照れる事も無く恥ずかしいセリフを口に出来たのは、私が泣いていたから。
──違う……違いますわ皆さん、違うのぐりお……私は、私はただ──。
「しい──」
『え?』
「嬉しい……のです……。皆さんのその優しさと労りが……、わたくしの様な冷酷な人間の事を、そうと知りつつも友人と仰ってくださる皆さんのお気持ちが、ただただ嬉しくて……わたくし」
信用できる人間関係なんて無かった。
妬み、嫉み、嫉妬、裏切り、組織内は、デス・バスターズ内は隙あらば仲間内であれ足を引っ張り合う、そんな人間関係だった。
教授もまた誰が傷つこうとも殉職しようとも、あの高笑いを上げながら次の職務を受け継ぐ者に任せるだけで、一欠けらの悲しみを抱く事も無いのだろう。
それ以前にも、信用の、心を預けられる人間関係なんて。
私を抱き締めてくださっているぐりおの腕の力が強まる。座っている私に、立っているぐりお。
私の首元までしかない筈のぐりおの身長が、今この時は私よりも高い。いつもとは逆位置となる身長差。
私を見下ろしているぐりおの顔が近づいてくる。
「カオリナイトさん───んっ」
湿り気を帯びた温かい唇が、唇を静かに塞ぐ。
「んうっ」
私の愛する男の子、海野ぐりおの唇が、私カオリナイトの唇をしっかりと塞ぎ口付けを行われた。
『わっ!? ちょ、海野(くん)!!』
焦り恥ずかしがる声が響く中、ぐりおの口付けは終わらない。
唇を塞がれながら、私はぐりおに髪を撫で梳かれ、背を優しくぽんぽんと、赤子をあやすかの様にして彼の手に叩かれた。
愛し合う時の様な、子を儲けんとするまぐわいの時の様な、熱い女と男としての口付けではない。例えるのならばそうですわ、ボクは此処に居る。カオリナイトさんの目の前に、貴女の傍に。それだけを伝えんとする口付け。
皆さんの目のある中で行われた優しい交わりが、まるでぐりおを別人の様に思わせました。確かなる私の夫……と。
「ん──……、……ぐりお……」
離れる唇の間に糸は引かれない。それ程の長く深い口付けでは無いが為に。でも、私にはとても心躍りときめく口付けとなりました。
私の頭を、私の髪を、さわさわと撫で続けるぐりお。頬が熱くなっている事が自分自身でも良く分かります。うさぎさん、亜美さん、なるさん、浦和さんは、私のぐりおへ抱く深い愛情を御存じです。彼女達は仰います。
『カオリナイトさんもあたしたちと同じ。恋する乙女だよ(ですよ)』
28歳という三十路の見えているこの歳で、中学生のぐりおに恋をし、乙女となってしまった私。瞳に潤みを感じながら、私は今、どう見られているのだろうかと気になり、皆さんのお顔を見たいと思うのですが。
「カオリナイトさん……」
ぐりおに私の頭が抱え込まれながら掻き抱かれて、私の瞳はぐりおただ一人しか映せない状況なのです。ああ、ぐりお、今はあなたの強く深い愛情が少しばかり重たいですわ。けれど、私はこの状況をこそ良しとしております。それもまた……私の、あなたへの愛……。
「う、海野はまず……あー、もういっか、邪魔しちゃうのも良くないし。カオリナイトさん。とにかくあたしこと月野うさぎさんも、亜美ちゃんも、なるちゃんも、浦和くんも、みーんなカオリナイトさんのお友達だからね! これから先もずーっとだよ!」
うさぎさんの明るい声が耳に入ります。
亜美さんも、なるさんも、浦和さんも、うさぎさんに倣われます。
「みんな同じ気持ちですよ。あたしと良くんの事を色々と気に掛けて下さって、応援して下さって、そんな貴女をお友達以外の何と受け取ればいいんですか? 貴女が仰って下さった様にあたしも良くんも言います」
皆さんが「せーの」でお言葉を揃えます。私へと掛けて下さるお言葉を。
‟カオリナイトさんはお友達です(だよ)!”
嬉しい……。
ただただ嬉しくて……。
ぐりおの腕の中にありながら、ぐりおの小さな体に抱かれながら、私はこの場に居る皆さんの暖かいお言葉を受けて、一筋、涙を零しておりました。
いい大人が子供たちの前で涙を見せるだなんて恥ずかしいので、ぐりおの制服に顔を擦り付けて涙の痕跡を拭い去りましたけれど。
出してほしいキャラは誰ですか?本当はもっと書きたいですデマンドとかちびうさとか(期待に応えられるかは分かりません)
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カオリナイト
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海野ぐりお
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ユージアル
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天野ぐりかず
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地場衛
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月野うさぎ
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ネフライト様
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大阪なる
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テルル
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ビリユイ
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シプリン
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プチロル
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水野亜美
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浦和良
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火野レイ
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木野まこと
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愛野美奈子
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天皇はるか
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海王みちる
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冥王せつな