朝の習慣
カオリナイトさん視点
朝は誰でも自然に目が醒めるもの。男も女も、老いも若きも無関係に。
違うところは年齢や環境など、個々人によって時間差があるというところかしら。
ちなみに私の体内時計は割と狂いが少ないようで、大きな誤差も生まれず、昔から変わらずいつもの時刻になるとすっと目が開く。
ここ最近の私が目覚めにまず行う事はふた通り。
私の隣で眠るぐりおを起こすのか。
それとも起こさずに彼の寝顔を見ながら抱き竦めるか。
抱き竦める場合は、頭や身体にそっと腕を回して起こしたりしないよう柔らかく掻き抱く。
私の身体で彼を温めて良い夢を見られるように。
そして私もまた彼の温もりと匂いに満たされる事で幸せに浸る。
相手は眠ったままなのだから所詮は私の自己満足なのだけれど、それは想いを寄せる彼への私なりの静かなスキンシップ。
彼は無意識に気付いているのか、時々そうしているときに私の名を呟いてくれることがある。
『むにゃむにゃ……カオリナイトさ~ん……』
後に続く言葉は無いけれど、耳元で囁かれているのと変わらない距離で名を呼ばれるのはとても心地良く、年甲斐も無くときめかされてしまうわ。
後ればせながらの初恋は、どうも私の調子を狂わせてくれることばかりで嬉しいやら恥ずかしいやらと忙しない。
年上の余裕を以て接する中でも、彼が無意識に行う不意のなにかはその余裕を刹那の間だけ失わせてしまう。意外な弱点なのかもしれないわね。
その様に、日によって、気分によって、朝の対応を変える私が今朝選んだのは、起こす、だった。
もちろん非常識なくらいの早い時刻ならばもう一度目を閉じて眠りに落ち、彼の事も起こしたりはしない。
安眠を妨害する意図など無いし、彼や、彼の御両親も寝ている中、ひとり起きていても、ね。
けれども今日は丁度良い時間。
遅くはなく早過ぎもしない気持ちの良い朝だった。
起こさなければ遅刻するような時間ではないけれど、そうしようと思ったのは私がそういう気分だったからに過ぎない。
ぐりおにしてみればまだぐっすりと眠ることのできる時間に起こされるのは迷惑でしょうけれど。
わがままな私に付き合ってくださらない?
同じ枕に頭を載せて気持ち良く寝ている彼の身体に触れ、静かに揺する。
「ぐりお」
一度くらいでは起きない。そのくらい静かに揺すっているのだから。
「起きて頂戴」
けれど、幾度めかの呼びかけと揺さぶりに彼は閉じていた目を開いてくれた。
「ん……、うう、ん……、ん……?」
寝ぼけ眼に目をこすりながら、身体に触れている私に気が付いてゆっくり此方へと頭を傾けるぐりお。
「おはようぐりお」
頬に触れる私の手に、ぼんやりとした彼の視線が向けられ。
「ん……ふあ~ぁ、…………んん……」
そして次にその瞳は私の顔へと固定された。
こうして見ると本当に可愛い容貌をしているわね。
彼と同じ年代の子達ならば多分こういうだろう。
かっこいい。
瓶の底のようなレンズといった眼鏡を掛けていると意外にも分からない彼の素顔。
可愛いその素顔が眼鏡で隠れているのはもったいない気もするけれど、変な虫を寄せ付けない効果もあるのだからこれはこれでいいのかもしれない。
はっきりと言うのならば私は嫉妬深い女。
彼とどうこうなることなど無いと分かっていても、彼に好意を抱き纏わり付く女が現れれば目の仇にして排除しようとするだろう。
でもこれは私だけに限った事ではないかしらね。程度の差こそあれ、誰しも自らが愛する相手を盗られたくないという思いは同じですもの。
私の場合、その思いが他より強いだけのこと。当然傍で私を見ている彼は、私が嫉妬深い性格だと知っている。
でも彼はその方が安心だなどと変なことも言っていた。
『カオリナイトさんが嫉妬深くって、その嫉妬が表に出て来るということは、僕がそれだけ強く愛されてるということで……、それってこの上なく幸せな事じゃありませんか』
うふふ、確かに良い方に捉えるのならばそういった一面で見る事もできるのかしらね。
私が嫉妬するのはそれだけぐりおを愛しているから。
だけど嫉妬させるようなことを彼はしない。
誠実に、真摯に、ただ私だけを見つめていてくれるのよ。
私はぐりおだけを愛し、ぐりおは私だけを愛する。
通じる想い、心はひとつ、いつもどんなときでもね。
それはとても幸せな事だわ。
「おはよう……、……ございま……ふああ」
まだ半分寝ているような挨拶に、私はもうひとつの朝の挨拶を贈る為、ぐりおへと顔を寄せて。
「んむ──」
もごもごさせているその唇を半強制的に塞いでみた。
放さないように、彼の頭に腕を回してぐっと強く引き寄せながら。
「ふ、むぅぅ……」
すると欠伸を失敗させたような声が私の口内に息と一緒に吐き出されて耳に響いた。
塞いだ彼の口より、私の口の中へと吐き出される息は、そのまま気道を通り灰へと到達。私の身体の一部となる。
寝ぼけ続きにもごもごと動き続けるぐりおの唇には少し強めの啄みをほどこしながら、自身の唇の湿り気を用いて濡らしていく。
「んっふぅ……ン、んむ」
彼の唇の縁に付着しているざらっとした感触、涎の後を、私は唇と舌を使い丁寧に拭いながら、彼の唇周りを私の唾液でしっかりと濡らし。
最後に強く唇を重ねたまま約20秒の、しっとりとした甘い口づけを贈る。
「──―」
そうしてたっぷりとキスを贈ったその後に、彼のお口を解放してあげた。
舌を差し入れての深い口づけこそ交わさずだけれど、唇をしっかり重ね合わせて幾たびにも渡り啄ませる想いを込めたキスの後は、私たちの唇の間で細い糸を伸ばし繋ぐ形と為って残っていた。
「……」
その糸をぼんやり眺めながら、はっと目を見開いたぐりおが紅潮して喋り出すまで。
「あっ、あっ、ああ~っ、あの~っ……お、おはようございますぅぅ──―っ!!」
「うふふふっ、目は醒めたかしら」
ぐりおの頭を引き寄せていた手で彼の寝癖を直してあげながら、寝起きの彼を迎えるように話しかけると。
「そっ、それはもうばっちりとっ! おかげさまで寝ぼけが一瞬で吹き飛んじゃいました……。し、しかし、カオリナイトさんのこの朝の寝起きのキっ、キっ、キッスは、効果覿面ですねっ」
落ち尽きなく捲したてた彼は大きく“すぅーっ! はぁーっ! すぅーっ! ”数回深呼吸をしてから興奮を静めると普通に話し出す。
「眠気覚ましにもなる上に朝から幸福感いっぱいになれます。やる気が出ますよ」
それがまたかわいいわ。無理をしているようで、誤魔化しているようで。
「ふふ、冷静を装う割りには顔が真っ赤よ?」
「うう、それは、だって~……キス、されちゃうんですから~……」
「もうこの習慣を試みてより結構な日数なのだけれど、まだ慣れそうもないのかしら」
「は、はい……どうもこういうのは……、いくらわかっててもちょっと慣れるのは難しいかと……。あでもですね、嬉しいんですよ僕本当に心から。愛するカオリナイトさんからの目覚めのキッスで起こされるなんて幸せそのものなことなのですから。あっ、はは、愛されてるなー僕って!」
頭を掻いて、鼻頭を掻いて、頬を掻いて、そうやって照れるぐりおがとてもかわいい。
「ええもちろん愛しておりますわ。海の底よりも深いくらいに」
「──っ」
にっこり微笑みかけると背筋がピンと伸びる。
どうしてこの子はこうも照れ屋さんなのかしら。
そんな彼へ、私は寝癖を直してあげたあと、枕元に置いてあった眼鏡を手に取りそっと掛けてあげる。
「はい、眼鏡よ」
「あ、どうもです」
いつものぐりぐり、瓶底眼鏡の彼のできあがり。
たったひとつ、眼鏡を掛けているのかいないのかだけでこれほどまでにも印象が変わってしまうなんて、ふふっ。
「まだ朝早いですけど予習でもしておこうかな」
布団を剥ぎながら私を見て言う。
そう、私は彼の家庭教師だもの。
「見ていただいても宜しいでしょうか?」
「真面目ですわね。わたくしと致しましても教え甲斐があるというものですわ」
剥ぎ取られた布団から身を起こすと、揃ってベッドから出る。
「んっんん~~~っ、今日も頑張るぞ──ーっ」
伸びをするぐりお。もちろん寝起きなのだから詰め襟の学生服ではなく、袖の青い水色のパジャマを着ている。
「うっふふふ、朝から元気だこと」
そして私もいつものワンピースではなく胸の大きく空いたネグリジェ。
そういえば、今でこそ慣れたぐりおも初め頃は私のネグリジェ姿に目を向けられなかったようで、眠るだけだというのにいつも顔を赤くしていたわね。
「それじゃカオリナイトさ──っじゃなかった、先生、宜しくお願いします」
「ええぐりおさん」
平日の寝覚めの朝から家庭教師としてのお仕事もないと思うけれど、ぐりおがやる気になっているのならば早朝だろうとお付き合い致しますわ。
海野ぐりおの家庭教師こそが、私の今の本業ですもの。
出してほしいキャラは誰ですか?本当はもっと書きたいですデマンドとかちびうさとか(期待に応えられるかは分かりません)
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カオリナイト
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海野ぐりお
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ユージアル
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天野ぐりかず
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地場衛
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月野うさぎ
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ネフライト様
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大阪なる
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テルル
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ビリユイ
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シプリン
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プチロル
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水野亜美
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浦和良
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火野レイ
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木野まこと
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愛野美奈子
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天皇はるか
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海王みちる
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冥王せつな