※この作品はR-18です。

部長、すみません・・・   作:夜半の月

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部長、出張ですか? 前編

 

 

 

 USA──United States of America。

 

 アメリカ合衆国とは。

 

 第二次大戦以後、USSR──Union of Soviet Socialist Republics=ソビエト社会主義共和国連邦率いる東側諸国との東西冷戦を経て、現在に至るまで。

 

 揺らぐこと無く世界最大にして唯一無二の地位を確立している国家である。

 

 経済、技術、軍事。あらゆる面で世界の国々を圧倒し、凌駕する。

 

 まさに、正真正銘の超大国にして大技術先進国と言えよう。

 

 彼の国アメリカに本社を置く株式会社I・E・Mとは、その技術の最先端を極めている。

 

 汎用性と物理攻撃力ならば核兵器と同等か、それ以上の力を持つ生体兵器M・Dを作り出した、驚異の技術力を保有する企業だ。

 

 宇宙・兵器開発、バイオテクノロジー。国家を挙げての壮大なる事業から。

 

 電化製品に医薬品といった日常に接するものまで。

 

 I・E・Mの手掛ける分野は驚くほど多岐にわたり。

 

 日本を始めとして、アジア大洋州、欧州等世界各国に支社を持つ軍産複合体なのである。

 

 

 そのI・E・Mアメリカ本社監査部長、兼、日本支社取締役常務である女性、メル=キャリー。

 

 彼女との情事は。

 

 美貌、頭脳、地位、戦闘力、富、全てを備えたperfectbeautyたる彼女との秘めやかなる時間は。

 

 今や私にとって……、いや、私とメル=キャリー……、私とメルの二人にとっての。

 

 極々ありふれた日常の一部となっていた。

 

 

 ──あぅ……っ、はぁ……っ──

 

 

 車で、ソファで。

 

 

 ──あ……っ、あはっ……──

 

 

 ベッドで、バスルームで。

 

 

 ──あっ……あっ──

 

 

 家に、ホテルに。

 

 

 ──あ……っ、あぁん──

 

 

 社内にと。

 

 

 お互いがお互いを想い合い、心に抱く愛がゆえに、時と場所を問わずして情は交わされるのだ。

 

 

 ──ああっう──……、ああ、おくっ……ああっ、いい──ああッ……きもち、いい──

 

 

 今もこうして。

 

 

 ──あっ、あっ──

 

 

 熱く深く睦み合っているように。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 愛情──言葉にしてみれば短く、陳腐な様にも写ろう想い。でも、この想いは常に新しく強い躍動感に溢れた、そう、生きる上での活力を与えるものだった。

 

 

 “メルを愛する”

 

 

 ただそれだけで幸せなんだ。

 

「ふうっ……はあっ、はっ……これは、長く持ちそうに、ありません……が……」

 

 片方向の想いではなく。彼女からも送られ来る熱く決して冷めやらない、双方向に作用している情熱的な感情。

 

「あっ……、はあ……っ、ん……別に、持たなくても……いいわ……、イキそうならっ……イッても──ああっ……。わた、しも……もうすぐっ」

 

 愛し合うからこそ愛を交わし。

 

 男と女、すべてをさらけ出して唯々強く求め合うのだ。

 

「メルっっ」

 

「はっ、ああっっ……、あな、たっ」

 

 メル=キャリー、この愛おしい女性との交わりは。

 

 彼女からアプローチをされたのなら、いつ何時であろうともあるがままに受け入れるのだ。

 

 二人きりであるならば、人目が憚られないのなら、時間も場所も関係なく彼女を受け入れ。

 

 そうして、自分自身も彼女に受け入れられることで、自らもまたこの情交を望んでいる。

 

 幸せなこのひと時を。

 

 女性に対して不慣れ、且つ積極性も皆無な上に、加えて齢75と老いたこの身。体力的な意味でも主導権などとても握れず、基本的には受け身に回り。

 

 それはこちらから望み求める等という男らしさを持つものではなく、彼女の側から“求められる”形となっているわけだが。

 

 しかし、愛し合うという行為に沸き立つ幸せな感情の前ではきっと些細なこと。

 

 端的に、男が女に抱かれている。

 

 普通なら男が女を抱くといった形に収まるべきところだと思う。

 

 しかしながら、私とメルの間では、基本はメルが私を抱く形で事は始まるのだ。

 

 頭脳明晰、容姿端麗、強気な性格、高い身体能力に社会的地位と財力と。その全てを持つのがメル=キャリーという女性だ。

 

 学歴無し、地位無し、万年平、老年太りの醜男で身体能力並の老人並、加えて性格弱気と、年齢だけが思いっきり上な他に彼女に対して勝っている点が私には無い。

 

 その年齢さえも若者と老人なら若者の方が利点は多く、年嵩な分だけ経験を積んでいるかと言えばそうでもない私は人として完敗である。

 

 言わば彼女は強者。

 

 強者(メル)が弱者(私)を組み伏せる。

 

 それは極々ありふれた、自然の摂理なのかもしれない。

 

 まあ、だからといってこれに私は不満がある訳ではなく、正直なところそれはそれでいいと思っている。

 

 男として男らしくとは行かないが、なに構う物か。

 

 そこに幸せがあるのなら、彼女に抱かれる幸せを味わえば良いのだ。

 

 私は幸せで。

 

 そしてメル、彼女も。

 

 自惚れているわけではないが、私を抱く彼女も幸せを感じてくれているのだろう。

 

 それはきっと私と同じ幸せで、その胸をいっぱいに膨らませて。

 

 互いをわかり合うには十二分な時間を彼女と共に過ごしてきたのだ。

 

 自信を持っても良いだろう。自惚れても良いかもしれない。

 

 五年、もう五年だ。切っ掛けは必要に駆られての、続くその後は流れに身を任せて行った初めての交接、そして結婚から約五年。

 

 五年もの長い時間を共に過ごしていれば自然と伝わるこの想い。

 

 互いに抱く幸せな気持ちを、心と体に染み渡らせ、そうして深く愛し合う。

 

 躊躇いなどない。

 

 どこまでも熱く、水底よりも深くへ。

 

 一つになって蕩けるままに身を任せ。

 

 想いを交わし綴っていく。

 

 それは至上の悦び。

 

 その、熱く秘めやかに交わされる愛の交接という大切な時間は、昼のオフィスでも行われるべくして行われるのだ。

 

 いつ、誰が尋ねてきてもおかしくない、このオフィスであっても。

 

 オフィス、監査部長室というメルの仕事場であり。

 

 彼女専属の雑務員たるこの私の職場で。

 

「く、うう」

 

「あっ、──っはあ」

 

 仕事中にも関わらずオフィスで熱く愛し合う。

 

 私達の個人的な感情を抜きにしてみればいくら何でも節度を考えろと注意を受けそうなものだが、そこはまあ私達にも事情がある。

 

 愛し合いながらも、愛し合う意味での交接とは他に。

 

「あっ、あんっ! やあっ! え、えむっ……でぃっっ、M・Dがっ……わたっ、私のっ……、中をっ……、っあうっ──」

 

 男と女──愛の為という、きわめて自然かつ私的な意味合いを内包しながらも行う真っ昼間のオフィスでの行為は。

 

 それを行う大きな理由として、彼女が口走っているM・Dの存在があった。

 

 メルの中にあるそれ。文字通りメルの中、彼女の体内、胎内に収納されているそれの存在。

 

「あっ、あッ……やっ、いやッ! ふっ、う!」

 

 愛し合う以外で交接を交わす理由。交接が必要とされるわけ。

 

 彼女、メル=キャリーの子宮内部──胎内に収納されている生体兵器M・Dへのエネルギー補給行為としてのものだ。

 

 それがゆえに行う性交でもあるのだ。

 

「ふあ、ああぁ──っ」

 

 艶めかしい叫びと共に降りてくる腰。

 

 中年太りならぬ老年太りな私の下半身に、私の太ももにかかる、若い成人女性の肉体の重み。

 

 豊かな胸とお尻、むっちりとした太股以外で無駄な肉など付いていない引き締まった黄金比の体は、重くはないが軽くもない。

 

 私が彼女に見合う年若な男でそれなりに体を鍛えていたのならば軽いと感じるだろう、そのくらいの重みだ。

 

 しかし、現実は鍛えてもない老齢の身であり、そんな私が成人女性の肉体を支えるには負担が大きくあった。

 

 重い……確かに重い。

 

 だが重くて辛いか? と尋ねられたのならば、いいや、だ。

 

 ましてや支えるのが辛いなんて思ったこと一度も無い。

 

 その彼女の体の重みがもたらすのは歓喜しかないのだから。

 

「メルっっ……」

 

「あはっっ」

 

 愛する女を我が身に感じながら悦ばない男など居るものか。

 

 ぢゅぶぅぅぅ──粘性の蜜に溢れるメルの秘裂に、私自身が呑み込まれていく。

 

「う、くぅぅ──ッ、入っていく……貴女の奥へっ」

 

「あっ、はああっ──」

 

 とろとろの粘液に塗れながらも、妖しく美しく華開く開口部。彼女の秘口は大きく口をあけて私を丸呑みにしていく。

 

 竿を一息に呑み埋没していく私自身の粘膜と、私を受け入れ割れていく彼女の粘膜の擦れ合い。蕩けた摩擦の作り出す快感の波。

 

 駆け上がるだけの波濤が、耐え難い疼きとなって体内を貫いた。

 

「ああっあああ──っ!」

 

 顎を突き出し、焦点の定まらない瞳をかっと見開きながら、私の頭上越しに何も無い背後へと視線を走らせたメルは、熱く荒い息と甲高い喘ぎを吐き出して、私の両肩に指を食い込ませてきた。

 

 細い白魚のような指が突き立つ。

 

 鷲掴みの指は両肩に、十指食い込む指の爪は少々堪える痛みをもたらす。

 

 しかし、その痛みを中和する秘裂の中のざらつきと、湧出を止めない愛液のぬめり。

 

 きゅっ、きゅっ、と程よく柔く締まる温かい内部の肉の触感が、彼女のかぎ爪の痛みを和らげた。

 

 この快感の前に痛みは無いも同然だ。

 

 痛みすらも快楽のスパイスとなる気持ちの良い痛みだ。

 

 沈み込む私の物。深く、深く、沈み込む。

 

 締まる秘肉の回廊を割り裂いて、彼女と強く擦れ合いながら咥え込まれるのだ。

 

 数秒が数分にも思える感覚。

 

 たどり着いた終着点。

 

 メル=キャリーという女の胎内へと続く入り口。

 

 根元まで納められた屹立で彼女を貫き通した。

 

「はっ、あぁぁ──ンっっ! あ、あたってるっ……っ、あ、あなたのが子宮にあたってッ……、え、えむ、でぃっ……が──」

 

 嬌声を発しながら見開かれたのはメルの青い、碧い瞳。蒼天の色を思わせる碧眼の震えが彼女の感じる快感の度合いを示しているようで、一緒に気持ち良くあれる喜びを感じさせた。

 

 割れ目の内部は根元まで私を呑み込んだところで彼女の自由意志とは無関係な収縮を強め、秘口より最奥部、蜜壺全体を萎ませながら彼女の中で硬く勃起している私を吸い上げようと試みている。

 

「くうっ、締ま、る──」

 

 刹那に迸る電気的な痺れがより一層性感を研ぎ澄まさせ、下腹部より遡り頭へとかけて駆け上っていく血流に脳が焼き切れるかの様な、じんじんとした頭痛に襲われた。

 

 肉付きの良い女の臀部を掴む両手の力を緩め、彼女の尻に添えていたその手を臀部より腰へとうわずらせていき、黒いレザーのタイトスカートの裾へ指を絡めると、そのスカートを大きく捲る。

 

「んあっあ──」

 

 ぐいっ──メルの柔らかな下腹まで強引に捲り上げたスカートの裾が皺を刻みたわんだ。

 

 腿の半ばまでを隠す真っ黒なストッキング。

 

 黒いガーターベルトの伸びる太股をなぞりながら、彼女の尻を愛撫し、揉み撫でる。

 

「メル、柔らかいお尻だ……この黒いスカートの下に隠れる貴女のお尻、豊かな胸と併せて……目の毒、です」

 

「ああ──ん、……っ毒を、触るために、スカートを捲るの……?」

 

「はい……捲り、ますよ……。お尻に触れながら、締まる中を押し通してっ、メルの奥の扉を開くためにっ……」

 

 露わになった白いお尻を撫でながら、目いっぱいに腰を押し上げ奥まったところへと入り込む私は、その切っ先で彼女の深層への入り口を開いた。

 

 くぱあ──。

 

 蜜壺へと挿入する瞬間と似通ったなんとも言えない感覚が、深層へと繋がる口を押し開いた私の先より伝わってきた。

 

「あぅぅ──!」

 

 彼女の息詰まる喘ぎがこぼれた。

 

 深層へ至る口蓋との擦れ合い、硬い私を窄まる肉が絡め取る。

 

 奥の奥での触れ合いに彼女は声をうわずらせた。

 

「くはっ……あ──、お、奥……ぅっ、奥がひらいてっ、あなたがっっ……こすれて……っ、M・Dと、あなたがっ……あ、あはあ──」

 

「メルっ、気持ちいいですか? 私はっ、気持ちいい……っ、先端に……メルの胎内を感じて」

 

 喘ぎと波長を合わせるような振動を体に感じた。

 

 震えているのだ、口角からよだれを垂らしてブルブルと彼女が震えた。

 

「はっ、うぅ……! はぁ……っ、あっ……、あな、たっ、そんな……奥、を……、突き、広げて……あ、あなたっ、ぁぁ……!」

 

 まるで余裕の無いメルは口元を半開きに声を震わせて喘いでいた。

 

 あなた、あなた、と私を呼びながら。

 

 純粋に愛し合っている時には想像も出来ない弱々しさ。

 

 経験の浅い初な婦女子の様に眉をゆがめ、瞳を潤ませているのだ。

 

 抜群の相性が紡ぎ出す猛烈な快感で愛の営みにはいつでも余裕が無い私と違い、愛し合う時でも比較的余裕を見せ、強気に笑みを浮かべたりする彼女。

 

 男に屈しない強い女性は、だが補給行為についてのみ後半、とみに終盤に差し掛かると、身を震わせて悲鳴にも映る喘ぎを発することがままあった。

 

 そう、今のように。

 

「あっ……、はあ……っ、あなたっ……、あなたが、奥にきてっ……私の……中っ……ぁっ……っっ、えっ、M・Dぃ……が──!」

 

 出逢い当初から強く聡明な彼女の尻に敷かれっぱなしでいる私に、この時だけ見せるあられも無い姿。

 

「うぐっ、くうっ……メル、……っメル、ああっ、メル……気持ちいい……、程よく締まって──!」

 

 誰の目にも明らかなことだが、メル=キャリーという女性は美しい。

 

 空の色、或いは海の色を連想させる青い瞳。射貫く者を縫い止めるその強気と冷酷さを併せ持つ視線は、ひとたび女の色を含ませたなら男の心臓を貫く誘惑の眼差しと化す。

 指を差し入れ、絡ませながら梳いても引っかかり無くこの指を毛先へと抜けさせていくほどに滑らかな、腰の下まで届くまっすぐでさらさらの真っすぐな長い金髪。

 

 目に映る煌びやかな金色の髪が彼女の魅力を一層引き立てさせている。

 

 きめ細やかで抜けるような白い肌、その頬に浮く汗が珠になって顎を伝い流れ弾け、レザースーツの胸元を膨らませているこぼれ落ちんばかりの豊かに実った大きな乳房の狭間に雫となって消えていった。

 

 すらりと伸びた手足は長く、格闘技の達人らしく無駄な肉は付いていない。それでいて太ももにはしっかりと肉付いて男を虜にさせるのだ。

 

 腰はくびれ、尻は大きく、頭から足の先まで凡そ“いい女”の要素を詰めに詰め込んだ、ハリウッド女優顔負けの美貌を持つ白人女性。

 

 下は幼い少年から、上は私のような老人まで。男ならば誰しもが見惚れ欲情をかき立てられるだろう美女である。

 

 その女と愛し合いながら、弱々しく喘ぐ彼女の姿を目の当たりにしているのだ。当然のことその美しさと淫靡さは私の男を煽り立てる物でしかない。

 

「ふう、うっ、メルっ」

 

 下腹まで捲ったタイトな黒い皮のスカートは手を離しても下がることはなく。お尻を撫でて支えていた手を臀部から腰と、ゆるりと上にあげていく。

 

 腰を撫でながら両手はそのまま彼女の背中に回して、その胸や尻を強調させるレザースーツに包まれた豊満な肉体を抱き締める。

 

「メル……ああっ……貴女を感じれば感じるほどに、幸せが大きくなります」

「あ、ん──」

 

 彼女の背中に回して広げた手の平で、手触りの良い金糸の長い髪を捉えられるだけ捉えつつ。

 

 両手の平で抑えつける髪の毛と、髪の下のスーツ越しに摩ってあげる彼女の背中を感じながら、手より逃した髪の毛の房がさらさらと手の甲に触れる感覚を楽しむ。

 

 スーツ越しであろうとも些か足りとも喪われない張りに張った若い弾力が年老いた私の胸板に押し付けられ。私を押し返すようにして、手前へと力が掛けられている。

 

「んはあっっ、はっ、ふう……はあ、ん……っ、あっ、あなたのが奥でこつこつするのっ、気持ちいい……っ、えむ、でぃーが……、内側からくるのっ……あっ……あっ、変に……なっちゃ、うっ」

 

 少し震える目蓋の下、青い瞳がふやけて潤んでいる。声音は弱々しく、とても切ない。

 

 なにか、今日のメルは増し増しに弱っている気がする。いつもの補給行為にも増して喘ぎ叫びに余裕が無い。

 

 相性の良さから常日頃に気持ちいい私達。事を行えば行うだけ快感は加速度的に強まっていき、メル曰く『おかしくなりそう』なほどだ。

 

 かくいう私もおかしくなりそうなほどに気持ちが良くて、この歳にして毎日愛し合えるだけの意欲と精力を維持していた。

 

 精力に限っては日々のメルとの交接で鍛えられたように思うところだが、まあそれはメルのように若く美しい女性と愛し合っているのだから当然として。

 

「はあっ、はあっ、っアア──ッ、っあ、……っはあ、はあ……ああっ、あなたっ……あ、ああ──!」

 

 しかしいまのメルは少しばかり息切れもひどいような。

 

 ただ、その乱れる様がどうしようもなく私の心を煽った。

 

 弱々しく喘ぎ乱れる美しいその姿が。

 

「ふうっ、はあっ、ふうっく──メルっ、柔々と締まる感じが……っっ、心地良いっっ」

 

 呼吸の乱れについて人のことを言えない私は私で、彼女の中に埋め込みきった男根を締め上げられながら、奥の奥に入り込んだままちゅぶちゅぶと動かすままに。

 

 襞のうねりと小刻みな痙攣を味わいつつ、ただ彼女の中で果てる時を待つだけの精の枯れ木となりつつあった。

 

「あっ、あッ、あッ……さ、さっきから……っ、えっ、えむっ……M・Dがっ、なかっ……私のなかでっ──! へ、ヘラ、トスっ……キセノンっ……っ! ソシアルが……動きっ、回ってっ、るッ──!!」

 

 メル=キャリーというホルダー=M・D保持者。

 

 彼女自身の胎内に収納されている三つのM・Dそれぞれの個体識別名を叫びながら、彼女は私の腰の後ろでに両脚を巻き付けてきた。

 

 腰の後ろでガッシリと組み合わされ固定された両脚。むちむちとした太ももと膝裏が、脂肪たっぷりな私の腹部を挟み込んでいる。

 

 言うところの“大好きホールド”なる姿勢は、受け応えるようにしてメルを強く抱き締めることで、彼女と私の密着度をこの上ない物とするのだ。

 

「あ、あな、たっ、あな……、たぁっ……、わっ、私のっ、M・D達がっ……M・Dがぁっっ」

 

「くっうう! うあっ、わ、わかってますっ、M・D……私の先にも吸い付いて……っ。ちょんちょん、つんつん、してっ、いますのでっ」

 

 濡れそぼる内部は小刻みに、と思えば激しく。実に統一性の無い蠕動を継続して繰り返し。

 

 愛液溢れぬるぬるとなっている柔肉の最も奥、私が押し開いている胎内へと通じる入り口の、その口の先に潜り込ませた先端部に、水を得た魚のごとき活きの良さで無機質な何かを小突かせてくる。

 

 その何かはいま彼女の制御下に無い。それを物語るのは、過ぎた快感に喘ぎ乱れる彼女自身のあられもないその姿だ。

 

 ぎゅっ、と。強く締め上げては私を包み込む肉を蠢かせ、襞の抱擁で私自身を揉み回すメルが鳴いた。

 

「ふっ、ぐううっ……ああっ……ああああ──っ!!」

 

 よだれを垂らして叫び開く口から唾が飛ぶ。

 

 ぱたたっ、ぱたっ、生暖かい水滴。

 

 キスをするときには必ず飲まされる彼女の唾液が、今はただ私の顔にぱたぱたっと降り注いでいた。

 

 達しようとするメルが、彼女からすると入り口ならぬ出口となる胎内の内側より激しく突かれて、達しつつ感じさせられているのだ。

 

 奥まで挿入されている私の先端にも、つついては吸い上げる感覚が絶え間なく続いていた。

 

 秘口、秘肉に絞り上げられる根元、襞肉に絡みつかれる竿、最奥の入り口に吸着される先端、さながら私の生命を啄む食虫花の様だ。

 

 甘い香りと美味しい蜜、咲き誇る美しき大輪の花。

 

 私という虫を誘う食虫花(メル=キャリー)。

 

 この花の中に果てられる事こそ至上の幸福だ。

 

 メル=キャリーという美しい花になら食べられてもいい。

 

 こうして今、食べられているように。

 

 むしろこの花(メル=キャリー)の中でこそ私は果てたい。

 

 精根尽きても食べられていたい。

 

「だっ、だめぇっ……いやぁぁぁ……っ ヘラトスっ、キセノンっ、ソシア──っ! さ、さんたいっ……一気にはっっ……アぁぁぁ──っっ!!」

 

 メルの悲鳴が鼓膜を震わせる。

 

 ヘラトス、キセノン、ソシアルの三体が三体共に、彼女の奥に先を潜らせた私の先端に殺到して、我先にとぐいぐい押してきている。

 

 そしてメルも深い場所で幾度となく達し、自身達しながらM・D──ヘラトス、キセノン、ソシアルの三つの個体に、代わる代わる子宮内膜と頸部をつつき回されているのだろう。

 

 収納形態でも握り拳半分大くらいの大きさがあるM・D。

 

 ホルダーがM・Dを外に出すときには子供ならぬ卵を産み落とす感覚がするとのこと。

 

 卵を産む感覚なる物は如何な物かわからない。勿論メルにもわからない。私もメルも人間で、人間は卵生ではないのだからして。

 

 ただ、収納形態が卵形のM・Dを排出する関係上、卵を産む感覚といった表現も強ち間違いではないと思う。

 

 これを体の内側、胎内から半ば強引に出口を開くよう行われているメルはさぞや気持ち良くも苦しい筈だ。

 

 内側より突かれる感覚、そこを無理矢理押し開かれる感覚。

 

 女にしかわからない、メルにしかわからない快感。

 

「あ゛ッ……ア゛ッ……ッッ!」

 

 快感に苦しむ、もう五年も前となったメルとの初体験よりこの方、私自身幾度となく味わって来たから分かるが、行き過ぎた気持ち良さは時に痛くすらあるのだ。

 

 男よりも女の方が性的感覚は強い。三体同時に子宮頸部へと殺到される。一体ずつ出すはずの物が三体同時となったら、それはさぞ……。

 

 逸脱した性的絶頂感。

 

 この状態は時々起きる。勿論、M・D排出時に起きたりはしないが、生体エネルギーの体外補給──私との性交によるエネルギー補給時に発生したりするのだ。

 

 M・Dの消耗や損傷の程度によっては必要となる生体エネルギーの量も増大する。

 

 お腹をすかせた子供達はメル自身の生体エネルギーを大量に吸い取りながら、私という体外からの女とは別種の生体エネルギーその物(精子)の供給者の注入口が挿入されれば、更に強欲にエネルギーを吸い上げようと一斉に取り付くのだ。

 

 しかし、今そこまで強く反応するとは、そんなにエネルギーを消耗していた? メルが弱っていたのはM・Dの消耗が原因かな? 

 

 それならば彼女のいつも以上に荒い呼吸や喘ぎようもわかるというものだ。

 

 多量のエネルギーを吸い取られている時の彼女は、呼吸も荒く熱っぽい。振り返ると、今日の彼女は息をついていた様にも思える。

 

 そんなメルは私の両肩に置いて自重を支えていた手を離すと、今度はその手を私の首に腋にと回しては力を込めてハグしてくる。

 

 快楽と苦痛に我慢ならないとばかりの抱擁だ。

 

 むにゅうう──。

 

「ふぐうっ……!?」

 

 弾力の塊が私の顔面を襲い、首の下、交接の時間と運動量に比例した熱気に汗ばむ彼女の胸部と、その胸の狭間に、私の鼻が埋まる。

 

 甘くかぐわしい汗の匂い。

 

 首の下から胸元にかけて露出する白い素肌に触れて、肌に浮かぶ汗が私の鼻頭を濡らした。

 

 向かい合う体勢はそのままに、体と頭を抱き竦められてぎゅううっと力を込められる。

 

「うぐ──メルっ、ッ……くるし──!」

 

 女性と言えどもメルは二十代と若く、当然老人の私よりも力が強い。

 

 強いどころかテコンドー、武術の達人なのだからして、身体を鍛えている分だけ基礎の力も彼女と同世代の平均的な成人女性に比べて遙かに強かった。

 

 その戦闘能力は警察特殊部隊のエースを相手に互角に渡り合えるほど。

 

 本来ならばクッションの役割を果たす筈の大きくて柔らかい胸の膨らみが、引き寄せ締め付ける彼女自身の腕の力も加えて私の顔面を加圧してくるのだ。

 

「ふにゅっ……むぐぅぅ……ぷはっ、ふっ、はあ、はあ、苦しっ──むぐっ」

 

 苦しい、息をし辛い。贅沢極まる苦しみだった。

 

 左右に実る立派な乳房。大きなその胸の狭間で圧される私の鼻が、僅かな空気の通り道よりかろうじて酸素を吸い出す。

 

 汗に濡れたメルの肌。レザースーツの下で汗に張り付く肌着の胸元を蝶結びに絞った紐が二本、胸の前に垂らされている。

 

 紐、濡れている。

 

 私の下顎に触れたその紐も彼女の汗を吸い込んでいるのだろう、若干の湿り気を帯びていた。

 

「あっああ──っ、やあああーっ、いやぁぁぁっ、あっ──ああっ、アアぁ~~っっ」

 

 喘いでいながらの悲鳴でもある声が艶めかしい。

 

 力の入った細い両腕は、変わらず此方を抱き締めて。

 

 その豊かな双房で顔を圧迫される私は息苦しさの中に天国を見る。

 

「むぐっ、ぷあっ……んぐぅ……っ」

 

 胸の谷間を伝う雫。

 

 香る汗の匂い。

 

 発汗して濡れた乳房の感触。

 

 熟れた肉体の温もり。

 

「かはっ、あッッ! さっ、裂けっ、裂けるっ! 裂けるうぅぅぅッ!!」

 

 M・Dによる胎内内側からの圧迫に悲鳴を上げている彼女の胸元で、私ももがく。

 

「ふぐぅ、ううく……っ、っっ」

 

 スーツの襟の間、素肌の覗く彼女の胸元に顔を抑え込まれながら、塩分混じる汗の臭いと柔らかな胸の温もりに、安堵と満足、そして苦しみを味わう。

 

 メルの豊かな胸元へ顔を押し付けられて苦しいとは、やっぱり本当に贅沢な話。

 

 こんな苦しみならいつでも味わわせて欲しいと思う。

 

 柔らかく張りのある二つの乳房の狭間でもがきながら、私は力の限り腰を押した。

 

 奥まで入りながら、最奥の入り口を押し開いているままにまだ押し込むのだ。

 

「ひぎ──ッ、やッ、やぁぁぁッッ、イヤッ、ダメッッ、おくッ……めくれあがッ、ッッああ──―!!」

 

 めくれてしまえばいい、めくれた最奥の口にこのまま注いでしまうから。

 

「ひ、ぐうッ、あな、たぁ!!」

 

 彼女の側からも腰を、股間を、押してきた。

 

「メルっ、すごい、繋がって……!」

 

 押し合う股間、この上ないほどに繋がり合った体と体。

 

 屹立した男根を根元まで呑み込んだままきゅううと締め上げている秘裂、その中から溢れ出た愛液で股間はしとどに濡れていた。

 

 隙間の無い股間同士はぬめりながら擦れ合って、双方向の押し出しが、まるでN極とS極の磁石のように私と彼女を深く深く結びつける。

 

 彼女の奥深い入り口に押し込んでいる先端へ、三つの無機質な殻が均等に触れて三方向からの押し込みと吸着、そして吸い出しにかかる力が加えられ。

 

 吸着、吸い出し、押し込みと。個々が思う思うに私の先を、メル自身を、嬲っていた。

 

 ヘラトス、キセノン、ソシアル。私の精の味を知り尽くした三体のM・D。

 

 食欲むき出しで粘膜に張り付き貪り尽くそうとする三位一体の攻勢が、私とメルを終局へと導いていく。

 

 生きた精子を食べて飲み尽くし、生体エネルギーへと変換する為に。

 

「い゛ッ!? ああ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ァ゛~~~~~~~~……ッッ!!」

 

 耳をつんざく絶叫。快感とオーガズムを振り切った悲鳴、いや絶叫。気持ち良すぎて苦しすぎるという幸せなる絶叫。

 

 性的絶頂の更に頂へと到達したメルは、私の腰の後ろに回している脚で私の体を締め付け、腰を挟み込んでいる太ももに力を入れてそのまま体勢を固定する。

 

 首と腋に回る腕も同様に力み、私は強く強く目いっぱいに抱き締められた。

 

「~~~~~!!!」

 

 苦しいのか気持ちいいのか。痛いのか快感なのか。

 

 悲鳴は無言の嬌声に変わり、彼女は私の頭へ顔を寄せなすり付けながら自身の感じている物を堪えている。

 

 なすり来る火照った肌に吹き出た汗が生々しく擦り付けられた。そんな行為に愛おしさを覚え、彼女の体に回していた手を手前へ。

 

 彼女の体を、腰を、力一杯引き寄せて、私の腰と押し付け合わせながら、私は射精した。

 

 ドクンっっ。

 

 爆ぜる、

 

「ああッッ!」

 

 びくんっ、大きく体を震わせながら喘ぎ叫んだメルの中で、解放感のままに勢いよく出す。

 

「ううう──!!」

 

 彼女の胸元に顔を押さえつけられたまま呻り声を上げ、彼女の中へドクドクと解き放つ。

 

「あ゛ア゛ッ、なか……出て、あな、た……せーし、出て……えむ、でぃっ……っっ、っぁぁぁ──」

 

 秘裂に埋め込み挿入しきった男根を、窄まる襞と肉圧が絡め取る。

 

 収縮する膣内は、その奥で鈴口を吸い上げている三体のM・Dと息もぴったりに締まり、更なる射精を促す。

 

 敏感な粘膜を大いに刺激された私は、最早限界だったそれを、迫り上げてくる精子をメルの子宮内に絶え間なく注ぎ入れた。

 

 どくっ、どくっ、どくっ──どくっ。規則正しいリズムと、不規則なリズム。

 

 圧倒的な開放感と満足な気持ち、強い愛情の深まりが最上の瞬間をもたらすのだ。

 

「あ゛……あ゛ア゛ッ……ん゛ああ゛……ッッ!」

 

 びくッ、びくッ、抱き締め合いながら硬直した彼女の肉体が痙攣。

 

 ただ私の精を注がれながら生々しく達している。

 

 苦痛を超えた心地良さが彼女を襲っているのか、私を抱き締める彼女の腕には力が掛かりっぱなしだ。

 

「ふうう──っくう!」

 

 応えるかのようにして歯を食いしばった私の腕にも自然に力が入り、体を重ね合わせたままで今日一番の強い抱擁を交わす。

 

 隙間無く重なる股間部を互いに押し付けながら抱き締め合えばそこに残るのは幸福感だけ。

 

 一度目の波が引き、数秒の間隙をあけて来る二度目の波。

 

 どくッ、どくんっ。大きな波の引いた後、まだ出し足りないとばかりに押し寄せるその射精感に、私は遠慮無く出させて貰う。

 

「あ、あああ──」

 

 この一息付いて行った射精に、しかし先端へと吸い付いていた感触は静かに離れていった。

 

 痙攣していた彼女も、甘い嬌声を上げつつ痙攣からわななきくらいにまで反応が落ち着いた。

 

 変わってねちょりと包み込む感触が彼女の中に入れている全体に、特に先端に伝わる。

 

 M・Dに押し開かれていたのだろう彼女の最奥への口蓋が、私だけを取り込み締める形に収まったのだ。

 

「あ、はあぁ……、あっ……ぁぁっ、出て……、る……、あなたのが、出てる……」

 

 彼女の声色、喘ぎと吐息。落ち着いた心地よさげな物に変わった。

 

 わかる。

 

 よく、わかる。

 

 射精を行う私。

 

 それを受けてくれる彼女。

 

 私達の間を遮っていた三体の壁、ソシアル、キセノン、ヘラトスはこの瞬間、休止状態、スリープモードに入り。

 

 今、補給ではない純粋な、愛を交わしている時に辿り着く終着点に。

 

 日常的に交わす愛の交接の果てと同じ物に切り替わったのだということが。

 

 そう、メルの胎内にて、正しく精の緩流が始まったのだ──。

 

 

 

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